「東方永夜抄 ~ Imperishable Night.」(とうほうえいやしょう いんぺりしゃぶる ないと)とは、同人サークル「上海アリス幻樂団」制作の弾幕STG「東方Project」の第8作目。
概要
平和な夜だった。
何事も起きていなかった。少なくとも人間にはそう見えていたのだ。
そんな人間のもとに妖怪が訪れる。
いつもなら妖怪退治は人間の役目だ。だがこんな『異変』が起きている
と言うのに、人間は一向に動こうとしないので痺れを切らした、と言う。
だが人間は、そのとき初めて『異変』に気が付いたのだ。
妖怪退治が役目の人間は、
『この異変』を、夜が明ける前に解決出来るだろうか、と言った。
だが妖怪は言う、
『こんな異変』は、夜を止めてでも今夜中に解決させる、と。
妖怪は、月の欠片を求めて夜の幻想郷を翔け出した。
後を追うように人間も飛び出す。
魔を感じ、幻を打ち破る人間。
魔を遣い、幻を無効化する妖怪。
―― 二人は、夜を止める
ゲームのスナップショットと切り抜き画像については、原作者の示した条件に基づき使用しています。
「Imperishable Night」とは直訳すれば「永久の夜」。
妹紅のスペカにもある「Imperishable」とはIm-perish-able、「非業の死・滅びて消え去る」と言った意味のperishに否定のimと可能性を表すableをつけたもの。すなわち「永遠に滅する事があり得ない」と言う状態を表す。
ゲーム内容は前作までと同様だが、当作では人間と妖怪がコンビを組み、ボタン操作により双方のキャラクターを上手く使い分けながら全6ステージをクリアしていく。
何度でもスペカを練習できる「スペルプラクティス」や、決死結界+ラストスペルと言った救済要素が充実しているのが特徴である。
しかし、個性化された自機性能、大きく異なる性能の人間と妖怪の使い分け、破壊に条件がある敵の使い魔など、システム面が複雑化しており、完全に初心者向け、とは言い難い面もある。
今作でWindows98やWindowsMEなどの9x系列では最後の作品となる。
対応OSはWindows98、WindowsMe、Windows2000、WindowsXP。
あらすじ
月がでっかくなっちゃった!
いつものような満月の夜、しかし月の様子が何かおかしい。
それらに敏感な妖怪達は人間を引き連れて独自で調査することにした。
紫と霊夢、アリスと魔理沙、幽々子と妖夢、レミリアと咲夜。
それぞれが各々の方法で時を止め、夜明けまでには解決しようと意気込む。
彼女たちは満月の異変を解決できるのか。
自機キャラクター
今作は、これ以降の作品を含めた他の作品と比べて、自機キャラクター選択に関する仕様が大幅に異なるのが特徴。
人間と妖怪の2人1組で1つの自機となっており、高速移動時は人間を、低速移動時は妖怪を操作する。
もちろんキャラクター自体が違うので、切り替えるとショットの性質も変わる。
その代わり武器タイプの選択がなくなっており、例えば霊夢は他作で言うホーミングアミュレット装備で固定。相方の八雲紫がパスウェイジョンニードルに良く似たショットを使う(そのため、今までは選択しなかったほうの武器は全く使えなかったが、今回は性質の異なる武器タイプを同時に使えるとも言える)。
さらに、ある条件を満たすと各チームのキャラクターを単独で使う事が出来るようになり、合計で12タイプもの自機が選択出来ることになる。
単独使用時は当然移動速度を切り替えてもキャラは変わらないため、ショットや敵の使い魔に干渉されるかどうか等の性質が切り替えられなくなり、基本的に融通が利かなくなる(「高速移動の妖怪」「低速移動の人間」を実現する事で新たなメリットが生まれるキャラもいるため一概には言えないが)。
単独使用時のストーリーはチームで進めている時と全く同じであるが、クリアフラグなどにおいてはまったく別のキャラクターとして扱われるため、例えば霊夢・紫チームでExtraステージを出現させていても、それだけでは霊夢単体・紫単体でExtraステージを開始する事は出来ない。
キャラクター (人間、妖怪) |
特技・特殊能力 | 特徴 | |
幻 想 の 結 界 組 |
博麗霊夢、 八雲紫 |
敵使い魔との接触判定を持たない。(霊夢) 当たり判定が小さい、決死結界の展開時間が長い。 |
霊夢がホーミング、紫がサーチ型のショットを持つ初心者向けチーム。 霊夢のボムが前作までと比較すると威力が高くなっているため、万能に立ち回れる。 紫のボム「四重結界」は、遠距離にも至近距離にも攻撃力が無いという扱いづらいボムだが、特定の射程距離にある結界の隙間に相手を落とし込むと威力が格段に上がるというテクニックがある。 |
禁 呪 の 詠 唱 組 |
霧雨魔理沙、 アリス・マーガトロイド |
常時アイテム上部回収が可能。(魔理沙) アイテムに対する当たり判定、アイテム回収範囲が広い。 |
アイテム回収が楽でマスタースパークは相変わらずの威力。 魔理沙とアリスを切り替えながらショットを撃つと、両者のショットが組み合わさって威力が上がる「マリス砲」と言うテクニックで、ショット火力もさらに増大した火力重視のチーム。ただし精密動作がしづらく、マリス砲がそれに拍車をかけている。 アリスのボム性能が通常スペル、ラストスペル共にイマイチなのが欠点。逆に魔理沙のファイナルスパークは威力が高すぎてオーバーキルを頻発するので、基本的にボムは全てマスパに注ぎ込む形になる。 |
夢 幻 の 紅 魔 組 |
十六夜咲夜、 レミリア・スカーレット |
アイテムの落下速度が遅い。(咲夜) ボムの「抱え落ち」をするとボムアイテムが1個出る。 |
咲夜のショットは火力が低く、レミリアはボムが使い難いというお互いが欠点を抱えたチーム。 本作のボムは、敵のスペルカード中に放つと威力が約3倍になる共通システムがあるのだが、レミリアのみそれが無いという重大な欠点がある。 それに加えて咲夜のボムはサーチ型で、敵の使い魔に釣られて一部が変な方向に飛んで行ってしまうことがある。(ボス戦では殆ど無いが)局面によって人間と妖怪の使い分けが大事。 |
幽 冥 の 住 人 組 |
魂魄妖夢、 西行寺幽々子 |
人間ゲージが50%しかない。(妖夢) ステージクリア時にボムが2個以下だと、1個補充される。 |
扱いづらいが強力なショットとボムを備えた妖夢、使い易いが威力が出ない幽々子。他の3組は人間側(=高速移動担当)が広範囲ショットで妖怪側(=低速移動担当)が一点集中ショットになっているが、冥界組だけはショットの担当が逆というのも特徴。 ボム補充の特殊能力も強力で、ボムの管理がきちんとできるならかなりの数のボムを撃つ事ができるため、独特な操作のコツを掴めばクリアラーにも向く。 ただし、その性質上Exでは全く意味の無い特殊能力になっているのが難点。 基本は妖夢でばっさばっさと敵を切り捨てながら、手の届かないところは幽々子でフォローしていくことになる。幽々子のラストスペルが本作屈指の威力なのもポイント。 |
※自機ペアの名称「◯◯の◯◯組」は通称で正式名は「◯◯の◯◯チーム」。
本作で導入されたシステム
ラストスペル(自機)、決死結界
以前から存在していた「食らいボム」の発展系として導入されたシステム。被弾すると「決死結界」と言うものが展開され、一瞬だけ時間が停止する。時間停止中にボムボタンを押すと、2ボム消費して専用の強力スペルカードを発動させる事が出来る。決死結界の持続時間は状況によって長くなったり短くなったりし、条件次第では2秒近く続くという食らいボムにあるまじき長さを誇る。
これらのラストスペルは通常のスペルカードの強化版という位置づけで、大抵は威力が高くなっているが、基本的には1回のラストスペルより2回ボムったほうが良い為、狙って撃つのは推奨されない。あくまでミス救済要素のひとつと言える。
単独操作の場合は自分が持っているラストスペルを発動するが、人妖タッグの場合はパートナーが助けに入るという位置づけなので、操作していない相方のラストスペルが発動する(霊夢、紫タッグで霊夢操作時にラストスペルを撃った場合、紫の「境界「永夜四重結界」」が発動)。
なお、ラストスペルでない従来どおりの食らいボムも存在する。受付時間が決死結界が出る前のほんの数フレームとても短いので、狙って出せるような代物ではないが…。
なお、ボムストックが1個しかない場合は、1個消費で使用でき、コストパフォーマンスが上がる。さらに、咲夜+レミリア組は「ボムをストックしたままミスした場合、ボムアイテムを放出する」と言う特性があるため、圧倒的にこの1ボムラストスペルを狙いやすい。……まぁそれでも、普通にボムった方が安定するけど。
ラストスペル(敵)
一定の条件を満たす事で、そのステージのボスが最後の手段として使用してくる。敵のラストスペル中はボム使用不能状態になり、ミスをしても、自動で「ディゾルブスペル」が発動し引き分けに終わり、デメリットは無い。また、ラストスペルを撃破してもボスがパワーアップアイテム、点アイテム等を落とす事もない為、完全にやりこみ要素の一つ。
条件は、5面までのボスは「ノーマル以上の難易度である事」「そのボスの最後のスペカ撃破の時点までに、そのステージの刻符のノルマを達成している事」の2つ。6A面ボス・八意永琳は撃破すると自動的に使ってくる。6B面ボス・蓬莱山輝夜は、撃破すると永夜返しという5つのラストスペルを使ってくる。ただしこれは被弾するたび、残り時間が半分以上なら1時間、半分以下なら30分時が進み、タイムリミットの5時になってしまうとその時点で残りのラストスペルは使わずに終了する(時の経過については後述)。
フルパワー未満の状態での画面上部でのアイテムの自動回収
永夜抄ではフルパワー未満の状態での画面上部でのアイテムの自動回収は詠唱組だけの特権だと思われがちだが、他の自機でも画面上部で低速に切り替えることによってアイテムの自動回収が可能。フルパワー未満での画面上部でのアイテムの自動回収は永夜抄以降の東方にも導入されることになる。
スペルカードプラクティス
本編ストーリーモードで登場した敵スペルカードを、個別に練習出来るモード。敵ラストスペルと同じ状態になり、ボム使用不能状態で純粋に避け方を練習する事が出来る。また、条件を満たす事で、本編とは比べ物にならない高難易度スペルカード「ラストワード」が登場していく(BGM:東方妖怪小町)。
妖率と逢魔が時
人間を操作する人間操術(高速モード)で動かしているとマイナスに、妖怪を操作する妖怪操術(低速モード)で動かしているとプラスに傾いていくゲージ。±100%まで存在し、±80%を突破すると「逢魔が時」と言う特殊状態になる。ショットを撃っていると徐々に操作しているキャラの側に傾いて行き、敵を撃破したり刻符を取得するとその分さらにゲージが移動する。敵の使い魔を破壊すると一定量ゲージが逆に0に近づく。スペルカードを使うと強制的に発動した側の100%になる。
-80%以上(人間側の逢魔が時)では「敵にショットを当てるたびに追加の刻符が発生する」と言う特典が得られる。80%以上(妖怪側逢魔が時)だと「ボス戦時のみ、敵弾にかすると刻符が発生する」「ショットの攻撃力が上がる」と言う特典が得られる。
基本的に-100%~100%まで存在するが、冥界組のみ人間側が-50%しかなく、-30%で逢魔が時になる(冥界組人間担当の妖夢が「半人間」扱いのため)。単独操作の場合は、人間キャラだと-100%~20%、妖怪キャラだと-20%~100%となり、反対側の逢魔が時にはなれなくなる。しかしここでもやはり妖夢だけは「半人間」であるため-50%~50%となっており、両方の逢魔が時になる事が出来る。
基本的には稼ぎ向けのシステムで、前作妖々夢の桜点+や森羅結界等と比べると、クリアラーはあまり気にする必要は無いが、ショットの威力が上がる妖怪逢魔が時を使うと有利に展開できる場面もあり、あまり刻符が少なすぎると一部クリアに支障が出る場合がある(次項参照)ので、出来れば頭に入れておきたい。
刻符と時間の経過とコンティニュー回数
本作では「夜を止めている間に」解決を目指すという性質上タイムリミットが存在する。と言ってもステージは全て強制スクロールなので、もたついているとゲームオーバーになったりするわけではなく、「ノルマ」が達成出来るか否かで時間の進み具合が変わるようになっている。
ゲームは夜11時からスタートし、明け方の5時がタイムリミット。5時の時点で6面にたどり着けていないとその時点でゲームオーバーになる。時間は30分単位でカウントされ、基本的に1ステージあたり1時間かかるが、様々なところから取得出来る「刻符」と言うアイテムをステージごとに定められたノルマの数以上取得する事が出来れば、この時間経過が30分に短縮される。
この刻符ノルマは先述のラストスペル出現条件に関係しているだけでなく、コンティニューの回数にも影響する。本作では今までと違ってコンティニュー回数が2回までと固定されておらず、この時間経過システムに関連させた変動式になっている。
コンティニュー回数それ自体は決められておらず何回でもコンティニューが出来るが、1回コンティニューするたびに時間が30分経過するため、やりすぎると明け方5時に間に合わなくなるという仕組み。コンティニューをしすぎて明け方5時にどうやっても間に合わなくなるとそこでゲームオーバーになる。
例:ステージ1を5回コンティニューした上でノルマ非達成クリアすると、30分×5+1時間で3時間半進み2時半になる。残りは2時間半なので、ステージ5までの残り4面のうち4つ以上ノルマ達成クリア必須となる。逆に、ステージ5到達時点でAM1時(ALLノルマ達成+ノーコンティニュー)だった場合、クリアに1時間使うとしても3時間余裕があるため6回コンティニューの余裕が残っている事になる。
ステージ概略、登場敵キャラクター
※主人公チームによってルートが分岐。
詠唱組(魔理沙・アリス)&紅魔組(咲夜・レミリア) → 4A(霊夢)
結界組(霊夢・紫)&冥界組(妖夢・幽々子) → 4B(魔理沙)
Stage 5
穢き世の美しき檻
「穢き所に、いかでか久しくおはせん。」
そういうと閉ざされた扉は一枚残らず開き――――
中ボス:地上の兎 因幡てゐ
ボス:狂気の月の兎 鈴仙・優曇華院・イナバ
テーマ曲:狂気の瞳 ~ Invisible Full Moon
Final stage A
道中曲:ヴォヤージュ1969
永い永い廊下。
この廊下は何者かが見せる狂像か。
近すぎる月の記憶は、妖怪には懐かしく薄い物だった。
ボス:月の頭脳 八意永琳
テーマ曲:千年幻想郷 ~ History of the Moon
ファイナルスペルのテーマ曲:ヴォヤージュ1970
Extra stage
満月の下の、草木も眠る丑三つ時。人間と妖怪の肝試しは、いったい何を恐れる?
最大の大罪の犠牲者は、いったいどこに居る?
中ボス:上白沢慧音(満月で白沢に変身)
ボス:蓬莱の人の形 藤原妹紅
テーマ曲:月まで届け、不死の煙
※Extraステージは前作・東方妖々夢と同じくいずれかの難易度(Easy可)でFinal Bをクリアする事。条件を達成したキャラでないとチャレンジ出来ないのも一緒。
東方求聞史紀での記述
この話は人間である稗田阿求が書いた幻想郷縁起に永夜異変として記述がある。
しかし名称からも分かる通り、当事者でない(人間の)者達には「月がおかしかった」ではなく「夜が明けなかった」という異変として認識されている。
少なくとも人間達にとって月がおかしかったことは、よほど注意深い者でない限り気づかない程度のものであり、さしたる実害は無かった。一方で夜が明けなかったことは誰でもすぐに気づき実害もそれなりにある異変であったためである。
この永夜異変の原因と犯人については不明のまま、謎が多く記録に残せない異変として記されている(紅霧異変と春雪異変に関しては詳細はともかく原因と犯人についての説明は記されている)。
「永夜異変を解決したと言われる博麗霊夢」にインタビューはしているようだが、霊夢はこの話になると曖昧な返答しかしないらしく、結局詳細は不明のままということで記述は結んでいる。
(東方求聞史紀 ~ Perfect Memento in Strict Sense.より)
東方文花帖での記述
妖怪である射命丸文の視点から書かれた文々。新聞とその取材では、永夜異変の扱いが幻想郷縁起とは異なる。
文は永夜異変を「近年稀に見る大異変」と称している。
これはかなり長い間夜が明けず、しかも満月の状態のまま月の進行が止まったため、満月の影響を受けない妖怪の方が少ない幻想郷において一時期は幻想郷中が狂ってしまうとさえ思われたと記している。
このため巫女が解決に向けて行動を開始するのを待たず、文が自ら動くことすら考える程に幻想郷が緊張状態にあったとしている。
この状態がどれくらいの期間続いたのかは不明ではあるが、暫く満月が停止した後に突然恐ろしいほどの速さで月が沈み、無事に日の出を迎えたためこの異変は解決となった。
文は取材の過程で「進行が止まっていたときの月」と「夜が明けた後の月」は別物であるとの噂にまでは辿り着いているが、結局のところ月自体が起こした自然現象と結論付けている。何故なら、月の影響を受けやすい妖怪が月を止めるとは思えず、そのために「月の影響を受けにくい者の仕業」か「月自体の仕業(自然現象)」と考えたためである。しかしながら、月が停止する前に巫女が暴れ回っていたとの噂も掴んでおり、このことから原因について結論付けるのは早計と慎重な姿勢も崩しておらず、このような大きな異変を簡単に起こせる者がいたとしたら大変危険であるとして引き続き原因究明を急ぐ必要があると結んでいる。
つまるところ、文も阿求と同じく永夜異変の真相には辿り着いていないのである。
永夜異変の真相
以下ネタバレ(反転注意)
そもそもの原因は月から戦線復帰の招集要請を受けた鈴仙・優曇華院・イナバ(しかも「満月の夜に迎えに行く。抵抗しても無駄だ」というものであった)と鈴仙を匿っている蓬莱山輝夜を月の使者から隠すため、八意永琳が本物の満月と僅かに欠けた偽の満月(これは太古の月であり、その魔力は現在の月と比べて非常に強力なものであった)とすり替えたことにある。これにより満月を用いる月の都と幻想郷の往来を遮断し、幻想郷そのものを巨大な密室としたのである。
(なお、竹取物語と同様に輝夜の罪に対する罰は既に終えており、自らの意志で月の使者から逃れて地上に残っているのだが、永琳は輝夜の事件の際は無罪であったものの後に東方儚月抄で明らかとなるが、輝夜を迎えに行った月の使者皆殺しと輝夜隠匿等の理由で半永久罪人という立場である。)
永琳のこの行為によって偽物とはいえ満月の夜が続くことになり、月の影響を大きく受ける妖怪は非常に困り果てることになった(この状態が続く限り満月の魔力を浴び続けることになるため)。
妖怪によって知らされたこの異変と言える異常事態の原因究明と解決を図るべく、人間である霊夢達は妖怪と共に術により「夜を止めて」首謀者を探しに行くことになる。
作中でも輝夜が語っているように夜を止めたのは輝夜でも永琳でもない。前述の通り、霊夢達が夜を止めていたのである。
即ち、永夜異変とは原因こそ永琳にあるが、それを「夜が明けない」という異変にまでしたのは霊夢達であり、そしてその術を輝夜が自らの能力による「永夜返し」で打ち破ったことで解決したということになる。これによって、もう少しで狂ってしまうところであった幻想郷と幻想郷の妖怪達は事なきを得たのである。
実のところ、永琳が策を巡らすまでもなく、博麗大結界に閉ざされた幻想郷に月からの使者が訪れることは不可能であったのである(という設定だったのだが、後の東方儚月抄では普通に月の都と幻想郷を往来しているわけだが…)。
事件の真相を知らない部外者は、この異変を「本物の満月が無くなった」異変ではなく、単に「夜が明けなくなった」異変だと思っている。実際、4面でボスとして現れる霊夢or魔理沙は月の異常ではなく、夜を止めた異変を解決するためにプレイヤーキャラのチームを退治しにくる他、阿求の幻想郷縁起にも「永夜異変」と言う名前で記されているのはこのためである。
まとめると
① 永琳達が原因を作る。
② 霊夢達がそれを事件(異変)にしてしまう。
③ ラスボスである筈の輝夜が事件(異変)を解決する。
以上が東方永夜抄(永夜異変)の大まかなストーリーの流れである。
音楽
各道中曲とテーマ曲については「ステージ概略、登場敵キャラクター」の項目も参考。
- タイトル曲(タイトル画面のテーマ曲):永夜抄 ~ Eastern Night.
- 幻視の夜 ~ Ghostly Eyes
- 蠢々秋月 ~ Mooned Insect
- 夜雀の歌声 ~ Night Bird
- もう歌しか聞こえない
- 懐かしき東方の血 ~ Old World
- プレインエイジア
- 永夜の報い ~ Imperishable Night.
- 少女綺想曲 ~ Dream Battle
- 恋色マスタースパーク
- シンデレラケージ ~ Kagome-Kagome
- 狂気の瞳 ~ Invisible Full Moon
- ヴォヤージュ1969
- 千年幻想郷 ~ History of the Moon
- 竹取飛翔 ~ Lunatic Princess
- ヴォヤージュ1970
- エクステンドアッシュ ~ 蓬莱人
- 月まで届け、不死の煙
- エンディング曲:月見草
- スタッフロール曲:Eternal Dream ~ 幽玄の槭樹
- ラストワードのテーマ曲:東方妖怪小町
本作の東方永夜抄とは別に以下の作品に関連する楽曲がある。
- 漫画「東方三月精 ~ Strange and Bright Nature Deity.」第1巻付録CD
- 音楽CD作品「ZUN's Music Collection Vol.2 蓮台野夜行」
- 音楽CD作品「ZUN's Music Collection Vol.3 夢違科学世紀 ~ Changeability of Strange Dream」
- 音楽CD作品「ZUN's Music Collection Vol.4 卯酉東海道 ~ Retrospective 53 minutes」
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関連静画
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関連項目
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