「……人類って面白い。力のカケラを授けただけで、またあの歴史を繰り返すとは」
「観察を続けようかしら。私、この子たちの将来には期待しているわ」
セイレーン(アズールレーン)とは、スマートフォンアプリ『アズールレーン』に登場するキャラクターおよび勢力。
概要
本編の時間軸よりも数十年前に突如として出現した怪異であり、その圧倒的な力で人類の制海権を奪い陸へと閉じ込めた。日本版では詳細な被害は語られていないが、大陸版のストーリーによると当時の制海権の9割をセイレーンによって喪失している。現代よりも遥かに進んだ技術力と科学力を持ち、人類側は彼らが用いるいくつかの兵器を鹵獲し研究しているが、未だに全容の解明に至っていない。
セイレーンという人類共通の敵の出現に、当時の世界各国はそれまでの各国家間で生じていた問題を棚上げして一丸となって対抗することを決定。最終的に連邦国家「ユニオン」、王政国家「ロイヤル」、軍事国家「鉄血」、君主制国家「重桜」の4大海洋国家を中心とした軍事連合《アズールレーン》を組織するに至る。アズールレーンならびにKAN-SENたちの活躍により、人類は徐々に戦線を押し戻し、やがてセイレーンを人類の生存圏から退けることに成功。しかし完全な殲滅までには至らず、突発的に現れるセイレーンへの警戒を続けながら現在に至っている。
その後、アズールレーンは対セイレーン戦における今後の方針の意見対立から内部争いを起こすようになり、ついには「鉄血」が連合からの脱退して新勢力《レッドアクシズ》の結成。「鉄血」の方針に賛同した「重桜」のレッドアクシズへの鞍替えなども相まって、人類はセイレーンそっちのけで「人類の今後の在り方」を巡って二大勢力の武力衝突(事実上の戦争)を引き起こしてしまう。セイレーンたちはそんな人類の在り方を「面白い」と評し、陰ながら両陣営の戦いの行方を観察することになる。
――――以上が『アズールレーン』本編における大まかなストーリーであり、当初セイレーンは人類の抗争の裏で暗躍する存在として位置づけられていた。その後2018年2月26日から始まったイベント「凛冽なりし冬の王冠」より本編への積極的な介入を開始。更にはボス格以外の量産型セイレーン(いわゆる雑魚敵)が登場、「駒」と呼ばれる量産型戦闘艦艇や、人格のない旧式の人型セイレーン「エクセキューターシリーズ」など続々と種類を増やし続けている。SDグラに味方とは違った可愛さを感じた指揮官もいるようで、鹵獲出来ないことを残念がられているとか。
彼らは普段、その高い技術力を用いて鏡面海域と呼ばれる実験場を作り出しており、何やら怪しい実験を日々繰り返している。勝手に人間同士が争っている好機にも関わらず、積極的な攻勢に出ることなく静観を決め込んでいる事から、彼女らの目的は単なる人類滅亡ではないと思われる。
(以下ネタバレ情報が書かれております。秘密の深淵を覗くことを恐れない方のみ、この先をお読みください。)
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その正体は作中の世界とは異なる平行世界の未来から来訪した存在。かつて自分たちの世界の過去で起きた「大戦」と呼ばれる戦争の《記録/レコード》を有する。
作中では未来の世界にて人類に侵略してきた謎の存在に対抗するべく、「審判者/ジャッジ」と呼ばれる存在により人工的に生み出された生体兵器であることが示唆されている。量産された肉体に人格プログラムをインストールする形式で作られているため、肉体が滅んでも人格プログラムが無事であれば何度でも復活ができる。一部からは「アンチエックス」とも呼ばれており、人類にKAN-SENを生み出す「メンタルキューブ」を齎した張本人。すなわち、全てのKAN-SENたちの造物主である。
未来の人類はKAN-SENとセイレーンを生み出して侵略者に対抗しようとしたものの既に遅かったらしく、結果として人類は滅亡、KAN-SENもほぼ全滅してしまったようだ。そして人類の生き残りとなった審判者は「人類が弱すぎたのが敗北の原因」と考え、セイレーン達を過去にタイムトラベルさせて「人類の進化/KAN-SENの覚醒」を促すことを計画。自分たちを本来の存在意義とは真逆の「人類種の敵」に位置付けて人類に攻撃を仕掛け、同時にメンタルキューブとKAN-SENの技術を拡散させた。
結果として作中時間軸の人類はセイレーンに対抗するべく科学技術を磨き上げ、我々の世界で言うところの20世紀中盤の段階で、近未来レベルにまで発展させることに成功。拡散させたKAN-SENについても、技術的には理解できずとも人間社会に溶け込むまでになる。その頃合いを見計らってセイレーンは各国上層部に対立工作を行い、アズールレーンの内部分裂を画策。KAN-SENの覚醒に必要な環境を構築するべく、「大戦」の再現を目的としたアズールレーンとレッドアクシズによる戦争を勃発させた。
現在は「大戦」の再現を経験したKAN-SENの反応をモニタリングしながら、自分たちが構築した「鏡面海域」内での「大戦」再現実験を並行して行っており、KAN-SENの覚醒を今か今かと待ち続けている状態である。作中では既に何名かのKAN-SENが覚醒反応を示しているため、計画は彼女らの思惑通りに進んでいるようだ。しかし最近になって「コードG」が率いる「余燼」の妨害を受け始めたため、今はその対応に追われているようである。
ちなみにセイレーンにもプロトタイプに当たるものが存在し、「コードG」と呼ばれている彼女が正にそれである。セイレーンとコードGの具体的な関係性は長らく不明だった。だが、コードGはセイレーンが放棄した平行世界「枝」で生き残ったKAN-SENたちを誘って「余燼」を組織し、セイレーンの企みを阻止しようとしていることが明らかになってきた。どうやらセイレーンたちが活動しているのは我々プレイヤーが見ている現状の世界一つではなく、数多くの並行世界である「枝」に渡っているようなのだ。そして、その中で失敗と見られた「枝」はセイレーンの手で始末されたものもあるようで、「余燼」に加わった生き残りのKAN-SENの中には個人的にセイレーンへの恨みを持つ者もいるようである。
そして、下記のオブザーバー零は、「審判者」こと「オースタ博士」をサポートする端末であったことが明らかになった。だが、現在のオブザーバー零の行動原理と思惑、「余燼」たちを生んだ現象と見られる「META化」、さらに、それらと主人公たる指揮官との因果関係――と、ますます謎は深まったとも言える。
他方、各勢力のKAN-SENたちもそれぞれに思惑を持って動き始めており、特に鉄血のKAN-SENたちは我々の見ている現状の世界と他の並行世界「枝」をつなぐ「特異点」を自ら作り出すことに成功し、「余燼」や「META」たちと接触、その一部のものを食客として迎え入れるまでに至っている。これに対してセイレーンたちは現状の世界の動きを「KAN-SENたちのイレギュラー行為による失敗」と見るか、「新たな展開による未来の破滅回避の可能性」と見るかを冷静に見定めようとしているようだ。
特に留意せねばならぬ点として、コンテンツ「セイレーン作戦」において水先案内人を務める「TB」はオブザーバー零の面影を感じさせる謎の少女であり、物語の鍵を握る存在――かも知れない。やはり、今後のイベントで明かされていくことだろう。
(以上、ネタバレ終了)
「こうでもしなければ、私たちがこの時代に戻る意味なんてないもの。 ふふふ……」
セイレーンのタイプ
セイレーンはこれまで、様々なタイプのものがゲーム上に姿を表している。ボス格のセイレーンの大まかな共通点は、青みがかった銀髪、黄金色に輝く瞳、漆黒の艤装である。人間型のセイレーンは、それぞれにモチーフとなった水生生物を思わせる艤装を所持している。
量産型戦闘艦艇
通常海域などで登場する量産型艦船に相当する存在。艦種の他にⅠ型~Ⅲ型といった種類がある。黒をベースとした艦体に赤や青といったラインの意匠が施されている。
エクセキューターシリーズ
人格を持たない人型のセイレーン。通常海域の敵KAN-SENに相当し、水生生物をモチーフとした艤装を所持している。こちらも量産型戦闘艦艇と同じく艦種の他にⅠ型~Ⅲ型の種類分けがあり、それぞれに応じて色合いが異なる。
- スカベンジャー(駆逐):カスザメ
- チェイサー(軽巡):ギンザメ
- オブストラクター(軽巡):ウツボ
- ナビゲーター(重巡):オウムガイ
- コンダクター(空母):イソギンチャク
- スマッシャー(戦艦):タカアシガニ
- ダイバー(潜水艦):???
エンフォーサーシリーズ
大型コンテンツ「セイレーン作戦」の実装に伴い登場したシリーズ。正式名称は「仲裁支援機構」。後述の中層端末「アビータ」達を補助する役割を持つと思われ、「アビータ」と同じタロット番号が名前の最後に付けられている。
モチーフは他と違わず水生生物が元となっており、ゲームのシステム上、登場する際は巨大なSDキャラとしてKAN-SEN達に立ちふさがる。
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下位端末
これまで最も多く姿を見せているセイレーン。放射状に大きく広がった大砲のような艤装は、まるで仏像の光背を思わせる。モチーフはイトマキエイ(マンタ)。
実験対象である人類の現戦力を測る役割を持つ。自身の実行端末(肉体)を複数所持しているようで、それを同時に操ることで相手の戦力に応じて自身の戦力を調節することが可能。初期においてはα、βといった記号が名前の最後に付けられていた。アニメではアズールレーンの連合艦隊に対し、大量の実行端末を投入することで戦力の拮抗を図っていた。
タコを思わせる生物的な異形の艤装を持つ。生足魅惑のマーメイド。
実験対象である人類をモニターする役割を持つ。またゲーム内世界のみならず、限定的ながらも平行世界の観測・干渉を行う力も有しており、演算リソースを利用して未来予測に近い高い計算能力を行使することが可能。用いることができる演算リソースが多いことから、下層端末の中でもリーダー的な立場にある。
また、アズールレーンクロスウェーブでは「タコレディ」の異名を持つ。
イベント「凛冽なりし冬の王冠」で初登場したセイレーン。なんだかモビルアーマーみたいなメカメカしい艤装を持つ。モチーフはシュモクザメ。
実験に際して障害となる存在を排除するのが主な役割。場合によっては陽動の役割を負うこともある。非常に好戦的で、KAN-SENたちとの戦いも「遊び」として戯れることを楽しんでいるようだ。ビーム兵器を持ち、射程による時間差のない攻撃をしてくる。
- オミッター
イベント「凍絶の北海」で初登場したセイレーン。口のような形の巨大な砲口を覗かせる艤装を背負っている。モチーフはウバザメ。
対セイレーン作戦の最前線である北海海域に突如出現し、指揮官一行&北連陣営に襲いかかった。ピュリファイアーと同じくやたらとテンションが高い性格で、「無駄無駄無駄!」とどこかで聞いたような台詞を叫んだり、「アイウィルビーバック…!」と言いながら親指を立てて撃沈したりとネタ性が高い。色々な意味で他のセイレーンとは一線を画した存在であり、実際に相対したアヴローラも直感で「ほかの上位個体とは違う」と評している。指揮官の間ではホロライブとのコラボイベント「幻想と真実の二重奏」で登場した人格プログラムがバグった駒のピュリファイアーを新たな肉体に埋め込んだのではないかと噂されているが真相は定かではない。
イベント「闇靄払う銀翼」で初登場したセイレーン。巨大な艤装の中央に鎮座しており、艤装からは長い触腕が伸び、全体をバリアが覆う形となっている。モチーフはダイオウグソクムシ。
アズールレーンの拠点の一つである運河要塞を襲撃。身を隠しながら海霧を操り、ボルチモアやエンタープライズといったKAN-SEN達を次々と異空間へと閉じ込めていった。主砲、艦載機、相手の砲撃を防ぐバリアを兼ね備え、更には潜水艦のように海中を潜行する能力を持つなど、「お前のような艦船がいるか」と言いたくなるような出鱈目な性能を有している。しかもこれだけ性能を盛っているのに戦闘は不得手な部類らしい。システム上の艦種は輸送艦なので、当然といえば当然なのだろうが…。お前のような輸送艦がいるか。
なおピュリファイアーの言葉から彼女は子機であることが判明しており、彼女よりも強いであろう親機が存在していることが示唆されている。
中層端末
オブザーバー達より上位の「中層端末」と呼ばれる個体。名前の先頭のアービタは「仲裁者(Arbiter)」を意味し、後に続く形でタロットの大アルカナの名称が付属する。「闇に堕ちた青き翼」で存在が示唆され、「開かれし紺碧の砂箱」で「アビータ・EmpressIII」のビジュアルが公開された。
オブザーバー零と同じく白と青を基調としたデザイン。「セイレーンのプロトタイプ」とされる存在ながら、彼女達とは全く異なる目的で活動する「コードG」と呼ばれる存在への対抗策としてオブザーバー零が起動した。
その後、「セイレーン作戦」の実装に伴い、その他のアビータが続々と登場している。中でもイラストのアビータ・StrengthⅧはファンの間で話題を呼んでいる。
???
全てのセイレーンを統括する最上位個体と目される存在。下位端末たちからは「零(レイ)」と呼ばれている。クラゲを思わせる生物的な異形の艤装を持つ。
「審判者」に最も近い存在であり、彼からの指示に応じて下位のセイレーンに命令を下す役割を担っているようだ。高い演算能力を持つオブザーバーでも考えを読むことはできず、その思惑は謎に包まれている。現在のところボスとしての登場はない。しかし…?→TB(アズールレーン)
余談
名前の由来はギリシャ神話に登場する半人半鳥の怪物「セイレーン」。
ゲーム中に登場するセイレーンには海洋生物を思わせるフォルムをした者も存在するが、これは元ネタのセイレーンが中世以降「海辺に住まう怪物」ということから半人半魚(人魚)として描かれるケースが現れるようになったため。
さらに蛇足であるが、叙事詩『オデュッセイア』においては主人公・オデュッセウスを誘惑できなかったショックから海に身投げするセイレーンの姉妹が登場し、この姉妹のうち最も美しい美貌と歌声を持っていたパルテノペーは海神・ポセイドンからその死を惜しまれ、死の間際に現在のイタリア沿岸部に流れ着き、同地の人々の手によって葬られた。
やがて人々は彼女を女神として祀り、彼女を葬った地に彼女の名前に因んだ都市「パルテノペ」を建設。自らをパルテノペ人と名乗るようになった。
この都市・パルテノペこそが現在のイタリアの海洋都市・ナポリであり、パルテノペ人が現在のイタリア人の先祖であるという。
『アズールレーン』において第二次世界大戦の枢軸国に相当するレッドアクシズが「セイレーン由来の技術を取り込んでいる」という設定を持つのは、もしかしたらここから来ている可能性がある。
ちなみにKAN-SENを進化させる存在「ブリ」はセイレーンの仲間という説が浮上している。基になった艦が存在しない、セイレーン同様に魚介類が名前、色合いがセイレーンに酷似(Mk-2は知らなーい)、いつのまにか母港にいたという情報が根拠である。
関連動画
関連静画
関連項目
- 4
- 0pt