10.2決戦 単語

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ジュッテンニケッセン

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10.2決戦とは、
2014年10月2日福岡 ヤフオク!ドームで行われたパシフィック・リーグ公式戦、福岡ソフトバンクホークスオリックス・バファローズ第24回戦の通称である。

本項では、それに至るまでの経緯についても記述する。
すぐに決戦当日について読みたい場合は、こちらを参照

また、2014年以降も10月2日という日はソフトバンクオリックスにとってはなにかと因縁がついて回る日となり、2021年2022年にも劇的な展開が繰り広げられたためこちらについても記載する。

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2021年
2022年

2013年オフ~2014年開幕前

2013年リーグ戦を2008年以来5年ぶりのBクラス(4位)で終えたソフトバンクは、次年度の優勝すべく特大補強を実行。野手では李大浩鶴岡慎也投手ではブライアン・ウルフジェイソン・スタンリッジデニス・サファテ中田賢一岡島秀樹と、他球団を退団した外国人選手やFA宣言した選手を次々と獲得した。

一方で2年連続での最下位こそ免れたものの5位、5年連続のBクラスに終わったオリックスは、エステバン・ヘルマンウィリー・モー・ペーニャ山崎勝己を獲得したものの、三者とも言わば“拾い物”であり、他にも立った補強は見られなかった。それどころか同年のオリックス打線を支えた李大浩アーロム・バルディリスの2人が、契約面で折り合わずに退団してしまっている。MLBで80発を放った大物助っ人鳴り物入りで入団したような気がするが気のせいである。

前年Bクラスとはいえ得失点差はリーグ1位であったソフトバンクと、投手に定評があったものの連続Bクラスで戦力不足が否めないオリックスの期待値の差はいかんともしがたく、オープン戦でもソフトバンクぶっちぎりの1位。そのため、野球解説者野球ファンの多くが、ソフトバンクリーグ優勝オリックスのBクラスを予想した。
しかし、現実はその予想を大きく裏切ることになる・・・

2014年シーズン開幕~前半戦終了

前評判通り、開幕から順調に貯金を重ねていったソフトバンクであった。
が、一方のオリックスは開幕戦こそ2年連続の延長12回(一度1点勝ち越してからの)サヨナラ負けで敗れたものの、4月の1ヶ間だけで18勝という球団新記録を達成し、セ・パ交流戦に入っても勢いは衰えず、ソフトバンクと首位を競った。一時期ソフトバンクが首位を奪ったものの、オリックスが前半戦最後の試合勝利し、17年ぶりに首位で前半戦を折り返した。

後半戦開始~9月30日

しかし、後半戦に入ってからソフトバンクが驚異的な強さを見せ、首位を奪い返して8月に怒涛の9連勝でオリックスを突き放した。

ところが、徐々に選手の疲れが見え始めたのか、8月後半から両チームともに失速。パ・リーグ優勝争いは壮絶な譲り合い状態になった。

そして9月25日は残り試合数の関係で2位オリックス優勝マジック7が点するという事が起きた。パ・リーグでは1998年西武ライオンズ以来、セ・リーグを含めても2010年阪神タイガース以来のことである。
その後、1位ソフトバンクマジックナンバーることはなく、9月30日の試合終了時点で以下の状態になった。

順位 チーム 勝率
1 福岡ソフトバンク 77 60 6 .562 - 1
2 オリックス 78 61 2 .561 0 3

この状態で10月2日に直接対決を控えており、その結果によるパ・リーグ優勝争いの行方は以下の通り。

試合結果 優勝チーム
ソフトバンク勝利 ソフトバンク優勝
引き分け 残り2試合を1勝1分以上ならオリックス優勝
オリックス勝利 残り2試合を連敗しなければオリックス優勝

実質この試合でパ・リーグ優勝球団が決まるようなものであったため、この試合は“10.2決戦”と名付けられた。

試合予想

オリックス10月1日に1日の休みを挟んでいるものの、9月26日の本拠地最終戦終了後から大阪札幌千葉仙台(2日)とロードゲーム4連戦をこなしており、また10月2日の試合終了後も1日挟んでまた仙台へ・・・という過密スケジュールであった。
対するソフトバンク札幌福岡への移動が1度あったものの、9月29日10月1日まで3日間いており、休息十分で決戦の日を迎えていた。
そのため圧倒的にソフトバンクが有利な状況であり、そちらの勝利を予想する者が大多数であった。

一方でソフトバンクは“秋の風物詩”と呼ばれるほどにに失速する傾向があったため(実際に2014年8月後半と9月後半は絶不調だった)、オリックス勝利を予想する者も少なからずいた。

そして迎えた決戦の日・・・

ソフトバンク先発投手大隣憲司オリックス先発投手ブランドン・ディクソン
試合展開は、頂上決戦に相応しい大接戦であった。

2回裏、一死走者から中村晃吉村裕基の連続ヒットで二・三塁とすると、細川亨犠牲フライソフトバンクが1点を先制する

しかし、負けじとオリックスは7回表、大隣から代わった森唯斗より二死二塁から代打原拓也同点タイムリーヒットを放ち、その裏から馬原孝浩佐藤達也平野佳寿と継投して9回裏まで乗り切り、延長戦に突入した。

10回表、前の回から続投しており制球の乱れてきたデニス・サファテから1安打2四死球1犠打で二死満塁の絶好機を作り、ウィリー・モー・ペーニャ打席に立つ。
その初球、高く打ち上げた打球はドーム天井に跳ね返ってファールゾーン内で遊撃手今宮健太のミットへ収まり、グラウンドルールによってアウトとなった。
三塁コーチ喜志康永は抗議に向かおうとしたが、森脇浩司監督は当該ルールによってアウトを取った最初の選手でありソフトバンクでのコーチ経験もあったためか、特にそういった素振りは見せなかった。

10回裏、登板したアレッサンドロ・マエストリは敬遠1つを含む3四球1犠打で一死満塁ピンチを背負い、打者に選手会長松田宣浩を迎えたところで比嘉幹貴に交代した。
松田は1ボール2ストライクと追い込まれたが、4球に投じられた外低めの球を左中間に打ち返し、サヨナラタイムリーヒットソフトバンク勝利し、4時間23分の試合に終止符を打つ。
同時に3年ぶり18回リーグ優勝が決定した。 

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 R H E
オリックス 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 1 8 0
ソフトバンク 0 1 0 0 0 0 0 0 0 1x 2 6 0

その後・他

そして…

2021年10月2日

オリックス・バファローズ対福岡ソフトバンクホークス第22回戦

2021年10月2日の試合としては2014年以来7年ぶりにオリックスソフトバンクの試合が組まれた。
そしてその試合はオリックス優勝するためには落とせない、ソフトバンクとの決戦ということで、一部で「10.2の再来」と騒がれた。

決戦に至るまで

「10.2」の後、2018年金子千尋自由契約にしてもなお、山本由伸山岡泰輔という球界トップクラス投手を誇ったが、打線がなかなか投手を援護できずに勝ちきれず、下位を低迷していたオリックス2021年も序盤はBクラスをウロウロしていたが、交流戦と前後して課題とされていた打線爆発。ここ数年は吉田正尚のみが頼みの綱だったが、この年は杉本裕太郎宗佑磨といった吉田以外の打者も覚醒投手山岡は負傷で離脱するも高卒二年左腕・宮城大弥彗星の如く現れ、また前年まで不安定な成績を残すことの多かった田嶋大樹山﨑福也らも安定した成績を残した。中継ぎこそ不安定といわれつつも、タイラー・ヒギンスと平野佳寿が8回・9回を投げる勝利の方程式として確立。そして山本5月まで中5日ローテで使われたこともあって不振に陥り5敗するも、5敗の後に「これからは負けない」と宣言すると調子一気に戻り連戦連勝。

こうして噛み合ったチーム交流戦優勝、さらに交流戦中から11連勝し、その最中の6月20日東北楽天ゴールデンイーグルスを追い抜いて単独首位に立つ。

9月初めに吉田の負傷離脱などもあって一度千葉ロッテマリーンズに首位を奪われるも、ロッテ優勝マジックが点しようかというところから負けが込み始め、なかなかマジックを点させられない。そんな中オリックスはこの年高卒2年で、シーズンここまで下位を打っていた大ショート紅林弘太郎吉田の代役3番に据えると打撃が好調となる。そして吉田が復帰して迎えた9月28日からの対ロッテ三連戦でロッテを3タテしゲームしまで追い詰める。うち2勝は7年前の悔しさを知るT-岡田の逆転弾による勝利(しかも3タテに成功した試合ではロッテ守護神・益田直也を粉砕する逆転3ラン)であった。

片やソフトバンクは、投手である千賀滉大調子が上がらず、森唯斗リバン・モイネロらは負傷離脱。打線ジュリスベル・グラシアルが故障、アルフレド・デスパイネは不調。いつもなら強いはずのホーム福岡ドーム福岡PayPayドーム)でなかなか勝てず、いつもならセ・リーグできているはずの交流戦でよもやの負け越し。結果として8年振りの4位、借金生活に突入して9月を迎えてしまう。しかし、9月16日孫正義オーナー「攻めよ。勝ちたいなら。」というツイートでの檄exit以降は10試合で7勝3敗。千賀デスパイネも調子を取り戻し、モイネロも離脱から戻りいつもの強いチーム復活したことで、「正体を表した」と恐れられる中、10月最初の京セラドーム大阪での3連戦を迎えた。

1戦宮城の好投と宗のタイムリー、さらにはバッテリーエラーで決勝点をもぎ取ったオリックスが先勝し首位を奪還。
2戦先発オリックス日本エースに成長した山本、対するソフトバンクは全ドラフト1位投手カーター・スチュワートJr.(以下スチュワート)。そしてオリックスは守護神・平野ベンチ外に。山本にとってはチームのためには「完投」、そしてオリックスファントラウマを払拭することがめられ、なによりもソフトバンク優勝への望みを繋ぐために、オリックスは少しでも優勝に近づくために勝たなければならない試合で、7年越しの「10.2」が火蓋を切った。

結果

1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
ソフトバンク 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 2 1
オリックス 4 1 0 1 0 0 0 0 X 6 4 0

初回からオリックス打線はスチュワートを攻略T-岡田タイムリーなどで一挙4点を先行してスチュワートをKOする。2回以降も小刻みに点を重ねる一方、山本は7回までソフトバンク打線ノーヒットに抑え込む好投を見せ、最終的には2安打完封で自身13連勝、チームも6連勝。オリックスファンの7年前のトラウマを打ち破ることに成功した。

一方で、4回に吉田大関友久から手首に死球を受け交代。その後右尺骨折と診断、復帰後1週間で離脱しただけでなくレギュラーシーズンの復帰は絶望的となり、後味の悪さも残る試合になった。

その後・他

2022年10月2日

終盤まで熾優勝争いを繰り広げた2021年
これだけもつれる年はそうそうないだろうと思われたが、翌年の2022年シーズン優勝争いが化。
シーズン最終日である10月2日ソフトバンクオリックス優勝が決定するという2014年2021年にも劣らぬ展開となり再び10.2の熱戦が繰り広げられた。

前日まで

前年4位に終わったソフトバンク藤本博史監督を迎え、開幕8連勝とスタートダッシュに成功。楽天西武と首位攻防を繰り広げる。

一方シーズン序盤は出遅れたオリックスだったが、8月に入ると失速した楽天に追いついて3位前後をキープする。8月終了時には首位西武と1.5ゲーム差に迫り、9月10日129試合にしてようやく単独首位に立つ。しかし次の試合で敗れ、あっさりと首位陥落

9月序盤はソフトバンク西武オリックスの3球団がゲーム差0で上位に並ぶなど、2022年パシフィック・リーグは大混戦の様相を呈していた。9月12日から7連敗を喫した西武が首位争いから一歩脱落したのに対し、ソフトバンクは11日から5連勝。貯金11として15日に優勝へのマジック11を点させた。

連勝を6に伸ばしたソフトバンクマジックを9に減らし、17日にオリックスとの3連戦を迎える。
……が、オリックス先発山本由伸宮城大弥の前に打線は2試合得点と沈黙。カード終戦の19日は1点リードの9回に追いつかれた末に延長戦をサヨナラ負けで落とし、マジックを減らすどころか逆に3連敗でオリックスと再び0ゲーム差に迫られてしまう。

その後は両チーム互いに譲らないものの、ソフトバンク勝利を重ねて自力でマジックを減らしていく。29日の楽天戦に勝利してマジックを2、翌日の試合にも勝ったがオリックス勝利したため、マジック1で残り2試合となった。

マジック1で迎えた10月1日オリックスの試合がなく、ソフトバンク引き分け以上で優勝という状況で4連勝中の西武と対戦する。1点ビハインドの9回に柳田ソロホームランで同点に追いつき延長戦に突入するが、延長11回に3連投となった藤井皓哉山川穂高サヨナラ2ランを打たれ、この日の優勝決定はならなかった。

この日の優勝を逃したソフトバンクは、マジック1のままシーズン143試合となる10月2日を迎えた。

10.2再び

オリックスソフトバンクは直接対決をすでに終えていたため、2014年2021年の両チームによる直接対決とは構図が異なるものの、パ・リーグ優勝チーム決定はレギュラーシーズン最後の試合が行われるこの日に委ねられた。

10月2日 試合前の成績
順位 チーム 試合 勝利 敗北 引分 勝率 ゲーム
1位 ソフトバンク 142 76 64 2 .543 M1
2位 オリックス 142 75 65 2 .536 1.0

ソフトバンクオリックス優勝条件は以下の通り。

ソフトバンク
勝利 引分 敗北




勝利 SB SB Bs
引分 SB SB SB
敗北 SB SB SB

ソフトバンク勝つか引き分け優勝、負けてもオリックスの結果次第で優勝が決まる。一方オリックス優勝するには「楽天戦に勝利したうえで、ソフトバンクロッテ戦で負ける」ことが一の条件だった。

オリックス・バファローズ対東北楽天ゴールデンイーグルス25回戦

10月2日楽天生命パーク
1 2 3 4 5 6 7 8 9
オリックス 0 0 0 0 3 0 0 0 2
楽天 0 0 0 2 0 0 0 0 0

オリックスは今季楽天戦で5勝をあげている田嶋大樹先発打線楽天先発田中将大の前に3回パーフェクトと封じられるなか、田嶋は4回裏に満塁ピンチを招く。監督中嶋聡はここで田嶋を諦め、比嘉幹貴スイッチ。8年前のこの日にも登板した比嘉だったが、楽天のギッテンスに5球スライダーを打たれ先制の2点タイムリーを許してしまう。中嶋監督はさらに比嘉に代えて宇田川優希をマウンドに送る。宇田川は1四球を出したものの追加点を許さない好救援を見せると、オリックスは5回に満塁チャンスを作り伏見寅威タイムリーで1点差、さらに福田周平の2点タイムリーで逆転に成功する。5回も宇田川が続投して失点に抑え、6,7回は山崎颯一郎、8回はジェイコブ・ワゲスパック得点を許さない。オリックスは9回に伏見の2点タイムリーで追加点をあげると、その裏を阿部翔太が3人で終わらせて勝利楽天を負け越しフィニッシュにして逆転優勝への望みをつないだ。

ソフトバンクよりわずかにく終わったオリックスの選手は、球場ビジョンZOZOマリンスタジアムの試合経過を見守った。

福岡ソフトバンクホークス対千葉ロッテマリーンズ25回戦

10月2日ZOZOマリンスタジアム
1 2 3 4 5 6 7 8 9
ソフトバンク 1 0 0 1 0 0 0 1 0
ロッテ 0 0 0 0 0 3 2 0 x

ソフトバンクは前回のロッテ戦で完封勝利をあげた板東湧梧先発ソフトバンクは初回に三森大貴先頭打者ホームランで先制すると、4回には柳田悠岐ホームランで2点をリード東が5回81球で降すると、6回には泉圭輔登板する。松本裕樹藤井皓哉リバン・モイネロの4連投を避ける形をとったものの、山口航輝に3ランホームランを打たれて逆転を許してしまう。行きが怪しくなった6回には甲斐野央が1点を失い降、あとを継いだ嘉弥真新也タイムリーを打たれて点差は3点に広がった。

ソフトバンクは8回に二死から相手のエラーランナーが出ると、柳田タイムリーで1点を返しデスパイネ振り逃げで二死1塁3塁のチャンスを作る。代走・野村勇盗塁リクエストの結果認められ、さらに中村晃四球を選んで満塁に。一打同点の場面でグラシアルを迎えるが、遊ゴロに倒れて追加点を奪うことはできなかった。

優勝に向けて後のなくなったソフトバンクに対し、ロッテは9回に抑えのロベルト・オスナを起用。周東佑京レフトフライ代打町達から三振を奪うと、最後は三森大貴センターフライに抑えた。

この間、オリックス・バファローズ2年連続14回優勝が決まり、パシフィック・リーグレギュラーシーズンが終了した。

その後

143試合を終えたソフトバンクオリックスの成績は次の通り。

10月2日 試合後の成績
順位 チーム 試合 勝利 敗北 引分 勝率 ゲーム
1位 オリックス 143 76 65 2 .539 優勝
2位 ソフトバンク 143 76 65 2 .539 0.0

プロ野球史上初めて1位2位の成績が全に並んだ。パシフィック・リーグでは同率チームが発生した場合、リーグ規定により①当該球団間の対戦勝率が高い球団、②リーグ内対戦成績の勝率が高い球団、③前年度順位が上位の球団によって順位を決めることになっている。オリックスソフトバンクの直接対戦はオリックス15勝ソフトバンク10勝となっているため、規定によりオリックス優勝が決まった。

エピソードその他

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関連項目

脚注

  1. *2020年シーズン途中から監督代行。シーズン終了後1軍監督に就任した)
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