虐殺器官(Genocidal Organ)とは、伊藤計劃著作の長編SF小説である。
概要
2006年、第7回小松左京賞最終選考候補。「ベストSF2007」国内篇第1位。「ゼロ年代SFベスト」国内篇第1位。
2007年、早川書房・ハヤカワSFシリーズJコレクションより刊行。
2015年にフジテレビ「ノイタミナムービー」第2弾「Project Itoh」として
事実上の続刊『ハーモニー』と共に劇場版アニメ化が決定されている。
それに伴い、ギルティクラウンのキャラクターデザインを担当したredjuiceが表紙を務める新装文庫版が刊行。
2015年10月公開を予定していたが、「表現方法の追求」を理由として1ヶ月遅れの11月13日公開予定とされた。
しかし、アニメーションを担当する制作会社のマングローブが2015年9月29日に破産を申告。
これを受けて2015年10月2日、公式サイトから制作体制の見直しの為に公開延期が発表された。
尚、続刊である『ハーモニー』は本作品当初の公開日だった11月13日に繰り上げられた。
2015年11月13日、「Project Itoh」3部作チーフプロデューサーである山本幸治によって当該作品の英語タイトル「Genocidal Organ」に因んだ「ジェノスタジオ」の設立を発表。
2016年2月2日、韓国映画『復讐者に憐れみを』『オールド・ボーイ』『親切なクムジャさん』の復讐三部作で知られるパク・チャヌク監督により実写映画化が決定。
2016年6月10日、今冬公開が決定。同時に新規ビジュアル・告知PVが公表。
2016年10月31日、公開日が2017年2月3日に正式決定。
ストーリー
9.11以降の、“テロとの戦い”は転機を迎えていた。先進諸国は徹底的な管理体制に移行しテロを一掃したが、後進諸国では内戦や大規模虐殺が急激に増加していた。米軍特殊部隊大尉クラヴィス・シェパードは、その虐殺の陰に常に存在が囁かれている謎の男、ジョン・ポールを追跡すべくチェコへと向かう…
彼の目的とは一体何なのか? 大量殺戮を引き起こす“虐殺の器官”とは?
登場人物
※一部ネタバレが含まれています
“けれど、ここ以外の場所は静かだろうな、と思うと、すこし気持ちがやわらいだ。”
米軍特殊部隊に於いて唯一「暗殺」を主任務とし情報活動を兼務する、情報軍・特殊検索群i分遣隊隊長。
階級は大尉。チェコ共和国・プラハへの潜入任務からジョン・ポールと邂逅する。
父親の猟銃自殺、交通事故によって脳死状態に陥った母親の生命維持装置を止めた過去を持つ。
文学部卒の無神論者で、感情の影響を受けない究極の戦士化を行う「戦闘前感情適応調整」処置後の殺人行為も任務と割り切る優秀なリーダーだが、過剰なセキュリティで生きる自分たちを過保護なアメリカ人と揶揄する面も。
映画と文学に造詣があり、母親から「ことばにフェティッシュがある」と評されたこともある。
「理不尽なものはみんなカフカだ」
クラヴィスの相棒であるi分遣隊所属の兵士。所帯持ちで、常に軽口を絶やさず、ゴシップ雑誌とモンティ・パイソンのスケッチを愛好する豪快さと軽快なユーモアセンスを持つ。
クラヴィスとは好対照な性格故に良きコンビネーションを発揮し、プラハへの潜入任務に同行する。
本作のスピンオフ作品「The Indifference Engine」にも登場している。
「地獄はここにありますよ。瞼の裏側、大脳の襞、パターンの中に」
i分遣隊隊員。ウィリアムズ、リーランドと違い、クラヴィスに対して敬語で話し思慮深い言動を貫く。
神学の修士号を所持し、カトリックを深く信仰する敬虔なクリスチャンだが、「地獄」という存在に独自の考えを持つ。
東欧での任務から2年後、車内にて自殺する。葬儀はカトリックの礼式に則って執り行われた。
その自死と、彼が戦地で漏らしたある言葉がその後のクラヴィス達に重く突き刺さることとなる。
リーランド
i分遣隊隊員。明快な性格の持ち主な若者であり、クラヴィスの部下。アレックスとは同期で、彼を茶化す一面も。
「新たな虐殺を止められるのは君達しかいない」
アメリカ情報軍大佐。クラヴィス達の直属の上司である、特殊検索群i分遣隊指揮官。デルタフォース出身者で、
過去にはイーグルクロー作戦(イラン・アメリカ大使館人質救出作戦)やソマリア内戦でのモガディシュの戦闘に従事した経歴を持つ。世界各地で「虐殺の種」をばら撒いている謎のアメリカ人言語学者ジョン・ポールを捜索・捕縛する特殊任務をクラヴィス達に命ずる。
ルツィア・シュクロウプ
「人の良心が、そのような遺伝的産物であってどうしていけないの」
MIT(マサチューセッツ工科大学)在籍時、ジョン・ポールと知り合った元教え子であり、愛人とされている女性。
現在はプラハ在住のチェコ語の教師。2年ぶりに彼女の許にジョン・ポールが現れたという報告のもと、追跡任務の過程でクラヴィスの接近を受ける。後に、クラヴィスはファム・ファタール的な魅力を持つ年上の彼女に惹かれていく。
「…耳には目蓋がない、と誰かが言っていた。私の言葉を阻むことは、誰にもできない」
“虐殺の王”と呼ばれるMIT出身の元言語学者。世界各地で多発する虐殺の影に於いて暗躍し、幾度と無く暗殺対象となるもその都度逃亡を果たす謎のアメリカ人男性。ルツィアとは不倫関係にあったが、妻子をオーストリア・サラエボの核爆発で喪いその関係は終わる。J・G・バラードの小説を愛読していた。
劇場アニメ
2015年11月13日に公開を予定されていたが、制作元のマングローブが破産した為、公式サイトより公開の延期が発表された。
チーフプロデューサーである山本幸治によって当該作品の英語タイトル「Genocidal Organ」に因んだ「ジェノスタジオ」の設立を発表。2016年内の完成を目指す予定。
同年10月2日公開の「屍者の帝国」、11月13日(上記の理由の為、公開日繰り上げ)公開予定の「ハーモニー」の他2作の劇場アニメとともに「Project Itoh」の一部とされている。
上記の紆余曲折を経て、公開日が2017年2月3日に正式決定。全国の東宝系映画館にてロードショー。
メインキャスト
- クラヴィス・シェパード‐CV:中村悠一
- ウィリアムズ‐CV:三上哲
- アレックス‐CV:梶裕貴
- リーランド‐CV:石川界人
- ロックウェル‐CV:大塚明夫
- ルツィア・シュクロウプ‐CV:小林沙苗
- ジョン・ポール‐CV:櫻井孝宏
スタッフ
主題歌
「リローデッド」 歌:EGOIST
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関連項目
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