「水樹奈々大いに唄う」とは文字通り水樹奈々が座長を務める公演イベントである。
概要
何らかの水樹の楽曲・作品が発売されたことを記念して開催されるイベントなのだが、最大の特徴として、水樹がただ歌を歌うだけでなく、舞台での劇が行われる、そしてその中で水樹の真骨頂と言うべき演歌の歌唱を披露することである。
事の発端は2008年のこと。この年の大晦日をもって、新宿歌舞伎町にある演歌の殿堂、新宿コマ劇場が業績悪化と老朽化、隣接地を含めた再開発に伴い閉館すると発表されたことである。演歌歌手や俳優による特別公演、各種ミュージカルが行われてきたこの劇場、演歌の道を志した物にとってはいつかこの劇場で公演を行い、客席を満員にするというのが最大の夢であった。今では人気声優アーティスト、アニソンの女王と呼ばれるようになった水樹も元は演歌の道を志していた身。コマ劇での歌謡ショー開催を夢として公言していたのだが、閉館になってしまってはそれがかなわぬ夢となる。そこでキングレコードのプロデューサー、三嶋章夫が四方手を尽くして、ギリギリ閉館間近の時期に日程を確保、開催にこぎ着けたのであった。無論声優がコマ劇の舞台に立ってイベントを行うのは最初で最後となる。
で、演歌歌手の舞台公演につきものと言えば、歌謡ショーと演劇。と言うことで、水樹の友人知人である声優たちに声をかけて舞台で演じてもらう事になったのである。もちろん皆さん役者ですから演技にも熱が入るし、出演者の中には声優業だけでなく舞台でも演じる人が多い。そんな物だからきちんと演じることになる……のだが、中の人ネタや内輪ネタや下ネタ、さらにはあまりにも暴走しすぎるアドリブなど、破天荒な演劇と化し、場内は拍手と歓声、そして爆笑に包まれる。これが好評だった物だから以後会場を変えて開催されるようになった。
ちなみに毎回出演者は変わる(第1回、第2回ではさらに一部の配役がダブルキャストになっている)のだが、常連とも言えるメンツもいる。これまで行われた5回の公演のうち、水樹を崇拝するあまりに副座長になっているフリーダム杉田こと杉田智和を筆頭に、事務所の後輩かつスマギャン副ヘッドで自ら劇団を主宰し舞台経験も豊富な福圓美里、同じ事務所の保村真と松本保典、そして共演の多い小西克幸の5人は5回とも出演、それに次いで水樹と仲が良くやはり舞台出演経験の多い名塚佳織が4回、沢城みゆきが3回出演しているほか、第3回公演からは座付き作家として浅沼晋太郎が脚本と演出を担当している。また第4回公演以外ではナレーションを大御所声優が担当するのもポイントである。
こうした常連メンバーも多いことでほぼ恒例となるネタも多数ある(小西の水樹との身長差いじりネタ、松本の物販グッズネタ、杉田のオタクネタ、第2回~第4回のプリキュアネタ、司会進行や場つなぎでの三嶋P登場時の観客によるあきおコール&いじり等々)。
ということで、以降は実質的メインとなる演劇の内容を中心に記す。
新宿コマ劇場座長公演“水樹奈々大いに唄う”
2008年10月11日に新宿コマ劇場で開催された、シングル「Trickster」発売記念イベント。この回のみ朝・昼・夜の3公演で行われた。
この時の演劇は「歌姫華仕置 疾風の奈々参上」という、江戸の三悪人が将軍の一人娘である歌姫をさらって身代金をせしめようとするが、水樹演ずる疾風の奈々が加わったことで一騒動起きるというお話。この中で水樹は坂本冬美の「夜桜お七」と中村美律子の「河内おとこ節」を歌っている。
映像ソフトでは夜の部(演劇パートのみ)がアルバム「ULTIMATE DIAMOND」初回限定盤同梱DVDに、昼の部(ライブパートも含む)がPV集「NANA CLIPS 5」に収録されている。
- 疾風の奈々:水樹奈々
- マムシの彦蔵:杉田智和
- 雀蜂のお陸:桑谷夏子(朝公演)、福圓美里(昼公演)、沢城みゆき(夜公演)
- 赤目の陣八:保村真(朝公演)、小西克幸(昼・夜公演)
- 近藤伊予守:松本保典(朝公演)、鈴村健一(昼・夜公演)
- ナレーション:若本規夫
中野サンプラザ座長公演“水樹奈々大いに唄う 弐”
2010年12月4日に中野サンプラザで開催された、PV集「NANA CLIPS 5」発売記念イベント。
この時の演劇は「異説龍馬維新伝」という、もしも坂本龍馬が女性だったら、という歴史IFストーリーを、水樹演じる龍馬を中心に描いている。この「水樹演じる主人公が元は男性なのに実は女性だったら」と言うパターンが今後定着するようになる。この中で水樹は石川さゆりの「天城越え」と美空ひばりの「川の流れのように」を歌っている。そして今や伝説と化したキュアマジックリンの一件が飛び出したのもこの演劇であった。
映像ソフトでは夜の部がベストアルバム「THE MUSEUM II」同梱DVD/BDに収録されている。
- 坂本龍馬:水樹奈々
- 中岡慎太郎:杉田智和
- 桂小五郎:速水奨
- 西郷隆盛:松本保典
- おりょう:桑島法子(昼の部)、水沢史絵(夜の部)
- 千葉さな子:福圓美里
- 近藤勇:保村真
- 土方歳三:小西克幸
- 沖田総司:名塚佳織
- ナレーション:内海賢二
両国国技館座長公演“水樹奈々大いに唄う 参”
2013年3月3日に両国国技館で開催された、アルバム「ROCKBOUND NEIGHBORS」発売記念イベント。
この時の演劇は「光圀-meet, come on!-」という、水戸黄門がお祭り好きでおてんばなお姫様だったらというIFと、竹取物語の伝承をミックスさせた、水樹演じる黄門ご一行が世直し旅の途中で訪れたある村でのお祭りを巡る物語となっており、この回から浅沼晋太郎が脚本と演出を手がけている。また、ナレーターも水戸黄門テレビドラマシリーズ末期にナレーションを担当した槇大輔が務めている。この回で水樹のライブの十八番とも言えるフライングを杉田がやらされており、これがある意味定番化するようになる。この中で水樹は美空ひばりの「お祭りマンボ」と都はるみの「千年の古都」を歌っている。
映像ソフトでは夜の部がPV集「NANA CLIPS 6」に収録されている。
- 徳川光圀:水樹奈々
- 佐々木助三郎:保村真
- 渥美格之進:小西克幸
- 八兵衛:杉田智和
- お銀:沢城みゆき
- 弥七:浅沼晋太郎
- 松本源太郎左衛門:松本保典
- 紅:名塚佳織
- シロガネ:宮野真守
- おはね:福圓美里
- ひかりの姫宮:能登麻美子
- ナレーション:槇大輔
国立代々木競技場第一体育館座長公演“水樹奈々大いに唄う 四”
2016年1月24日に国立代々木競技場第一体育館で開催された、アルバム「SMASHING ANTHEMS」発売記念イベント。
この時の演劇は「新説 桃太郎英雄譚」という、桃太郎の物語(香川県では「女の子が鬼にさらわれないよう桃太郎と名付けられた」という話がある)を軸に様々なおとぎ話や伝承を交えて構成された物語となっている。会場が会場だけにファンからも「マジで?」という声が上がったが、作・演出の浅沼は会場の広さを活かしたアクション活劇(特に水樹は77人斬りに挑む)に仕立て上げた。ネタのひどさは相変わらずだが。また、杉田が前回に引き続きフライング(というより吊される)、さらに沢城も会場の端から真ん中へフライングしている。この中で水樹は氷川きよしの「きよしのズンドコ節」、坂本冬美の「あばれ太鼓~無法一代入り~」、美空ひばりの「愛燦燦」を歌っている。
映像ソフトでは夜の部がPV集「NANA CLIPS 7」に収録されている。
- 桃太郎:水樹奈々
- 犬:保村真
- 猿:杉田智和
- キジ:名塚佳織
- 金太郎:小西克幸
- 一寸法師:福圓美里
- くま:浅沼晋太郎
- おじいさん:松本保典
- 黒鬼:置鮎龍太郎(キャプテン・フック)
- 少年:沢城みゆき(ピーターパン)
- 浦島太郎:中村悠一
- 乙姫:五十嵐麗(おばあさん)
幕張イベントホール座長公演 “水樹奈々大いに唄う 伍”
2019年5月5日に幕張メッセ幕張イベントホールにて開催された、PV集「NANA CLIPS 8」発売記念イベント。この回は夜1回のみの開催となるが、その代わりとして全国各地の映画館でライブビューイングも行われた。さらに座長公演としては初めて、水樹がCM出演しているタマホームが特別協賛についた。
この時の演劇は「シノバズ ~決戦!すぎた十勇士~」という、真田幸村と真田十勇士の大坂夏の陣での活躍を、水樹が猿飛佐助、杉田が幸村を演じる形で物語を繰り広げた。ナレーションは野沢雅子が担当。一方、作・演出の浅沼は今回は未出演となった。その代わりか、浅沼も所属する事務所の殺陣ができる役者、パフォーマーやマジシャンなどが役有りで出演するのも特徴となった。この中で水樹は松村和子の「帰ってこいよ」、森昌子の「越冬つばめ」、北島三郎の「まつり」ついでに言えばタマホームのCMソングもを歌っている。
- 猿飛佐助:水樹奈々
- 三好清海入道:小西克幸
- 筧十蔵:名塚佳織
- 穴山小助:福圓美里
- 根津甚八:保村真
- 三好伊佐入道:宮本親臣
- 由利鎌之助:NAO-G
- 蛟局:井上喜久子(服部半蔵)
- 大蛇姫:日笠陽子(霧隠才蔵)
- 蟒:猪狩敦子(望月六郎)
- 朽縄:桃歌(海野六郎)
- 煙丸:笹岡幸司(石川五右衛門)
- 宮本武蔵:中村悠一
- 徳川家康:松本保典
- 真田幸村:杉田智和
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関連項目
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