WBC2013とは、2013年3月2日から3月19日に行われた野球の国別世界一を決める世界選手権大会である。
概要
出場チーム | |
---|---|
A組 | 日本 / キューバ 中国 / ブラジル |
B組 | 韓国 / オランダ オーストラリア / チャイニーズタイペイ |
C組 | ベネズエラ / プエルトリコ ドミニカ共和国 / スペイン |
D組 | アメリカ合衆国 / メキシコ イタリア / カナダ |
ワールドベースボールクラシックの第3回目の大会。
この年から予選ラウンドが追加され、本選にはブラジル、スペインが初出場となった。
山本浩二監督の下、3連覇を目指す。当初はスポンサー収入を巡って出場辞退しようとしていたが、「侍ジャパン」が常設化されたこと、選手会が要望していたことが実現できていることにより、出場が決まった。
しかし日本人メジャーリーガーは全員出場辞退となり、NPBのメンバーのみで挑むことになった。
ルール
- 投手については球数制限が設けられていて、50球以上投げた場合、次の登板は中4日となる。第1ラウンドは65球、準決勝・決勝は95球となる。
- 1次・2次のリーグ戦で順位が並んだ場合、自責点による得失点差、直接対決で勝ったか、コイントスなどで順位が決まる。
- 延長13回からはタイブレークとなる。
結果
予選ラウンド
2009年大会にある通り、本大会に先立つこと1年前の2012年に初めて予選ラウンドが開催された。
前回大会で全敗だったチャイニーズタイペイ、パナマ、カナダ、南アフリカ共和国と、新たにスペイン、フランス、イスラエル、チェコ、ドイツ、イギリス、ブラジル、コロンビア、ニカラグア、ニュージーランド、フィリピン、タイを加えトーナメント形式で予選が行われた。
チャイニーズタイペイ、カナダは順当に勝ち上がったが、南アフリカがスペイン、そして大会史上屈指の番狂わせであるパナマがブラジルに敗れ、本大会出場を逃した。
1組
南アフリカ共和国 3 | イスラエル 4 | イスラエル 7 |
イスラエル 7 | ||
スペイン 8 | スペイン 2 | |
フランス 0 | ||
敗者復活戦1回戦 | 敗者復活戦2回戦 | - |
---|---|---|
南アフリカ共和国 5 | スペイン 13 | スペイン 9 |
フランス 2 | 南アフリカ共和国 3 |
2組
イギリス 1 | カナダ 16 | カナダ 11 |
カナダ 11 | ||
ドイツ 16 | ドイツ 7 | |
チェコ 1 | ||
敗者復活戦1回戦 | 敗者復活戦2回戦 | - |
---|---|---|
イギリス 12 | ドイツ 16 | ドイツ 1 |
チェコ 5 | イギリス 1 |
3組
パナマ 2 | ブラジル 7 | ブラジル 1 |
ブラジル 3 | ||
コロンビア 8 | コロンビア 1 | |
ニカラグア 1 | ||
敗者復活戦1回戦 | 敗者復活戦2回戦 | - |
---|---|---|
パナマ 6 | コロンビア 7 | パナマ 0 |
ニカラグア 2 | パナマ 9 |
4組
フィリピン 8 | フィリピン 0 | チャイニーズタイペイ 9 |
タイ 2 | ||
チャイニーズタイペイ 10 | チャイニーズタイペイ 16 | |
ニュージーランド 0 | ||
敗者復活戦1回戦 | 敗者復活戦2回戦 | - |
---|---|---|
タイ 2 | フィリピン 6 | ニュージーランド 0 |
ニュージーランド 12 | ニュージーランド 10 |
第1ラウンド
A組
順位 | チーム | 勝 | 敗 | 得点 | 失点 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | キューバ | - | 6-3 | 12-0 | 5-2 | 3 | 0 | 23 | 5 |
2 | 日本 | 3-6 | - | 5-2 | 5-3 | 2 | 1 | 13 | 11 |
3 | 中国 | 0-12 | 2-5 | - | 5-2 | 1 | 2 | 7 | 19 |
4 | ブラジル | 2-5 | 3-5 | 2-5 | - | 0 | 3 | 7 | 40 |
B組
順位 | チーム | 勝 | 敗 | 得点 | 失点 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | チャイニーズタイペイ | - | 8-3 | 2-3 | 4-1 | 2 | 1 | 14 | 7 |
2 | オランダ | 3-8 | - | 5-0 | 4-1 | 2 | 1 | 12 | 9 |
3 | 韓国 | 3-2 | 0-5 | - | 6-0 | 2 | 1 | 9 | 7 |
4 | オーストラリア | 1-4 | 1-4 | 0-6 | - | 0 | 2 | 2 | 14 |
オーストラリア以外が2勝1敗で並び、得失点差によってチャイニーズタイペイとオランダが第2ラウンドに進出した。
C組
順位 | チーム | 勝 | 敗 | 得点 | 失点 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | ドミニカ共和国 | - | 4-2 | 9-3 | 6-3 | 3 | 0 | 19 | 8 |
2 | プエルトリコ | 2-4 | - | 6-3 | 3-0 | 2 | 1 | 11 | 7 |
3 | ベネズエラ | 3-6 | 3-9 | - | 11-6 | 1 | 2 | 17 | 21 |
4 | スペイン | 0-3 | 3-6 | 6-11 | - | 0 | 3 | 9 | 20 |
D組
順位 | チーム | 勝 | 敗 | 得点 | 失点 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | アメリカ合衆国 | - | 6-2 | 9-4 | 2-5 | 2 | 1 | 17 | 11 |
2 | イタリア | 2-6 | - | 14-4 | 6-5 | 2 | 1 | 22 | 15 |
3 | カナダ | 4-9 | 4-14 | - | 10-3 | 1 | 2 | 18 | 16 |
4 | メキシコ | 5-2 | 5-6 | 3-10 | - | 1 | 2 | 13 | 18 |
第2ラウンド
1組
キューバ 2 | オランダ 3 | 日本 10 |
オランダ 6 | ||
チャイニーズタイペイ 3 | 日本 16 | |
日本 4 | ||
敗者復活戦1回戦 | 敗者復活戦2回戦 | - |
---|---|---|
キューバ 14 | オランダ 7 | オランダ 6 |
チャイニーズタイペイ 0 | キューバ 6 |
第2ラウンド1組ではチャイニーズタイペイ戦で9回2死で井端弘和が起死回生の同点タイムリーを放ち、延長10回で中田翔の犠牲フライで勝ち越し、4-3で勝利。オランダ戦では一発攻勢で16-4で7回コールド勝ちし決勝トーナメント進出を決めたが、敗者復活戦で勝ち上がってきたオランダと再戦。10-6で2連勝した。
2組
ドミニカ共和国 5 | ドミニカ共和国 3 | ドミニカ共和国 2 |
イタリア 4 | ||
アメリカ合衆国 7 | アメリカ合衆国 1 | |
プエルトリコ 1 | ||
敗者復活戦1回戦 | 敗者復活戦2回戦 | - |
---|---|---|
プエルトリコ 4 | アメリカ合衆国 3 | プエルトリコ 0 |
イタリア 3 | プエルトリコ 4 |
準決勝・決勝
準決勝 | 決勝 | 優勝 |
---|---|---|
日本 1 | プエルトリコ 0 | ドミニカ共和国 |
プエルトリコ 3 | ||
ドミニカ共和国 4 | ドミニカ共和国 3 | |
オランダ 1 |
3期連続で決勝ラウンドに進出したが、準決勝でプエルトリコに敗れ、3連覇はならなかった。
決勝戦ではプエルトリコとドミニカ共和国が対戦し、3-0でドミニカ共和国が完封リレーで勝利。史上初の全勝でドミニカ共和国が初優勝した。
日本のスコア
リーグ | 日付 | 対戦相手 | 結果 | 場所 |
---|---|---|---|---|
1次ラウンド | 3月2日 | ブラジル | ○5-3 | 東京ドーム |
3月3日 | 中国 | ○5-2 | ||
3月6日 | キューバ | ●3-6 | ||
2次ラウンド | 3月8日 | チャイニーズタイペイ | ○4-3 | 東京ドーム |
3月10日 | オランダ | ○16-4 | ||
3月12日 | オランダ | ○10-6 | ||
準決勝 | 3月17日 | プエルトリコ | ●1-3 | AT&Tパーク |
出来事
球審(プレートアンパイア)へのMLB審判以外の起用
「判定を統一する」という目的で、これまでの大会では主にMLBでジャッジしている審判(まあ第1回WBCでのボブ・デービッドソンはマイナーリーグの審判だった)が全ての試合で球審を担当していたが、この年からはMLB所属ではない審判が球審を務めた。それは、日本プロ野球NPBの審判である森健次郎である。森は台湾ラウンドの開幕戦で球審を務めた。またプエルトリコラウンドでは、オーストラリアのポール・ハイマンが球審を務めた。
欧州勢の躍進
この大会、なんと言っても目立ったのは欧州勢の躍進である。カリブ海に浮かぶ島キュラソー出身者と本土出身者との融合チームであるオランダは、ウラディミール・バレンティン、アンドリュー・ジョーンズと言ったNPB組と、アンドレルトン・シモンズやイグザンダー・ボガーツと言った若手有望株(トップ・プロスペクト)を擁し、欧州勢初となるベスト4入りを果たした。特にキューバとの相性は抜群で、WBC直前の練習試合やIBAFワールドカップなどを含めると5戦5勝であった。
イタリアは、オリックスのアレッサンドロ・マエストリをエースに据え、初戦のメキシコ戦でレフトエドガー・ゴンザレス(元巨人、本職は内野手である)のG.G.佐藤 落球もあって逆転勝利を収めると、その勢いをかって同国初、前回大会のオランダに次ぐ2次ラウンド進出を果たした。2次ラウンドでも、全勝優勝したドミニカや準優勝を果たしたプエルトリコに対して3点~4点のリードを奪ったものの、力負けを喫してしまった。
史上初の乱闘
1次ラウンドのカナダ対メキシコ戦では、「不文律」を犯したことによる史上初の乱闘が発生した。これは、大量リードしているカナダの選手がバントヒットを仕掛けたのが発端である。「不文律」では、「大量リードしている方がバントヒット」する行為を「傷口に塩を塗りこむ」、つまり「相手に対する侮辱行為」であるとされ、その報復に次の打者へ故意の死球が与えられた。これをきっかけとして両チーム選手が大乱闘。7名の退場者を出す結果となった。
史上初の「開催」
今大会では、これまでに開催されてこなかった場所でも試合が行われた。1次ラウンドでは福岡(福岡ドーム)と台中(インターコンチネンタル球場)、2次ラウンドで東京(1次ラウンドの開催実績はあり)、決勝でサンフランシスコのAT&Tパークである。台湾の台中では、台湾の試合に猛烈なほど観衆が押し寄せ(韓国戦では23,341人。なお収容人数は20,000人。おかしいだろ。ちなみに3試合とも「収容人数」オーバーであった)、台湾の2次ラウンド進出に大きく寄与した。一方で福岡ラウンドでは高すぎるチケットのせいで空席が相次ぎ、日本戦でも満席にならず。他国同士の試合では屋根のついた川崎球場と化してしまった。これは例えば台湾ラウンドの台湾戦が絡まない試合などでも同様であった。まあそれでも、東京ラウンドの台湾対キューバ戦とか、オランダ対キューバの敗者復活戦は筆者の想像以上に入っていた。おそらく、「日本が負ける」と踏んで買ったものの、実際には勝ち上がったので日本戦は行われなかった、しかし高額なチケットなので無駄にしたくないという心理も働いたものと思われる。
WBC2013関連項目
大百科に記事のある出場選手一覧
ア行 | カ行 | サ行 |
---|---|---|
タ行 | ナ行 | ハ行 |
マ行 | ヤ行 | ラ行 |
ワ行 | ||
表彰
個人賞
名前 | 国 | 成績 | 所属球団 | |
---|---|---|---|---|
最多勝 | ペドロ・ストロップ | ドミニカ共和国 | 3勝 | ボルチモア・オリオールズ |
最多投球回 | 前田健太 | 日本 | 15回 | 広島東洋カープ |
最多奪三振 | 前田健太 | 日本 | 18奪三振 | 広島東洋カープ |
最多安打 | ロビンソン・カノ | ドミニカ共和国 | 15安打 | ニューヨーク・ヤンキース |
最多本塁打 | ホセ・アブレイユ アルフレド・デスパイネ |
キューバ | 3本 | エレファンテス・デ・シエンフエーゴス カンペチェ・パイレーツ |
最多盗塁 | ランドルフ・オドゥバー | オランダ | 5盗塁 | ワシントン・ナショナルズ傘下 |
関連項目
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