概要
『金田一少年の事件簿 星見島 悲しみの復讐鬼』とは、ハドソンから発売されたセガサターン用ゲームソフトである。
発売は1998年1月15日。キャッチコピーは「金田一の頭脳に挑戦」。
『金田一少年の事件簿』を題材としたアドベンチャーゲームでありながら、他の推理アドベンチャーゲームとは異なり、プレーヤーが犯人となって金田一少年に犯行がバレないように完全犯罪をやり遂げるのが目的の異色ADV。
犯罪を前面に押したゲームのためか、パッケージ裏・取扱説明書・本編冒頭では『この作品は、犯罪を助長するゲームではなく、金田一少年の事件簿の世界を舞台に推理トリックを楽しむゲームです。』と注意書きがされている。
マルチエンドが採用されており、バッドエンドだけで計81種類ある。選択肢やバッドエンドにはかなりおふざけな内容や、ちょっとHなものもあるが、本来の目的である完全犯罪を達成するのはなかなか難しい。バッドエンドを迎えると、今まで金田一と対決してきた諸先輩の怪人がどうして失敗したかのアドバイスをくれる。登場する怪人は地獄の傀儡師、放課後の魔術師、雪夜叉、首狩り武者、ファントムの5人。情報共有でもしているのか、雪夜叉がファントムの行ったトリックを知っていたりする。あまりにも情けない失敗でバッドEDに行くと、先輩怪人から呆れられたり絶句されたりする。
なお編の暗号でミュージックテストモード、卓也編の暗号でボイステストモードが遊べるようになる。特にボイスは3984種類もあり、ボリュームたっぷりである。また、なお編と卓也編のコンプリートデータを同じファイルに保存するとおまけシナリオを見ることが出来る。おまけは金田一視点で選択肢もあるおふざけシナリオとなっている。(下記の関連動画参照)
ストーリー
星見島で起こる凄惨な事件とは……
金田一はじめと七瀬美雪は同級生である立花麻衣に誘われて、彼女の父親がレジャー施設をオープンする予定である小笠原の南に位置する島『星見島』へ行くことになった。星見島で行われるオープニングツアーの最中にはじめたちは恐ろしい事件に巻き込まれることになる。金田一はじめは星見島でひしめく様々な陰謀と悲しい真実を解き明かすことが出来るのか!?
というのは金田一らのストーリーであり、本ゲームの主人公たちのストーリーは別にある。
速水玲香と人気を二分するトップアイドル『桂木なお』と所属事務所の社長の息子『辰巳伸也』の密会する様子が撮影された。トップアイドル『桂木なお』のスキャンダルを始めとして巻き起こった騒動は、桂木なおのマネージャーである『立花由布』と『辰巳伸也』の自殺へと繋がってしまう。マスコミからの非難も強くなり、『桂木なお』は失踪という形で世間から身を隠すことを選ばざるを得なくなった。
しかし、『桂木なお』はこのスキャンダルが虚偽のものだということが分かっていた。
『桂木なお』は自身を陥れ、親しい2人を死に追いやった人物たちへの復讐のため……
『阿佐桐卓也』は婚約者である立花由布を奪った人物たちへの復讐のため……
2人はそれぞれの思惑を隠しながら『星見島』へと向かう。
登場人物
『金田一少年の事件簿』のメインキャラクターのCVはアニメ版とも、プレイステーション版ゲームとも異なっている。プレイヤーは『桂木なお』、『阿佐桐卓也』の2人の主人公から1人を選び、復讐を遂行することとなる。
ゲームオリジナルキャラクター
捏造されたスキャンダルによって、マネージャーである「立花由布」と事務所の社長の息子「辰巳伸也」が自殺してしまい、失踪することになったアイドル。スキャンダルが仕組まれたものだと知り、復讐を誓う。ゲーム内では男に変装して「直木桂一」と名乗り行動する。
シリアスなバックボーンとは裏腹に、いくつかのバッドエンドでやらかす余りにも杜撰かつ迂闊な凡ミスの数々から、ニコニコ動画では本作のプレイ動画の視聴者などからドジっ娘認定を受け、「なおちゃん」の愛称で親しまれている。また、分かりにくいがナイスバディの持ち主で、ルートによってはなんと自身の巨乳が犯行発覚の致命打となってしまうこともある。
彼女だけでバッドエンドが50種類もあり、かなり悲惨な目に遭うことも……
余談だが、緒方恵美が桂木なおのような女性キャラを演じるのは珍しい。
『しまった…! 捨て忘れていたのか…! にんじんを…!』
星見島で行われるプレイベントのプロデューサーであり、自殺した立花由布の婚約者。自分が手がける星見島のツアーを利用して、恋人の死の真相を探り、復讐を果たそうとする。
序盤から「もっといいものもらうから…」「カラダ…」など欲望丸出しの選択肢あったり、眠れないからターゲットを殺しに行こうとしたり、思い込みが激しい面もありチエママをすぐに殺そうとしてしまったりする。なおちゃん編では紳士的で気が利く笑顔が爽やかな青年だったが、卓也視点になるとかなり腹黒いことがわかる。なおちゃんでさえ、拳銃や毒、ダイナマイトを持ち込んでいるが、何も持ち物も持っておらず全くの無計画である。(ただ、最後のターゲットの殺害において毒を使用することもあるため、毒物だけは持ち込んでいたのかもしれない)
バッドエンドは31種類。特に金田一の罠にはまって、キッチンを荒らした際のバッドエンドは見もの。
桂木なおのマネージャーであり、阿佐桐卓也の婚約者。彼女の自殺が本作での復讐の始まりとなる。
(ネタバレ反転) なお編では自殺についての詳細は語られないが、卓也編では自室のステレオに録音が残されていたり、久堂明子の話から他殺であったと考えられる。
立花由布の妹で不動高校2年生。金田一や深雪とは1年の頃に同クラスで本作で2人を星見島のオープニングツアーへと誘った。
(ネタバレ反転) 卓也のことが好きなのか卓也編のバッドエンドではとんでもないことをしでかしたりする。「おねえちゃんのかわり結婚してあげようか…」とちょっと病んでいる怪しい雰囲気を出している。『そうだな、この娘と結婚するのもいいかも…』の選択肢を選ぶとバッドエンドに変化が。特に崖落としルートでのエンディングは一見の価値あり。
フリーのルポライター。桂木なおのスキャンダル記事を書いた。大山隆史や竹村正彦とよくつるんでいる。
(ネタバレ反転) なお編・卓也編のどちらにも大きく関わる人物で、2人の復讐のターゲット。卓也編では色仕掛けを使って沢沼研や大山良介を惑わしている悪女であることが分かる。裸で殺されることが多い。
渚ちはるの専属スタイリスト。ホモ。いつもナイフを所持しており、キレやすい性格。竹村正彦とは恋人で、正彦の悪癖にいつも苛ついている。なおちゃん編のバッドエンドでは何度も刺してくれるうえ、正彦との修羅場で間違えて刺されてしまったりする。
オカマのカメラマン。久堂明子とは仕事仲間で、大山孝志とは恋人同士。気に入った男をすぐに誘ってしまうため、よく孝志と喧嘩になる。
桂木なおの後輩。なおのスキャンダルによって彼女の代理として沢山の仕事が入り、今回のプレイベントにも代理として招待されることになった。棒読みのランカ
渚ちはるの母親兼マネージャー。「ちえママ」の愛称で親しまれている。
(ネタバレ反転) 渚ちはるのマネージャーであるためか、なおにも卓也にも怪しまれ殺されそうになったりする。しかし、実際は実力でちはるをトップアイドルにしたいと考えており、桂木なおが失踪してしまったことを残念に思っている。なお編ではあまりストーリーに絡まないが、卓也編ではある衝撃の事実が……
桂木なおと密会しているとされた少年。父親である辰巳哲によると、その日は熱を出していたので会っていないはずであった。しかし、学校を停学となり、その後スキャンダルが過熱してしまったことで最後は自殺してしまった。
(ネタバレ反転) なお編のラストでは実は死んでおらず、角野幸夫と入れ替わり幸夫として生きていた。明子を狙った毒入りコーヒーを最初に飲まされてしまったり、明智の迷推理によって犯人として拘束されてしまったりと散々な目に。渚ちはるのファン。
辰巳伸也に似ている人物。実際に桂木なおと密会していたのは彼であり、その様子を撮影された。ツアーに参加していた時は顔に包帯を巻いて顔を隠している(あまり隠れていないうえに逆に目立つが)。
孝志の弟。弟というだけあってナイフを隠し持っており、なおと同じように卓也を刺し殺したりする人物。研にアニキと呼ばれており、明子に惚れている。
大山良介をアニキと呼び、サングラスをかけた男。内心は小心者だが、久堂明子に惚れており、彼女に近づく男は許さない。中二病ポエム詩集を持ち歩いている。
桂木なおの大ファン。ファンクラブNo.70。匂いだけで彼女が分かるという気持ち悪い特技を持っている。彼とのバッド心中エンドは恐怖。怪人ランク『LOVE』。
孝志・良介の父親。阿佐桐剛の病院のプロパーでいつも薬を持ち歩いている危険人物。
卓也の父親で、病院の院長。彼が卓也の母親を捨てて愛人を作った事で、卓也とは絶縁状態になっている。
桂木なおや渚ちはるが所属している辰巳プロダクションの社長。息子は辰巳伸也。
由布と麻衣の父親。立花レジャー開発の社長で、星見島リゾートのオーナー。
星見島レジャー施設の支配人。背が高い。アイドルのファンであるのか、持ち場を離れて見に行ってしまったりする。よく鍵を盗まれる。
原作キャラクター
言わずと知れた本シリーズの死神主人公。本作ではプレイヤー(犯人)の敵となる。ズバズバと名推理を披露するため、金田一に謎を解かれるバッドエンドも多く、彼を敵に回すとどれだけ恐ろしいかを実感できる。本シリーズ『金田一少年の事件簿』ではその推理力が頼もしいが、犯人が主人公であるこのゲームではそんな名探偵の孫の存在はかなりウザいものとなる。金田一に話しかけられるのすら恐怖を覚える人は多いだろう。犯人視点での金田一の無言はかなりの恐ろしさ。金田一を殺そうとすることもできるが、不死身の死神悪運の強い金田一を殺すのは不可能である。
このゲームでは犯人が主人公であるため、エンディングでは金田一が謎を解けずに終わってしまう。 行き当たりばったりで犯罪を犯しながらアリバイ確保と証拠隠滅だけはするという形であるため、流石に金田一にも無計画な犯罪は読み切れなかったようだ。しかし、最後のシーンではしっかりと精神攻撃をしてくることから、証拠がないだけで犯人が誰か分かっているのだろう。
「どうしてはじめちゃんと一緒だと、いつも事件に巻き込まれちゃうんだろう」
金田一の幼なじみ。彼女の友達が夏休みのバカンスに金田一たちを誘ったことからいつもどおり事件に巻き込まれる。
「詳しいことは署に戻ってから聞こうか」
本シリーズお馴染みのおっさん。いつもどおりのポンコツ推理を披露してくれるため、犯人視点では味方のように思えることも。ただ、バッドエンドにおいては犯行を未然に防ぐこともある。
「つまり、キミがこんな簡単な事件を解決できないとは思っていなかったってことさ…」
本シリーズお馴染みの嫌味エリート。警視庁刑事部捜査一課の警視で剣持の上司だが、最終日にようやく上陸してくるため本編では影が薄い。裏ボスのように思えるが、中身はどうやら雪夜叉伝説時点のかませに近い。なお編では自信満々に間違った推理で違う犯人を捕まえてくれる。すっごくダンサブル…。
「なおちゃんも早く戻ってきて、一緒にスーパーヒットに出ましょう!」
本シリーズお馴染みのトップアイドル。星見島でもステージに立ち、グラビアも撮影。主人公の桂木なおとは同業者でライバル。今回も金田一と一緒に行動しようとするが、美雪に邪魔されてしまう。金田一と一緒に出掛けるとよく事件に巻き込まれてしまう。
「やっぱり…船なんかに乗るんじゃなかったぜ…」
本シリーズお馴染みロリコンライター。フリーのルポライターで金田一たちとは顔なじみ。水嫌いのはずなのに船に乗っている。あまり出番はないが、要所要所で活躍する。
「頭悪いですねえ」
本シリーズお馴染みの後輩盗撮魔。ゲーム本編には出ないが、バッドエンドのみ登場。なぜか怪人達に紛れてゲームオーバー時にヒントをくれる。
関連動画
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関連項目
関連リンク
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