RX-121 ガンダムTR-1[ヘイズル]とは、機動戦士Zガンダムの公式外伝『ADVANCE OF Ζ』に登場するモビルスーツ。『機動戦士ΖガンダムⅢ A New Translation 星の鼓動は愛』にもカメオ出演している。
名称はイギリスの児童文学『ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち』の主人公の兎「ヘイズル」に由来する。その語源は植物の「ハシバミ」の英語名である。
バリエーション機の個別記事
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ガンダムTR-1[ヘイズル]
GUNDAM TR-1[HAZEL] | |
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型番 | RX-121 |
頭頂高 | 18.1m |
重量 | 42.1t(本体) / 65.4t(全備) |
出力 | 1,420kw |
推力 | (約10%増の改は114,480kg) |
装甲 | チタン合金セラミック複合材 ルナ・チタニウム合金 |
兵装 | ビーム・サーベル |
XBR-M84a 「ビーム・ライフル」 |
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多目的ランチャー | |
シールド・ブースター |
ティターンズによる次期主力機と決戦兵器の開発計画「TR計画」の1号機であるガンダムタイプMS。
戦略兵器:ガンダムインレのコアとなるMSのコンセプト「オプションパーツの換装による多様な作戦への対応」を探るために開発された。テストチーム「T3部隊」への配備後、主に新兵装のテストを行った。
ティターンズ技術局本部は大型かつ複雑極まりない機構のガンダムインレをいきなり作るのは困難と判断し、まず5機の試作機でインレの機能をテストする方針を固めた。これが後にTRシリーズと呼ばれる試作機である。
TRシリーズの1号機はRGM-79Q「アーリー・ヘイズル」をベースに、ガンダムインレの中核となる“オプション換装を軸とした機体のテストベッド”として開発された。度重なるバージョンアップとオプションパーツの開発、オプションラッチの増設によって、最終的に「素体」としての役割に比重を置く機体に発展した。
ヘイズルでは後のガンダムTR-S[ヘイズル・フレア]用の新オプションの実験と同時に「ガンダムがジオン残党兵に与える心理的影響の調査」も行われていた(後述)。
ジオン兵との実戦運用にてデータ収集を行う事を予定されたヘイズルは実戦用により強化されたセンサーを頭頂部に張り巡らせている。脚部は熱核ロケットエンジンとプロペラント搭載型のパーツに換装され、バックパックはTRシリーズ共通の新型ジェネレーターを搭載した強化型に変更。胸部は補助アクチュエーターユニットに換装され、肩関節を補助すると同時に内側の多目的スペースに色々盛り込める。
さらにEパック式のXBR-M84a試作ビームライフル、可動式ブースター・ポッド等の試験運用を兼ねた兵装も装備し、外装の重量に対応するためにアクチュエーター類が強化された。
実験の終了後、強化型「ヘイズル・アウスラ」とその改設計機「ガンダムTR-S」の簡易型「バーザム」が量産されている。これは機種統合計画を反映した主力量産機「ガンダムTR-6」への刷新に伴い、計画進行に遅延が生じた事での暫定的措置(穴埋め)であった。
- XBR-M84a 試作ビーム・ライフル
ブラッシュ社が開発したEパック式試作ビームライフル。Eパックを連結させた状態で運用した。 - ブースター・ポッド
バックパックに接続された可動式スラスター。縦方向に可動する。試作核融合熱核ロケット/ジェットエンジンを搭載。ガンダムTR-6のブースターポッドに発展にした。 - シールド・ブースター
シールドとスラスターの複合装備。プロペラントタンク(推進材貯蔵タンク)を内蔵しており、MSの推進材を消費することなく動ける。なるべく廃棄せずに利用したいという発想から生まれた。被弾時に懸念される誘爆については、低燃性の推進材を使い危険性を低下させている。
本装備はギャプランのアイデアソースとなった他、ガンダムTR-6の複合兵装「コンポジット・シールド・ブースター」に発展した。
ヘイズルはガンダムなのか
ヘイズルはその在り方から「ガンダムの定義」を投げかける存在と表現されている。
最初期のヘイズルはジム・クゥエルの範疇から脱しきれてないためか、『A.O,Z Reboot』では名実ともにガンダムになったのはヘイズル改とも記載されていた。
しかし単行本ではガンダムとして登録され、その名にふさわしい性能を持つと記載があり、正式な「ガンダムタイプ」として扱われている(『初代AOZ』作中でも似た様な台詞がある)。
実のところ、AOZでヘイズルをジムタイプと断言した資料はない。一方でAOZ以外の資料(マスターアーカイブ ジムvol.2等)では“便宜上”ジムファミリーと共に掲載されることもある。
この機体を語る上で、一年戦争時の連邦軍のエースMS「RX-78-2 ガンダム」は外せない。
「ガンダム」は、劣勢にあった連邦軍にとって希望の象徴、ジオン軍にとっては「悪魔」とも呼べる恐怖と絶望の象徴となっていた。そのガンダムが与える心理的影響を検証しよう、というのがヘイズルに課せられた役割であった。
実験はジオン軍残党との戦闘で後に繋がる結果を残した。ヘイズルが見出したガンダムの魔力というものは、宇宙世紀の開発誌に多大な影響を与えたのだった。
ヘイズル自体ジムベースではあるが強化によってガンダムの名に恥じない機体になるのである。
ガンダムTR-1[ヘイズル](フルアーマー・タイプ)
白い増加装甲を装着したヘイズルの基本形態。FSWS計画…というよりガンダムNT-1と同一のシステムである。被弾率の高い胴体部正面に脱着可能な増加装甲を設置することで、ダメージを受けた増加アーマーを容易に交換できる。ただしデッドウェイトでTR-1の機動性を損ねるため、本機のパイロットにはあまり好まれていない。
ガンダムTR-1[ヘイズル](強襲形態)
チョバム・アーマーを取り外し、シールド・ブースターを両腕部に装備した形態。2枚のシールド・ブースターから得られる大推力で、レンジ外から目標に接敵する戦術をコンセプトにしている。
ガンダムTR-1[ヘイズル](最終形態)
最終形態、あるいは最高速形態とも呼ばれる。強襲形態+フルアーマーにシールド・ブースターをもう一枚加えた形態。追加されたシールドは背部ブースター・ポッドに装着される。3枚のシールド・ブースターの推力を一定方向に揃え、大加速を得る。
肩口の固定用ホールディング・グリップを握って両腕部を固定し、 推力方向を統一させている。ホールディング・グリップの固定には、「長時間の推力噴射でかかる肩関節の負荷を軽減する」という効果もある。この形態における「推力方向の統一」というコンセプトは、ギャプランなどのティターンズの可変MS開発にも影響を与えた。
アーリー・ヘイズル
ヘイズルのベース機。型式番号はRGM-79Q、つまりこの段階ではジムである。このほか、TR-1の実験後に開発されたという記述もある。クゥエルをガンダム頭に換装した機体は他にも存在し、ヘイズル2号機の前仕様はアーリータイプとも呼ばれた。
ガンダムTR-1[ヘイズル改]
ジオン残党機「シュトゥッツァー」との戦闘で大破したヘイズルを改修した機体。
改修にはジム・クゥエルのヘイズル用予備パーツが使われた。全体的な性能が向上し、Gパーツ[フルドド]やイカロスユニット、サブ・アーム等のオプションも用意されている。
⇒詳細は「ガンダムTR-1[ヘイズル改]」を参照。
ガンダムTR-1[ヘイズル2号機]
ヘイズルの予備パーツ、アーリー機を正式にマーフィー小隊の2番機として最登録した機体。
バージョンアップが行われ、型番もRGMからRXへと変更されている。本来なら再登録には複雑な手続きと時間が必要だが、ティターンズの権限を最大限に利用して短時間での登録を済ませたようだ。
2号機はシールド・ブースター・ユニットを装備せず、トライ・ブースター・ユニットを装備する。またシールドや脚部ソールブロックなど、ジム・クゥエルと同じパーツが多いのも特徴。ジム・クゥエルからそのまま継承した装備として90mmケースレス弾を発射する「ジム・ライフル」と後頭部のマルチロッドアンテナが挙げられる。
2号機アーリー型にはオードリー・エイプリルが搭乗していたが、エリアルドの乗機が大破したため以後は彼が乗る事になった。
- トライ・ブースター・ユニット
両肩後方のユニバーサル・スラスターと中央後方のシュツルム・ブースターで構成される巨大推進ユニット。バックパック側の複雑な接続部は「可動フレーム」と呼ばれ、ユニバーサル・スラスターとの接続により推力方向の自在な転換が可能。これらの技術の蓄積がムーバブル・フレームの礎を作った。
余談だがユニバーサル・スラスターは流用技術で、既にモビルスーツに搭載されていたとの情報がある。そのモビルスーツは「フルバーニアン」と呼ばれるガンダムタイプである。
RGM-79Q ガンダムTR-1[ヘイズル2号機](アーリータイプ)
ジム・クゥエルにガンダムヘッドを取り付けたヘイズルの予備パーツ機。アーリー・ヘイズルとも。
ヘイズル用の推力機構「トライ・ブースター・ユニット」を試験的に装備している。2号機共々急造されたため、現時点で満足のいく機体バランスがとれていない。
模擬戦にて試験運用が行われたが、中央のシュツルム・ブースターが予想外のモーメントを生むため、真横への移動が制限されるのが欠点。トサカ状のセンサーユニットは未換装。
『A.O.Z Re-Boot』ではアーリータイプのヘイズルが登場している。しかしこちらはガンダムヘッドに変えただけでその他はジム・クゥエルと一緒。
ガンダムTR-1[アドバンスド・ヘイズル]
ガンダムTR-1[ヘイズル2号機]を改修した形態。型式番号:RX-121-2A
脚部強化マルチウェポンラッチを装着して機体仕様をヘイズル改と統一、新型パーツやヘイズル改の豊富な強化パーツを装着し、各種オプションの試験運用データを全てフィードバックして製作された。
頭部にはGMスナイパーⅢのセンサーカバーと同等の性能を持つ高性能光学センサー・ユニットを装着しており、精密射撃時にカバーを下にスライドさせることでガンダムのツインアイが隠れ、中から高精度のモノアイセンサーが現れる。
バックパックは高機動型ガルバルディβでテストされたマルチコネクターポッドに換装され、これにより強化型シールドブースターを2基保持できるようになった。
腰部フロントアーマーにはヘイズル改で試験的に導入されたサブ・アーム・ユニットを装備し、ソール部補助スラスターや2基の火力強化型シールド・ブースターにより安定した機動性を獲得。
偏った性能のヘイズル2号機だったが、オプションラッチの増設で拡張性を重視した設計に変わり、各部も刷新された事により高い次元でバランスが保たれた機体に仕上がった。
ガンダムTR-1[ヘイズル・アウスラ]
次世代量産型試作機とも呼ばれる。
ヘイズルが緊急脱出ポッド[プリムローズ]に換装した形態で、「ガンダムTR-6の試作機」としての完成形。次世代機との互換性を持つフルベーシックモデルとしてガンダムTR-6用オプションの装着も可能となっている。TR-6完成の遅れに伴い、少数が生産されている。
⇒詳細は「ガンダムTR-1[ヘイズル・アウスラ]」を参照。
次世代試作機
ティターンズの次世代型(ガンダムMk-Ⅱ)開発用試作機。ジム・クゥエルをベースにしており、開発系譜を描いた画像でもガンダムタイプの頭部である事が確認できる。
本機は拡張性の高さよりも、MS単体の完成度を高めているようだ。データはジムⅡにも利用された。
ガンダム・ヘイズル[ケルデルク]
『A.O.Z Re-boot』で設定された。型式番号:RX-122
ヘイズル・ケルデルクは次世代型試作機のデータを反映して開発された実験機である。ガンダムMk-Ⅱの技術を以後の量産機に反映するために開発され、既存の武装や脚部・バックパックなどの推進機器の検証に用いられた。
本機で運用された推進機は、ガンダム6号機やペイルライダー等のG-4計画関連機と同形状の物であり、第2世代以降では実験を経て脛外側のスラスター配置がフォーマット化されていった。
ジャミトフ直属の秘密部隊「ブラックヘアーズ」が運用。通常のティターンズブラックよりも濃い後のレジオン鹵獲機カラーで塗装されている。データ・装備はジムⅢ、バーザム改、ジェガン等に採用された。
名称のケルデルクは、『ウォーターシップダウン』の作者リチャード・アダムズの児童文学『シャーディック』に由来。名称がTRシリーズの由来である『ウォーターシップダウン』関係ではないのは、同系列でありながら異なる目的で開発された事を示しているとされる。
ヘイズル・ケルデルク・アーマー装備
ケルデルクがチョバムアーマーほかヌーベルジムⅢ、バーザム改の装備・パーツに換装した機体。ヌーベルジムⅢの脚部やオプション武装(4連ミサイル、近接防御ミサイルクラスター、腰部ミサイルランチャー)、バーザム改のライフルを装備。
ケルデルク・ホイスト
アーリー・ヘイズル/ジム・クゥエル(レジオン鹵獲機)
AOZ第3弾『A.O.Z Re-Boot ガンダム・インレ くろうさぎの見た夢』に登場。 型式番号:ARZ-79GQ
旧ティターンズ兵がレジオンへ蜂起した際、レジオンのジム・クゥエルを奪って「ガンダムヘッド」を換装した機体。
ヘッドをガンダムタイプに換装しただけの見かけ倒し。しかし、ただの一振りの拳でハイザック(レジオン仕様)を破壊した姿は、レジオンに悪魔の如きガンダムを想起させるには充分だっただろう。
パイロットはティターンズ残党兵のドナルド。“不死身の第四小隊“出身のベルナルド・モンシアとよく似た人物。
元々はティターンズで運用されていたジム・クゥエル隊の隊長機として使用されていた。
ジム・クゥエル(レジオン鹵獲仕様)
戦後、火星のジオン残党(レジオン)に合流したティターンズ残党からもたらされた機体。
漆黒に塗装され、シールドは赤色に塗り替えられる。この機体が反乱を起こしたティターンズ残党に持ち去られる。
ウサギ狩りの刑でドナルドが乗り、この機体が刈られる側として使われた。自らを“不死身”と称するドナルドはここでもなんとか生き伸びて蜂起に参加している。
ガンダムTR-S[ヘイズル・フレア]
「A.O.Z Re-Boot」に登場。
TRシリーズの1機で、TR-6の前身にあたる。バーザムは本機とTR-6の簡易生産型となる。
詳しくは「ガンダムTR-S[ヘイズル・フレア]」を参照。
ΖΖΖガンダムユニット
「A.O.Z Re-Boot」に登場。型番:MSA-0012(ラムダガンダムと同じ)。
エゥーゴが接収したヘイズル・フレアをベースに、アナハイム社がAOZ計画で開発したMS。
詳しくは「ΖΖΖガンダム」を参照。
関連動画
関連商品
関連項目
TRシリーズ
- ガンダムTR-1[ヘイズル]
- バイザックTR-2[ビグウィグ]
- 試作アッシマーTR-3[キハール]
- TR-4[ダンディライアン]
- ギャプランTR-5[フライルー]
- ガンダムTR-S[ヘイズル・フレア]
- ガンダムTR-6[ウーンドウォート]
親記事
子記事
兄弟記事
- ガンダムTR-6[ウーンドウォート]
- プロトタイプアッシマーTR-3[キハール]
- TR-4[ダンディライアン]
- バイザックTR-2[ビグウィグ]
- ギャプランTR-5[フライルー]
- Gパーツ[フルドド]
- 緊急脱出ポッド[プリムローズ]
- ガンダムTR-S[ヘイズル・フレア]
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