サクラプレジデント(Sakura President)とは、2000年生まれの日本の競走馬・種牡馬である。
2003年クラシック世代を代表する中距離巧者にして、GIにはあと一歩届かなかったいろいろ惜しい馬。
主な勝ち鞍
2002年:札幌2歳ステークス(GIII)
2003年:札幌記念(GII)
2004年:中山記念(GII)
概要
サクラプレジデント Sakura President |
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生年月日 | 2000年4月11日 |
馬種 | サラブレッド |
性・毛色 | 牡・鹿毛 |
生産国 | 日本 |
生産者 | 谷岡牧場(北海道静内町) |
馬主 | さくらコマース |
調教師 | 小島太(美浦) |
主戦騎手 | 田中勝春→武豊 |
抹消日 | 2004年11月25日 |
戦績 | 12戦4勝 [4-4-0-4] |
獲得賞金 | 2億8626万5000円 |
血統~デビューまで
父*サンデーサイレンス、母セダンフォーエバー、母父マルゼンスキーという血統。
父*サンデーサイレンスは説明不要の大種牡馬。母父マルゼンスキーは70年代の日本競馬では場違いとも思えるほどのスピードから「スーパーカー」と呼ばれ、種牡馬としてもブルードメアサイアーとしても大成功を収めた馬。
母のセダンフォーエバーは全兄に昭和最後の日本ダービー馬サクラチヨノオー・七夕賞馬サクラトウコウを、半兄に朝日杯馬サクラホクトオー(父トウショウボーイ)を持つ良血。その重賞馬3頭を産んだサクラセダン(サクラプレジデントから見れば母母に当たる)は9番仔の出産直後に死亡。残された娘はこのゴッドマザーに敬意を表されてセダンフォーエバーと名付けられ、未出走のまま繁殖入りとなった。重賞馬は本馬1頭にとどまった(無論、重賞馬を輩出できるだけでも優秀である)が、12頭の仔を産みサクラセダンの牝系を広げている。
2000年4月11日、これまでにサクラローレルやサクラチヨノオーなど多くのサクラ軍団の馬を生産してきた谷岡牧場で誕生。当然のごとくさくらコマースに購買され、期待を込めて「プレジデント」と命名された。その期待に違わぬ成長を見せた本馬は、かつてのサクラ軍団の主戦騎手にして*イーグルカフェやマンハッタンカフェなどのGI馬を管理した小島太厩舎に入厩。調教が進められた。
2002年(2歳)
デビューは鞍上に田中勝春騎手を迎え、8月の札幌1200m戦となった。*サンデーサイレンス産駒に1200mは短いと見られたか3番人気にとどまったが、レースは後続に3馬身差つけての快勝であった。
続いて重賞初挑戦となる札幌2歳ステークス(GIII)に参戦。ここまで2戦2勝のワンダーボーイと人気を分け合う形で2番人気となる。レースはやや後ろから進めると最後で3ハロン35秒3の脚が炸裂。連勝で重賞初制覇となった。何気に馬主のさくらコマースにしても、1997年の愛知杯(サクラエキスパート)以来4年10か月ぶりの重賞制覇である。
この連勝を受け、馬主としては96年有馬記念(サクラローレル)以来6年ぶり、騎手としては92年安田記念(ヤマニンゼファー)以来10年半ぶりのGI制覇を目指して朝日杯フューチュリティステークスに出走。3.4倍の1番人気に推される。しかしゲートでやや立ち上がって出遅れ。それでも直線で内から猛追するが、最後で足が止まり伏兵エイシンチャンプにクビ差での敗退を喫した。負春再び とはいえエイシンチャンプは*グラスワンダーのレースレコードをコンマ1秒更新する激走であり、出遅れて*グラスワンダーのレースレコードに並ぶタイムを出した本馬もたいがいすごい馬である。
2003年(3歳)
3歳になり、当然向かうはクラシック戦線。本馬はスプリングステークス(GII)より始動する。勝春騎手の騎乗停止により武幸四郎騎手へ乗り替わりとなったが、GI2着と抜けた実績を持つこともあり1.7倍の1番人気に推される。しかしレースでは1馬身1/4差の2着。1着はきさらぎ賞を制し、このレースからまだ外国からの短期免許でやってきていたころのミルコ・デムーロ騎手に乗り替わっていたネオユニヴァースであった。
本番皐月賞。1番人気はネオユニヴァースだが3.6倍つき、5番人気のザッツザプレンティまでが10倍を切る混戦模様。その中で本馬は2番人気の4.3倍。1000mを61.7秒とスローペースの中、中団前目につけて進み、最終コーナーで前が開くと力強く進出を開始。ネオユニヴァースは4コーナーで馬群に引っかかっている、勝った!!……と思ったら馬群を割って突っ込んでくる黒い帽子、ネオユニヴァースである。そのまま馬体を合わせての叩きあいとなり、最後はアタマ差差し切られての2着。3着のエイシンチャンプは3馬身半後方であり、まさに一騎打ちであった。
鞍上の田中勝春騎手はこれでGI91連敗。11年ぶりのGI制覇を逃した形になり悔しさで頭を下げたが、その頭に衝撃が物理的に走る。不利を受けたレースで勝ったことに興奮したデムーロ騎手から頭を思いっきりはたかれたのであった。デムーロ曰く「悲しそうな顔してるので励ますつもりだった」らしいけどそれは追い討ちじゃないかなあ。
次走は当然のごとく日本ダービー(東京優駿)。ここまでの実績から当然ネオユニヴァース(2.6倍)に次ぐ2番人気の支持(3.6倍)を受ける。3番人気の青葉賞組ゼンノロブロイが6.4倍ついてるので2強である。しかしレースは1枠1番から楽に先行できたものの直線で振り落とされ7着。ネオユニヴァースの2冠達成、そしてそれを追い詰めたゼンノロブロイとザッツザプレンティの力走を遥か後ろで眺める形になった。この結果を受けて勝春は降板、変わって武豊を鞍上に迎えることとなった。
夏は休みを挟まず、夏のスーパーGII札幌記念で初古馬戦に挑戦。2年前の勝者である*エアエミネムとの2強体制と見られ、レースはその期待通りになった。本馬はしっかり折り合って後方から進み、最終コーナーで進出開始。53kgの斤量もあり、上がり3ハロン33秒7の脚で先行していた*エアエミネムをクビ差捉えて重賞2勝目を挙げる。
3歳で古馬相手に勝利したことで本馬の評価はうなぎのぼり、秋始動戦の神戸新聞杯ではネオユニヴァース(2番人気、2.9倍)を抑えて1番人気(2.4倍)の支持を受けた。まあネオユニヴァースが2冠達成後宝塚記念に出走したのも影響してるんだろうけど。レースはネオユニヴァースと3番人気(3.9倍)ゼンノロブロイをマークして進め、4角でまくって先頭に躍り出た……はいいが直線でスパートをかけたゼンノロブロイにあっという間に交わされてしまい、3馬身半差の2着。
ネオユニヴァースは半馬身抑えたがこれでは腹の虫がおさまらない、ということで天皇賞(秋)にいくプランを放棄して菊花賞に挑んだ。が、ダービーで力尽きてる馬に3000mが持つわけもなく、ザッツザプレンティとネオユニヴァースの激闘を遥か後方で眺める9着に終わる。その後菊花賞馬になったザッツザプレンティと共にジャパンカップに参戦したが初の2ケタ着順である14着に惨敗し改めて距離限界を露呈する形となった。
2004年(4歳)
クラシックディスタンスは長すぎることを露呈した本馬、狙うは当然マイル~中距離戦線となる。ということでスーパーGIIの一角中山記念より始動。前年チャンピオンのローエングリン、重賞2勝の古豪サイドワインダーらを抑えて1番人気に支持される。そしてレースはというと最内枠から好スタートを切り、最終コーナーで外に持ち出すと逃げ粘っていたローエングリンを一瞬で切り捨ててサイドワインダーに2馬身半差をつける快勝。タイムも1分44秒9とコースレコードを更新して見せ、距離さえ合えばGI級の実力を持つことを改めて知らしめることになった。
さて、古馬王道路線の天皇賞(春)は本馬にとって距離が合わない。2022年現在は春先の古馬中距離GIといえば大阪杯があるが、当時はまだ春天トライアルのGIIである。そしてということで本馬は朝日杯以来のマイル戦である安田記念でGI制覇を果たすべく調整が進められた……が、前哨戦のマイラーズカップ、そして本番ともに調子が整わず回避。チャンスを棒に振ってしまう。
秋は武豊がアドマイヤグルーヴに乗ることになったので、代わりに松永幹夫を迎えて天皇賞(秋)から復帰するが、覚醒したゼンノロブロイの前に14着と惨敗。おまけに良くないことは続くもので、1か月後に屈腱炎を発症し引退することになってしまった。
種牡馬時代~現在
引退後はレックススタッドで種牡馬入りとなった。マイル~中距離のスピード血統ということで初年度から4年連続で100頭以上の牝馬を集めたが、残念ながらGII馬とGIII馬がそれぞれ1頭と期待に添えるほどの産駒は出せなかった。
その後2018年に谷岡牧場の分場から独立した新和牧場へと移動。2020年に種牡馬を引退した後も、同牧場で余生を送っていた。
2024年3月15日に死亡。奇しくも、ダービーまで鞍上を務めていた田中勝春が同年1月から調教師となったその矢先であった。
血統表
*サンデーサイレンス Sunday Silence 1986 青鹿毛 |
Halo 1969 黒鹿毛 |
Hail to Reason | Turn-to |
Nothirdchance | |||
Cosmah | Cosmic Bomb | ||
Almahmoud | |||
Wishing Well 1975 鹿毛 |
Understanding | Promised Land | |
Pretty Ways | |||
Mountain Flower | Montparnasse | ||
Edelweiss | |||
セダンフォーエバー 1987 鹿毛 FNo.16-a |
マルゼンスキー 1974 鹿毛 |
Nijinsky II | Northern Dancer |
Flaming Page | |||
*シル | Buckpasser | ||
Quill | |||
サクラセダン 1972 鹿毛 |
*セダン | Prince Bio | |
Staffa | |||
*スワンズウッドグローヴ | Grey Sovereign | ||
Fakhry |
主な産駒
関連動画
GI2着の惜敗
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関連項目
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