下半期ダート王決定戦、春のサウジへの道標
チャンピオンズカップ
GⅠ・中京競馬場・ダート1800m
チャンピオンズカップとは、JRA(日本中央競馬会)が開催する競馬の競走である。
格付けはGI。毎年12月の第一日曜日に中京競馬場・ダート1800mコースで開催される。
「チャンピオンズカップ」と名のついた他のスポーツ競技の大会は複数存在し、さらに同じ競馬でも同レース名G1が南アフリカ(パート1国)・グレイヴィル競馬場で7月下旬頃に行われているが、当記事ではJRAの競馬のレース名について述べる。
概要
前身・ジャパンカップダート
2000年、ジャパンカップ(JC)の前日土曜日に行われる国際招待競走「ジャパンカップダート」(東京競馬場・ダート2100m)が創設された。ダート路線の強化に伴って生じたダート競走の主流である中距離G1競走設置の要望に応えると同時に、海外のダート強豪馬招聘による話題性のあるレース、そしてJCとの連結を通じて、ブリーダーズカップを切っ掛けに他国でよく見かけられるようになった「複数のビッグレースを集中開催する」お祭り的なイベントになることを目指したものである。
しかし一口にダートとは言っても、「アメリカのダート」は固くスピードが出る「赤土」であるのに対し、「日本のダート」は柔らかくパワーを要する「砂」である。加えてブリーダーズカップのすぐ後に開催されるためローテーションもキツく、外国馬の苦戦・大物の不出走が続いた。JCの創設期とは異なり、日本馬のレベルもかなり向上していたという事情もあるだろう。JRAやファンが思ったほどの盛り上がりはなく、2006年には外国馬が1頭も出走しなかった。
2008年、JRAはより多くの出走馬を集めるため、施行距離を中距離・マイル双方の馬が出走できる1800mに短縮。しかし東京競馬場ではこの距離でダート競争を行うことは出来ないため、施行競馬場は阪神競馬場に移ることになった。さらに時期も別々に開催した方が全体の馬券売上が良いということで、開催日はJCの翌週日曜日に移動。当初の設立構想は事実上お流れとなった。
「左回りコースしか存在しないアメリカの馬が右回りで行われるレースに出走してくるのか」という懸念を払拭するがのごとく、2009年には同年のアメリカ最優秀3歳牡馬に選ばれたベルモントS馬サマーバードが出走を表明。レース創設以来最大の大物ということで盛り上がりを見せたが、なんと直前で右脚を骨折しレースを回避(後にこれが原因で引退)。これが影響したのかはわからないが、2010年からは3年連続で外国馬未出走という事態に。
この惨状に対しファン及び関係者からは、リニューアルを機に左回りコースの中京競馬場へ移設することを望む声が挙がった。
2014年以降・現在
2014年。JCダートはチャンピオンズCに改称され、中京競馬場で開催されることになった。賞金額は大幅に減額、外国馬の招待も取り止め(出走は可)となり、国内ダート馬の下半期王者決定戦に位置づけられている。また、発走時刻は通常の平地GⅠより10分早い15:30に設定されている[1]。馬券購入の際は締切時刻に十分注意されたい。
中央地方指定交流競走の一つとして、マイルチャンピオンシップ南部杯から始まるダートGI級競走シリーズ(MCS南部杯→JBC→チャンピオンズC→東京大賞典→フェブラリーステークス→川崎記念)の中盤戦に位置している。また、2020年からは優勝馬にサウジアラビア・サウジカップへの優先出走権が付与されるようになり、海外挑戦を見据えた国内ダート馬の新たなステップレースへと変わりつつある。
中京競馬場の立地上、晴れた冬場にはホームストレッチに強烈な西日が差し込んでくる。ジョッキーカメラでは太陽に向かって疾走する神々しい映像が見所ではあるが、実際のところは馬は当然まぶしく、騎手もゴーグルやシールドに砂が付くと著しく視界が悪化し、非常に厳しい戦いを強いられている点にも思いをはせたいところである[2]。
レース傾向
ホームストレッチ中央、第3コーナー寄りの急坂地点から発走し左回りに1周する。この急坂のためスタート時の後ろ脚の踏み込む力がうまく入れられず、結果として出負け(出遅れ)になる馬もいたりする。[3]
開幕からいきなり坂を上らされたかと思うと、ゴール地点手前から緩く下り、第2コーナー途中から向正面の中ほどまで上っていく。第4コーナーを過ぎるまで高低差3.4mを一気に下り、直線に向くと再び急坂越え。最後の200mを走ってゴールイン。
開幕登坂のためにペースが緩みやすく、先行タイプが比較的有利。しかし最終直線前の坂も影響してくるため、あくまで比較的。全体としては地力の高い馬が勝つ、堅い決着が多い。
主な前走・前哨戦
競走名 | 格付 | 施行競馬場 | 施行距離 | 間隔 | 優先出走権 |
---|---|---|---|---|---|
JBCクラシック | JpnI | 年毎に変更 | 競馬場毎に変更 | 5週 | |
みやこステークス | GIII | 京都競馬場 | ダート1800m | 4週 | 1着馬 |
武蔵野ステークス | GIII | 東京競馬場 | ダート1600m | 3週 | 1着馬 |
歴代優勝馬
※名称変更後も回次は継続している※
チャンピオンズカップ時代
回数 | 開催日 | 優勝馬 | 性齢 | 勝利騎手 | 勝ち時計 | 動画 | |
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第25回 | 2024年12月1日 | レモンポップ | 牡6 | 坂井瑠星 | 1:50.1 | sm44382075 | |
第24回 | 2023年12月3日 | レモンポップ | 牡5 | 坂井瑠星 | 1:50.6 | sm43100965 | |
第23回 | 2022年12月4日 | ジュンライトボルト | 牡5 | 石川裕紀人 | 1:51.9 | ||
第22回 | 2021年12月5日 | テーオーケインズ | 牡4 | 松山弘平 | 1:49.7 | sm39714107 | |
第21回 | 2020年12月6日 | チュウワウィザード | 牡5 | 戸崎圭太 | 1.49.3 | sm37924593 | |
第20回 | 2019年12月1日 | クリソベリル | 牡3 | 川田将雅 | R1:48.5 | sm36027944 | |
第19回 | 2018年12月2日 | ルヴァンスレーヴ | 牡3 | M.デムーロ | 1:50.1 | sm34259764 | |
第18回※4 | 2017年12月3日 | ゴールドドリーム | 牡4 | R.ムーア | 1:50.1 | ||
第17回 | 2016年12月4日 | サウンドトゥルー | 騸6 | 大野拓弥 | 1:50.1 | sm30165424 | |
第16回※3 | 2015年12月6日 | サンビスタ | 牝6 | M.デムーロ | 1:50.4 | sm27739140 | |
第15回 | 2014年12月7日 | ホッコータルマエ | 牡5 | 幸英明 | 1:51.0 | sm25073748 | |
中京競馬場・左回り1800mコースに変更 |
ジャパンカップダート時代
回数 | 開催日 | 優勝馬 | 性齢 | 勝利騎手 | 勝ち時計 | 動画 | |
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第14回 | 2013年12月1日 | ベルシャザール | 牡5 | C.ルメール | 1:50:4 | sm22367541 | |
第13回 | 2012年12月2日 | ニホンピロアワーズ | 牡5 | 酒井学 | 1:48.8 | sm19488422 | |
第12回 | 2011年12月4日 | トランセンド | 牡5 | 藤田伸二 | 1:50.6 | sm16349564 | |
第11回 | 2010年12月5日 | トランセンド | 牡4 | 藤田伸二 | 1:48.9 | sm12949434 | |
第10回 | 2009年12月6日 | エスポワールシチー | 牡4 | 佐藤哲三 | 1:48.9 | sm9019151 | |
第9回 | 2008年12月7日 | カネヒキリ | 牡6 | C.ルメール | 1:49.2 | sm8486678 | |
2008年(第9回)より阪神競馬場・右回り1800mコースに変更 | |||||||
第8回 | 2007年11月24日 | ヴァーミリアン | 牡5 | 武豊 | 2:06.7 | sm15324281 | |
第7回 | 2006年11月25日 | アロンダイト | 牡3 | 後藤浩輝 | 2:08.5 | ||
第6回 | 2005年11月26日 | カネヒキリ | 牡3 | 武豊 | 2:08.0 | sm12017112 | |
第5回※2 | 2004年11月28日 | タイムパラドックス | 牡6 | 武豊 | 2:08.7 | sm15323822 | |
第4回 | 2003年11月29日 | フリートストリートダンサー | 騸5 | J.コート | 2:09.2 | sm663518 | |
第3回 | 2002年11月23日 | イーグルカフェ | 牡5 | L.デットーリ | 1:52.2 | sm1015823 | |
2002年(第3回)は東京競馬場改修のため、中山競馬場・右回り1800mコース開催 | |||||||
第2回※1 | 2001年11月24日 | クロフネ | 牡3 | 武豊 | 2:05.9 | sm7187769 | |
第1回 | 2000年11月25日 | ウイングアロー | 牡5 | 岡部幸雄 | 2:07.2 | sm16288731 |
※4 チャンピオンズCになって初のフェブラリーSとの年間制覇
※3 JCダート、さらにはフェブラリーSも含めてJRAダートGI初となる牝馬の優勝
※2 第5回は「ゴールデン・ジュビリー・デー」としてJCと同日開催
※1 第2回の優勝タイム(クロフネ)はダート2100mの世界記録
関連動画
関連項目
脚注
- *ちなみに、2022年までの有馬記念・ホープフルSの発走時刻は更に5分早い15:25だった。2023年以降は中山競馬場に馬場照明装置が増設されて15:40発走となり、チャンピオンズCが唯一の例外時刻となった。
- *この西日問題については長らくの間、関係者の間でしか認知されていなかったようだが、2018年度レースでケイティブレイブに騎乗した福永祐一のレース回顧で一般にも知られるようになった。もっとも当時は敗因の一つとして「馬が西日を気にした」という趣旨を話した福永騎手の「言い訳」という論調が主であった。武豊が自身の番組「武豊TVⅡ」で「(馬が西日を気にするということは)聞いたことがない」という趣旨の発言をしたことも合わさって、一部のファンならず競馬評論家からも福永騎手を批判する声もあったほどである。ただし騎手の安全確保という面では武騎手も西日問題を認識しているようで、秋季の京都競馬場開催について騎手クラブ(会長は武騎手)からJRAに対し「西日が砂塵に差し込むと視界が悪化するため、最終12Rにダートを組み込まないよう」要請が上がっている。2024年度からは京都12Rは芝未勝利戦が行われることになり、ジョッキーカメラの映像と合わせて一般ファンにも西日の脅威が周知されてきている。
- *これについては武豊や福永祐一をはじめとして、複数の騎手(元騎手)が過去にインタビューを通じて語っている。また騎手クラブを通じてJRA(中京競馬場)側に路面の改修要請があり、現在は幾分かは踏み込みやすく改善されているとの事も語られている。
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