『ファイターズヒストリー』とは、1993年にデータイースト(DECO)が製作したアーケード用対戦型格闘ゲーム、及びシリーズ作品である。略称は「ファイヒス」「FH」、第二作の略称は「FHD」。
本記事では第一作の同名タイトル、第二作「ファイターズヒストリーダイナマイト」、スーパーファミコン用ソフト「溝口危機一髪!!」について記述する。
ファイターズヒストリー(初代)
概要
当時一大ブームとなっていたカプコンの『ストリートファイターⅡ』に便乗したゲームの一つであり、中でも唯一カプコンに訴訟を起こされた。
裁判の際にDECOは「対戦型格闘ゲームの元祖は我が社が1984年9月に発売した『対戦空手道 青春美少女編』であり、むしろ『ストⅡ』が著作権を侵害している」と主張、最終的には和解に至っている。カプコンが訴訟に踏み切った理由として、あきまん氏は初代『FE』と『ストⅡ』のデータの並べ方が酷似しており、DECOがデータを吸い取った疑惑があったことを挙げている[1]。
ゲームとしての完成度は高く、スーパーファミコン版の移植度も当時としては良好だった。
ファイターズヒストリーダイナマイト
概要
1994年3月にMVSで発売。プラットフォームの都合で初代の6ボタンから4ボタンに変更された。なお、前述の訴訟の和解は10月なので、発売当時はバリバリ係争中である。DECO恐るべし。
前作以上にパワーアップしたデコゲー独特の濃さに加え、読み合いを重視した硬派なゲーム性による駆け引きが熱く、多くのプレイヤーの支持を受けた。現在でもこのゲームを用いた大会が開かれるほど。
プレイステーション4やニンテンドースイッチを持っていれば、アーケードアーカイブスにてプレイ可能。
ゲームシステム
前作を踏襲しているが改めて紹介する。主な特徴として以下の点が挙げられる。
弱点システム
一つはキャラクターの弱点を何度か攻撃するとその弱点が外れ、キャラクターが気絶するという「弱点システム」がある。
気絶するのは各ラウンドに一回のみ。ただしそのラウンド中、さらに弱点へ叩き込むとダメージが増す。
弱点ポイントはキャラによって異なるので、これの位置によって戦い方も変わってくる。
キャラのメンツの濃さと溝口ボイス
もう一つはキャラグラフィック。一度見れば忘れられないであろうDECOテイストに溢れた格闘家たち。設定もはっちゃけまくったキャラが多い。
その中でも一際人気が高かった溝口誠。当時非常に賑やかだったゲームセンター内で「タイガーバズーカじゃ!」「チェストォ!」と更に突き刺すようなボイスでギャラリーの注目を集め、強烈な印象を残した。ちなみに声の担当は当時のデータイースト社員・森田氏。
空耳
最後は、キャラクターのセリフ、声優には現地語やネイティブスピーカーを採用。結果として極めて聞き取り辛く、聞き違いが続発した。
クラウンの必殺技「ピック・ア・カード!」→「へったくそー!」が有名。
ゲームバランス
格闘ゲームを用いた配信が増えた現在では、本作でもガチ勢や研究者によってキャラ差が明らかになっている。
強キャラは李とザジィ。李は高火力コンボに無敵対空技に当たりにくい自身の膝弱点と本作の環境に噛み合っている。ザジィはコマンドに癖があるものの必殺技が優秀な事から李と十分に戦える性能を誇る。これにより大会では李とザジィのプレイヤーが多い。
次点でレイ。技こそどれも高水準だが弱点である胸のアップリケが当たりやすいのは致命的ということで1ランク下げた評価に。
レイと同格のカルノフは飛び道具やバルーン、ワープ技といった特殊な性能を持つ。ザジィ同様使いこなすには慣れがいる。
溝口は虎流砕が優秀。突進技を全て当てて一気に試合を決めにいく流れが魅力的だが、タイガーバズーカ発射後の硬直や隙が目立つ点や、守勢に回ると相手のプレイヤースキル次第で押されてしまうため中位止まり。ザジィと同じ頭部のハチマキが弱点だが長身の彼より食らいやすい点も厳しい。
その他のキャラは利点より欠点が多いなどで上位に食い込めない。
とはいえ普通にエンジョイ対戦する分には、ジャンプ力が極端に低いマーストリウス以外は誰でも戦えるので安心されたし。
ファイターズヒストリー 溝口危機一髪!!
1995年にスーパーファミコンで発売。事実上のシリーズ最終作。
『ダイナマイト』のアレンジ移植として製作されたものだが、独自要素が多く実質的な続編となっている。キャラクターはレイ、サムチャイ、マットロック、ジャン・ピエール、マーストリウスが削除され、ラスボス兼隠しキャラとしてチェルノブが追加された。
家庭用の格闘ゲームにトレーニングモードを実装した最初期の作品でもある。
登場キャラクター
第一作より登場
レイ・マクドガル
ロス市警に勤務している刑事。タバコ嫌いだが、自身のエンディングで勤務中に喫煙する描写がある。
出の早い飛び道具ビッグトルネードに、高性能対空キック・ホイールキック、ダイナマイトタックルまで全キャラに対し安定。まさに主人公である。
その後、溝口に完全にお株を奪われてしまい、主人公(笑)となった。
溝口誠(みぞぐち・まこと)
28歳の高校生で、自称「喧嘩百段」。学ラン姿で口の悪い大阪人。『ストリートファイター』のリュウを不良化(not殺意の波動)させた感じ。グレートグラップルで喧嘩百段を相手に知らしめるも、エンディングでは全地球爆拳闘大会の招待選手として強引に連れ去られてしまう。
キャラ選択画面のグラフィックが『ストII´』のリュウに似ている上に、あまりに強烈なキャラクターだったのもあり、当時からファンの間では「主人公は溝口」と勘違いされていた。
それがきっかけでSFC用ソフト『ファイターズヒストリー 溝口危機一髪!!』ではサブタイトルの通り、レイを押しのけて完全に主人公となる作品が作られた。『水滸演武』の隠しキャラ以降登場が無かったが、最近『KOFMI』や『喧嘩番長3』にゲスト出演を果たす。
サムチャイ・トムヤムクン
ムエタイ使い。無敵のお兄ちゃん。
「ジュッ!!」「ハァー」「ティーカウコーン」「お前らのお兄ちゃんは不死身だ!!(ちなみにこれは『ダイナマイト』での台詞)」
これらの台詞の影響もあって、一部でカルト的人気を獲得した。
嘉納亮子
谷亮子ではなく、漫画『YAWARA!』の主人公に近い雰囲気を持つ柔道少女。所謂投げキャラ
ジャン・ピエール
フランスのキザな坊ちゃま。嫌いな物にサムチャイと挙げている。
前に溜めるという異様なコマンド技を持つ。
性能面ではガイルのようなサマソとソニブーと突進技を加えたようなキャラ。火力が低いのが難点。弱点は太もものレッグバンド
マットロック・ジェイド
モヒカンヘアーの青年。性能は劣化版のジャン。モヒカン故仕方ない。弱点はヘッドホン
李典徳(リー・ディエンドー)
絶招歩法が異常に強い、画面端で気絶させたときの連続技は脅威。弱点は膝
マーストリウス
いわゆる投げキャラで打撃も強力だが動きが鈍いしジャンプ力も低い。そのためフルボッコにされやすい。弱点は足にはめてあるレッグウォーマーで余計にキャラランクを下げる原因に。
劉飛鈴(リュウ・フェイリン)
中国人の京劇女優。ナルシストで尊大。顔のグラフィックが異常に濃い。溝口危機一髪で何故かツンデレキャラに変貌。
通常技のリーチと対空は強いが最弱と言われている。その理由は弱点である胸当てが異様にでかい。そのため、ぴよりから死亡なんて珍しくない。
クラウン
ホモの中ボス。空耳が激しい。連続技が難しい癖に減らせないというキャラ。利点を挙げるとするならスピンアタックが非常に強力なところ。弱点は仮面
カルノフ
『ファイターズヒストリー』および『ダイナマイト』のラスボス。アクションゲーム『カルノフ』の主人公でもある。
DECOテイストに溢れたむさい容貌で、特にオープニングでの登場シーンが強烈である。
バルーンアタックによる攻撃+空中制御のおかげもあってか使用者は比較的多め。弱点はダイナマイトでは首にかけてある大きめのネックレス
ダイナマイトから新登場
柳英美(リュウ・ヨンミー)
普段の姿はツアーコンダクター。人呼んで「テコンドーの女王」。カルノフを倒すと父はカルノフとの戦いで敗れ自害、母は行方知れずというショッキングな内容を伝えられ消息を絶つエンディング。
鍛えた太ももが特徴でテコンドーキャラらしく、オーラスマッシュとネリチャギの二択が強力。
ザジィ・ムババ
むさいオッサン。自然保護友の会会長で自然と動物を守るべく戦う。
リーチが長い技が多く、バルカンフックを絡めたラッシュが非常に強力だが扱いは難しいため上級者向け。弱点はハチマキ
その他
牛
さあ牛だ。ダイナマイトの隠しボス。元は『空手道』のボーナスステージ。一敗もせずにボスを倒すと遭える。
チェルノブ
同社ゲーム「チェルノブ」の主人公こと"戦う人間発電所"。「溝口危機一髪!!」に登場する。
関連動画
○○集
プレイ動画
その他(MADなど)
関連商品
外部リンク
- ファイターズヒストリー(SFC)(プロジェクトEGG)
- ファイターズヒストリーダイナマイト(NEOGEO)(プロジェクトEGG)
- アケアカNEOGEO ファイターズヒストリーダイナマイト(ニンテンドースイッチ)
- アケアカNEOGEO ファイターズヒストリーダイナマイト(PS4)
関連項目
脚注
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