ウインテンダネス(Win Tenderness) とは、2013年3月7日生まれの日本の競走馬である。栗毛の牡馬。
父カンパニー、母モエレメルシー、母*マジックワイルズという血統。
父カンパニーは8歳でGI2勝を挙げて種牡馬入りした馬。その父ミラクルアドマイヤは3戦1勝ながら良血を買われ種牡馬入りしたが、中央で重賞馬となったのは結局カンパニーのみであった。
母モエレメルシーは地方競馬で3勝だがその母ブライトサンディーがサファイヤステークスと函館記念を勝利し、エリザベス女王杯でも2着に入っている。
母父は4戦0勝の未勝利馬であったが、母がチリのダービーとオークスを勝った名牝であった。恐らくそのことから、「成績が微妙でも血統と馬体次第で種牡馬として成功する」という信念を持ち、ミルジョージやゴールドヘイロー[1]などを種牡馬入りさせた中村和夫[2]の中村畜産が輸入したようだ。種付け料は安かったが一定の種付け数を集めJRAの重賞馬なども輩出した。
つまり父父と母父はどちらも血統で種牡馬入りした点が共通しているといえるかもしれない。
生産はアサヒ牧場。牧場曰く、瞬発力がある馬をと思ってカンパニーを選んだらしい。当歳セリでは主取になったが、最終的に北海道サマーセールで345万円強で落札され、ウインのクラブ馬として2.75万円×400口で募集されることとなった。良くも悪くも正直だと話題になることも多い、ウインの募集カタログのコメントには「体型、骨格共に障害レース向きと思い購入しました。平地でも距離の長い芝が合う」と書かれていた。
栗東の日吉正和厩舎に入厩し、7月の芝2000mの新馬戦に松山弘平鞍上で11頭中11番人気で出走して9着。8月の未勝利戦は鮫島克駿鞍上で5着。10月の未勝利戦は同年に騎手デビューした加藤祥太を鞍上に4着。11月の芝2000mの未勝利戦で加藤鞍上で単勝18.5倍の7番人気ながら番手で進めて2馬身差を付けて初勝利を挙げた。福島競馬場ということもあって口取りに参加したのは一人だったとか。
同月の京都2歳ステークス(GⅢ)にも出走したが、ここは流石に12頭中11番人気で結果も11着。
ここからは500万下に出走するも、1月の梅花賞は国分恭介鞍上で9着。2月のつばき賞は高倉稜鞍上で6着。3月のフローラルウォーク賞は松若風馬鞍上で8着。4月の山吹賞[3]は柴田大知鞍上で7着。同月の芝2000mの山藤賞[4]では柴田鞍上で8番人気ながら上がり最速を出して3着。柴田は「前走の2200mは長かったです」とコメントしている。5月の夏木立賞でも柴田鞍上で6番人気ながら2着。同月の500万下で高倉鞍上で6着。
この後放牧に出て、10月の500万下で高倉鞍上で16着となった後、5月から事故で療養していた日吉調教師が引退したため杉山晴紀厩舎に所属することとなった。同月の芝2000mの浦佐特別では菱田裕二鞍上で6番人気3着。11月の芝2000mの三春駒特別は菱田鞍上で単勝8.4倍の4番人気に支持され、追い比べをクビ差で制して勝利。12月には1000万下の名古屋日刊スポーツ杯に菱田鞍上で臨んだが、ここは4分の3馬身差の2着。
3月の小牧特別は菱田鞍上で2番人気に支持されたが7着。鹿野山特別は柴田鞍上で7着。5月の1000万下は内田博幸鞍上で上がり最速を出したがクビ差の2着。同月の青嵐賞[5]は松岡正海鞍上で5着。
降級制度により再び500万下となった休み明け9月の甲武特別[6]は5着。前年も出走した10月の浦佐特別は2番人気に支持されると、半馬身差で勝利。11月の1000万下は柴田鞍上で3番人気に支持されたが9着。12月に再び菱田鞍上で出走した名古屋日刊スポーツ杯は6着となり4歳を終えた。
5歳初戦となる2月の箱根特別は菱田鞍上で10着。前年も出走した3月の芝2000mの小牧特別は、松若風馬が鞍上となり単勝21.9倍の8番人気であったが、後方からの大外一気で上がり最速を出してクビ差の勝利。「メンコを外した効果はあった」と松若騎手はコメントしている。
4月には1600万下の府中ステークスに出走し、内田博幸鞍上で6着。
新潟大賞典に登録していたが流石に収得賞金不足であり、5月に行われる芝2400mの緑風ステークスに向かった。内田を鞍上に単勝15.1倍の4番人気に支持されると、スタートが良かったこともあり逃げた結果、単勝1.9倍の1番人気ルックトゥワイスに2馬身差を付けて勝利した。
次走は勢いに乗って同月の目黒記念(GⅡ)。内田を鞍上に単勝17.7倍の9番人気となったレースでは、前走逃げた影響で引っ掛かりながらも、直線では馬群の間を割って抜け出し、10番人気ノーブルマーズに4分の3馬身差を付けて重賞制覇となった。
1983年開場のアサヒ牧場は3代目にして初となる生産馬の重賞制覇。更に父カンパニー、調教師の杉山晴紀にとっても初の重賞制覇となった。
使い詰めであったこともあり、この後は放牧。再始動は10月の京都大賞典(GⅡ)となった。追い切りで鞍上となる菱田に闘魂注入されたりしつつ、レース本番では5番人気に支持され、逃げたものの結果はサトノダイヤモンドに1秒差の6着。
11月のアルゼンチン共和国杯(GⅡ)では松岡正海を鞍上に4番人気に支持されると、行く気を見せた馬に合わせてここでも逃げたが4着。
同月にはジャパンカップ(GI)に出走。前2走は別競馬場で出走するノンコノユメに騎乗していた内田が鞍上に復帰し、10番人気となった。レースは逃げて2着となったキセキの影響もあって衝撃的なレコードで勝利したアーモンドアイの名と共に語り継がれているが、ウインテンダネスは流石にここでは逃げずに控える競馬で8着。2分22秒3というタイム自体は例年の勝ち馬の大半よりも早いものであった。
年末の有馬記念のファン投票では、ウインテンダネスは1356票を獲得し、76位となってこの年を終えた。
父カンパニーの死が報じられた直後の1月、6歳初戦として日経新春杯(GⅡ)に内田鞍上で臨んだが後方からの競馬で11着。
2月のダイヤモンドステークスに登録し、ハンデも56㎏と発表されていたがここは直前で回避。オーストラリアのシドニーカップに予備登録だけは行っていたがここも参加せず、前年勝利した5月の目黒記念(GⅡ)に出走。内田鞍上で8番人気に支持され、結果はルックトゥワイスが勝利する中で6着。
7月7日の七夕賞(GⅢ)は柴田が鞍上となり、7枠に入ったことから「枠連7-7」は人気以上に売れていたものの、単勝は9番人気で結果も9着。
10月の京都大賞典(GⅡ)は菱田鞍上で単勝345.6倍の17頭中17番人気となり、更にレースではスタート直後に落馬し競走中止となった。なお、カラ馬として6番目に入線している。
11月のアルゼンチン共和国杯(GⅡ)では、内田鞍上で先行して12番人気10着[7]。
同月には再びジャパンカップ(GI)に出走。創設以来初めて外国馬が出走せず全頭内国産馬で行われたこのレースでは、ノーザンファーム生産馬11頭、社台ファーム生産馬2頭、追分ファーム生産馬1頭となる中で唯一非社台グループ系の出走馬となった。田辺裕信鞍上で15番人気となり、先行したが結果は12着。
7歳初戦は2月のダイヤモンドステークス(GⅢ)。内田鞍上で14番人気に支持されたが、16番人気のミライヘノツバサが勝利する中で10着。
前年末から障害転向が検討されていたが、3月には障害4歳以上未勝利に出走。佐久間寛志を鞍上に、40戦目にして初めて1番人気に支持されたものの結果は6着。
再び障害競走に出走する予定であったが、7月に坂路で騎乗者を振り落として走り回り転倒した結果、右前脚繋靭帯不全断裂となり、競走能力を喪失。8月5日に競走馬登録が抹消された。
40戦6勝 [6-3-2-29]。募集価格1100万円に対し、獲得賞金は1億4898万6000円。
アサヒ牧場唯一の中央重賞馬ということもあってか引退発表と同時に「アサヒ牧場で種牡馬となる予定」と発表された。しかし、都合がつかなかったようで結局2021年に青森で乗馬となった。
ところが、青森での種牡馬入りの可能性を残すために去勢されていなかったようで、2023年7月にはアサヒ牧場の公式アカウントから種牡馬入りを検討しているという情報が出た。2024年には無事に種牡馬登録され、青森ホースファームに繋養されて2頭に種付けしたがどちらも不受胎であったようだ。
資金面もあり同年限りでの種牡馬引退が検討されたが、最終的に11月から「ウインテンダネスの血統をつなぐ」クラウドファンディングが行われることとなった。
ウインテンダネスが目黒記念を勝利した2018年の12月に繋養先の熊本で死亡したカンパニー。その唯一の重賞馬にして後継種牡馬であるウインテンダネス。トニービン系全体としても2024年現在登録されている種牡馬は他には半ば引退状態のトーセンジョーダンのみであり、現役馬もジャングルポケット産駒などが一定数残るのみである。
2025年の種付けに期待したい。
因みに、X(旧Twitter)上には2021年10月から「ウインテンダネスの日常」というアカウントが存在しており、近況などが確認できる。
カンパニー 2001 鹿毛 |
ミラクルアドマイヤ 2004 栗毛 |
*トニービン | *カンパラ |
Severn Bridge | |||
ランニングヒロイン | Sadler's Wells | ||
Sun Princess | |||
ブリリアントベリー 1990栗毛 |
*ノーザンテースト | Northern Dancer | |
Lady Victoria | |||
*クラフテイワイフ | Crafty Prospector | ||
Wife Mistress | |||
モエレメルシー 2005 鹿毛 FNo.2-h |
*マジックマイルズ 1985 黒鹿毛 |
Mr. Prospector | Raise a Native |
Gold Digger | |||
Marimbula | Balconaje | ||
Maritza | |||
ブライトサンディー 1992 栗毛 |
*サンデーサイレンス | Halo | |
Wishing Well | |||
*エンドイットダーリン | Alydar | ||
Endicotta |
クロス:Mr. Prospector 5×3(15.63%)、Northern Dancer 5×4(9.38%)、Raise a Native 4×5(9.38%)
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最終更新:2024/11/23(土) 10:00
最終更新:2024/11/23(土) 10:00
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