『MGSV』とは、コナミから発売されるメタルギアシリーズのナンバリングタイトル「5」にあたる作品群の略称である。
序章と本編の二部構成であり、シリーズで初めて、これらが分割されて発売されているため、ニコニコ大百科においても記事が分割されている。
本項では、二部に共通する『MGSV』の特徴などを述べる。それぞれの内容や特徴については、下に挙げた各記事で述べる。
なお、本作は過去のナンバリングと異なり、アラビア数字ではなくローマ数字「Ⅴ」を用いるが、機種依存文字のため、記事内ではローマ字の「V」を使用する。
概要
の二作品で構成される。メタルギアシリーズ最新作にして、コナミが開発した独自エンジン「FOX ENGINE」で製作される初のゲーム作品。「オープンワールド」がゲームデザインの要となっている。
作品テーマは「Race(人種)」そして「報復」。
『メタルギアソリッド ピースウォーカー』(以下MGSPW)の正統続編となる。
『GROUND ZEROES』(以下GZ)は、作品全体のプロローグに当たり、スネークは『MGSPW』に引き続き、マザーベースを拠点に活動している。トレイラーでは「XOF」という単語や新たなキャラクターが登場している。
『THE PHANTOM PAIN』(以下TPP)は、その9年後の物語で『MGSV』の本編である。
病院で9年間昏睡していたスネークらしき男が覚醒したところから物語が始まる。
ストーリーの位置付けとしてはMGSPWから初代メタルギアの間のものとなる。
小島秀夫監督の語るところによれば「スネークが堕ちるところまで堕ちる物語」になるという。
また小島秀夫の新プロジェクトとしてTwitter等で度々言及されていた「Project Ogre(鬼企画)」とは今作の事である。
現行機(PS3・Xbox360)では30fpsで、次世代機(PS4・XboxOne)では60fpsで稼働する。
マーケティング上の都合により、Xbox360版はダウンロードのみの販売となっているため、Xbox360で遊ぶことを検討しているユーザーはHDD空き容量に注意する必要がある(それに伴いXbox360版のみパッケージおよび限定パッケージ版は未発売となる)。
「V」の意味
冒頭でも記したとおり、メタルギアシリーズのナンバリングタイトルはアラビア数字で続いていたにも関わらず、本作では「METAL GEAR SORID V」とローマ数字が用いられた。
オープニング曲
「Here's to you(勝利への讃歌)」は映画「Sacco e Vanzetti (死刑台のメロディ)」の曲である。この映画はニコラとバートの二人の移民が冤罪で処刑される史実を基にした映画で、『GZ』作中でも会話にあがる。
これについて小島監督は「パスとチコ、あるいはスネークとカズ。そしてニコラとバートの姿を重ね合わせると色々分かることがある」「そして『Here's to you』の歌詞、“Triumph”(勝利、つまりVictory)と『5』をかけている」と、この「V」が勝利という言葉にかかっていることを示している(「あまり言うと面白くないですけどね」と言葉を濁してもいる)。
また、『GZ』が「平和(ピース)が終わる、Vが目覚める。」というキャッチコピーを掲げている通り、ビッグボスのことを指している一面もある。
前作である『MGSPW』で、ビッグボスが仲間達に「勝利のボス(VIC BOSS)」と称されるシーンがあるからである。
だがE3 2014での最新トレイラーにて初めて、Vの答えを公式が示した。
それは「VENOMが目覚める」。つまり、毒である。
主な特徴・従来作品からの進化
今作は、オープンワールドをゲームデザインの要としている。
従来に比べて、行動の自由度が高く、潜入経路や手段などを自由に選ぶことができる。
しかし、スカイリムのような大きな一つの世界を攻略するオープンワールドではなく、それぞれがサンドボックスとして独立しているステージを、ヘリコプターで移動しつつ攻略するという、いわばステージ攻略型のゲームになる。つまり、『MGSPW』のスタイルの延長線上にあるといってよい。
そのため、狭義の「オープンワールド」(例えば『スカイリム』や『ゼルダの伝説』、あるいは『GTAV』のような作品)には該当しない。
リアルな時間・天候変化
ゲーム内では昼夜がリアルに進行し、フィールドの明るさや、影の具合が時間によって刻々と変化する。
天候も同様で、砂漠にある基地(?)に潜入する際に砂嵐に襲われる描写がトレイラーで確認された。晴れている状態では使用が難しい潜入ルートも、砂嵐にまぎれれば有効なルートになるのかもしれない。
ヒデラジでの発表によれば、現時点では、現実での4倍程度の早さ(=ゲーム内での24時間が、現実では6時間ほど)で進行するように調整しているという。
FOX ENGINEのテックデモにおいては、当初発表した『GROUND ZEROES』のトレイラーの天候と時間を、雨の降る夜から、よく晴れた昼に変更してそのまま上映するというデモも披露されている。
さまざまな乗り物
本作ではジープ・装甲車・戦車・馬に乗ることが出来ることが確認されている。
乗り物に乗っている間もアクションをとることが出来る。
例えば、馬に乗って敵集団の横を通過する際には、馬の体に隠れるように敵の反対側にぶら下がり、通過した後にはまた馬上に戻る、といったものや、敵のトラックが一時停止している隙に荷台に乗り込むといったものがある。
新たなアクション
建物と建物の間を飛び越えたり、中腰での移動から飛びのいて匍匐に移行したりといった、従来作品にはないアクションが追加されている。
敵と至近距離で正対した状態から銃器を奪いすぐさま銃撃を行うなど、CQCのパターンも変化しているようだ。
敵に発見された瞬間、一時的にスローモーションになり、その間に敵兵にカウンターをかけて排除することで、危険フェイズへの移行を防ぐ「リフレックスモード」の要素がある。
便宜的に「危険フェイズ」と記述したが、本作では「フェイズの残り時間を示す数字」は表示されない。
しかし、作中の「戦闘態勢」「捜索態勢」「警戒態勢」は、それぞれ従来の「ALERT」「EVASION」「CAUTION」に相当するため形としての「フェイズ」は存在しており、「ノーアラート」のやりこみは可能である。
また、敵兵を視界に収めることでマーキングすることが可能であり、一度マーキングした敵はその頭上にマークが表示され、位置を把握しやすくなる。同じくステルスアクション要素の強い『FarCry3』などには、先んじて、非常によく似たシステムが登場している。
逆に、『MGS3』から登場していたカモフラージュ率、LIFEゲージ、スタミナゲージなどの要素は、本作では導入されていない。
これはインターフェイスを極力排除することでリアル感、緊張感を高める小島監督の思惑から来ている。
その他
自称「レンズフレアフェチ」の小島の意向か、サーチライトなどがプレイヤーを捉えている状態ではその光がフレアを画面内に発生させる。これは、敵がこちらを視界に収めてはいるものの確認してはいない、という状態を表すシステムで、この状態で動くと見つかる。
今作にもマザーベースが登場し、アイテムや武器の製造を行うことが可能(ただし、トレイラーの描写や、発表されているあらすじを見る限りでは、従来のMSFマザーベースは『GROUND ZEROES』にて壊滅するため、新たなマザーベースが『THE PHANTOM PAIN』で作られることになる。
ファミ通でのインタビューによると、従来のような、大量のムービーシーンを使用して、順番に伏線が張られ回収されていくという作風からは路線変更している。フィールドに存在するカセットテープをはじめ、資料ファイルを自力で回収することで、それぞれの人物の物語や背景が明らかになっていくという、物語展開の新たな形がとられるという。
また、スマートフォンとの連携が可能で、スマートフォンやタブレットがレーダーマップ代わりになってくれるという。
ただし、「Wi-Fiが使える環境」でないと利用できないとのこと。
詳細は公式サイトへ。
略歴
今作は、まったく別のタイトルのゲームとして一部を発表するなど、非常に凝った手法でその内容が発表された。その様子を、現在に至るまで以下にまとめる。
- 2012年8月:シリーズ25周年を記念した「METAL GEAR 25th ANNIVERSARY PARTY」にて、『METAL GEAR SOLID GROUND ZEROES』発表。スネークやカズの台詞を含めたロングデモと、そこからシームレスに開始されるプレイパートが紹介され、オープンワールドをゲームデザインの要とすることが発表された。
- 2012年12月:VGA 2012にて、『THE PHANTOM PAIN』という名の新作ゲームが電撃的に発表。病院内で目覚めた義肢の男が、謎の戦闘部隊の襲撃に晒されながら逃げまどい、さらには炎の羽を生やした馬に追われるなど壮絶な現象に巻き込まれるという、ホラーゲームのような内容だった。モビーディックスタジオという聞いたことのない新興スタジオの開発にしてはこなれた出来であることから注目を集めていたが、次第に、『PHANTOM PAIN』というロゴに『METAL GEAR SOLID V』という文字が含まれていること、メタルギアシリーズに登場する要素が映像内に散見されることなどから、メタルギアシリーズとの関連が噂され始めた。しまいには、同スタジオのCEOであるJoakim Mogrenという男が包帯だらけの自画像を公表し、明らかにどこかの大手メーカーが仕掛けたネタであることがわかってきた。
- 2013年3月:GDC 2013にて、『THE PHANTOM PAIN』のネタ晴らしが行われ、正式に『METAL GEAR SOLID V THE PHANTOM PAIN』に改題。両者が共に『5』としてリリースされることが発表された。またそれに合わせて、新トレイラーや対応プラットフォーム、小島プロダクションがLAに新スタジオを設立することなども明らかにされた。
- 2013年6月:E3 2013のMicrosoftのカンファレンスにおいてトレイラーが公開された後、公式サイトにて、このトレイラーの内容を含めた正式な新トレイラーが公開された。また、このトレイラーの解説などの内容を含む「ヒデラジE3 2013スペシャル!(前篇)」も合わせて配信された。このトレイラーには「RED BAND」と「GREEN BAND」の2つのバージョンがあるが、これはグロ描写があるかないかで分けられている。REDの方は一部にグロテスクな表現(開腹描写など)が含まれており、小さな子供や血肉が苦手な方は見ないことを推奨されている。 しかし小島監督としてはRED BANDの方が伝えたいテーマがはっきり出ているので、大人の方(重要!)はRED BANDを見て欲しいとのことである。
- 2013年11月:プロローグ版『METAL GEAR SOLID V GROUND ZEROES』の単体発売が発表。2つのタイトルが実は1つであったという凝った発表がされたにも関わらずやっぱり別売になったことで、一部ファンが混乱した。なお、のちに発売される『METAL GEAR SOLID V THE PHANTOM PAIN』にこちらの内容が含まれているのかは不明で、コナミは、このプロローグ版の売れ行きなどから、本編の発売時期を決める可能性もある、としている。
- 2014年3月:プロローグ版『METAL GEAR SOLID V GROUND ZEROES』発売
公式サイトによれば、セーブデータは本編「THE PHANTOM PAIN」への引き継ぎによって何らかの特典が得られるとのこと。
ただし、プロローグ版のディスク、あるいはダウンロードデータが必要であるため要注意。 - 2014年7月:本編『METAL GEAR SOLID V THE PHANTOM PAIN』及び『METAL GEAR SOLID V GROUND ZEROES』のSteam販売が決定。日本語版、英語版の両方が配信されることとなる。
- 2014年9月:本編『METAL GEAR SOLID V THE PHANTOM PAIN』の続報を公開。
新しい「バディシステム」や、味方となり得るキャラクター等様々な情報が解禁された。 - 2014年12月:本編『METAL GEAR SOLID V THE PHANTOM PAIN』にてマルチプレイヤーモードとして
『METAL GEAR ONLINE 三』が付属されることが明らかとなった。 - 2015年1月:TpGS2015にて、本編『METAL GEAR SOLID V THE PHANTOM PAIN』のローカライズに中国語が対応されることを発表。これを皮切りに、「正しい翻訳をして作品を出す」という思いを表明。コジプロ作品のローカライズ展開がますます高くなることが予想される。
- 2015年3月:本編『METAL GEAR SOLID V THE PHANTOM PAIN』の発売日が9月1日(国内は9月2日/Steam版は9月15日)に決定。限定版として、新川ADを筆頭とした限定アートブックやメイキングドキュメンタリーBD、前作「GZ」と今作「TPP」、特典BDの3点が入る特製ケース、さらにはアフガニスタンフィールドマップや限定オリジナルDLC(国内と海外でカラーバリエーションが異なる。国内は金、海外は銀)が付属。さらに、コナミスタイル限定版では「1/1サイズバイオニックアーム」(本編にてスネークが付ける義手、ノーマルカラー)、SONYとのコラボにより「バイオニックアーム(ノーマル)カラーのオリジナルPS4」の発売も決定(但し、限定版とは別売りの模様)。
- 2015年6月:E3 2015開催。
新たなPVとプレイ動画が公開された。 - 2015年8月:gamescom 2015開催。
- 2015年9月:本編『METAL GEAR SOLID V THE PHANTOM PAIN』発売。
しかし、発売初日からサーバのトラブルが相次いでいる。
関連動画
グラウンド・ゼロズ
ザ・ファントムペイン
※こちらは公開時、MGSVであることも小島作品であることも伏せられていた。
トレイラーミュージックについて
MGSシリーズのメインテーマなどを主なBGMにしてきたこれまでのシリーズ作品と違い、現時点では、発表されるトレイラー毎に、特定のボーカル曲をBGMに使用している。
- 『GROUND ZEROES』:『MGS4』でも使用された“Here's to you”の原曲(ジョーン・バエズ版)
- GDC 2013 trailer:アメリカのバンドGarbageの2012年の楽曲“Not your kind of people”
- E3 2013 trailer:『MGSPW』でもテーマ曲を担当したDonna Burkeの“Sins Of The Father”
- E3 2014 trailer:「Mike Oldfield」の最新アルバム「Man on the Rocks」の"Nuclear"
関連商品
グラウンド・ゼロズ
ザ・ファントム・ペイン
グラウンド・ゼロズ + ザ・ファントム・ペイン
関連コミュニティ
関連項目
- メタルギアシリーズ
- メタルギアソリッドV グラウンド・ゼロズ
- メタルギアソリッドV ザ・ファントム・ペイン
- ビッグボス(ネイキッド・スネーク)
- オープンワールド
- Here's to you
- メタルギアシリーズの関連項目の一覧
外部リンク
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