シンダー(Sinndar)とは、1997年アイルランド産・調教の元競走馬・種牡馬である。
英愛ダービー馬のジンクスを圧倒的実力で破砕していった絶対強者。……の割に日本では影が薄い?
【通算成績】8戦7勝 [7-1-0-0]
【主な勝鞍】
1999年: ナショナルS(G1)
2000年: ダービーステークス(G1)、アイリッシュダービー(G1)、凱旋門賞(G1)、ニエル賞(G2)、ダービートライアルS(G3)
父はDanzig初年度産駒最高傑作で種牡馬としてもそこそこ成功したChief's Crownの産駒であるGrand Lodge、母はマルセル・ブサックが没落した後アガ・カーンスタッドに売却された牝馬の血を引き、現役時代も6戦4勝とそれなりに活躍したSinntara、母父が初代ブリーダーズカップ・ターフウイナーであり、この馬以外の血統表で見ることは稀なMill Reef産駒Lashkariという血統。
アイルランドのアガ・カーンスタッドで生産され、アガ・カーン4世殿下が保有、アイルランドのジョン・オックス厩舎に預託されることになった彼は速さよりも力強さを感じさせる走りを見せる馬であった。
ちなみに彼の初期馴致から育成に携わっていたのが、当時アイルランドで修行していた、日高の名門・下河辺牧場の現専務である下河辺隆行。その後、シンダーが種牡馬入りした際にその仔を受胎した状態で下河辺牧場に輸入された繁殖牝馬*カーラパワーは直仔でマイルCSを勝ったダノンシャーク、孫世代でシンリョクカを輩出している。
Sinndarという馬名はイラクの山岳地帯に由来する。アガ・カーン殿下の所有馬は意味が不明なことも多いので意味が明確なのは珍しいかも知れない。
デビューしたのは1999年9月、カラ競馬場の未勝利戦。主戦騎手となるジョニー・ムルタを鞍上に据え1番人気に推された通り先行してさっくり1馬身半差つけて快勝。しれっと3着には2002年に欧州馬として史上2頭目となるメルボルンC制覇を達成するメディアパズルが入線していたりした。
2週後のカラ競馬場の2歳G1ナショナルステークス(現ヴィンセントオブライエンナショナルステークス)に2番人気で出走。断然1番人気だったエイダン・オブライエン厩舎のBernstein(代表産駒*ゴスホークケン、Tepin、Karakontieなど)が5着に沈む中、伏兵Murawwiの猛追を退けてアタマ差残して勝利。2戦2勝でG1ウイナーとなって2歳シーズンを締めくくった。
3歳春は7Fのナショナルステークスを勝ちこそしたが、走りっぷりから馬主からは短いところに向いているという判断はされず、2000ギニーは回避してダービーステークス一本狙いのローテを取ることとなった。
ということでレパーズダウン競馬場の10F戦、当時リステッドだったバリーサックスSから始動したものの、G1勝ちで斤量が131ポンド(59.4kg)と他の出走馬3頭より7ポンドも重かったことが嫌われて差は大きくないとはいえ3番人気とされ、レースでも先行したもののゴール前に急襲を受け2着に敗れてしまった。しかし3着以下は遥か彼方に置き去りにしており、強さは示していた。
続くダービートライアルSではエイダン・オブライエン師がダービーステークス制覇を託す3戦3勝の逸材Bachと1番人気タイに推され、オックス陣営が出したペースメーカーをBachと追いかけて直線では叩き合いとなったがアタマ差退けて勝利。
堂々とダービーステークスに歩を進めるが、オックス師は馬場が堅いのを嫌ってギリギリまでジョッケクルブ賞転進を考えたそうだが結局出走。2000ギニー馬の*キングズベストが筋肉痛で直前回避という事になったが
Sadler's Wellsと*ダンシングブレーヴの欧州に残した忘れ形見Wemyss Bightの産駒であるBeat Hollow(1番人気)、デビュー戦こそ落としたものの重賞2つを含む4連勝でやってきたSakhee(2番人気)、エイダン・オブライエン師がダービーステークス制覇をかけるAristotie(3番人気)とメンバーが揃っていたこともあり4番人気。
トッテナムコーナーあたりで位置取りを上げると先に抜け出したSakheeと叩き合いになるが、競り落として1馬身差をつけたところがゴール板。見事に新たな千年紀初のダービー馬となったのであった。
余談になるが、その後Sakheeが21世紀初の凱旋門賞を圧勝し、3着Beat Hollowもパリ大賞を勝った後アメリカに転厩してGⅠ3勝を積み重ねるなど、この年のダービーはハイレベルとして語られることになる。
ダービー後はアイリッシュダービーに転戦。不本意に終わったダービーのリベンジを狙う*キングズベストやジョッケクルブ賞馬Holding Courtらを抑えて1番人気に推されるとペースメーカー2頭に先導され5番手を進み、後ろで競争中止した*キングズベストにも巻き込まれず直線では楽に抜け出してムルタ騎手がゴール板前で手綱を抑えながら9馬身差をつける大楽勝。*コマンダーインチーフ以来の英愛ダービー馬となった。
オックス師は父がついに果たせなかったアイリッシュダービー制覇をついに達成、アガ・カーン4世殿下もKahyasi以来の英愛ダービー制覇となった。
アイリッシュダービー後は夏休みに充て、キングジョージやインターナショナルSなどは使わずニエル賞→凱旋門賞というオーソドックスなローテを取ることになった。
ということで秋初戦となったニエル賞は特に語ることもなく8馬身差楽勝。本番凱旋門賞に向かうが2番人気。1番人気は古馬になって4連勝中、内容も充実していたMontjeuであった。実質Montjeuとの一騎打ちの様相であったが、他にもデビューから無敗の6連勝でドイチェスダービーとバーデン大賞をぶち抜いた2000年ドイツ最強馬Samum、近年まれに見るハイレベル世代と噂されていたフランス牝馬からディアヌ賞馬 Egyptband とヴェルメイユ賞馬 Volvoreta、と10頭立ての割にはメンバーが揃っていた。
レースはペースメーカーに行かせて本馬は好スタートから2番手を追走。フォルスストレートを抜けて先頭に躍り出る。後方からVolvoreta、続いてEgyptbandが追いすがるが交わすには至らず、2着Egyptbandに1馬身半差つけて快勝。Montjeuはフォワ賞までの勢いが嘘のように全く伸びず、3着VolVoretaから2馬身半後方、本馬からは7馬身後方の4着となった。Montjeuがここまで負けた理由としてはパンパンの良馬場で*パントレセレブルの2分24秒6に次ぐ当時歴代2位、改修前では*バゴと*デインドリームが上回っていったので最終的に歴代4位の2分25秒8という時計勝負になったのが大きかったのだろうか。奇しくも4着に敗れた前年ジャパンカップのスペシャルウィークが同じタイムで勝っていたりするので。
英ダービー馬の凱旋門賞制覇はSea-Bird、Mill Reef、*ラムタラに次ぐ当時4頭目の快挙、英愛ダービー馬による凱旋門賞制覇は史上初となった。Nijinsky、Troy、*シャーラスタニ、Kahyasi、*ジェネラスと出走した名馬も尽く返り討ち、アガ・カーン4世の持ち馬だった英愛ダービー馬Shergarはセントレジャーでクソ騎乗カマされて負けた後に引退など凱旋門賞ととにかく縁がなかったが、そのジンクスを圧倒的な力で打破してみせたのであった。
ムルタ騎手が「彼こそ最高の馬、打破不能」と絶賛するほどの勝ちっぷりを見せ、陣営も「もう何も証明すべきことはない」と凱旋門賞限りでの引退を表明。アイルランドに殿下が保有するギルタウンスタッドで種牡馬入りすることとなった。カルティエ賞ではマイル~中距離路線で圧倒的存在感を見せたGiant's Causewayを抑えて最優秀3歳牡馬を獲得したものの、年度代表馬は譲ることとなった。
部門賞を受賞しなかった年度代表馬はカルティエ賞の歴史を見ても極めて珍しく、それだけSinndarの勝ちっぷりも素晴らしかったということだろうか。
初年度3万ポンドとかなりの期待を受けて繁殖入りしたものの、アイリッシュオークス馬Shawandaや勝ち鞍よりも凱旋門賞2着の数が話題になるYoumzain、ヴェルメイユ賞馬Sharetaなど牝馬が優勢かつ散発的な輩出となり、種牡馬としては成功とはいかなかった。
父系こそダンジグ系ではあるが、Chief's Crownの流れはすでに英ダービー馬*エルハーブが出るなど早々にスピードを失っていった流れであったということもあったのだろうか。Sinndarも前述の通り軽快さよりも力強さが勝る走りという評価だったり、陣営も2000ギニーを早々に回避させるなどスタミナ型の先行馬と見ていたなど、2000年代以降の欧州では特に成功しにくいタイプであったとは言えるだろうか。
……まあ一番は同じDanzig系の*デインヒルの成功もそうだがGalileoによる欧州競馬の塗り替え、という生態系激変レベルの大事件に巻き込まれたのが大きいとは思うが。
2006年には殿下保有のフランスの牧場に移って種牡馬を続けたが前述の3頭以上の活躍馬は出せないまま、2018年に21歳でこの世を去った。
母父としては2025年の最高レートを叩き出し世界最強となったアガ・カーン4世殿下の忘れ形見CalandaganやShawandaの息子であるセントレジャー馬Enckeを輩出したが、父として同様に散発的。日本ではシゲルピンクダイヤ、ピンクルビーの母母父に彼の名を見ることが出来る。
| Grand Lodge 1991 栗毛 |
Chief's Crown 1982 鹿毛 |
Danzig | Northern Dancer |
| Pas de Nom | |||
| Six Crowns | Secretariat | ||
| Chris Evert | |||
| La Papagena 1983 黒鹿毛 |
Habitat | Sir Gaylord | |
| Little Hut | |||
| Magic Flute | Tudor Melody | ||
| Filigrana | |||
| Sinntara 1989 鹿毛 FNo.13-c |
Lashkari 1981 鹿毛 |
Mill Reef | Never Bend |
| Milan Mill | |||
| Larannda | Right Royal | ||
| Morning Calm | |||
| Sidama 1982 鹿毛 |
Top Ville | High Top | |
| Sega Ville | |||
| Stoyana | Abdos | ||
| Bielka |
掲示板
急上昇ワード改
最終更新:2026/01/22(木) 05:00
最終更新:2026/01/22(木) 05:00
ウォッチリストに追加しました!
すでにウォッチリストに
入っています。
追加に失敗しました。
ほめた!
ほめるを取消しました。
ほめるに失敗しました。
ほめるの取消しに失敗しました。