少女は気まぐれ
その浮かない表情は
ぐずつく空のせいかい
道が混みあっているとか
それとも遠出が嫌いとかいや別に構わない
まっすぐに育とうなんて
考えなくていい
ストレイトガールとは、2009年生まれの日本の競走馬である。鹿毛の牝馬。
主な勝ち鞍
2014年:シルクロードステークス(GIII)
2015年:ヴィクトリアマイル(GI)、スプリンターズステークス(GI)
2016年:ヴィクトリアマイル(GI)
生まれ
父フジキセキ、母ネヴァーピリオド、母の父タイキシャトル、3代母はシャダイカグラの妹という血統。栗東トレーニングセンターの藤原英昭厩舎に入厩して、2011年8月に札幌競馬場でデビューする。近親に活躍馬がいないため、10番人気という低評価であり結果も11着と惨敗。しかし翌週も連闘で未勝利戦に出走し、勝利する。だが輸送が苦手なせいもありその後は鳴かず飛ばずで、翌年の6月にようやく500万条件を突破、1000万条件を3戦したところで長期休養に入る。
4~5歳 覚醒からのGI善戦ウーマンへ
3歳終了時点で11戦して2勝2着1回と、お世辞にも良くはない成績で終わったストレイトガール。しかし翌年の6月に函館開催で500万下に降級して復帰すると怒涛の進撃を見せることとなる。
初戦となる500万条件こそ2着に終わるも、連闘して突破。この年は札幌競馬場の改修工事のため夏の北海道開催がすべて函館で行われ、そこから中2週・連闘・中2週というハードスケジュールで1000万条件・1600万条件・OP特別と函館で4連勝と一気にオープン馬に駆け上がり、キーンランドカップで重賞初挑戦。函館4連勝の事もあり初重賞ながら1番人気に推されるも、稍重の馬場でフォーエバーマークの逃げ切りを許し2着。「輸送が苦手なら滞在させて使い続ければいいじゃない」といわんばかりのスケジュールで、2か月半の間に6戦して4勝2着2回と覚醒、スプリント戦線に名乗りを上げることとなる。
その後休養に入り年末の中京でのオープン特別で快勝すると、年明けて5歳初戦には京都でのシルクロードステークスを選択。1番人気こそ京都1200mで4連勝中だった1歳下のレディオブオペラに譲り2番人気であったが、レースでは直線で逃げるレディオブオペラを差し切り2馬身半差の快勝で春のスプリント王者決定戦高松宮記念に向かった。高松宮記念では復帰以降連を外さない安定感から1番人気に支持されたが、前を行くコパノリチャードを交わせず、さらに大外から突っ込んできたスノードラゴンに交わされ3着に終わった。
次走にはヴィクトリアマイルを選ぶ。初東京、実績のないマイル戦と不安要素があったものの、前年覇者で同世代のヴィルシーナ、前年牝馬二冠+エリザベス女王杯制覇したまだ強かったころのメイショウマンボに続く3着と善戦。続いて庭ともいえる函館での函館スプリントステークスに出走、単勝1.6倍の支持を受けるも4歳の復帰以降初めて掲示板を外す11着惨敗に終わる。
秋は新潟競馬場での開催となったスプリンターズステークスで始動。春の王者コパノリチャードが出遅れてチャンス到来と思いきや、ゴール前で春と同様スノードラゴンに差されて2着に。暮れには香港スプリントに出走、初の海外遠征ながら3着に食い込む善戦を見せる。
6~7歳 遅れてきた、シンデレラ
年明け6歳初戦はぶっつけで高松宮記念に出走し、GI3戦で2着1回3着3回の実績から1番人気に支持される。1~3番人気のオッズが5.1倍、5.1倍、5.2倍と人気が割れる大混戦だったが休み明けが応えたのか13着とGIで初となる惨敗を喫する。
そして昨年同様ヴィクトリアマイルに出走。シルクロードS以降主戦騎手となっていた岩田康誠が前年のオークス馬ヌーヴォレコルトに騎乗するため、鞍上は戸崎圭太に乗り替わった。
レースはシンガリ人気のミナレットがハイペースで飛ばして、2番手のケイアイエレガントと6~7馬身差をつけて逃げ、ストレイトガールは先頭から5、6番手で待機。4角の時点で先頭のミナレットとは10馬身以上の差がついていたが猛烈な末脚を見せミナレットを残り100m過ぎで差したケイアイエレガントをゴール手前でアタマ差で差し切りレースレコードタイで優勝、初GI制覇となった。「6歳(旧7歳)牝馬によるGI制覇」は、1989年のホーリックス(ジャパンカップ)以来2例目という快挙であった。ちなみにこのレースは逃げたミナレットも3着に残る前残りの競馬で、5番人気→12番人気→18番人気の決着となったことにより3連単が2070万5810円というGIどころか重賞史上最高額歴代でも現在3位となる払戻額となった。流石穴男エダテル
休養に入り秋初戦は本番につながらないステップレースセントウルステークス。ここは4着に敗れたが、本番となるスプリンターズステークスでは1番人気に支持される。集団の後方で4角を通過すると直線で差し切り優勝、GIタイトル2つ目を手にした。その後GIタイトルを引っ提げて昨年同様香港スプリントに出走するも、いいところなく9着に惨敗。この香港スプリントが引退レースの予定であったがオーナーの意向により現役続行となる。この年はヴィクトリアマイルとスプリンターズステークスの2つの短距離GIを制したが、最優秀4歳以上牝馬はジャパンカップを制したショウナンパンドラ、最優秀短距離馬は国内外でマイルGIを3勝し年度代表馬も受賞したモーリスに阻まれJRA賞の受賞はならなかった。
年明けて7歳となったストレイトガール、春の最大目標をヴィクトリアマイルに定めて、無理のないローテとして初戦は4月の阪神牝馬ステークスに出走する。しかし3番人気に推されるも、9着に敗れる。
そして本番のヴィクトリアマイル。前年牝馬二冠のミッキークイーン、前年ジャパンカップを制しJRA賞受賞を阻んだショウナンパンドラなどのメンバーが揃う中、ストレイトガールは「7番人気」と前年の勝ち馬かつ前年GI2勝馬としては低評価となった。
彼女の春は、少し遅れてやってきた。6歳を迎えた春、ヴィクトリアマイルでG1初制覇。
続く秋、電撃の短距離戦、スプリンターズステークスも快勝。
そして年が明け、まだ誰も見たことのない世界、7歳牝馬初のG1戴冠へ。
舞台は再びヴィクトリアマイル。
彼女のシンデレラストーリーは、クライマックスへと加速する。
しかし中段後方でレースを進めて直線に入ると持ったまま一気に馬群を抜け出し先頭へ躍り出て、ストレイトガールをマークする形でレースを進めたミッキークイーンを突き放し、外から追い込んでくるショウナンパンドラも追いつかせず2馬身半差で圧巻の連覇。JRAでは初となる「7歳牝馬によるGI制覇」となった。タイムは1.31.5で去年記録したレースレコードタイを一気に0.4秒更新、コースレコードにも0.2秒差というとんでもないタイムを残した。
ヴィクトリアマイルの勝利により秋も現役続行の方針であったがこの年の8月に引退、繁殖牝馬入りが発表された。初年度の交配相手には世界最強馬フランケルが選ばれた。
通算成績31戦(11-4-3-13)。この世代は古馬混合GI(JpnI)を連覇した馬がストレイトガールの他にジェンティルドンナ(ジャパンカップ)・ヴィルシーナ(ヴィクトリアマイル)・フェノーメノ(天皇賞・春)・ゴールドシップ(宝塚記念)、地方交流を含めるとホッコータルマエ(川崎記念3連覇・東京大賞典)など、近年でも多くの名馬が揃った世代であった。その中でも誰よりもその才能が発揮されるまでに時間がかかったのはストレイトガールであろう。多くの牝馬は6歳にもなれば衰えも激しくなり、引退して繁殖に回るのが多数の中まっすぐに走り続け、6歳以降で3つものGIタイトルという栄冠を手にした。ヒーロー列伝のキャッチコピー『遅れてきた、シンデレラストーリー』というのが彼女の紆余曲折あって花開いた競走馬生活を印象付けて歴史に刻まれることであろう。
それにしてもヴィクトリアマイルをヴィルシーナが連覇し、その後同世代のストレイトガールが連覇するような展開は芝GIレースでは滅多に見られないであろう。
引退後
引退後はリボーの生産牧場として知られるイギリスのナショナルスタッドに渡り繁殖生活を始めることとなる。初年度は世界最強マイラー・フランケルが種付けされ無事に誕生。しかし、その子アスクピーターパンは出走することなく種牡馬入りされたため再び交配。受胎中に故郷の日本へ帰り、日高の牧場で第二子を産むことになった。(このため、第一子と第二子は全兄弟ながら外国産馬と持込馬といった異なる扱いとなる。)第三子はロードカナロアと交配。近い将来、母のふるさとで子供たちが走ることを楽しみにしたい。
血統表
フジキセキ 1992 青鹿毛 |
*サンデーサイレンス 1986 青鹿毛 |
Halo | Hail to Reason |
Cosmah | |||
Wishing Well | Understanding | ||
Mountain Flower | |||
*ミルレーサー 1983 鹿毛 |
Le Fabuleux | Wild Risk | |
Anguar | |||
Marston's Mill | In Reality | ||
Millicent | |||
ネヴァーピリオド 2002 栗毛 FNo.16-a |
*タイキシャトル 1994 栗毛 |
Devil's Bag | Halo |
Ballade | |||
*ウェルシュマフィン | Caerleon | ||
Muffitys | |||
フューチャハッピー 1997 鹿毛 |
*デインヒル | Danzig | |
Razyana | |||
タイセイカグラ | *モーニングフローリック | ||
ミリーバード | |||
競走馬の4代血統表 |
祖母フューチャーハッピーの兄妹には神戸新聞杯等を制し皐月賞でテイエムオペラオーの2着に入ったオースミブライトや、関屋記念等重賞3勝のオースミコスモがいる。また曾祖母タイセイカグラの半姉は桜花賞馬シャダイカグラ。
関連動画
関連項目
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