三冠馬とは、競馬において特定の3競走に勝った馬のことである。
3競走の定義は国、地域、競走条件等で多々分類されているが、一般的には日本の中央競馬(JRA)のサラブレッド系3歳馬(2000年までは「4歳馬」と呼称)限定の「クラシック競走」におけるものを指す。
目次
中央競馬クラシック三冠
そもそも日本には「クラシック競走」とされる3歳(旧4歳)限定の大レースが存在しておらず、日本各地で行われていた帝室御賞典などが大レースとして扱われていた。その後不況からの馬産の衰退を食い止める目的で昭和7年(1932年)に本場イギリスの高額賞金レースでもあったダービーステークスを範に取った東京優駿大競走が設立、それに続く形で他のクラシックレースをモデルにした阪神優駿牝馬、京都農林省賞典四歳呼馬、中山四歳牝馬特別、横濱農林省賞典四歳呼馬が設立され、昭和14年(1939年)に五大クラシックが成立し、現在に至っている。下の表の施行場所などの情報はいずれも現在の物である。
レース名 | 施行距離 | 創設年 | 相当する本国のレース |
---|---|---|---|
東京優駿 | 東京 2400m |
昭和7年 (1932年) |
ダービーステークス 1マイル4ハロン6ヤード (約2420m) |
優駿牝馬 (牝馬限定) |
東京 2400m |
昭和13年 (1938年) |
オークスステークス 1マイル4ハロン6ヤード (約2420m) |
菊花賞 | 京都 3000m |
昭和13年 (1938年) |
セントレジャーステークス 1マイル6ハロン115ヤード (約2921m) |
桜花賞 (牝馬限定) |
阪神 1600m |
昭和14年 (1939年) |
1000ギニーステークス 1マイル (約1609m) |
皐月賞 |
中山 2000m |
昭和14年 (1939年) |
2000ギニーステークス 1マイル (約1609m) |
クラシック牡馬三冠
日本の中央競馬のサラブレッド系3歳馬限定「クラシック競走」である、
の3レースを指す。これらの競走に出走できるのはサラブレッド系3歳馬(旧:4歳馬)だけなので、競走馬にとって挑戦するチャンスは一生に一度しかない。ただし2000年までは「日本国内の生産馬」のみ出走でき、外国産馬(日本以外の国で生まれてから日本に輸入された馬)の出走はできない、などの制限事項があった。またクラシック競走は「繁殖馬の選定のための競走」という前提があるため、騸馬(去勢した馬)の出走は現在も不可能である。
2022年現在、8頭が三冠を達成している。このうち、シンボリルドルフ・ディープインパクト・コントレイルは三冠を達成するまで、すなわち菊花賞を勝つまで無敗であったので、「無敗(不敗)の三冠馬」と称されることがある。
セントライトの時代は、まだ現在のようなレース体系が確立しておらず、セントライトが達成した三冠のレース名も現在とは違って「横濱農林省賞典四歳呼馬」「東京優駿競走」「京都農林省賞典四歳呼馬」であった。(但し当時から「三榮冠」として、これらを三冠とする概念は存在していた。)
達成年 | 馬名 | 達成時戦績 | 生涯成績 |
---|---|---|---|
昭和16年 (1941年) |
セントライト | 12戦9勝 (小西喜蔵) |
12戦9勝 |
昭和39年 (1964年) |
シンザン | 11戦8勝 (栗田勝) |
19戦15勝 (天皇賞(秋) 有馬記念) |
昭和58年 (1983年) |
ミスターシービー | 9戦7勝 (吉永正人) |
15戦8勝 (天皇賞(秋)) |
昭和59年 (1984年) |
シンボリルドルフ | 8戦8勝 (岡部幸雄) |
16戦13勝(うち海外1戦0勝) (天皇賞(春) ジャパンカップ 有馬記念2回) |
平成6年 (1994年) |
ナリタブライアン | 13戦9勝 (南井克巳) |
21戦12勝 (有馬記念 朝日杯3歳ステークス) |
平成17年 (2005年) |
ディープインパクト | 7戦7勝 (武豊) |
14戦12勝(うち海外1戦0勝) (天皇賞(春) ジャパンカップ 有馬記念 宝塚記念) |
平成23年 (2011年) |
オルフェーヴル | 10戦6勝 (池添謙一) |
21戦12勝(うち海外4戦2勝) (有馬記念2回 宝塚記念) |
令和2年 (2020年) |
コントレイル | 7戦7勝 (福永祐一) |
11戦8勝 (ホープフルステークス ジャパンカップ) |
- 三冠馬は、その後にGI(級)レースを勝つと「3+勝ったGIレースの数」で「○冠馬」と呼称されることがある。例えばオルフェーヴルは2回の有馬記念・宝塚記念の3つで「六冠馬」、シンボリルドルフは天皇賞(春)・ジャパンカップ・ 2回の有馬記念で「七冠馬」。ただし、シンザンは宝塚記念に優勝しているが、当時はグレード制がなく「八大競走」の時代で、また宝塚記念もファン投票により出走馬を決めるグランプリではあるが八大競走の格に並ぶ格とされていなかったため、「六冠馬」ではなく「五冠馬」と称される。シンボリルドルフ、ナリタブライアン、オルフェーヴルは3歳(旧4歳)時に古馬対決となった有馬記念を制覇していることから「3歳(4歳)四冠馬」とも呼ばれることがある(なお、シンボリルドルフとコントレイルは三冠達成後の次戦にジャパンカップに出走したがいずれも敗れている)。また、ナリタブライアンは朝日杯3歳ステークス、コントレイルはホープフルステークスと2歳(旧3歳)GIを優勝しているが、2歳(旧3歳)GIは他のGIより格が落ちると見られているためか、これらを「○冠」に含めることは無い。但し近年ではレース体系の大きな変化および有力馬が凱旋門賞などの海外レースに遠征することが多くなったので、「○冠馬」という呼び方をされることは少なくなっている。実質「五冠馬」シンザンと「七冠馬」シンボリルドルフのための称号とみてよいだろう。
- セントライトとコントレイル以外の馬は、三冠を達成した年の年度代表馬(啓衆賞)に選出されている[1]。
- 2023年現在コントレイルを除き、全ての馬がJRA顕彰馬に選出されている(顕彰馬は投票対象になって間もない頃は選出されにくい傾向がある)。
- ミスターシービーとコントレイルを除く6頭には重賞を勝った兄弟が存在する(セントライト・ナリタブライアン・オルフェーヴルの兄弟に至ってはGI(級)レースを勝っている)。一方でミスターシービーは母シービークインが2頭目以降の産駒を残せず、重賞を勝つ云々以前に兄弟自体が存在しない。他の三冠馬の母の優秀さを考えると残念な話である。ちなみにコントレイルの兄弟には重賞はおろかオープンクラスもいないが、2022年に母がキズナの仔(ストームキャットの奇跡の血量)を出産しており、生産者から期待を寄せられている。
- 8頭のうち2歳GIを制しているのは朝日杯3歳ステークス(現:朝日杯フューチュリティステークス)を制したナリタブライアンとホープフルステークスを制したコントレイルの2頭。
- デビュー戦で敗れたのはナリタブライアンのみ。
- デビュー戦が4歳(現3歳)時だったのはセントライトのみ。
- デビューから三冠達成まで全レースで1番人気だったのはミスターシービー・ディープインパクト・コントレイルの3頭。ディープインパクトは現役の全レースで1番人気を記録している。
- セントライトが三冠を達成したあと2022年現在に至るまで、最低1頭はいずれかの三冠馬が生存している。現在のところの最大生存頭数はナリタブライアンが三冠達成した時(1994年11月6日)~シンザンが亡くなるまで(1996年7月13日)の「4頭」である。
- 今のところ、世界的名種牡馬であるノーザンダンサー直系の三冠馬が存在しない(母方にその血を持つ馬はいる)。
- 三冠馬の取引内容は様々で、セリ市での購入が2頭(セントライト・ディープインパクト)、庭先取引が2頭(シンザン・ナリタブライアン)、生産者主体の一口馬主募集が1頭(オルフェーヴル)、生産者がそのまま馬主として走らせたのが3頭(ミスターシービー・シンボリルドルフ・コントレイル)である。
- ディープインパクト・コントレイルは親子での達成、更に無敗での達成である。
クラシック牝馬三冠
日本の中央競馬のサラブレッド系3歳馬限定「クラシック競走」である、
の3レースを指す。これらの競走に出走できるのはサラブレッド系3歳馬(旧:4歳馬)だけなので、競走馬にとって挑戦するチャンスは一生に一度しかない。さらに3レースの内桜花賞、優駿牝馬は牝馬限定戦のため、達成できるのは3歳(旧4歳)牝馬のみである。
2022年現在、日本初の二冠牝馬であるスウヰイスーが1952年に菊花賞で2着になったのを最高位にし達成できた牝馬は存在せず、さらに1970年にビクトリアカップが創設されて後述の牝馬三冠路線が確立してからは、二冠牝馬が菊花賞に一度も出走していない。ここでは達成馬が現れるまで暫定的にあと一歩まで迫った二冠牝馬を紹介する。
年度 | 馬名 | 残る一冠 着順 (優勝馬) |
備考 |
---|---|---|---|
昭和18年 (1943年) |
クリフジ | 中山四歳牝馬特別 デビュー前 (ミスセフト) |
東京優駿競走1着(変則三冠馬)。 |
昭和22年 (1947年) |
ブラウニー | 優駿牝馬 不出走 (トキツカゼ) |
菊花賞を優勝した最後の牝馬。 東京優駿競走3着。 |
昭和27年 (1952年) |
スウヰイスー | 菊花賞 2着 (セントオー) |
日本初の二冠牝馬。 菊花賞の着差は1/2馬身。 |
昭和29年 (1954年) |
ヤマイチ | 菊花賞 3着 (ダイナナホウシユウ) |
クリフジの娘。 |
昭和32年 (1957年) |
ミスオンワード | 菊花賞 10着 (ラプソデー) |
無敗の二冠牝馬。 |
昭和39年 (1964年) |
カネケヤキ | 菊花賞 5着 (シンザン) |
牡牝双方の二冠馬による対戦。 勝利したシンザンが史上2頭目のクラシック三冠馬に。 |
変則三冠
皐月賞・ダービー・菊花賞・桜花賞・オークスの五大クラシック競走のうち、桜花賞・オークスは牝馬限定競走のため、牡馬は前者3レースにしか出走できないが、牝馬は全5レースに出走可能であり、理屈の上では牝馬が「五冠」を達成することも可能である。しかし、桜花賞と皐月賞、オークスとダービーはそれぞれ1週後の連闘となるため、実行に移した牝馬はいない。
しかし現在のようなレース体系がとられていなかった時代、例えばオークス(当時は「阪神優駿牝馬」)は5月下旬ではなく10月上旬に開催されていたため、今とは異なる変則的な三冠に挑むこともできた。1943年の牝馬クリフジが、その唯一の例である。
達成年 | 馬名 | 生涯成績 |
---|---|---|
昭和18年 (1943年) |
クリフジ | 11戦11勝 (前田長吉) 東京優駿競走 / 阪神優駿牝馬 / 京都農商省賞典四歳呼馬 |
- 1947年にはトキツカゼが皐月賞、優駿牝馬を勝利し史上唯一のクラシック変則二冠を達成している[2]
- 1996年のNHKマイルカップ創設・2000年の外国産馬出走制限改定後、一冠目を皐月賞ではなくNHKマイルカップとしてNHKマイルC→ダービーのローテーションに挑むことができるようになり、長く牝馬にしか実現できなかった変則二冠が牡馬にもできるようになった。実際にキングカメハメハ(2004年)とディープスカイ(2008年)はその「変則二冠」を達成したが、いずれも秋は菊花賞ではなく天皇賞(秋)に挑戦することになっていたため、「NHKマイルC・ダービー・菊花賞」という「変則三冠」を達成した馬はまだいない。また、非常に過酷なローテーションとなるが距離適性としては菊花賞を絡めた前者より可能性が見出せる「皐月賞・NHKマイルC・ダービー」の「変則三冠」というパターンもあり、こちらも達成した馬は居ないが、タニノギムレットが実際にこのローテーションに挑んでいる(結果は3着→3着→1着)。
- 2005年にはラインクラフトが桜花賞、NHKマイルCを勝利し、牝馬初のクラシックレース2勝以外での変則二冠を達成した。
- 2007年に牝馬ウオッカがクリフジ以来となる「牝馬の東京優駿優勝馬」となったが、同馬の一冠目は桜花賞・三冠目は秋華賞で、ともに3着だった。
中央競馬牝馬三冠
の3レースの事を指す。これらの競走に出走できるのはサラブレッド系3歳(旧4歳)牝馬だけなので、挑戦するチャンスは一生に一度しかない。
桜花賞と優駿牝馬(オークス)は、皐月賞・ダービー・菊花賞と並ぶ「クラシック競走」であるが、秋華賞(旧:エリザベス女王杯、ビクトリアカップ)は日本独自の3歳牝馬限定競走なので、「クラシック競走」には含まない(モデルとなったレースはある)。
当初は1970年に創設されたビクトリアカップが三冠目だったが、エリザベス2世の訪日を記念して1976年にエリザベス女王杯が新設されることとなり、ビクトリアカップは廃止された。なお、ビクトリアカップ時代は三冠達成馬はいなかった。
1996年にエリザベス女王杯が4歳(現3歳)牝馬と5歳(現4歳)以上牝馬の混合競走に改編されたため、その年から秋華賞が新設されて牝馬の三冠目となった。
達成年 | 馬名 | 達成時戦績 | 生涯成績 |
---|---|---|---|
昭和61年 (1986年) |
メジロラモーヌ | 11戦9勝 (河内洋) |
12戦9勝 |
平成15年 (2003年) |
スティルインラブ | 7戦5勝 (幸英明) |
16戦5勝 |
平成22年 (2010年) |
アパパネ | 9戦6勝 (蛯名正義) |
19戦7勝(うち海外1戦0勝) (ヴィクトリアマイル 阪神ジュベナイルフィリーズ) |
平成24年 (2012年) |
ジェンティルドンナ | 8戦6勝 (岩田康誠) |
19戦10勝(うち海外2戦1勝) (ジャパンカップ2回 ドバイシーマクラシック 有馬記念) |
平成30年 (2018年) |
アーモンドアイ | 6戦5勝 (C.ルメール) |
15戦11勝(うち海外1戦1勝) (ジャパンカップ2回 ドバイターフ 天皇賞(秋)2回 ヴィクトリアマイル) |
令和2年 (2020年) |
デアリングタクト | 5戦5勝 (松山弘平) |
12戦5勝 |
令和5年 (2023年) |
リバティアイランド | 6戦5勝 (川田将雅) |
※現役 (阪神ジュベナイルフィリーズ) |
- メジロラモーヌはトライアル競走(報知杯4歳牝馬特別(西)、サンスポ杯4歳牝馬特別(東)、ローズS)も全て制した上での達成で「完全三冠」とも称されるが、現在では桜花賞で好走した馬はNHKマイルカップに向かうかオークスに直行するのが普通なので、今後同様の記録を達成する馬は現れないと思われる。
- スティルインラブは3競走全て2番人気での勝利(1番人気は全てアドマイヤグルーヴ)。達成後に出走したエリザベス女王杯でようやく1番人気になったものの、アドマイヤグルーヴの雪辱を許す結果となった。なお三冠がかかった最終戦で1番人気にならなかったのは牡牝合わせてもシンザンとスティルインラブのみ。
- 2012年ジャパンカップを制したジェンティルドンナが、その年の三冠牝馬として初めて年度代表馬に選出された。また、牡馬牝馬を通して初めて海外GIを制した三冠馬となった。
別の特記事項としては2020年現在、ジェンティルドンナは牡馬牝馬を通じて三冠の対象の3レースで、唯一複数の騎手が騎乗した三冠馬となっている。これは桜花賞・秋華賞で騎乗していた岩田康誠が優駿牝馬では騎乗停止中で騎乗出来ず、川田将雅が騎乗したことによる。 - デアリングタクトは現在唯一の無敗での達成だが、キャリアもほぼ最低限の5戦である。[3]。
- 2020年天皇賞(秋)でアーモンドアイがシンボリルドルフから35年間破られなかったGI最多勝を更新。
更に続くジャパンカップでは無敗の三冠馬デアリングタクト・コントレイル相手に勝利し、GI勝利数を9勝に伸ばす。 - アーモンドアイの生涯獲得賞金は歴代1位の19億1526万3900円。
JRA秋古馬三冠・春古馬三冠
他の三冠との大きな違いは「複数回チャンスがある」という点である。しかしクラシック三冠は"世代最強"を決める競走であるのに対し、古馬三冠は"現役最強"を決める競走であり、クラシック三冠の数倍の母数の馬と競い、その頂点に立つ必要があるため、複数回チャンスがあるからと言って達成が容易であるわけではない。事実、2022年現在、秋古馬三冠を達成した競走馬は2頭しかおらず(達成馬以外で年を跨いで3競走に勝利した馬としてみても後述する3頭のみ)、春古馬三冠に至っては定義づけがされる前も含め対象競走をすべて同一年に勝利した馬はただの1頭もいないという事実がそれを悠然と物語っている。
秋古馬三冠
の3競走のことを指す、この3競走をJRAは秋古馬三冠と正式に呼称してはいないが、競馬関係のマスコミ等の間では2000年から同一年に3競走を制覇した競走馬の馬主にはJRAから褒賞金(内国産馬は2億円、外国産馬は1億円)が贈られるようになったことから、クラシック三冠と区別するために使用されることがある。
達成年 | 馬名 | 達成時戦績 | 生涯戦績 |
---|---|---|---|
平成12年 (2000年) |
テイエムオペラオー | 19戦12勝 (和田竜二) |
26戦14勝 (皐月賞、天皇賞(春)連覇、宝塚記念) |
平成16年 (2004年) |
ゼンノロブロイ | 15戦7勝 (O.ペリエ) |
20戦7勝 |
- テイエムオペラオーはその年の古馬王道路線(天皇賞(春)、宝塚記念、天皇賞(秋)、ジャパンカップ、有馬記念)を完全制覇し年内全勝(8戦8勝)も達成、満票で年度代表馬に選ばれ、JRA顕彰馬にも選出されている。
- ゼンノロブロイが秋古馬三冠を達成した有馬記念は2分29秒5という日本レコードで快勝しており、2019年の目黒記念で日本レコードは更新されたものの、コースレコードとしては未だに破られていない。
- ちなみに報奨金制度の創設前を含め秋古馬三冠に王手をかけた馬はスペシャルウィーク(1999年)、アーモンドアイ(2020年)、イクイノックス(2023年)、ドウデュース(2024年)の4頭。スペシャルウィークは最終戦の有馬記念でグラスワンダーに僅か4㎝及ばず2着、アーモンドアイとイクイノックスは三冠に王手をかけるも三冠目の有馬記念に出走せず引退、ドウデュースは有馬記念に出走予定だったものの跛行による回避で引退と、スペシャルウィーク以外は三冠目に出走することなく三冠を逃している。
- さらに「あと1勝」にまで範囲を広げるとシンボリルドルフ(1985年)、シンボリクリスエス(2002年・2003年)、キタサンブラック(2017年)などが該当する。シンボリルドルフは天皇賞(秋)を伏兵ギャロップダイナに足元を掬われ2着に敗れている。シンボリクリスエスは2002年・2003年共にジャパンカップで敗れており、2002年はファルブラヴとサラファンと大激戦の果てにトップと僅か1m程の差で3着、2003年はタップダンスシチーの大逃げにまんまと嵌められて大差で3着に敗れている。キタサンブラックもジャパンカップで悲願のG1制覇を成し遂げたシュヴァルグランに及ばず3着に敗れている。
- また、報奨金の対象にはならないが「歳を跨いでの達成」の場合はキタサンブラック(2016年・2017年)、イクイノックス(2022年・2023年)、ドウデュース(2023年・2024年)が該当する。キタサンブラックとイクイノックスは親子での達成。
春古馬三冠
春古馬三冠は大阪杯がGIに昇格した2017年に定義された新たな三冠で、春の古馬王道路線である
の3競走を指す。こちらもJRAが正式に呼称している三冠ではないが、大阪杯がG1に昇格した2017年に秋古馬三冠同様、同一年に3競走を制覇した競走馬の馬主に褒賞金(秋古馬三冠の褒賞金と同額)が送られるようになったことから、競馬関係のマスコミ等で使用されることがある。前述のとおり春古馬三冠は定義付けがされる前も含めて達成した競走馬は存在しない。ただし春古馬三冠が定義される以前は、天皇賞(春)の前哨戦は阪神大賞典や日経賞の方が一般的だったことも理由にある。
- 参考までに天皇賞の勝ち抜き制が廃止された1981年から春古馬三冠が定義される前年の2016年までの間、阪神大賞典・天皇賞(春)・宝塚記念を同一年に勝利した競走馬はタマモクロス[4]・テイエムオペラオー・ディープインパクトの3頭。阪神大賞典を大阪杯もしくは日経賞に置き換えての達成例は存在しない。
- キタサンブラックは2017年には大阪杯と天皇賞(春)を勝利して春古馬三冠に王手をかけたが第三戦の宝塚記念で9着に敗れている。ちなみにキタサンブラックは、2025年現在で春古馬三冠に王手をかけた唯一の馬である。
- ちなみに2025年から春古馬・秋古馬三冠の報奨金制度に関して見直しが行われ、内国産馬は3億円、外国産馬は1億5000万円に報奨金が増額された。また春古馬・秋古馬三冠に含まれる6競走(大阪杯・天皇賞(春)、宝塚記念、天皇賞(秋)、ジャパンカップ、有馬記念)の内いずれか3つを勝利した場合、内国産馬には2億円、外国産馬には1億円の報奨金が贈られる制度が新設された。なお、前者と後者の報奨金は重複して受け取る事は出来ず、後者の条件を達成後に秋古馬三冠を達成した場合は秋古馬三冠の報奨金から新設された報奨金制度の金額分を引いた差額分が贈られる形となる。
その他のJRAにおける、または関わる三冠
JRAで主に三冠の枠組みとして呼ばれたものを挙げる。いずれもレースの施行条件変更や制度の変化に伴い消滅している。
春の短距離三冠
「スプリンターズステークス(GIII)」「京王杯スプリングカップ(GII)」「安田記念(GI)」の3競走。 1981年の京王杯スプリングカップの距離短縮(1800m→1400m)と1984年のグレード制導入によって誕生し、1990年からスプリンターズステークスが12月に移動されたことにより消滅した。
達成年 | 馬名 | 達成時戦績 | 生涯戦績 |
---|---|---|---|
昭和59年 (1984年) |
ハッピープログレス | 24戦10勝 (田原成貴) |
27戦11勝 |
地方交流三冠
「帝王賞」「ブリーダーズゴールドカップ」「オールカマー」の3競走。1991年に設定された当時は数少ない中央・地方全国指定交流競走であり、3競走全てに勝利した馬にはボーナス1億円が贈られることになっていたが、オールカマーのみ地方では少数派の芝であることや、中央でのダート競走が盛んでなかったこともあり達成馬が無いまま1995年の交流元年を迎え、自然消滅。
達成馬なし。
ダート交流三冠
1996年に中山競馬場で第1回が行われたユニコーンステークス(GIII)、同じく大井で新設されたスーパーダートダービー、1986年から盛岡で開催されていたダービーグランプリの3競走で三冠が形成され、1997年にダートの統一格付の導入により、スーパーダートダービーは(GII)に、ダービーグランプリは(GI)に格付され翌1998年も同じ格付で行われたが、大井がスーパーダートダービーのGII格付け不満を感じたなどにより、交流レースから離脱、代わりに1999年の7月にジャパンダートダービーを新設した等が理由でわずか3年でこの三冠は消滅となった。ちなみに三冠を達成したらボーナス2000万円が贈られるよう予定だった。
なお2024年から南関東競馬三冠がJRA所属馬にも開放されることから、形が違うものの似た形のダート三冠が出来ることになる。
達成馬なし。
小倉三冠
小倉競馬場にて開催される古馬平地重賞の「小倉大賞典」「北九州記念」「小倉記念」の3競走。呼称のみでボーナス等は出ず、複数年かけての達成でも呼ばれる。メイショウカイドウによる単年での達成の翌年である2006年から、北九州記念が1800mから1200mに距離短縮となったため消滅した。
馬名 | 各競走勝利年 | 最終戦績・備考 | ||
---|---|---|---|---|
小倉大賞典 | 北九州記念 | 小倉記念 | ||
アトラス | 1968年 (武邦彦) |
1967年 (武邦彦) |
1969年 (武邦彦) |
53戦13勝、小倉19戦7勝 小倉重賞完全制覇[5] |
ロッコーイチ | 1975年 (河内洋) |
1974年 (武邦彦) |
1975年 (武邦彦) |
52戦9勝、内小倉12戦4勝 |
ミヤジマレンゴ | 1978年 (武田悟) |
1976年 (武田悟) |
1976年 (武田悟) |
25戦9勝、内小倉9戦4勝 |
メイショウカイドウ | 2005年 (武豊) |
2005年 (武豊) |
2004年 (藤田伸二) 2005年 (武豊) |
43戦11勝、内16戦8勝 小倉記念連覇、唯一単年でも達成 |
南関東競馬の三冠
浦和競馬、船橋競馬、大井競馬、川崎競馬からなる南関東公営競馬の1つ、大井競馬場で開催される
南関東三冠(3歳ダート三冠)
の3歳限定戦3競走のことを指す。
ただし、2001年までは |
の3競走が三冠競走とされており、東京王冠賞が秋から春に移動したり、各レースが距離短縮を行ったりしたこともあったが、2001年の東京王冠賞廃止までこれが続いた。三冠馬も2023年まで、この3競走が三冠競走であった期間にしか出ていなかった。また、羽田盃と東京ダービーは南関東所属馬限定競走である為、当然ながら中央や他の地方競馬所属馬では南関東三冠は得られない。
2024年よりダートグレード競走における三冠レースを中心とした2・3歳馬競走の体系整備にともない、羽田盃と東京ダービーをJpnIに指定、ジャパンダートダービーの開催時期を10月上旬に変更し「ジャパンダートクラシック」に改称することで、3歳ダート三冠として催行されることになる。これにより中央馬や他の地方所属馬にも日本3歳ダート三冠馬になれる可能性が出てくる。その一方で、出走条件は3歳のみから3歳牡・牝と明記されているため、騸馬は出走不可になる。
なお上記記載、ダート交流三冠が1998年まで存在していたが、再びJRA所属馬が出走できるダートの三冠レースとなる。
達成年 | 馬名 | 達成時戦績 | 達成時所属 | 生涯戦績 |
---|---|---|---|---|
昭和42年 (1967年) |
ヒカルタカイ | 17戦11勝 (竹山隆) |
大井競馬 (須田茂) |
31戦15勝(うち中央11戦3勝) (天皇賞(春) 宝塚記念) |
昭和50年 (1975年) |
ゴールデンリボー | 11戦6勝 (赤間清松) |
大井競馬 (竹内美喜男) |
13戦6勝(うち中央3戦0勝) |
昭和53年 (1978年) |
ハツシバオー | 13戦10勝 (宮浦正行) |
大井競馬 (大山末治) |
17戦11勝(うち中央1戦0勝) |
昭和58年 (1983年) |
サンオーイ | 12戦8勝 (高橋三郎) |
大井競馬 (秋谷元次) |
29戦13勝(うち中央7戦1勝) (札幌日経賞) |
昭和61年 (1986年) |
ハナキオー | 12戦9勝 (堀千亜樹) |
大井競馬 (武森辰己) |
13戦9勝 |
平成元年 (1989年) |
ロジータ | 12戦8勝 (野崎武司) |
川崎競馬 (福島幸三郎) |
15戦10勝(うち中央2戦0勝) |
平成13年 (2001年) |
トーシンブリザード | 7戦7勝 (石崎隆之) |
船橋競馬 (佐藤賢二) |
30戦9勝(うち中央3戦0勝) |
令和5年 (2023年) |
ミックファイア | 6戦6勝 (御神本訓史) |
大井競馬 (渡邉和雄) |
※現役 |
- ヒカルタカイは中央移籍後に天皇賞(春)を18馬身差で勝利、宝塚記念を当時のレコードで制すなど中央の競走馬とも互角以上の戦いを繰り広げた。
- ゴールデンリボーは一冠目である羽田盃が交通ストの影響で延期されるというアクシデントに見舞われながらも三冠を達成した。
- ハツシバオーは三冠に加え前の2頭が敗れていた3歳時の東京大賞典を勝利したことにより、史上初の「公営四冠馬」となった。
- サンオーイはハツシバオーと同じく「公営四冠馬」となった後中央競馬に移籍し、同期のクラシック三冠馬ミスターシービー、カツラギエース、ニホンピロウイナー、スズカコバンなどと対戦した。現在ヒカルタカイ以外で唯一中央競馬で勝利した経験がある南関東三冠馬でもある。
- ロジータは唯一の牝馬での達成。川崎競馬場で行われる牝馬限定競走・ロジータ記念は彼女の功績をたたえて創設された。
- トーシンブリザードは無敗で達成。また旧三冠競走に加えジャパンダートダービーも制したことから「四冠馬」とも呼ばれる。
- ミックファイアもトーシンブリザードに続き無敗で達成。ジャパンダートダービーが三冠目だった2002年から2023年までの期間では最初で最後の達成馬となった。
- ナイキアディライト、クラーベセクレタ、ハッピースプリントはジャパンダートダービーが三冠目となってから羽田盃、東京ダービーを制し、三冠に王手をかけたが、いずれもジャパンダートダービーで敗れている。特にクラーベセクレタは後日カフェインの陽性反応が出たためドーピングによる失格処分となっている。
- シーチャリオットは羽田盃、東京ダービーを制し三冠に王手をかけたが故障のため出走を断念している。
変則三冠
- オリオンザサンクスは1999年に羽田盃、東京ダービーを制し、三冠に王手をかけたが、当時三冠目だった東京王冠賞で3着に敗れ、三冠はならなかった。しかし秋に第1回ジャパンダートダービーに勝利したため変則三冠馬と呼ばれた。オリオンザサンクスのジャパンダートダービー優勝はミックファイアが現れるまで大井所属馬で唯一の勝利だった。
南関東牝馬三冠
の3歳牝馬限定戦3競走のことを指す。桜花賞はJRAの同名の競走と混同しないように「浦和桜花賞」とも呼ばれる。すべて大井競馬場で開催される三冠と異なり、浦和競馬場、大井競馬場、川崎競馬場と3つの競馬場で開催され、2000年からは牡馬三冠に先駆けて関東オークスでダートグレードが始まりGIIIに格付けされて中央馬が出走してくるようになったため、中央の強豪を跳ね返す実力も求められる。
達成年 | 馬名 | 達成時戦績 | 達成時所属 | 生涯成績 |
---|---|---|---|---|
平成18年 (2006年) |
チャームアスリープ | 12戦5勝 (内田博幸) |
船橋競馬 (佐藤賢二) |
21戦5勝(うち中央1戦0勝) |
- 最近では2019年から4年連続でトーセンガーネット、アクアリーブル、ケラススヴィア、スピーディキックが桜花賞、東京プリンセス賞を制し三冠へ手をかけたが、いずれも関東オークスで中央所属の競走馬に敗れ、三冠はならなかった。
南関東アラブ三冠
南関東所属のアングロアラブしか出走資格が無い三冠体系ではあったものの、当時他の地方競馬のアラブ系三冠競走の整備が遅れていたこともあり、「アラブ三冠馬」の称号を得るため他の地方競馬所属馬が短期移籍して挑戦することも多かった。アラブ系競走馬の減少により1993年に千鳥賞、アラブ王冠賞が廃止されたため消滅。その後1996年に南関東からアラブ系競走が廃止され、残るアラブダービーもこの時に廃止となった。
達成年 | 馬名 | 達成時戦績 | 達成時所属 | 生涯戦績 |
---|---|---|---|---|
昭和35年 (1960年) |
タカラガワ | ?戦?勝 (荒山徳一) |
大井競馬 (倉内種太郎) |
?戦?勝 |
昭和44年 (1969年) |
セカンドホーリ | ?戦?勝 (田畑勝男) |
大井競馬 (田村仁三郎) |
?戦?勝 |
昭和50年 (1975年) |
ホクトライデン | 11戦10勝 (桑島孝春) |
船橋競馬 (平島好助) |
17戦12勝 |
昭和53年 (1978年) |
ガバナースカレー | 16戦8勝 (田部和廣) |
船橋競馬 (木村万吉) |
21戦9勝 |
昭和57年 (1982年) |
ケイワイホマレ | ?戦?勝 (宮浦正行) |
大井競馬 (小筆昌) |
17戦10勝 |
昭和60年 (1985年) |
ゴールデンビクター | 12戦8勝 (佐々木竹見) |
大井競馬 (小筆昌) |
17戦13勝 |
昭和61年 (1986年) |
タイヨウペガサス | 10戦8勝 (的場文男) |
船橋競馬 (赤間清松) |
31戦12勝 |
昭和63年 (1988年) |
オタルホーマー | 22戦8勝 (佐々木竹見) |
大井競馬 (物井榮) |
26戦8勝 |
平成5年 (1993年) |
トチノミネフジ | 12戦11勝 (早田秀治) |
船橋競馬 (髙岩隆) |
19戦17勝(うち中央1戦0勝) |
- タカラガワは南関東アラブ三冠の3競走を全て制した史上初の競走馬だが、セカンドホーリが制覇してから三冠の概念が広く浸透したせいなのか一緒に列挙することを忘れられることが多い。
- ホクトライデンは同期のゴールデンリボーとそれぞれ南関東の三冠を達成した。
- ガバナースカレーは唯一の牝馬による達成。
- ケイワイホマレは三冠目のアラブ王冠賞がミヤオーシヨウとの同着優勝により三冠を達成した。
- オタルホーマーはホッカイドウ競馬でデビューした後大井競馬に移籍した競走馬。三冠達成までのレース数は歴代で最多。
- トチノミネフジはアラブ三冠最終年での達成。その後古馬になってからも南関東二冠馬ブルーファミリーを撃破するなど快進撃を続け、1994年のNARグランプリ年度代表馬をサラブレッドを押しのけて受賞した。
その他の地方競馬における三冠
南関東競馬以外にも各主催ごとに三冠の枠組みが存在する。なお、牝馬三冠が存在するのは岩手と南関東のみ。地方競馬は1月~12月ではなく4月~3月を1年とするため年度と表現する。
ホッカイドウ競馬三冠
「北斗盃」「北海優駿」「王冠賞」の3競走。1980年度に制定され、トヨクラダイオー(1981年)、モミジイレブン(1999年)、ミヤマエンデバー(2001年)、クラキンコ(2010年)、リンゾウチャネル(2019年)、ラッキードリーム(2021年)、ベルピット(2023年)の7頭が達成している。
達成年度 | 達成馬 |
---|---|
1981年 | トヨクラダイオー |
1999年 | モミジイレブン |
2001年 | ミヤマエンデバー |
2010年 | クラキンコ |
2019年 | リンゾウチャネル |
2021年 | ラッキードリーム |
2023年 | ベルピット |
岩手3歳三冠
2007年度に制定された当初は「阿久利黒賞」「岩手ダービー ダイヤモンドカップ」「不来方賞」で、初年度にセイントセーリングが達成。2010年度に阿久利黒賞が外れ「ダービーグランプリ」が対象レースとなり、初年度にロックハンドスターが達成。その後2019年度にダービーグランプリが外れ「東北優駿(岩手ダービー)」が対象レースとなっている。
達成年度 | 達成馬 | 内訳 |
---|---|---|
2007年 | セイントセーリング | 阿久利黒賞、岩手ダービー、不来方賞 |
2010年 | ロックハンドスター | 岩手ダービー、不来方賞、ダービーグランプリ |
岩手牝馬三冠
「留守杯日高賞」「ひまわり賞(オークス)」「OROオータムティアラ」の3競走。
達成馬なし。
岩手2歳三冠
「若駒賞」「南部駒賞」「金杯」の3競走。達成馬は2008年度のワタリシンセイキ、2010年度のベストマイヒーロー。
達成年度 | 達成馬 |
---|---|
2008年 | ワタリシンセイキ |
2010年 | ベストマイヒーロー |
岩手古馬三冠
「シアンモア記念」「みちのく大賞典」「桐花賞」の3競走。2008年成立。2008年のみシアンモア記念の代わりに「北上川大賞典」が入っていた。
達成馬なし。
上山競馬三冠
上山競馬場で行われた「さつき賞」「こまくさ賞(上山ダービー)」「すみれ賞」の3競走。競走名は幾度かの変遷がある。達成馬が現れないまま2003年に上山競馬場が廃止されたため消滅。
達成馬なし。
北関東競馬三冠
北関東地区の宇都宮競馬場、足利競馬場、高崎競馬場の所属馬による三冠競走。「北関東皐月賞」「北関東ダービー」「北関東菊花賞」の3競走からなる。2000年に成立し、達成馬は宇都宮所属のフジエスミリオーネが2004年に達成。高崎競馬場の閉場により2004年末で消滅。
達成年度 | 達成馬 |
---|---|
2004年 | フジエスミリオーネ |
栃木三冠
北関東競馬三冠が成立する2000年まで栃木県の宇都宮競馬場、足利競馬場で行われていた三冠競走。「しもつけ皐月賞」「栃木ダービー」「しもつけ菊花賞」の3競走からなる。達成馬はサラノオー(1981年)、カネユタカオー(1991年)、ベラミロード(1999年)の3頭。
達成年度 | 達成馬 |
---|---|
1981年 | サラノオー |
1991年 | カネユタカオー |
1999年 | ベラミロード |
金沢競馬三冠
1993年度成立当初は「北日本新聞杯」「サラブレッドチャレンジカップ」「サラブレッド大賞典」の3競走だったが、2004年度を最後にサラブレッドチャレンジカップが廃止されたことから2005年度から「MRO金賞」が追加された。旧体系では1996年度にプライムキング、現体系では2008年度にノーブルシーズが達成。なお、2017年度からは「石川ダービー」も含め実質四冠となっている。
達成年度 | 達成馬 | 内訳 |
---|---|---|
1996年 | プライムキング | 北日本新聞杯、サラブレッドチャレンジカップ、サラブレッド大賞典 |
2008年 | ノーブルシーズ | 北日本新聞杯、MRO金賞、サラブレッド大賞典 |
東海競馬三冠
東海地区の名古屋競馬場、笠松競馬場の所属馬による三冠競走。「駿蹄賞」「東海ダービー」「岐阜金賞」の3競走からなる。駿蹄賞は1990年度までは「中日スポーツ杯・春」という名称だった。これまでイズミダツパー(1980年)、ゴールドレツト(1982年)、サブリナチェリー(1993年)、ドリームズライン(2017年)、タニノタビト(2022年)、フークピグマリオン(2024年)の6頭が達成。
達成年度 | 達成馬 | 内訳 |
---|---|---|
1980年 | イズミダツパー | 中日スポーツ杯・春、東海ダービー、岐阜金賞 |
1982年 | ゴールドレツト | 中日スポーツ杯・春、東海ダービー、岐阜金賞 |
1993年 | サブリナチェリー | 駿蹄賞、東海ダービー、岐阜金賞 |
2017年 | ドリームズライン | 駿蹄賞、東海ダービー、岐阜金賞 |
2022年 | タニノタビト | 駿蹄賞、東海ダービー、岐阜金賞 |
2024年 | フークピグマリオン | 駿蹄賞、東海優駿、岐阜金賞 |
名古屋競馬三冠
東海競馬三冠のうち唯一笠松競馬場で開催されている岐阜金賞を「秋の鞍」に入れ替えて名古屋競馬だけの三冠競走体系としたもの。これまでにエスエムクイーン(2019年)、トミケンシャイリ(2021年)、フークピグマリオン(2024年)の3頭が達成。
達成年度 | 達成馬 | 内訳 |
---|---|---|
2019年 | エスエムクイーン | 駿蹄賞、東海ダービー、秋の鞍 |
2021年 | トミケンシャイリ | 駿蹄賞、東海ダービー、秋の鞍 |
2024年 | フークピグマリオン | 駿蹄賞、東海優駿、秋の鞍 |
兵庫アラブ三冠
兵庫県にある2つの競馬場である園田競馬場、姫路競馬場のアングロアラブ限定三冠競走。「菊水賞」「楠賞全日本アラブ優駿」「六甲盃」の3競走。1985年から1995年の10年間は中央競馬のアラブ系3歳馬も出走可能であった。達成馬はアサヒマロツト(1970年)、ケイエスヨシゼン(1996年)の2頭。2001年に廃止。その後菊水賞はサラ系競走へ転換されている。
達成年度 | 達成馬 |
---|---|
1970年 | アサヒマロツト |
1996年 | ケイエスヨシゼン |
兵庫三冠
兵庫県にある2つの競馬場である園田競馬場、姫路競馬場の三冠競走。「菊水賞」「兵庫チャンピオンシップ」「兵庫ダービー」の3競走。成立当初の2000年度に限り兵庫チャンピオンシップではなく「六甲盃」が対象レースだったが、2001年度より古馬にも開放されたため現体系となった。2001年度にロードバクシンが達成。
達成年度 | 達成馬 | 内訳 |
---|---|---|
~2000年 | なし | 菊水賞、六甲盃、兵庫ダービー |
2001年 | ロードバクシン | 菊水賞、兵庫チャンピオンシップ、兵庫ダービー |
福山競馬三冠
「福山ダービー」「鞆の浦賞」「アラブ王冠」の3競走。達成馬はテルステイツ(1980年)、ウインホープ(1981年)、マグニカチドキ(1983年)、サワトヨキング(1984年)、ローゼンホーマ(1986年)、ハイセンプー(1991年)、ユノワンサイド(2001年)の7頭。福山競馬は長らくアングロアラブのみの競馬場として運営されていたため、達成馬は全てアングロアラブである。その後アラブ系競走馬の減少によりアラブ王冠を「福山王冠」に改名の上サラブレッド系の三冠競走へ転換されたが、サラ系では達成馬が出ないまま2013年に福山競馬場が廃止されたため消滅した。
達成年度 | 達成馬 |
---|---|
1980年 | テルステイツ |
1981年 | ウインホープ |
1983年 | マグニカチドキ |
1984年 | サワトヨキング |
1986年 | ローゼンホーマ |
1991年 | ハイセンプー |
2001年 | ユノワンサイド |
高知競馬三冠
「黒潮皐月賞」「高知優駿(黒潮ダービー)」「高知菊花賞」の3競走。達成馬は1998年度のカイヨウジパング、2000年度のオオギリセイコー、2009年度のグランシング、2023年度のユメノホノオ、2024年度のプリフロオールイン。
達成年度 | 達成馬 |
---|---|
1998年 | カイヨウジパング |
2000年 | オオギリセイコー |
2009年 | グランシング |
2023年 | ユメノホノオ |
2024年 | プリフロオールイン |
佐賀競馬三冠(九州三冠)
もともと2001年度から「荒尾ダービー」「九州ダービー栄城賞」「ロータスクラウン賞」の3競走が九州三冠として成立していたのだが、2011年度を最後に荒尾競馬が廃止されたことから2012年度より荒尾ダービーの代わりに「飛燕賞」が追加され佐賀三冠が成立した。2018年度に飛燕賞の代わりに「佐賀皐月賞」が追加された。九州三冠は2002年度のカシノオウサマが達成。佐賀三冠は旧体系では2012年度のエスワンプリンス、現体系では2019年度のスーパージンガ、2021年度のトゥルスウィーが達成。
達成年度 | 達成馬 | 内訳 |
---|---|---|
2002年 | カシノオウサマ | 荒尾ダービー、九州ダービー栄城賞、ロータスクラウン賞 |
2012年 | エスワンプリンス | 飛燕賞、九州ダービー栄城賞、ロータスクラウン賞 |
2019年 | スーパージンガ | 佐賀皐月賞、九州ダービー栄城賞、ロータスクラウン賞 |
2021年 | トゥルスウィー | 佐賀皐月賞、九州ダービー栄城賞、ロータスクラウン賞 |
ばんえい競馬三冠
「ばんえい大賞典」「ばんえい菊花賞」「ばんえいダービー」の3競走。これまでハクリユウ(1975年)、マルトダンサー(1980年)、ウンカイ(1997年)、ヨコハマボーイ(2001年)、メムロボブサップ(2019年)の5頭が達成。
達成年度 | 達成馬 |
---|---|
1975年 | ハクリユウ |
1980年 | マルトダンサー |
1997年 | ウンカイ |
2001年 | ヨコハマボーイ |
2019年 | メムロボブサップ |
ばんえい競馬牝馬三冠
「黒ユリ賞」「ばんえいプリンセス賞」「ばんえいオークス」の3競走。2008年にニシキエースが達成したが、2010年度にばんえいプリンセス賞が重賞から特別競走に格下げ(その後2018年度に準重賞に格上げ)されたために廃止となった。
達成年度 | 達成馬 |
---|---|
2008年 | ニシキエース |
ばんえい2歳3冠
「ナナカマド賞」「ヤングチャンピオンシップ」「イレネー記念」の3競走。イレネー記念は3月の開催となるため「明け3歳馬」による競走となる。達成馬は2014年度のセンゴクエース1頭。
達成年度 | 達成馬 |
---|---|
2014年 | センゴクエース |
ばんえい4歳三冠
日本ではばんえい競馬のみに存在する4歳限定の三冠競走。「柏林賞」「銀河賞」「天馬賞」の3競走。天馬賞は1月開催の為「明け5歳馬」による競走となる。達成馬は2013年度のホクショウユウキ、2016年度のセンゴクエース、2021年度のメムロボブサップ、2023年度のキングフェスタの4頭。
達成年度 | 達成馬 |
---|---|
2013年 | ホクショウユウキ |
2016年 | センゴクエース |
2021年 | メムロボブサップ |
2023年 | キングフェスタ |
イギリス競馬クラシック競走三冠
そもそも「クラシック競走」とは、近代サラブレッド競馬発祥の地・イギリスにおいて古くから開催されていた Classic (古典的・格式のある)なレースのことである。日本のクラシック競走も、これを模範としてレースが作られた。
レース名 | 施行距離 | 創設年 | 相当する日本のレース |
---|---|---|---|
セントレジャーステークス | 1マイル6ハロン115ヤード (約2921m) |
1776年 | 菊花賞 (3000m) |
オークスステークス (牝馬限定) |
1マイル4ハロン6ヤード (約2420m) |
1779年 | 優駿牝馬 (2400m) |
ダービーステークス | 1マイル4ハロン6ヤード (約2420m) |
1780年 | 東京優駿 (2400m) |
2000ギニーステークス | 1マイル (約1609m) |
1809年 | 皐月賞 (2000m) |
1000ギニーステークス (牝馬限定) |
1マイル (約1609m) |
1814年 | 桜花賞 (1600m) |
上記のように、イギリスには日本の秋華賞(旧:エリザベス女王杯)に相当するレースが存在しないため、イギリスにおける「牝馬三冠」とは「1000ギニー・オークス・セントレジャー」のこととなる。
2020年現在、牡馬三冠は15頭、牝馬三冠は9頭いる。また、1840年に牝馬クルシフィックスが1000ギニー・2000ギニー・オークスの「変則三冠」を達成している。
※イギリスにおいて現在、【三冠】の価値は急速に低下してしまっている。バーラムの三冠(1935年)から1970年まで、2000ギニー・ダービーの二冠を制した馬が5頭いたが、第二次世界大戦勃発の影響でセントレジャーが中止になった1939年のブルーピーターや故障引退した1949年の*ニンバスと1957年のクレペロはともかく、1967年のロイヤルパレスと1968年のサーアイヴァーは立て続けにセントレジャーを回避することになり、段々とセントレジャーの地位が低下してしまった。
1970年に無敗で三冠を達成したニジンスキーが三冠直後に凱旋門賞で2着に敗れると、この原因がセントレジャー出走による疲労だという憶測が広まり、「三冠忌避」の流れは加速した。そして1987年のダービー・セントレジャーを制したリファレンスポイントを最後に、2000ギニー優勝馬・ダービー優勝馬のセントレジャー出走自体が途絶えてしまっていた。
しかし全く無価値になったわけではなく、1994年に2歳GIのレーシングポストトロフィーを圧勝したセルティックスウィングが三冠挑戦を宣言した(同馬は2000ギニーで2着に敗れている)ほか、2012年、無敗で二冠を達成したキャメロットがニジンスキー以来42年ぶりとなる三冠達成へ挑戦したが、直線の猛追及ばず惜しくも2着に敗れる結果となった。
イギリス三冠馬
達成年 | 馬名 | 達成年 | 馬名 |
---|---|---|---|
1853年 | ウェストオーストラリアン | 1900年 | ダイヤモンドジュビリー |
1865年 | グラディアトゥール | 1903年 | ロックサンド |
1866年 | ロードリヨン | 1915年 | ポマーン |
1886年 | オーモンド | 1917年 | ゲイクルセイダー |
1891年 | コモン | 1918年 | ゲインズバラ |
1893年 | アイシングラス | 1935年 | バーラム |
1897年 | ガルティーモア | 1970年 | ニジンスキー |
1899年 | フライングフォックス |
- オーモンド、アイシングラス、バーラム、ニジンスキーは無敗で三冠達成。
- グラディアトゥールは初のフランス生産馬による三冠達成。
- ダイヤモンドジュビリーの馬主は、当時まだ王太子(プリンス・オブ・ウェールズ)だった英国王エドワード7世。
- ポマーン、ゲイクルセイダー、ゲインズバラの年は第一次世界大戦の最中で、ダービーとセントレジャーが本来開催場のエプソム競馬場・ドンカスター競馬場ではなくニューマーケット競馬場(2000ギニーの開催場)にて代替開催。
イギリス牝馬三冠馬
達成年 | 馬名 | 達成年 | 馬名 |
---|---|---|---|
1868年 | フォルモサ | 1904年 | プリティーポリー |
1871年 | ハンナ | 1942年 | サンチャリオット |
1874年 | アポロジー | 1955年 | メルド |
1892年 | ラフレッシュ | 1985年 | オーソーシャープ |
1902年 | セプター |
- フォルモサは2000ギニーにも勝利しているので「四冠馬」と称されることがあるが、2000ギニーで同着となった後の決勝戦に出走しなかったため、海外の資料では「3.5勝」などと扱われることもある。
- ラフレッシュの生産者は英女王ヴィクトリア(馬主は別人)。ダービーにも挑んだが、騎乗ミスで2着に敗れた。
- セプターは五大クラシック競走全てに出走し、ダービー(4着)以外で勝利した「四冠馬」である。
- プリティーポリーは1956年にリボー(16戦無敗)に抜かれるまでのヨーロッパ競馬における最多連勝記録となる15連勝(通算成績は24戦22勝)を記録し、「天下無双のポリー」と讃えられた。
- サンチャリオットの馬主は英国王ジョージ6世。第二次世界大戦の最中であり、第一次世界大戦時と同様にニューマーケット競馬場で代替開催となったオークス・セントレジャーで優勝した。
変則三冠馬
達成年 | 馬名 | 戦績 |
---|---|---|
1840年 | クルシフィックス | 1000ギニー / 2000ギニー / オークス |
BHBサマートリプルクラウン(廃止)
コロネーションカップ、オークス、ダービー、プリンスオブウェールズステークスのいずれか1競走とエクリプスステークス、キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスで構成されていた三冠で、2003年に創設された。さらにインターナショナルステークスを勝利すればBHBグランドスラムとなる。
トリプルクラウンで100万ポンド、グランドスラムで500万ポンドのボーナスが支払われるということで創設されたのはいいものの、経費節減のためにわずか2年で廃止され、達成馬はいなかった。
達成馬なし。
ヨーロッパ長距離三冠(カップ三冠)
近代競馬発祥の地イギリスにおいて特に高い格式と伝統を誇る3競走。中でもゴールドカップは英国王室が主催、ドンカスターカップは現在も続いている競走としては世界で最も古いレースである。過去には英国三冠馬を始め多くの名馬が出走したが、世界的な長距離軽視の風潮もあり衰退していた。しかし近年ではグッドウッドカップが2017年にG1昇格を果たすなど、賞金の高さもあって欧州の長距離を専門とするステイヤーが一堂に会する競走として復権しつつある。
の3レースを指す。3レースとも古馬混合競走で、1冠目のゴールドカップが芝19ハロン210ヤード(約4014m)、二冠目のグッドウッドカップが芝2マイル(約3219m)、三冠目のドンカスターカップが芝17ハロン197ヤード(約3600m)で開催される。このうちゴールドカップはフランスのカドラン賞(4000m)をわずかに上回り世界最長距離のレースとなっている。
達成年 | 馬名 |
---|---|
1879年 | アイソノミー |
1949年 | アリシドン |
1953年 | スエピ |
1979年 | ルモス |
1980年 | ルモス |
1986年 | ロングボート |
1995年 | ダブルトリガー |
2019年 | ストラディバリウス |
- アイソノミーは英国三冠馬コモンとアイシングラスの父となり種牡馬としても大成功を収めている。
- アリシドンはハイペリオン、ファロス、スウィンフォードなど現代の血統にも影響力を残す多くの名馬を送り出した第17代ダービー伯爵エドワード・スタンリー氏が死去直前に生産した競走馬。「20世紀最強のステイヤー」として名高い。
- ルモスは唯一の複数回、2年連続での達成。
- ダブルトリガーは勝った14勝のうち長距離重賞が12勝を占める。95年の欧州最優秀ステイヤー。
- ストラディバリウスはダブルトリガー以来24年ぶりに三冠を制覇。中でもゴールドカップ3連覇、グッドウッドカップは4連覇するなど世界を代表するステイヤーとして活躍した。
ヨーロッパ三大レース(欧州三冠)
三冠という定義づけはされていないものの、ヨーロッパの代表的な3レースをまとめて呼称したもので、イギリスとフランスのレースで構成されている。なおこれを欧州三冠と呼ぶのは日本だけである。
の3レースを指す。ダービーはもちろん3歳限定戦だが、後者2レースは古馬も出走可能なレースである。しかし、達成した馬はいずれも3歳で全レースに勝利している。
達成年 | 馬名 |
---|---|
1971年 | ミルリーフ |
1995年 | ラムタラ |
- ラムタラは初戦勝利後2戦目にダービーへ出走。そのままキングジョージ、凱旋門賞と勝利し最少キャリアの4戦で達成、そのまま引退している。なおその翌年、フサイチコンコルドがわずか3戦で東京優駿に勝利。そのキャリアの短さから「和製ラムタラ」の異名をとった。
- キングジョージと凱旋門賞でラムタラの手綱を取ったランフランコ・デットーリは、この三大レース全てに勝利することを「競馬に関わる者が等しく抱く野心」であるとしている。
- 近年では距離や馬場適性を重視するためか、ダービーを制してもキングジョージを経由せず凱旋門賞に向かうパターンも度々ある。ゴールデンホーンとシーザスターズはダービー勝利後、エクリプスステークス、インターナショナルステークス、アイリッシュチャンピオンステークスを経由して凱旋門賞に勝利している。
- 上記に近い記録を持つ例としては2017年のエネイブルがいる。3歳でオークスステークス、キングジョージ、凱旋門賞を制したが、三大レース制覇などのような取り上げ方はされていない。
英愛オークス三冠(オークスハットトリック)
「オークスステークス」「アイリッシュオークス」「ヨークシャーオークス」の3競走の総称。イギリスとアイルランドのレースで構成されている。
ヨークシャーオークスのみ1991年から古馬も出走可能になっており、2009年のサリスカと2010年のスノーフェアリーは2冠達成後にヨークシャーオークスで古馬の2着に敗れている。
達成年 | 馬名 | 達成年 | 馬名 |
---|---|---|---|
1978年 | フェアサリニア | 2006年 | アレクサンドローヴァ |
1988年 | ディミニュエンド | 2017年 | エネイブル |
1992年 | ユーザーフレンドリー | 2021年 | スノーフォール |
1999年 | ラムルマ |
- ユーザーフレンドリーは無敗での達成。
アメリカ合衆国競馬三冠競走(トリプルクラウン)
米国の競馬はヨーロッパ・日本と違って芝ではなくダート競走が主体であり、レース体系も大きく異なる。三冠は5月から6月にかけてのわずか5週間に施行される、
の3レースを指し、さらに8月には四冠目となるトラヴァーズステークスがある。四冠競走の全てに勝利することはスーパーフェクタ(Superfecta)と呼ばれる。いずれの競走も牡馬・牝馬・セン馬が全て出走可能である。
1920年代まではイギリスのレース体系に倣ってウィザーズステークス(1マイル・約1609m)、ベルモントステークス(12ハロン・約2414m)、ローレンスリアライゼーションステークス(13ハロン・約2615m)が三大競走とされていたが、あまり定着しなかった。のちに当時の高額賞金レースであるケンタッキーダービー、プリークネスステークス、ベルモントステークスを制したギャラントフォックスを新聞で三冠馬として取り扱ったため、こちらが三冠競走として定着した。
したがって、1919年にサーバートンが3競走(ケンタッキーダービー、プリークネスステークス、ベルモントステークス)に勝利した時代には3競走を三冠とする認識は確立されていなかったのだが[6]、現在は遡ってサーバートンが初代の三冠馬として認識されている。また、1920年に3歳となったアメリカ競馬最強馬の一頭マンノウォーは、ケンタッキーダービーこそ不出走だが、それ以外の5競走(プリークネスステークス、ウィザーズステークス、ベルモントステークス、トラヴァーズステークス、ローレンスリアライゼーションステークス)には全て勝利している。そのためマンノウォーは当時の体系で言えば三冠馬もしくは四冠馬ということになる。
アファームドが1978年に三冠を達成して以降、長らく三冠達成馬が現れない年が続いた。1979年のスペクタキュラービッドから2011年のカリフォルニアクロームまでケンタッキーダービーとプリークネスステークスを制した二冠馬は13頭もあらわれたのだが、いずれも三冠目のベルモントステークスは敗れるか怪我などにより不出走という結果に終わった。そのためもはや三冠馬は現れないのではとも言われていたが、2015年にアメリカンファラオが37年ぶりに三冠を達成した。更にその3年後にはジャスティファイが達成している。
四冠競走の全てに勝利するスーパーフェクタの達成馬は1941年のワーラウェイだけである。他にギャラントフォックス(1930年)、アファームド(1978年)、アメリカンファラオ(2015年)の3頭が挑戦したが、いずれもトラヴァーズステークスでは2着に敗れている。
なお、日本の文献では「アメリカクラシック三冠」という記述が散見されるが、アメリカ競馬においてはclassicsという言葉に日本や英国の競馬のような定義づけはされていないため、一般名詞として「最高峰のレース」といった意味でしか使われない。したがって米トリプルクラウンを指してクラシック三冠と呼ぶのは適切ではない。
米三冠路線は牡馬・牝馬・セン馬が全て出走可能だが、三冠達成はいずれも牡馬によるものである。
達成年 | 馬名 | 達成年 | 馬名 |
---|---|---|---|
1919年 | サーバートン | 1948年 | サイテーション |
1930年 | ギャラントフォックス | 1973年 | セクレタリアト |
1935年 | オマハ | 1977年 | シアトルスルー |
1937年 | ウォーアドミラル | 1978年 | アファームド |
1941年 | ワーラウェイ | 2015年 | アメリカンファラオ |
1943年 | カウントフリート | 2018年 | ジャスティファイ |
1946年 | アソールト |
- シアトルスルーは無敗で三冠達成。
- ジャスティファイは当初は無敗での達成の扱いであったが、三冠の競走に挑む前のサンタアニタダービー(GⅠ)で1位入線した時の薬物検査結果についていざこざがあり、この時の2着の馬主から裁判にまで持ち掛けられ、その結果2024年に三冠の初戦の前のサンタアニタダービーの1着の記録は失格処分の判決となり、無敗での三冠達成は取り消された。
- ワーラウェイはトラヴァーズステークスにも優勝し、スーパーフェクタ達成。
- ギャラントフォックスとオマハは父子であり、現在のところ唯一の親子二代三冠馬。
- ウォーアドミラルは映画『シービスケット』でシービスケットのライバル馬として登場する。
- セクレタリアトは米国競馬史上最高の名馬マンノウォーに続く「ビッグ・レッド」の異名を取り、ブラッド・ホース誌選定『20世紀のアメリカ名馬100選』でもマンノウォーに次ぐ2位。また、ESPN社選定『20世紀のトップアスリートベスト100』において、馬でありながら35位に入選するという珍記録(?)を得た(このランキングではサイテーションも97位に名を連ねている)。
- アメリカンファラオは三冠達成の年にブリーダーズカップ・クラシックにも勝利して「グランドスラム」を達成した。アメリカンファラオが三冠を達成した時点では「グランドスラム」という路線認識は存在していなかったが、トラヴァーズステークスで2着に敗れてスーパーフェクタが未達成となった後、ESPN社のスポーツライターであるボブ・イーハルトがアメリカンファラオの次なる挑戦としてブリーダーズカップ・クラシック制覇を「グランドスラム」と定義し、これが広まったものである。2018年のジャスティファイも三冠達成後に陣営が挑戦を表明していたが、調整中の怪我が原因で引退、未挑戦に終わっている。ブリーダーズカップ創設が1984年であり、ブリーダーズカップ創設後で最初の三冠馬がアメリカンファラオであるため、アメリカンファラオが最初の「グランドスラム」挑戦例であり、かつ現在唯一の挑戦例となっている。
ニューヨーク牝馬三冠(トリプルティアラ)
の3つの3歳牝馬限定競走のことを指し、これをすべての競走がニューヨーク州の競馬場で行われる(エイコーンステークスはベルモントパーク競馬場、残り2競走はサラトガ競馬場)ことからニューヨーク牝馬三冠、またはトリプルティアラと呼称している。牝馬限定の三冠であるためか、アメリカ三冠とは違い過酷なローテーションにはなっていない。
なお、三冠の体系は過去に何度か変化している。2002年まではエイコーンステークス、マザーグースステークス(現在はGII)、CCAオークスの3競走を三冠競走としており、2020年時点での達成馬は全てこの体系で達成している。その後、2003年から三冠競走からエイコーンステークスが除かれ、アラバマステークスが新たに三冠競走に加えられるも、この体系の三冠競走は2006年までというわずかな期間で終了し元の体系に戻される。そして2010年にマザーグースステークスを三冠競走から除外し、2003年に一度三冠競走となったアラバマステークスを再び三冠競走に設定して、今の三冠の体系となった。
達成年 | 馬名 | 達成年 | 馬名 |
---|---|---|---|
1968年 | ダークミラージュ | 1989年 | オープンマインド |
1969年 | シュヴィー | 1993年 | スカイビューティ |
1974年 | クリスエヴァート | ||
1975年 | ラフィアン | ||
1979年 | ダヴォナデイル | ||
1985年 | モムズコマンド |
- ダークミラージュは日本での知名度は低いが三冠レースで2着につけた合計着差は28馬身と史上最大である(2位のラフィアンは24馬身)。またこの馬も、予後不良ではないものの後にレース中の事故が原因で死亡している。
- ラフィアンは無敗での三冠達成、その後マッチレース中の故障で予後不良の診断が下される。
- オープンマインドはのちに日本に繫殖牝馬として輸入されたが、不受胎が相次ぎ、結局残せた産駒は持込馬である牝馬イージーマインド(父イージーゴア)だけである。
- 2011年、オープンマインドとスカイビューティがアメリカ競馬殿堂入りを果たしたことにより、すべての馬が殿堂入りを果たしている。
ニューヨーク芝三冠(ターフトリニティ)
アメリカで競馬を開催するいくつかの団体のうち、ニューヨーク牝馬三冠を主催するニューヨーク州競馬協会が2019年に創設した三冠競走。ベルモントパーク競馬場及びサラトガ競馬場で開催される。各レースの距離はトリプルクラウンと共通だが、レース間隔は7月から9月まで1月毎になっていて、比較的余裕が取られている。
の3レースを指す。このうちベルモントダービー以外の2競走は芝三冠の為に新設されている。開催はベルモントダービー、ジョッキークラブダービーがベルモントパーク競馬場、サラトガダービーがサラトガ競馬場。賞金は各レース共通で100万ドル。三冠達成時のボーナスは現在は特に決められていない。
ニューヨーク芝牝馬三冠(ターフティアラ)
ニューヨーク芝三冠と同じ2019年に整備された。芝三冠と同じく距離もトリプルティアラに準じている。
の3レースを指す。開催競馬場、開催時期、ベルモントオークス以外の2レースが新設されたのもターフトリニティと共通するが、各レースの賞金は75万ドルとなっている。
その他の国の三冠レースの概念
アイルランド
一応アイリッシュ2000ギニー、アイリッシュダービー、アイリッシュセントレジャーは存在するが、すぐお隣の国に本家三冠レースが存在するため、アイリッシュ2000ギニーやアイリッシュダービーに有力馬が出走することはあるものの、アイリッシュセントレジャーにクラシック級の馬が出走することは少ない。そのため達成馬も1935年のミュージアムと1942年のウィンザースリッパーの2頭のみで、1997年にデザートキングがグランディ以来22年ぶりにアイルランド2冠を達成した際には早々にアイリッシュセントレジャーへの不出走が宣言された。またアイリッシュセントレジャーは1983年より古馬にも開放されており、現在は三冠路線のの1競走としてよりは長距離路線の1競走としての側面が強い。
牝馬路線としてアイリッシュ1000ギニー、アイリッシュオークスも存在するが、こちらも同様である。
フランス
かつてはプール・デッセ・デ・プーラン(フランス2000ギニー)、ジョッケクルブ賞(フランスダービー)、ロワイヤルオーク賞(フランスセントレジャー)が三冠、あるいはこれにリュパン賞(旧・皇帝賞)を含めた四冠として扱われていた。
しかし2000ギニーとジョッケクルブ賞はともかく、ロワイヤルオーク賞は同時期に凱旋門賞等があるためクラシック級の馬にとっては出走する優先度が低く、達成馬は1879年のズィットと1899年のパースの2頭のみと19世紀にまで遡る必要がある。結果、ロワイヤルオーク賞は1979年から古馬も出走可能なレースへと変更され、三冠路線としてよりは長距離路線の1競走としての側面が強くなった。
また、3歳競走の最高峰は1863年から長らくパリ大賞典と認識されていたが、英国流の三冠体系では最高峰競走が含まれていないという問題もあった。そうしたなか、2005年にジョッケクルブ賞の距離が2400mから2100mに短縮され、ロワイヤルオーク賞の代わりにパリ大賞典を三冠目とする新たな三冠路線が確立した。この三冠の達成馬はまだいない。この三冠路線成立以前も含めれば、以前のフランス三冠を達成したパースのみが達成している。
また凱旋門賞の成功以降は、ジョッケクルブ賞、パリ大賞典、凱旋門賞を三大競走とする場合もあり、1941年のルパシャと1997年のパントレセレブルが達成している。
牝馬路線としてはプール・デッセ・デ・プーリッシュ(フランス1000ギニー)、ディアヌ賞(フランスオークス)、ヴェルメイユ賞が存在する。ヴェルメイユ賞はクラシック競走ではない牝馬限定競走で、日本のビクトリアカップ(後のエリザベス女王杯、秋華賞)のもととなった競走である。こちらは現在も三冠路線として認識されており、最近では2008年にザルカヴァが達成している。
ドイツ
一応メールミュルヘンスレネン(ドイツ2000ギニー・GII)、ドイチェスダービー(GI)、ドイチェスセントレジャー(GII)という三冠路線は存在するが、3歳春に実績を残した競走馬は主にイギリスやフランスの大レースに向けて調整されるため、ドイツ国内での三冠レースという概念はほとんど存在しない。過去にケーニヒスシュトゥールのみが達成している。
旧ソ連
2歳王者決定戦の「М・И・カリーニン記念」、ソビエトダービーに当たる「ボリショイ・フシエソユツニー賞」、古馬チャンピオンを決める「ソビエト社会主義共和国賞」という特殊な三冠レース体系が取られていた。主な達成馬にアニリンがいる。
アルゼンチン
様々な三冠体系が存在するが最も代表的なものは「ポージャ・デ・ポトリロス」「ジョッキークラブ大賞」「ナシオナル大賞」の3競走で、1917年のポタフォゴ、1966年のフォルリが有名。四冠目として「カルロス・ペレグリーニ大賞」がある。
また、1999年のサンイシドロ三冠馬(ドス・ミル・ギネアス大賞、ジョッキークラブ大賞、カルロス・ペレグリーニ大賞)のアシデロはホーリックスの芝2400m世界レコードを更新した馬としても有名。
ブラジル
パート1国のブラジルではリオ地区やサンパウロ地区などで競馬が行われており、様々な三冠体系が存在する。
一例としてリオ地区では「ヒオ・ヂ・ジャネイロ州大賞」「F.エドゥアルド・ヂ・パウラ・マシャド大賞」「クルゼイロ・ド・スウ大賞(ブラジルダービー)」の3レースが牡馬三冠、「エンヒキ・ポソロ大賞」「ディアナ大賞」「Z.G.ペイショート・ヂ・カストロ大賞」の3レースが牝馬三冠となっており、前者は12頭、後者は5頭が達成している。
2021年にはブラジルで繋養されて余生を送っているアグネスゴールドの産駒・ジャネールモネイがリオ牝馬三冠に挑戦し見事に牝馬三冠馬となった。前年シーズンの2020年、マイスキーボニータはリオ牝馬3冠戦を1着、1着、2着だったので同じ産駒が雪辱を晴らすこととなった。
チリ
主催者ごとに体系が存在するが、ナショナル三冠のように複数の主催者に跨がった体系もある。
ナショナル三冠
エル・エンサージョ・メガ(芝2400m)、チリ・セントレジャー(ダート2200m)、エル・ダービー(芝2400m)の3競走。三冠競走に芝とダートのレースが混合している。3競走はそれぞれ主催者が異なり、3競走の全てに出走しようとする馬自体が稀。
ダート三冠
「ドス・ミル・ギネアス(牡馬)/ミル・ギネアス(牝馬)」「グランクリテリウム」「クラシコ・セントレジャー」の3競走。牡馬では2000年にリドパレスが、牝馬では2017年にワウキャットが達成している。
ウルグアイ
「ポージャ・デ・ポトリージョス大賞」「ジョッキークラブ大賞」「ナシオナル大賞」の3競走。1913年のリカウルテを始め牝馬1頭を含む22頭の達成馬がいる。94年のパルジファルからはしばらく三冠馬が現れない期間が続いたが、2005年にインヴァソール、2014年にサーフィーヴァーが達成した。四冠目として「ホセ・ペドロ・ラミレス大賞」ある。
カナダ
例年は6~8月に行われ、6月のクイーンズプレート(AW10ハロン≒2000m)、7月のプリンスオブウェールズステークス(ダート9.5ハロン≒1900m) 、8月のブリーダーズステークス(芝12ハロン≒2400m)の3レースで構成されている。オールウェザー、ダート、芝と全競走で馬場が異なるという極めて珍しい競走体系になっている。
2020年は新型コロナウイルスの影響で3レースとも延期になる中、カナダを拠点にしている日本人の福元大輔騎手がマイティハート(Mighty Heart)で二冠を勝利。2003年のワンド以来17年ぶりの三冠に挑んだが、ブリーダーズステークスでは7着であった。
プエルトリコ
「コパ・ゴベルナドール」「デルビー・プエルトリケーニョ」「コパ・サンファン」の3競走。1945年のカマレロを初めとして14頭が達成している。1945年の達成馬カマレロはデビューから無敗の56連勝を記録し、キンツェムの54連勝記録を更新した国民的英雄。
南アフリカ
「ケープ・アーガス・ギニー」「サウス・アフリカン・クラシック」「サウス・アフリカン・ダービー」の3競走。1999年に成立。ホースチェスナット(1999年)、ルイスザキング(2014年)、アバシリ(2016年)、マルムース(2021年)が達成。
オーストラリア
シドニー三冠(トリプルクラウン)
「ランドウィックギニー」「ローズヒルギニー」「オーストラリアンダービー」の3競走。1935年から2005年までは「カンタベリーギニー」が1冠目だったが同レースの廃止にともない2006年から現体系になった。達成馬では1996年に達成したオクタゴナルが有名。
春古馬三冠(スプリンググランドスラム)
「コーフィールドカップ」「コックスプレート」「メルボルンカップ」の3競走を同一年に勝利することで達成となる。 1954年に3競走に勝利したニュージーランド産駒のライジングファストが唯一の達成馬とされる。年をまたいで3競走に勝利した馬にはマイトアンドパワー(97コーフィールドカップ、97メルボルンカップ、98コックスプレート)がいるが達成馬とはみなされていない。
香港
クラシック三冠は3歳ではなく4歳限定で、香港クラシックマイル(芝1600m)、香港クラシックカップ(芝1800m)、香港ダービー(芝2000m)で構成される。いずれも香港所属馬のみが出走可能。
達成したのはラッパードラゴン(2017年)、ゴールデンシックスティ(2020年)の2頭のみ。
これとは別に古馬も対象とした国際三冠レースが2つある。香港トリプルクラウンシリーズは香港スチュワーズカップ(芝1600m)、香港ゴールドカップ(芝2000m)、香港チャンピオンズ&チャターカップ(芝2400m)、チャンピオンスプリントシリーズはセンテナリースプリントカップ(芝1200m)、チェアマンズスプリントプライズ(芝1200m)、クイーンズシルヴァージュビリーカップ(芝1400m)で構成される。
関連動画
関連静画
関連項目
脚注
- *セントライト達成時の1941年時点ではこれらに該当する年間表彰制度が存在しなかったため。
一方で、コントレイルの達成時の2020年は直接対決で勝利したアーモンドアイが優先され、続いて現役中だった翌2021年でも同様にコントレイルとの直接対決を制した3歳馬エフフォーリアが選出されている。 - *他に出走したクラシックレースの東京優駿競走は2着で惜しくも変則三冠は逃した。
- *デアリングタクトの前に無敗で牝馬二冠を達成したミスオンワードは優駿牝馬が8戦目。3冠目の菊花賞は優駿牝馬から連闘で出走した東京優駿を含めて12戦目である
- *阪神大賞典はダイナカーペンターと同着
- *当時は小倉3歳Sと小倉障害S(現在の小倉2歳Sと小倉サマージャンプの前身)がいずれも重賞では無くオープン特別のため。なお、小倉3歳Sについては勝利している。
- *たとえば1922年はケンタッキーダービーとプリークネスステークスが同日開催であり、そもそも路線として成立していない。
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