ヴァレーデラルナ(Valle de la Luna)とは、2019年生まれの日本の競走馬。鹿毛の牝馬。
主な勝ち鞍
2022年:JBCレディスクラシック(JpnⅠ)
概要
父ドゥラメンテ、母*セレスタ、母父Jump Startという血統。
父は言わずと知れたタイトルホルダーやスターズオンアースを送り出した悲運の暴れん坊二冠馬。
母はアルゼンチンで7戦6勝重賞5勝、2015年のG1エストレジャス大賞ジュヴェナイルフィリーズを制した馬。繁殖牝馬としてノーザンファームに輸入され、ヴァレーデラルナは第3仔。
母父ジャンプスタートはエーピーインディ産駒で、自身は2歳G2を1勝したのみ。種牡馬としてはセレスタを含めG1馬を2頭送り出した。
2019年1月17日、ノーザンファームで誕生。同年のセレクトセールにて1億円(税抜)で落札された。
オーナーのラ・メールは謎の多い馬主だが、セレクトセールの結果を見ると本馬を含めたラ・メール所有馬は「東洋木材」が落札しているため、この会社の馬主名義のようである。他の所有馬には2022年の日本ダービーで逃げたデシエルトや、園田で無双しているジンギなど。
月の輝く砂漠の谷で
2歳~3歳
エイシンフラッシュやストレイトガール、ダートではサクセスブロッケンやローマンレジェンドなどが所属し、現役ではシャフリヤールが所属する栗東の名門・藤原英昭厩舎に入厩。
藤原厩舎所属の岩田望来を鞍上に、デビューは2021年10月31日、阪神・芝1600mの新馬戦。単勝3.8倍の2番人気に支持されたが、中団から外を攻めたものの見せ場なく4着。
続く12月19日の未勝利戦でダートに転向。阪神ダート1800m戦に挑むと、単勝1.7倍の支持に応え、2番手先行から直線抜け出して5馬身差で圧勝。これでダート路線へ進むことになった。
ところがこの後、1勝クラスで彼女の前に立て続けに牡馬の強敵が立ち塞がる。
明けて3歳、2月19日の同条件の1勝クラスでは中団から内を突いて抜け出そうとするも、この後ハセドンの最後方からの捲りに屈して2着。
3月5日の同条件の1勝クラスも2番手追走から4コーナーで先頭に出て押し切りを図るが、後方から捲ってきたノットゥルノにかわされて2着。
4月17日の中山ダート1800mの1勝クラスでは1番人気に支持され、内枠から5番手あたりの好位で進めたが、2番手先行から抜け出したペイシャエスに5馬身突き放されて2着。
以上3頭、順に次走OP勝ち、JDD馬、ユニコーンS勝ち・JDD2着馬である。何でこんな強いのとばかり当たるのか……という感じだが、それらと当たってきっちり2着につけているだけ彼女も強かった。
松田大作が騎乗した5月15日、中京ダート1800mの1勝クラスも先行策から直線で抜け出しこれは勝った!と思った瞬間、外からウィシンクアスクに差されて2着。
4戦連続2着という歯がゆいレースが続いたが、5戦目、6月25日の阪神ダート1800mの1勝クラスでは岩田望来が鞍上に戻ると初めて逃げを打ち、直線でも断然の上がり最速で後続を悠々と突き放して6馬身差の圧勝。ようやく1勝クラスを脱出する。
8月14日、小倉ダート1700mの2勝クラス・八女特別は福永祐一が騎乗。先頭集団を見ながら5番手で追走すると、最後方から捲ってきたプラチナドリームを直線で力強くかわして2馬身差の快勝。
3勝クラスでは10月9日、JRAでは年に数戦しかないダート3勝クラスの牝馬限定戦である、阪神ダート1800mのトルマリンステークスへ。岩田望来が鞍上に戻り、中団から直線で力強く抜け出して完勝。1勝クラスでの足踏みの鬱憤を晴らすように、3連勝であっという間にオープン入りを果たした。
続いて向かったのは、なんとダート牝馬最強決定戦である盛岡のJBCレディスクラシック(JpnⅠ)。かしわ記念勝ち馬ショウナンナデシコが圧倒的1番人気の中、3連勝の勢いを買われ、同じ3歳馬で重賞連勝のグランブリッジに次ぐ6.9倍の3番人気に支持される。
レースは8歳の古豪サルサディオーネがいつも通り逃げるが、いつもよりスローペースの展開。ヴァレーデラルナは大外8枠12番から積極的に前へ行き、2番手でサルサディオーネをマークする。テリオスベルが向こう正面で捲ってくる中、4コーナーでサルサディオーネを捕まえ、直線でテリオスベルを振り落として抜け出す。内を突いたショウナンナデシコは伸びを欠き、外から同じ3歳馬のグランブリッジが猛然と追い込んできたが、クビ差粘りきってゴール。重賞初挑戦で一気にダート女王へ駈け上がった。
3歳馬のJBCレディスクラシック制覇はホワイトフーガ(2015年)以来2頭目。岩田望来騎手は師匠の藤原師の管理馬で嬉しいGⅠ級初制覇。父岩田康誠はサンビスタで同じ盛岡のJBCレディスクラシック(2014年)を制しており、珍しい形での親子制覇となった。藤原厩舎は第1回・第2回を連覇したミラクルレジェンド以来2頭目・3回目の同レース制覇。ノーザンファーム生産馬の同レース制覇は意外にも?初である。
4歳
明けて4歳初戦は1月、大井開催ラストイヤーとなるTCK女王盃(JpnⅢ)。南関東勢が昨年暮れの東京シンデレラマイルから3月のエンプレス杯などを目指すローテを組んでいる事もあり、地方馬が2頭しか出てこず7頭立ての少頭数となる中、グランブリッジと人気を分け合い2.6倍の同オッズで1番人気タイとなった。
好スタートから先手を取ったヴァレーデラルナだが、テリオスベルが上がってきたため1コーナー前でハナを譲り2番手に構える。そのまま直線でテリオスベルを捕まえ先に抜け出したが、3番手で追ってきたグランブリッジに外から差し切られて2着。JBCの借りを返される形となった。
続いてもグランブリッジと一緒にエンプレス杯(JpnⅡ)へ。斤量で1kg差がついたこともあってか、1.6倍のグランブリッジに対して3.5倍の2番人気となった。
引退レースのサルサディオーネがいつも通り逃げ、テリオスベルがいつも通り捲ってくる流れの中、最内枠から5番手に構える。3コーナー前で上がって行き前の2頭を捕まえようとするが、4コーナーで外からグランブリッジに捕まりかわされ、直線で追いかけたものの、なんとかテリオスベルをクビ差かわすのが精一杯で2馬身半差の2着。
続いては果敢に牡馬相手のかしわ記念(JpnⅠ)へ。新馬戦以来のマイルで、ダートでは初となる。牡馬の有力どころはもちろん、前走フェブラリーステークスで健闘した地方女王スピーディキックともこれが初対決となった。鞍上は戸崎圭太に乗り替わりとなり、10.8倍の6番人気。
1枠1番という最内枠もあり、カジノフォンテンを制するようにハナを主張し、2頭で並んで逃げる体勢へ。そのままカジノフォンテンよりは粘ったものの、直線入口で捕まるとあとはついていけず8着。さすがに牡馬の壁は高く、昨年のショウナンナデシコのようにはいかなかった。
夏は休養に充て、秋は10月のレディスプレリュード(JpnⅡ)から始動。鞍上は横山武史に乗り換わり。GⅠ馬なのでトップハンデ57kgを背負うことになり、1.8倍のグランブリッジに対し7.2倍の3番人気。
レースは逃げるノーブルシルエットに対し大外枠から2番手につけ、例によってテリオスベルが捲ってくると3番手としてそれを追ったが、直線では上位勢の追い比べに置いて行かれて6着。横山武史は「斤量がきつかったです。馬は良くなっていました」とのコメント。砂を被って集中力も切れてしまっていたらしい。
そして連覇のかかる本番のJBCレディスクラシック(JpnⅠ)。昨年の制覇以来、GⅠ馬故の斤量不利に泣かされてきたこともあり、同斤量のここなら……とはいうものの、ここ2戦の凡走で評価を下げて14.3倍の6番人気。前走砂被りを嫌がったこともあってか、横山武史は積極的にハナを切って逃げたが……もう馬自身の気持ちも切れてしまっていたのか、アイコンテーラーとテリオスベルにかわされるとあとは力なくずるずると後退。地方の7歳馬サルサレイアからさらに9馬身も離されたブービー11着に撃沈。
引退後
まだ4歳なので普通はあと1年は走るところだが、陣営はもう立て直しは困難と見たか、2024年1月11日をもって登録抹消、現役引退。故郷のノーザンファームで繁殖入りすることになった。
ライバルのグランブリッジとは結局差を付けられて終わってしまったが、今後はその良血を活かして、母としての活躍を期待したい。
血統表
ドゥラメンテ 2012 鹿毛 |
キングカメハメハ 2001 鹿毛 |
Kingmambo | Mr. Prospector |
Miesque | |||
*マンファス | *ラストタイクーン | ||
Pilot Bird | |||
アドマイヤグルーヴ 2000 鹿毛 |
*サンデーサイレンス | Halo | |
Wishing Well | |||
エアグルーヴ | *トニービン | ||
ダイナカール | |||
*セレスタ 2012 鹿毛 FNo.3-o |
Jump Start 1999 黒鹿毛 |
A.P. Indy | Seattle Slew |
Weekend Surprise | |||
Steady Cat | Storm Cat | ||
Hopespringsforever | |||
Serata 2005 鹿毛 |
Carson City | Mr. Prospector | |
Blushing Promise | |||
Maliziosa | Dynaformer | ||
Kuda |
クロス:Mr. Prospector 4×5×4(15.63%)
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