KAN-SENとは、STGアプリ『アズールレーン』に登場する萌え擬人化艦船の総称である。
概要
E…En-lore 半分造語(伝承に入る)、史実とつながる
N…Node 端子、分岐点、接続点
動力学的人工海上作戦機構・自律行動型伝承接続端子
全称 艦船(KAN-SEN)
以上が、当アプリゲームに登場する艦船擬人化キャラクターの総称として、公式に設定されている。一見するとナンノコッチャだが、平たく言えば「人工的で自律的に動く史実とつながる端子としての特性を持った軍艦型兵器」である。これでもまだわかりづらいかもしれないが。
この正式名称が付けられる以前は、プレイヤーの間では「艦船少女」と呼ばれていた。この通称は、アズールレーン公式で正式に使用された事実は確認できないものの、4gamer.netやITmedia等の大手ニュースサイトでは初期から一貫して『アズールレーン』に登場する萌え擬人化艦船の総称として使われていたため、『艦隊これくしょん』の「艦娘」と差別化する意味でも「艦船少女」という言葉が半ば準公式として定着した。
しかし、やはり公式名称ではない以上、どこでも通用するわけではないことを留意して使おう。プレイヤーによっては、「艦娘」と呼び習わしている人も多く、それで特に不都合もないのだから。
2018年5月にアズールレーン公式Web番組において「艦娘」という言葉が使われ、これに対して「艦隊これくしょん」を運営するDMMグループから名指しこそ避けたものの抗議声明が発表された[1]。このとき、この「艦娘」という言葉が既にDMMグループによって商標登録されていたことも明らかになり、事実上艦これ以外のゲームで艦船の擬人化(美少女化)キャラクターを「艦娘」と呼ぶ事は不可という状態になっている。
ゲーム内では、明石などの一部のキャラクターが「艦(フネ)」と自分たちのことを呼んでいた。なので、本来は「艦(フネ)」が正しいのかもしれない。だが、これも公式が認めた呼び名ではない。
その後、前述の騒動を経て、アズールレーン公式では呼称を募集中した結果、9月13日に正式名称が発表された。
彼女らは艦娘と同じように身体のどこかに艦船の装備を身にまとっており、所属する陣営によってデザインに一定の傾向があるという特徴がある。
なお、装備品は所属勢力に関係なく装備できるため、エンタープライズが零戦や彗星を飛ばしたり、赤城がヘルキャットやヘルダイバーを発進させるなんていう光景もあり。尤も、他の萌え擬人化作品やリアル系の架空戦記ものでもこういう描写はあるため、取り立てて珍しいことでもない。
ゲーム中で表示されるイラストは、初期装備をイメージして描かれているため、装備を整えた後で実際にKAN-SENたちがどんな姿になっているか想像しながらプレイするのも楽しいかもしれない。
彼女たちが建造されるときは、下記メンタルキューブの節で述べる通り人間のイメージする姿かたちが人間に似た部分と艤装の外見に影響してくる。艦船としての「過去」をなす「リュウコツ」と、擬似的な人間となったことによる「未来」という2つの要素により、戦闘経験や人間に極めて近い日常生活を送ることで「ヒト」としての人格が形成され、互いの絆を育み合うことにより、本来の兵器としての性能以上の力を発揮することが可能になる。
KAN-SENは人間とは身体構成は異なっているが、人間と同じ様に生活することが可能。人間と同じものも食べることができるが、KAN-SENにしか食べられないものもある(寮舎で出てくる酸素コーラや魚雷天ぷらなど)。戦闘時以外の身体能力は人間と大きく変わらないが、戦闘時に艤装を装着することで強い力を発揮することができる。
また、艤装は適宜実際の艦船の姿に展開することも可能。艤装に変化させず、そのまま艦船の姿でいるものは「量産型艦船」と呼ばれ、KAN-SENと艦隊を組んで行動を共にする。ゲーム上では味方側の艦隊はKAN-SENのみしか描かれないが、実際は敵味方の量産型艦船が艦隊戦を行っているものと思われる。
そして、KAN-SENたちを育成・指揮するプレーヤーの分身は「指揮官」と呼ばれる。詳細はこの記事へ→指揮官(アズールレーン)
ゲーム内では、2つの勢力(アズールレーン、レッドアクシズ)に分かれて相争っており、時に悲劇的な最期を迎える描写も見られる。詳細はこの記事へ→アズールレーン(陣営)、レッドアクシズ
だが、指揮官のもとにいる「学園」のKAN-SENたちには影響がない。それどころか、KAN-SENによっては設定されている個別ストーリーなどを見ると、勢力の違うはずの少女たちが、仲良く遊んだりお出かけしたりする平和な光景さえ見られる。この謎を解くには、そもそも彼女たちが何者なのか、ということに行き着く。本邦で4周年を迎えつつある2021年9月現在は、かなりその正体がゲーム内でも明かされつつある。詳細は下記のネタバレ部分(スクロール)へ。
もっとも、そんなことは気にしなくてもゲームを楽しむのには何ら支障はない。プレイヤーそれぞれの視点で愉しめばよいだろう。
メンタルキューブ
メンタルキューブとは、当ゲーム内に登場するアイテムの一つである。外観は青く透明な立方体であり、中央でコアのようなものがかすかに光っている。ゲーム上の情報では、「メンタルキューブ、リュウコツを構成する特殊な材料」となっている。これを資金とともに「建造」に投入することによって、KAN-SENが出現することになる。
あくまで『謎の物体』としての位置づけであり、なぜこれを使うことによってKAN-SENたちを建造できるのかは明かされておらず、いわばブラックボックス的なアイテムである。その秘密について、我々プレーヤーたる指揮官は知るすべもないが、しだいにその正体を匂わせる描写がゲーム内で現れてきている。
まず、メンタルキューブは人類の「イメージ」を投射し、プロジェクターのごときにそれを具現化できるものである。そして、セイレーンとの戦いで最も大きく活躍し、人類の工業と軍事技術の結晶である戦艦などの「フネ」がメンタルキューブの特性をたやすく活かすことができるものであった。
人間の無意識が為すものか、メンタルキューブ自身のロジックによるものかはわからないが、人形(ひとがた)となった「フネ」、つまり「艦船(KAN-SEN)」は常に女性の姿をしている。
KAN-SENの寿命は明らかにされていないが、キューブに欠陥があった場合は病弱になり長くは生きられない事が判明した。唯一の例として天城がいる[2]。
(以下、ネタバレ情報が書かれております。秘密の深淵を覗くことを恐れない方のみ、この先をお読みください。)
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明石が語ることによれば、数十年前(我々の現実世界の歴史で言えば、明治時代後期~第一次世界大戦前ぐらいか)にセイレーンとともに人類の目の前に出現したとのこと。
上でも書いたとおり、このメンタルキューブは、「フネ」を「ヒト」の形にする力を持っている。つまり、キューブは不特定多数の人間による、とあるモノへの思い入れ、感情、イメージの集合、いわゆる「思念体」を元に具現化する能力があるのだ。具体的には、この世界で存在する(存在した)艦船の、その「カンレキ」を反映した能力と人格を持ったKAN-SENに変化するようである。これによって人類はセイレーンに対抗しうる力を得たが、なぜキューブがKAN-SENになるのか、そもそもキューブの原理や構造はどうなっているのか、全くの謎となっている。
しかし、人類はあきらめずにその謎を解こうと研究を続けている。その一環として、2018年4月26日に実装された科学研究室によって、これまで具現できなかった「カンレキ」の無い存在、つまり計画がありながら未成に終わった艦をKAN-SENとして具現することが可能になった。それには膨大な研究成果による人間の認識と、大量の設計図が必要となる。
そして、同日に実装されたKAN-SEN「ベルちゃん」の存在がメンタルキューブの謎を大きくクローズアップすることとなった。ある日、明石と夕張がメンタルキューブの解析をするために、セイレーンからの鹵獲品である「集束怪光線照射装置(仮)」を用いて、その熱光線でキューブを分解あるいは切断して、構造の観察と解析を行おうとした。
しかし、その実験が行われようとしたまさにその瞬間、そこに届け物をしにベルファストが訪ねてきたのである。熱光線を照射されたメンタルキューブは激しく発光し、ベルファストは光をもろに浴びてしまう。しかし、彼女は無事だったが、メンタルキューブは消失し、そこには「ベルちゃん」が現れたという。
どうしてこうなったのかはわからないが、ベルファストの存在がメンタルキューブの変化になんらかの影響を及ぼした可能性がある。
また、この時のベルファストは「私達は生まれた時からこの姿です。なので人間のように「子供の時の記憶」は確かにございませんね」と語っている。しかし、メインストーリーの中でヨークタウンが今際の際に言った「あなたたちが子供からエースになったのを見守れたのは、私の誇り」という言葉や、公式のイラストで幼いヨークタウン級三姉妹の姿があったり、PoWの幼少の姿とされるスルメイカをかぶりつく少女などの存在と矛盾することになる。
ゲーム内や資料で明かされた設定によれば、KAN-SENにはオリジナルの「素体」が存在し、プレイヤーである指揮官の元にいるKAN-SENたちは、一旦出来上がった「素体」の「鏡写し」として作られた「駒」である。メインストーリーやイベントストーリーで現れてシリアス劇を展開するKAN-SENたちは、「素体」かそれに近いものであると推測できるが、明言はされていない。セイレーンのセリフからすると、彼女らとて「駒」の一つに過ぎないかも知れないのだ。また、「素体」がどのようにして、だれによって作られたのかも依然謎である。
「駒」はいわばクローンであり、上記のベルファストの言葉通り設定された「記憶」を持って生まれる。また、他の「駒」に対してある程度「敵・味方の識別」の制御が可能なようである。これにより、指揮官の母港では勢力の違うKAN-SENが仲良く暮らすことができるし、敵として現れた「駒」を沈めても(つまり、同胞や自分自身を殺すことになっても)心理的ストレスを感じることは少ないようだ。やはりいい気分ではないことを語るなど、全然平気なわけではないようだが。当然、基本的なスペックは「素体」に比べて劣ることになるが、「覚醒」を果たすことにより下のような変化が起こると言う。
- 基本スペックが「素体」に匹敵するものになる。
- 自らの「素体」の有する情報・記憶を無意識に共有できるようになる。
- 記憶や人格の要素が「素体」に近づくことになる。これに伴って、記憶に混乱をきたすことがある。
- 「聖域」と呼ばれるフィールドにおいて、「駒」はある者からの強制的な支配を受けることがあるが、「覚醒」すればその支配を受けなくなる。
これまでのゲーム上のイベント『紅染の来訪者』では、重桜の「瑞鶴」が「覚醒」に至ったと明言されている。そして、姉の「翔鶴」も「覚醒」の兆しを見せる描写があった。また、「赤城」「加賀」もストーリー本編の展開を見る限り「覚醒」していると思しき描写がある。
ゲーム内でプレイヤーたる指揮官が行う、「駒」同士を組み合わせてのパラメータ上昇の「強化」や、同種の「駒」を組み合わせてのレベルや能力の壁を破る「限界突破」、レベル100に達した「駒」のさらなるレベル上昇を可能にする「認識覚醒」、「駒」と指揮官の絆を深めてより能力を引き出す「ケッコン」…これらは全て「駒」が「覚醒」して「素体」の領域に至るための過程であると思われる。
また、KAN-SENたちの記憶の中にはとある「セイレーンが現れなかった世界」(一種の平行世界か?)に起きた世界規模の大戦争があるようだ。この戦争は「天よりの光」により「全人類の永遠なる受難」という悲惨な結末を迎えたとされており、KAN-SENたちの人格形成に少なからず影響を与えたようだ(メインストーリーの展開はこの世界の歴史をなぞっている?)が、少なくともゲームの中で我々プレイヤーが見ることができる世界ではなく、詳細は全く不明である。
ともあれ、今後のゲームの展開の中で、セイレーンたちの謎とともにメンタルキューブの謎も解き明かされるのだろうか。指揮官たる我々はその時を待つしかないだろう。…と思っていたら。
エナジーキューブ
2021年9月、ゲーム内の「セイレーン作戦」で得られるファイル「特殊情報」が日本語で読めるように翻訳されて公開された。
その中には、北方連合の領内に隕石が落下。何十年もの時を経て、その中に人類にとって未知のエネルギーをもたらす「もの」が含まれていたことが判明することから始まる、我々の現世の「地球」とは違う歴史を歩みはじめる人類の様子が描かれていた。
発見された「もの」は特殊な容器に閉じ込められ、「エナジーキューブ」と呼ばれるようになった。これは、化石燃料や原子力と言ったこれまでのエネルギーとはまったく違うものだ。一切の環境負荷を伴わないどころか、廃棄物の処理なども再生産のエネルギーとして取り込むことができるなど、まさに夢のエネルギーとなる。
発電、工業、自動車などの交通、電池の代用、寒冷地を温めての農業化など、「エナジーキューブ」略して「キューブ」は人類の生活に筆舌に尽くしがたい恩恵をもたらす。
その中で、「キューブ」技術はミリタリー面にも影響を与え、キューブ動力の無人艦艇が作られ始める。やがて、「微光」と呼ばれる謎の計画が実行され、ユニオンの武勲艦エンタープライズ(CV-6)の展示をめぐる奇妙な動きがあったあと、キューブ動力に改造されていた原子力空母エンタープライズと数名の将官が消滅。それと入れ替わりに少女の姿を持つ新型兵器「コード『G』」が出現した。これにはキューブの著名な研究者であるアンジュ博士が関わっていたと言われる。
コード『G』、そしてKAN-SENの登場
「コード『G』」を始めとする少女たちは「KAN-SEN」と呼ばれ、建造時から直接エナジーキューブを用い、キューブと完全に一体化したものだ。
そして、主砲・対空砲・航空機・レーダーなどの装備品といったものは、実物のミニチュアの用に艤装に付けられるものだったが、これが独自に取り替えてアップデートが可能であることがわかってくる。
この「KAN-SEN」の存在は、世界のパワーバランスに重大な影響をもたらしていく。ユニオンと北方連合の間では「KAN-SEN」を軸とした軍拡競争が激化し、人類のあらたな問題となっていく。
…2021年9月現在のところ、明らかになっているのはここまでである。これがすでに各部ストーリーでほのめかされている各要素にどのようにつながっていくのか、まだまだ謎はつきない。
2021年12月の「セイレーン作戦」5章追加により、新たな「特殊情報」が開放された。それによると、エナジーキューブの中でも「KAN-SEN」の元になったものはアンジュ博士によって「メンタルキューブ」と呼ばれるようになったことが判明した。そして、彼女ら「KAN-SEN」がまとう「艤装」は、「メンタルキューブと各種のマテリアル(物質)との共鳴現象により、物質を構成する粒子の構造が変化して組み立て直される」ことによってできているものだと説明されている。これにより、「KAN-SEN」は「艤装」を自らにまとったり、元になった本来の「艦船」の姿に戻したりできるのである。
参考として、次の記事も参照のこと。→セイレーン(アズールレーン)、META(アズールレーン)
(以上、ネタバレ終了)
関連静画
関連項目
脚注
- *なお、問題となったWeb番組が配信されたのは5月27日、抗議声明が発表されたのは5月31日で、その日までに問題の番組は配信停止、差し替えが行われた上で、6月2日になってからアズールレーン公式より謝罪文が公開された。なおこのとき、Web広告等で「戦艦少女」という呼称も使われていたことが明らかになっており、こちらに対しても謝罪と対応が行われた。
- *もっとも、ゲーム中では亡くなったと明言されたわけではなく、隠遁して生存している可能性もあるが。
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