そういえば、昔リリーっていう転校生がいたなあ。確か、スロバキアだったっけ、そのへんからきた女の子だったんだよな。
SCP-3002とは、シェアード・ワールド『SCP Foundation』に登場するオブジェクト(SCiP)である。
2014年7月28日(月)12:50pm、ケイ・トーマス (thomask@foundation.scp) 文筆:
R.
O5-1の指示通り、3002のファイルのコピーを送ります。必要なものがあればご連絡ください。
ケイ・トーマス博士
情報・ミーム部門
サイト-82
thomask@foundation.scp
SCP-3002 - SCP財団
より,2022/07/04閲覧
| SCP-3002 | |
| 基本情報 | |
|---|---|
| OC | Safe |
| 収容場所 | サイト-41 (影響者) |
| 著者 | MayD |
| 作成日 | 2017年3月24日 |
| タグ | 3000 k-クラスシナリオ ミーム メタ 人間型 情報災害 未収容 概念 知性 精神影響 記憶影響 財団製 適応 |
| リンク | SCP-3002
|
| SCPテンプレート | |
インディアナ州ラファイエット近辺に位置するサウス・ロック刑務所の受刑者の85%が共通して有していた特定の記憶が、SCP-3002として指定されている。この記憶は、かねがね影響者の幼少期の記憶であり、対象によってその日は異なるが、だいたいは10-13歳ごろを思い出している。この報告は、「森のある公園を当時最も親しかった友人と歩いた、あるいはそこで一緒に遊んだ」という話であるのだが、その人物の実体験とは矛盾していることや、被影響者によってはそもそも大人になるまで森のある場所に住んだことも旅行したこともないことすらあった。この刑務所に勤務するスーザン・フェアバンク博士がこの同一のような共有記憶について心理学の掲示板で発言したことで財団がこのSCP-3002を認知した。
ある受刑者のケースを見てみよう。彼は、自分の友人とふざけて遊んだとき、途中で学校に新しく入ってきた女の子の話をするようになった。その女の子はスロバキア出身で、家族とともに引っ越してきたのだという。その女の子の話をしたとき、友人は、その子はとんでもないクソ女だと何度も喚き散らしていた。誰にでも優しいやつだったはずだったのに、レイシストじみた発言をする友人に、彼は「お前の母ちゃんもポーランド人だろうが」と言い返した[1]。そして、そのあと、リリーという女の子に見つかった。その女の子はめちゃくちゃ近づいてきて、「私を覚えてる?」といったあと、学校か何かのプロジェクトについて何度も話しかけてきた。そして、受刑者はリリーがどんな女の子だったのか思い出せなくなった。
他の受刑者の発言もかねがね同じだ。天気は曇っていたが暖かかった、新入生のことで友人と口論になった。そしてスロバキアか東ヨーロッパからきた金髪の少女がいた。この記憶は、何度もインタビューされることでどんどん思い出せなくなるという点も共通していた。
2015年12月15日(火)8:03pm、O5-1 (o5_1@foundation.scp) 文筆:
R.
彼女が戻って来たということなのか、それとも彼女の記憶の寄せ集めにすぎないのか私には分からない。思考? レテ・プロジェクトが予期せぬ副作用を有していた可能性があるということだろうか? 彼女が戻ってきて我々を害することがないようにしたい。本件には目を光らせておくように。
A・ヴェレス
O5司令部
o5_1@foundation.scp
SCP-3002 - SCP財団
より,2022/07/04閲覧
| SCP-3002 | |
| 基本情報 | |
|---|---|
| OC | Euclid |
| 収容場所 | サイト-41 (報告書) |
| 著者 | MayD |
| 作成日 | 2017年3月24日 |
| タグ | 3000 k-クラスシナリオ ミーム メタ 人間型 情報災害 未収容 概念 知性 精神影響 記憶影響 財団製 適応 |
| リンク | SCP-3002
|
| SCPテンプレート | |
SCP-3002は曝露対象の記憶に対してのみ効果を発揮するクラスII伝染性ミーム災害であることがわかった。このミーム災害により、対象者に特定の記憶を挿入し、対象は自らの少年期の記憶として想起することになる。そしてこの記憶について述べるありとあらゆる伝達はこれを伝染させる。
全ての報告に共通するのは「最も親しい友人と公園にいた」「学校の新入生のことで口論となった」「その新入生はスロバキアから来たリリー・ヴェセルカ (SCP-3002)という少女だった」ということである。また人によっては近くのベンチにリリーが座っていた、具体的な質問を受けたという記憶を想起する人もいる。リリー・ヴェセルカは基本的に白身がかった金髪で血色のない外見をしており、彼女から学校に関係していると推測されるプロジェクトについてや彼女自身についての質問をされたことを対象は想起する。
当初はインディアナ州のサウス・ロック刑務所でしか確認されていない事項であった。この記憶は実験が進むと詳細を欠いていった。
ミームとわかったため、SCP-3002に関する唯一の報告書はサイト-41の異常文書保管庫に格納され、適切なクリアランスを持つ職員以外試験を行うことはできなくなった。影響者は影響に応じてクラスCまたはクラスB記憶処理を行う必要がある。しかし言語を用いた確認では、確認者がSCP-3002の餌食になるので、言語を用いずにミーム的・物理的に判別するための手法を研究するヴェセルカ・プロジェクトが進行している。
後にこの版は2016年に更新された。ヴェセルカ・プロジェクトは首尾良くインタビューの必要なく被影響者を判別できるようになっており、最終試験がはじまっている。一方で、適切なクリアランスを持たないにも関わらず、ある日3名の職員がこのSCP-3002の文書にアクセスしようと試みていた。一人は用務員さん、ひとりはフィールドエージェント、そしてもうひとりはヴァンダービルト博士。
データベースを管理する部署・RAISAのオフィサーであるワイトリーはこのうちのひとり、ヴァンダービルト博士にこれについてインタビューした。ヴァンダービルト博士はSCP-3002へのアクセス、そして編集を行ったことについて、「些細な間違いをしていたのを見つけて文法的な修正を咥えた」と主張した。しかしワイトリーは、このファイルにヴァンダービルト博士がアクセスしたのははじめてではと指摘する。するとヴァンダービルト博士は、昼食を食べに行く途中でロイド博士の背後から見えたと主張した。それだけで文法的なミスを見つけられるとしたらそれはかなり目が良すぎるだろ……ワイトリーはそんなことはありえない、あの文書はアクセス時にミーム的ロックを設けており、かつ制御された環境下でしか報告書にアクセスできないはずだ、そして貴方は管理権限でロックを回避していると主張するが、ヴァンダービルト博士は「そうですか、しかしやったことは文法的編集のみだ」となおも態度を崩さない。
ワイトリーは更に主張する。「貴方の編集は文法ミス修正という範囲を逸脱している。あなたはSCP-3002というフレーズをリリー・ヴェセルカに編集した上、集合記憶内の存在がスロバキア人であるという記述も削除している」と。するとヴァンダービルト博士が反駁する。「いいや、彼女はスロバキア人ではない、子供の時から彼女を知っているが、話す時の訛りがあることも知っている。我々の報告書は事実に則るべきであり、故に私は事実に則り――考えてみれば、彼女は何処から来たかなんて覚えていない」と。そう、ヴァンダービルト博士はSCP-3002の影響を受けていたのだ。ロイド博士は特定の研究エリアからSCP-3002を持ち出すこともなく、ヴァンダービルト博士もまたそのエリアにアクセスしていなかったこともわかっている。どうやって、SCP-3002はヴァンダービルト博士に伝染したのだろうか。
2016年8月8日(月)8:49pm、O5-2 (o5_2@foundation.scp) 文筆:
R.
ヴェレスの思っていた通り、これは副作用ではないようです。彼女はレテを知っている人間を優先して狙っていると思われます。我々がプロジェクトに参加させていた全職員とサイト-Eに残っている全物品を処理するために私の方でrrhを派遣しましたが、時間が足りなかったためrrhは途中妨害を避けるために現地を離れざるを得ませんでした。
E・ペルーン
O5司令部
o5_2@foundation.scp
SCP-3002 - SCP財団
より,2022/07/04閲覧
| SCP-3002 | |
| 基本情報 | |
|---|---|
| OC | Keter |
| 収容場所 | N/A |
| 著者 | MayD |
| 作成日 | 2017年3月24日 |
| タグ | 3000 k-クラスシナリオ ミーム メタ 人間型 情報災害 未収容 概念 知性 精神影響 記憶影響 財団製 適応 |
| リンク | SCP-3002
|
| SCPテンプレート | |
SCP-3002は曝露対象の記憶に広範な効果をもたらすクラスX伝染性ミーム災害であり、対象のいかなる記憶をも除去・改変・置換可能で、実体験に基づかない記憶を作成し、陳述記憶と潜在記憶の両方に影響できてしまう。要は、単に思い出になるだけでなく、その人の身体が覚えた技能や癖にさえ影響するというのである。
当初は、森の中を歩いた記憶、友人と口論をした記憶、そしてリリー・ヴェセルカというスロバキア移民の女の子の記憶以外に影響はないと思われていた。しかし、現在では被影響者の持つありとあらゆる記憶の伝達がSCP-3002の感染につながると判明している。つまり、全くこの偽記憶に関係のない思い出の話でさえ、SCP-3002を引き起こす。「昨日の晩御飯は何食べた?」のような質問でさえ、「えーと、鶏唐揚だよ」と被影響者が言っただけで、鶏唐揚とともにリリー・ヴェセルカが質問者の記憶に挿入されてしまうのだ。
リリー・ヴェセルカは非常に白味がかった金髪の血色のない外見をしており、東ヨーロッパの国から来た幼少期の友人であると説明される。リリー・ヴェセルカは偽記憶のなかで、自分自身や不詳のプロジェクトについて質問をする(「私についてどんなことを覚えている?」、「あのプロジェクトは終わった?」など)。
このSCP-3002は極めて高度な適応行動を取ることで収容を回避していると見られている。何度も聞いているうちに忘れてしまうのもその一環か。受刑者の「友人と遊んだ記憶」がミームトリガーと考えられていたが、刑務所の職員たちがSCP-3002の汚染を受けており、ミーム伝染媒体として現在も拡散に寄与していると見られている。このことから、アメリカ中西部の人口の多くはSCP-3002に曝露していることが疑われている。また、感染者の疫学的研究では、「大量の情報を作成している人物」「スラブ・東ヨーロッパの歴史と地理に関して大量の研究を行っている人間」をメインターゲットにしていると推測されている。
この影響を受けた場合、薬剤やエアロゾルを用いた記憶処理が効かないことがわかっている。SCP-8900-EXでおなじみのアンニュイ・プロトコルもエアロゾルだったが、この財団のお得意の最終手段さえ使えないとなるとそうとう深刻であろう。唯一可能で信頼できるのは外科的な記憶消去。要は脳味噌を切り取るということである。
ここで気になるのが、この被影響者の処置である。あくまでリリー・ヴェセルカという女の子の幼馴染がいただけの記憶しか挿入しないSCP-3002の被影響者は、遠距離武器を使って回収または終了することになっている。え、終了するの?更に重要人物がこのSCP-3002の影響を受けた場合は外科的な記憶消去を行うことも特別収容プロトコルに明記されている。確かに上述のような記憶処理耐性があるならば拡散を止めるにはそうするしかないが、そこまでして止めないといけないのだろうか?
RAISAオフィサー・ワイトリーはある日事故に遭い、脊髄に重度の損傷を受けた。このワイトリーと事故について会話したRAISA職員は、SCP-3002の既知の影響と関連していそうな異常行動に注目。これにより、ロイド博士 (ここまでの報告書の執筆者)がインタビューを行った。
ロイド博士はワイトリーに、ヴァンダービルト博士とのインタビューを覚えているか確認すると、リリー・ヴェセルカという女の子に会った記憶があるかと尋ねた。記憶にないとワイトリーが回答すると、ロイド博士は休暇に向かった理由を尋ねる。すると、ワイトリーは財団のファイルとデータベースを研究したいという衝動を持っていて、ミームの脅威を除去した上で、SCP-3002に類似する実体、そしてレテ・プロジェクトなるプロジェクトを発見した。ワイトリーはその後事故に遭うが、ワイトリーは事故ではないと主張する。3台の車が突然自分に向かってきたのだと。そしてロイド博士を信用できないと、インタビューを途中で打ち切る。
財団のSCP-3002への過剰なまでの対応。ちょっと考えても、「移民の女の子の幼馴染がいた」程度の記憶を埋め込むようなオブジェクトの対応としては異常で異様である。更に、ワイトリーに関しても、財団は意図的にむしろ消そうとしているかのようだ。そこまでSCP-3002に対応する何かがあるのだろうか。
財団は、ある人からの情報を元に、エージェントをウクライナは西端のウジャンスキー国立公園に派遣した。この地に廃墟となった地下研究施設を発見した。この施設は2013年に放棄されたとみられ、施設内の標識と文書は財団との関連を示唆している。この地に施設があるという記録は、ウクライナにも財団にもないのだが。加えて、かなり昔に放棄されたような施設でありながら、最近行われた活動を示す証拠も存在している。大量の文書と紙が償却され、コンピュータはメモリと記憶デバイスを失っている。施設の焼却炉の1台はエージェントが到着する直前まで稼働していたことが判明している。2013年に放棄されたはずの施設で、2016年に何をしたというのか?内部の灰からは、SCP-███と一致する人間のDNAの痕跡があることも確認できた。
エージェントは、焼却された文書のエリアを発見した。そのうちの一部は化学処理により読める状態に復元された。これはペルーンという人が、ヴェレスという人に向けて書いた手紙であるらしく、どうやらレテ・プロジェクトなるプロジェクトがここで行われていたようだ。あれ、ワイトリーが研究し見つけたのもレテ・プロジェクトだったような。このプロジェクトは"壊された虚構"型シナリオを回避する上で極めて有効な手段であるらしい。
しかし、このレテ・プロジェクトは積極的に続けるのはリソースの無駄遣いだ、とペルーンは指摘している。というのも、単一のアノマリー (先述のSCP-███のことか?)にプロジェクトを頼ったことで、対象に過度のストレスを与えた、という。そして、手術のたびに彼女の運動能力と認識機能の低下を招き、自分の名前や呼称に返答することもそれらを名乗ることもなくなってしまったという。
更に彼女は技術者と仕事をするのをおそれ、手術を逃れるために自傷行為、更には自殺まで試みたという。これを避けるために彼女に写真や読書など収容以前に楽しんでいた趣味をさせることで精神的苦痛を与えないようにしていたが、そんなことではどうにもならないレベルだったようだ。
エージェントがみつけた、侵襲的神経外科に用いられた器具・手術台を見れば、この彼女の抵抗もむべなるかな、という具合である。というのも、摩耗するほど頻繁に使用されており、更に一緒に発見された医学文書と拘束具は、意識を保ったまま手術を受けていたことを示唆している。そうまでしてレテ・プロジェクトを続けていたのは何故か。それは、コントロール可能な大量記憶処理や記憶改変アノマリーこそ、"壊された虚構"型シナリオを回避する手段としてふさわしいと財団が考えていたから。"壊された虚構"型シナリオというのは、財団が隠し通そうとしている、「世の中には異常が存在する」という事実が世間に露見してしまうことを指す。これを覆すために、人間が持つ共通のミームトリガーを基軸に、人間の記憶を元から変えてしまうことで隠蔽しようというのが財団の考えだったのだ。ペルーンは、このレテ・プロジェクトのミームトリガーはイエローストーン (SCP-2000の所在地)の神経学的アーキタイプスキャンに組み込んであり、人間の被検体に依存しないプロトコルを現在の被検体よりも長く継続することもできるだろうと希望を示して書簡を締めている。
ペルーン。ヴェレス。そういえば、この報告書では、ヴェレスがRに宛てたメール (第2版)、そしてペルーンがRに宛てたメール (第3版)が付随していた。O5-1としてメールを書いているのはヴェレス。そしてペルーンはO5-2であることもわかる。つまり、このオブジェクトは、最初の受刑者が共有記憶を持っているという段階から既にO5案件になっていた。O5というのは13人で構成される財団の監督評議会を指す言葉であり、いわば財団のトップの13人である。ただ移民の女の子の幼馴染がいるだけの記憶を差し挟むだけというくだらないオブジェクトにここまで財団のトップが関与する理由はなにか?
言うまでもなく、これはレテ・プロジェクトでO5が作ろうとした、"壊された虚構"型シナリオの回避手段として作ろうとしていたミームと全く変わらないからだ。人間の共通の時間軸に、同じ記憶を差し込むことで、その後の人間の認識に影響を与え、更に改変や消去までしてしまえば、どんな重篤な事件が起きて、それを多くの人が見てしまっても、それを『なかったこと』や『あたらしい常識』に変えてしまえる。それがレテ・プロジェクトで財団が、O5というトップ直々に作ろうとしていたミームである。
しかしその過程で、財団はアノマリーとはいえ一人の女性を、意識を保ったまま脳手術を行うという非道なことを行い、結果として彼女は自殺を図るほどにまで追い詰められ、心を閉ざしてしまったようだ。今、彼女の身体は既に焼却され、存在しない。しかし、――
| SCP-3002 | |
| 基本情報 | |
|---|---|
| OC | Euclid |
| 収容場所 | サイト-41 (報告書) |
| 著者 | MayD |
| 作成日 | 2017年3月24日 |
| タグ | 3000 k-クラスシナリオ ミーム メタ 人間型 情報災害 未収容 概念 知性 精神影響 記憶影響 財団製 適応 |
| リンク | SCP-3002
|
| SCPテンプレート | |
ついに、文書作成者がロイド博士ではなくなった。特別収容プロトコルには、被汚染者は前任者・家族・知人も含めて全員殺処分しなければいけないとあり、ロイド博士もSCP-3002に影響されて、財団に終了されてしまったようだ。
SCP-3002は、それ自体が知性を持つミーム実体であり、すべての情報と記憶に存在でき、かつその記憶に擬態・改変・除去を行うことが可能でその限界もないというとんでもないミームであり、人間の意識の完全喪失を意味するMK-クラス:世界終焉シナリオを起こすことが可能であり、しかも実際にそれを試みている。SCP-3002に人間の精神が完全に汚染されると、その人は意識して肉体を動かすことができなくなる。このとき、SCP-3002は通常通りの生活を行うことを許すが、未暴露の人間と出会うと、その人に対して被影響者を集め強制的に曝露させる。SCP-3002に操作されている人は自己生存本能を示さなくなる。
こうして擬態できるということは、もはや被影響者のいかなる情報であろうとも、なんなら挨拶さえもSCP-3002を媒介する、というよりはSCP-3002そのものになってしまう。これにより地球上の人口の72%が既に汚染されていると財団は推測している。更に、初期収容時点で一部の重要な財団職員が影響下にあった。これにより検知や分析を的確に逃れることができた。東ヨーロッパに注目していたのも自分を研究していたレテ・プロジェクトやそれに関するサイト-E (ウクライナに存在した非文書化財団施設)の関係者を探していたから。彼女は自分を苦しめ、こんな姿にした財団を恨み、財団関係者を皆殺しにしようとしているのだ。財団は、SCP-3002を、リリー・ヴェセルカを止められるアイディアを募集している。
提案:さらなる支援を求めるため、要注意団体と要注意人物に連絡を取る (提案者:ケント・メイフィールド博士)
提案は承認 (9-4)され、実際に連絡を試みたものの、世界オカルト連合、マナによる慈善財団、境界線イニシアチブ、ロシア連邦軍参謀本部情報総局”P”部局、イスラム・アーティファクト開発事務局、プロメテウス研究所、カオス・インサージェンシー、アンダーソン・ロボティクスは返答なし。連邦捜査局異常事件課、マーシャル・カーター&ダーク株式会社は返答があったものの、O5-1・ヴェレスがSCP-3002の存在を確認したため返答は破棄された。Are We Cool Yet?は芸術という名のガラクタをつめて送ってきた。事実上の敗北宣言だ。蛇の手も『我々のなかに彼女が既に紛れ込んでいる可能性がある』と協力を否定。そして”何者でもない”は「これは予想してしかるべきだったろうに」と諦念を送ってきた。
提案:再始動
合意に達せず (1-1)
SCP-3002
思考抹殺計画
Attempts to Assassinate Thought
SCP-3002-1とされる少女リリー・ヴェセルカだが、これは本名ではないことが示唆されている。SCP-3002は元々SCP-███というアノマリーの女性をベースにレテ・プロジェクトによって作られたミームであるが、当然、リリー・ヴェセルカのもととなるのはこのSCP-███であろう。3桁ナンバー (シリーズI)のオブジェクトで、かつ女性であるアノマリーが元になっているわけだ。
作者がディスカッションであげたところでは、リリーのほうは元々アブラハムの宗教をベースにしていた頃の名残でリリスから取った名前を気に入って残したということが記されている (現在はアブラハムの宗教とは関係しないオブジェクトである)。問題はファミリーネームのヴェセルカ。これはウクライナ語で『虹』を意味する言葉であると作者は語っている。虹といえば、あるアノマリーの名前が虹の女神を意味する名前をしている。
そう、SCP-105こと、アイリスである。アイリスは英語圏における一般的な名前ではあるが、同時にその由来はギリシャ神話に語られる虹の女神・イリスが由来となる。ペルーンの書簡でも、被検体の女性が趣味として写真を好んでいたことが綴られている。ちなみにレテ・プロジェクトのレテも神格の名前で、ギリシャ神話の忘却・隠匿の神様。隠匿の神様の名を持つプロジェクトが後に隠匿されるというのも皮肉だが、同じギリシャ神話の神様の名前を持ってくるあたりもアイリスとのつながりを見いだせよう。
アイリスは、意識を保ったまま脳手術をされるという惨たらしい目に遭い、結果として心を閉ざし、その精神は意思を持ったミームになったのだろう。その後、彼女は逃避しつつも、レテ・プロジェクトの成果もあり人間に容易に伝染可能だったため、ありとあらゆる人間に感染し、その観戦した人からプロジェクトの進捗、あるいは中止判断を確認しようとしていた。彼女がスロバキア人の転校生に扮していたのは、彼女が自分を実験していた施設が東ヨーロッパとしてしか朧気に記憶していなかったゆえだろう。そして彼女は実験終了を待ち、あるいは自分の体に戻ろうとしていたのかもしれない。しかし財団はレテ・プロジェクトの隠匿を図り、彼女の身体を焼却処分してしまった。彼女は戻る身体をなくしてしまったのだ。
それを知った彼女は財団への復讐を計画した。しかし、ミーム生命体の状態では完全に周囲を把握できない。また、財団もO5直属の機動部隊アルファ-1 ("レッド・ライト・ハンド")によって多くの情報を隠滅した。そのため、関係ない地球の人間を片っ端から巻き込み、財団側から収容対象として追わせることにした。その結果、地球上は自分で覆われたのだ。そして、財団を、財団が彼女を犠牲にしてまで守ろうとしていた人類もろともに滅ぼした。
なお、作者いわくヴェセルカ・プロジェクトは実際にはうまくいくはずのないものだったという。じゃあなんでその失敗作で被影響者を感知できたのか?それは、ヴェセルカ・プロジェクト自体がリリー・ヴェセルカの感染源だったからである。
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最終更新:2025/12/23(火) 13:00
最終更新:2025/12/23(火) 12:00
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