神獄塔メアリスケルターとは、2016年10月13日に発売されたPSPvita専用ソフトである。発売元はコンパイルハート、開発はゼロディブが担当した。神獄は「かんごく」と読む。
あらすじ
宇宙から、悪夢の種が降ってきた。それは東京の一角に落着すると、急速に根を伸ばした。同時に大地を腐らせ、街一つを地下600m以上の底に落とした。そこに住む人々と一緒に。穿たれた巨大な穴には膜が張られ、外界と隔絶。底に太陽の光は届かない。また街最大の高層ビルは250m程度で、脱出は困難だった。街を地獄の底に落とした植物の事を、いつしか人々は「生きる監獄ジェイル」と呼んだ。
巻き込まれた人々の受難は、これで終わらなかった。ジェイルにはメルヒェンと呼ばれる異形の怪物が跋扈し、人をさらっては独房に収監。不条理な拷問に付した。抵抗する者は片端から殺害され、逃げ延びた人間もメルヒェンに怯えながら日々を過ごしていた。そんな監獄から「脱獄」しようと、日夜研究と抵抗を続ける者たちがいた。それが黎明(れいめい)と言う人類の抵抗組織であった。街が監獄に収容されてから20年が経過した頃、物語が動き出そうとしていた。
概要
コンパイルハートとゼロディブが贈る、ダンジョン探索RPG第4弾。完全新規タイトルだが、システムは前作「メイQノ地下ニ死ス」から流用している。Wizライクで、一人称視点で3Dと化したダンジョンを攻略する。ジャンルはRPG(公式では「謎解き×パニック×アクティブ3DダンジョンRPG」としている)。電撃プレイステーション&電撃文庫協賛タイトルで、電撃プレイステーション誌で何度も特集を組んだりするなど宣伝にも注力。発売日と同時に外伝小説を発売し、公式ページでは本編の前日譚にあたる小説が無料で読めるなど世界観の演出にも力を入れている。
キャラクターデザインはナナメダケイ氏、コンセプトアートはよー清水氏が担当。OP主題歌は「予め失われた僕らのバラッド」、ED主題歌は「ヨロコビノウタ」で、親指姫、眠り姫、白雪姫の声優で結成されたユニット「イヤホンズ」が歌唱する。
監獄エリアの最奥にある核(コア)を破壊する事で監獄塔の成長を促し、666mの上方にある地上へ「脱獄」するのが物語の最終目標である。そのためには7つの独房エリアを攻略する必要がある。しかしそれぞれの独房エリアには不死身の看守ナイトメアが闊歩し、一筋縄ではいかない。ジェイルの手先である異形のモンスターメルヒェンも脱獄を阻む敵として立ちふさがる。世界観は一貫してダークなもの。理不尽な拷問や虫けらのように殺される人々等、えぐい描写が多い。「血」と「狂気」を題材にしており、至るところで血液が関わってくる(とはいえ人間の血が出る事は少なく、メルヒェンのピンク色の血が殆ど。多少のCERO対策はね?)
Wizardry同様、1マスずつ歩いてマッピングを行う。ランダムエンカウント制だが、お邪魔要素としてシンボルエンカウントも採用されている。Lボタンで左横歩き、Rボタンで右横歩きが出来、一度マッピングしたところはオート操作で移動する事が出来る。したがって目的地を指定すれば自動で移動してくれるので、負担の軽減に一役買っている(ただし罠に当たったり、雑魚敵とエンカウントすると停止する)。独房エリア内には数々の罠が仕掛けられているが、仲間の血式少女(後述)の能力で無効化に出来る事もある。
発売当初は不具合やバグが多く、まともにプレイする事が出来なかったが、計5回に渡る大型アップデートによって改善。現在では快適にプレイする事が出来る。故にアップデート無しでのプレイは推奨されない。
のちに正統続編である「神獄塔メアリスケルター2」が発売された。新キャラとして「つう」と「人魚姫」を主役に据え、1とは違う物語がジェイルの中で繰り広げられる。しかしハードがPSVからPS4に変わった事で、前作ファンの不評を買っている。2018年6月28日に発売予定だったが、7月12日に延期された。前作で槍玉に挙げられたマップの広さやバグの多さを是正するため、コンパイルハートは「開発期間とデバッグを倍にした」「マップを縮小」と発表。しかしフタを開けてみるとバグや不具合のオンパレードであり、キャラ消失による進行不能バグなど危険なものまで含んでいた。一応迅速なパッチによって不具合は改善されたが、同時にプレイヤーに有利な不具合も(優先的に)潰され、元々の難易度も手伝って1より遥かに難易度が上がってしまっている。公式いわく2→1でプレイして欲しいとの事。これもうわかんねぇな。
そして2020年11月5日、PS4/Switchで三作品目「神獄塔メアリスケルターFinale」が発売。1の後日譚であり、脱獄した後の世界が描かれる。他のWizライクゲームと違って三作品目まで出た事、LINEスタンプが発売された事(何気にコンパ作品初)などからコンパイルハートから愛されていた作品と言えるだろう。コンパ作品のキャラクターを集めたスマホゲーム「メガミラクルフォース」では、メアリスケルターから赤ずきんが参戦した。
血式少女
メアリスケルターを代表する登場人物たちであり、戦うヒロイン。絶望的な世界において彼女らとの触れ合いは一種の清涼剤と言える。血式少女は全員童話の女性人物をモチーフにしており、原作を髣髴させる要素が散りばめられている。お色気要素や恋愛要素もあり、男性向けの内容に仕上がっている。
異形の怪物メルヒェンに対抗できる唯一の存在である事から、率先して独房エリア探索を行う。彼女らには血式能力が備わっており、独房エリアの攻略には血式能力が必要不可欠。脱獄を目指す人類にとっての希望であり、唯一無二の戦力と言える。
血式少女には、ジェノサイド化とブラッドスケルター化の二種類の形態がある。メルヒェンの返り血を浴びる事でヒロインがこれらの強化形態になるのだが、前者が制御できるのに対し、後者は暴走状態に相当。味方をも血祭りにしてしまう厄介な状態である。ブラッドスケルター化を防ぐには、別の血式少女に返り血を舐めさせる必要がある(返り血を舐めさせると、舐めた側に一定の強化が施される)。それでもブラッドスケルター化してしまった場合、ジャックのメアリガンを浴びせるか、戦闘不能になるか、戦闘を終わらせる対応を迫られる。この形態はどんなに弱い相手でも起こりうるため、一定の緊張感が保たれている。全滅すればコンティニュー無しでタイトル画面に戻される点も緊張感の維持に一役買っている。ちなみにブラッドスケルター化すると、ヒロインがほぼ全裸に近い格好になる(上記画像参照)。CERO:Dなのも頷ける。
用語
- 血式少女(けっしきしょうじょ)
メルヒェンを素手で殺害できる能力を持った少女の事。黎明の切り札であり、人類の希望である。パーティーに組み込める少女は皆、血式少女。基本的に女性のみだが、唯一の例外として主人公のジャックが血式少年となっている。血式少女の特徴として出生及び両親不明、全員童話の登場人物の名(赤ずきん、かぐや姫等)を冠している点がある。幼少期に自らそう名乗ったらしいが当の本人たちは覚えていない。また童話の人物にちなんだ衝動やこだわりがある。メルヒェンに対抗するため、進化した人類の姿と推測されている。 - ブラッドスケルター化
血式少女が抱える弱点。メルヒェンの血液を浴びた状態で精神が不安定になると、破壊衝動に支配されて正気を失う。そして敵味方関係なく手当たり次第に死を振りまく暴走状態と化す。本編以前はブラッドスケルター化を防いだり、治療する術が無く、慎重な行動を常に要求されていた。しかし血式少年ジャックの血液をかければ予防や正気に戻す事が可能だと判明し、脅威度は下がった。それでも厄介な状態である事に変わりは無く、下手すればパーティーの全滅を招く。ちなみにブラッドスケルター化すると、ほぼ全裸になる。そういう意味でもまずい。 - 解放地区
人間が人間らしく生きられる生存圏で、黎明解放戦線の本拠地。いわゆる安全地帯の街である。ダンジョンの外郭部に位置し、電気や水道も通っているなど監獄の中では文明的。血式少女たちはここで暮らしており、独房から救い出した生存者もここに収容される。 - ジェイル
全ての元凶で物語の舞台。宇宙から飛来した種から発芽し、東京の一角を監獄に収容した。有機物・無機物問わず寄生する能力を持ち、建物であれば醜く歪ませ、人間や動物であればメルヒェンへと変貌させる。植物でありながら睡眠欲・食欲・性欲が存在する。また時折耳障りな咆哮をする。プレイヤーが欲求を満たしてあげると、恩恵を与えてくれるお茶目な一面もある。 - ダンジョン
ジェイルが取り込んだ街は、メルヒェンが跋扈するダンジョンと化している。7つのエリアに区分けされており、その中心に元高層ビルの監獄塔がそびえ立つ。監獄塔は少しずつ成長しており、この監獄塔を育てる事で地上への脱出を目指している。一般人がダンジョンに立ち入る事は自殺行為とされ、人類の生存圏は街の外郭部に限られている。元々が大きな街だったため、町内はかなりの広さを誇る。独房エリアとも呼称される。 - メルヒェン
異形の怪物。元々は人間や動物であったがジェイルに寄生された事で変貌し、ジェイルのために働く存在と化す。人をさらっては拷問に付しているが、これはジェイルの欲求を満たして成長させるために行っている。強大な存在で人々を恐怖に陥れてるが、大人数人がかりで挑めば1体くらいなら倒せる。しかし集団相手では為す術が無く、集落ごと蹂躙されてしまう。一応、機関銃といった現代兵器を使えば十分討伐可能だが外界と隔絶されているため、おいそれと使う事が出来ない。そんなメルヒェンを雑魚敵にしてしまう血式少女はもっとやべーやつである。 - ナイトメア
通称、監獄の看守。メルヒェンと同じく異形の怪物だが、その脅威度は比べ物にならない。ダンジョンを一定時間探索していると、咆哮とともにダンジョンのどこかに配置される。そこからランダムで動き、うっかり遭遇してしまうと「虐殺鬼ごっこ」と呼ばれるモードに移行。ナイトメアから追われる恐怖の鬼ごっこが始まる。ナイトメアは無敵の存在で、条件を満たさない限り絶対に倒せない(気絶させる事は可能)。このため振り切るしかない。無事に振り切るとご褒美としてアイテムが貰える。戦って気絶させた上で逃げ切った場合はアイテムの質が上がるので、完全なお邪魔要素ではない。逃げ切ったとしても、ダンジョンのどこかに再配置される。また時々ワープするようで、突然目の前に現れる事も。ちなみにしっかりレベルを上げていればナイトメアをカモにする事が可能で、(ナイトメアが)虐殺鬼ごっこという逆転現象が起こる。かわいそう。徘徊するエリアのボス敵でもあり、一度倒すと復活しない。
関連動画
関連静画
関連項目
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