我間乱~GAMARAN~とは、週刊少年マガジンにおいて2009年24号~2013年30号まで連載されたバトル漫画。単行本は全22巻。
作者の中丸洋介氏はこの作品で連載デビュー。
また2018年3月より続編シリーズとなる「我間乱 ―修羅―」をマガジンポケットで連載中。単行本は2024年3月現在既刊30巻。
概要
最強は誰だ!?切り捨て御免、禁じ手無しのアルティメット・クロニクル極限武闘活劇
~単行本第1巻帯より引用~
時代設定は江戸時代中期。九州は六十五万石〝海原〟という架空の藩が舞台。
変態武芸者おとこ共が、『命・技・信念』己達の全てを賭し、自らの最強を証明するべく斬り合う。
奇襲・不意打ちは当たり前(味方側が)・三勢力が入り乱れてのバトル・魅力的な強キャラでもあっさり退場など、少年漫画にしてはシビアな描写が特徴。また、どこか現実味があり思わずマネしてみたくなる技の数々も大きな魅力の一つ。
あらすじ
江戸中期―
力のほかに信じるものなく
戦に狂うほか生きる術を知らぬ
業深き武芸者どもが集う藩があった
その名を〝鬼の巣〟海原藩という―
~我間乱 第一話冒頭より引用~
海原藩の狂人藩主、鷲津直正。
三百以上の武芸流派を自領に抱えて庇護する彼は、三十一人の息子達を集めて言った。
「次の藩主の座は最強の流派を率いてきた子に決める」と。
二十八男・鷲津直善は、大亀流の少年剣士・黒鉄我間を率いて次期藩主の座を狙う。
今ここに、三十一流派が最強の武を競う〝海原大仕合〟が幕を開ける。
流派・登場人物
大亀流(おおがめりゅう)
二百年以上もの歴史を持つ、主人公も所属の剣術流派。
大亀流五剣と呼ばれる「雷・火・空・水・土」の型を中心とした独特の術理体系を持つ。
無宝流(むほうりゅう)
陣介が弟子と共に全国各地を巡り作り上げた、技ではなく思想の流派とも言うべき武芸者集団。
当主である陣介を頂点に、参謀→軍団長→師団長→一般団員という組織構成。
【当主直属兵団】
純粋な強さのみで選抜された十人の武芸者。中には参謀格に匹敵、または上回る強さを持つ者もいるらしい。ただし、陣介にしか制御できない困った人たちで、さらには独断での単独行動が許されているため尚タチが悪い。他の無宝団員との関係はあまり良くないようだ。
【その他】
- 巻 梅庵(まき ばいあん)
長刀の新興流派『天幻(てんげん)流』当主。巨大な酒瓶を担ぎ、いつも酔っ払っている通称『酔いの梅庵』。師匠の春嶽曰く天才。他藩の大名の「三百石で召抱えたい」という破格の待遇を蹴り、親友と共に天幻流を最強の流派とするため鬼の巣に乗り込む。
- 中泉 新(なかいずみ あらた)
- 大丸 左近(だいまる さこん)
- 藤林 才蔵(ふじばやし さいぞう)
- 鬼崎 玄斎(きざき げんさい)
- 二階堂 美作(にかいどう みさく)
- 御堂 心吾(みどう しんご)
海原五竜の一角、明神流・四神槍の一人で、規格外の大身槍『鬼断』を受け継ぐ豪傑。
尊敬する師の言葉に奮起して不断の努力を積み重ね、鬼断の次期継承者となる。師が千人斬りに敗死したことにより鬼断を受け継いでからは、まさに鬼断に人生を捧げたと言う他ない鍛錬に明け暮れることで師を越える強さを身に付けた。
- 榊原 佐助(さかきばら さすけ)
鎌槍『紅抜』を継承する明神流・四神槍の一人。その技は千以上にも上るとされる。小柄で少年のような顔立ちの青年で、冷静で落ち着いた物腰の人物に見えるのだが…。
実は殺人に無上の快楽を覚えるシリアルキラー。他の後継者候補を皆殺しにして四神槍となった。
無邪気なまでの残虐性と、紛れもない達人的技量を併せ持つその様は死神と評される。
- 神野 一翁(じんの いちおう)
百年以上に渡り四種四本の槍を四名のみに継承させ続けてきた明神流。四種四本の槍を継承した四名を、海原では尊敬と恐怖の念を込めて『四神槍』と呼ぶ。明神流を名乗れるのは槍を継承した四名のみであり、つまりはたった四人で常に海原の頂点を争ってきたその明神流において菊池槍『銀閂(ぎんかん)』を継承し、数十年に渡り四神槍であり続ける老年の武芸者。
この渋い設定とビジュアル、そしてとある理由から、作中屈指の人気を誇る。
技・術理
この漫画を語る上で欠かせない要素。一見すると「出来るんじゃね?」と、思わず納得してしまうような解説が入る技が多い。実際に練習し、挑戦してみたコアな読者も結構いる(ハズ…)。ここでは効果を発揮できるかはともかく、実際に練習(自己責任でお願いします)すればなんとか出来そうな技の極々一部を載せる。登場する技・理論に興味を抱いた人はWikipediaや我間乱WikiへGo。作中に登場した全ての技を、丁寧に分かりやすく解説してくれています。
- 雷電型第二式 紫電閃(しでんせん)
前傾姿勢から完全脱力して重力に身を任せ、自身の体を前方へ自然落下させる。その体勢から全開の脚力で突進し斬り付ける。始動にタメや予備動作が全くない上、重力と筋力が合わさった疾さと、自身の全体重を乗せた威力を持つが、発動前後にスキができる。
記事筆者の後輩は、マット上でこの技を練習中、脚力全開で顎を強打。失神した。
- 雷電型第三式 鳴神(なるかみ)~『序・交・斬』の三手で構成される必中必殺の技。
相手の懐斜め前方へ倒れ込むようにして飛び込む(序)。そして、わざと不安定な体勢を作るため足を交差させ、横へ倒れる力を利用し急転換&筋力全開で急加速(交)。至近距離での急激な軌道変化と速度変化により、術者の動きを見失って無防備となった相手を全力で斬り付ける(斬)。
技の発動には三歩の間合いが必要で、実戦で使用するには工夫が必須。また、気配察知能力に長ける相手や、技のカラクリを知っている者に対しては必ずしも必中ではない。
- 水龍型第一式 逆鱗(げきりん)
斬撃中に持ち手の上下を瞬時に入れ替えることで、刀の軌道を急激に変化させて相手の防御をすり抜ける技。すっぽ抜け注意。周りの安全を確認してから行いましょう。
- 水龍型第二式 湍流飛瀑(たんりゅうひばく)~左手の動きによる、斬・突・斬の変化技。
両手持ちでの斬撃中に左片手突きに移行し、さらにそこから斬撃へと繋げる。
- 鬼返(おにがえし)
一太刀目を加えたあと、そこから首と体を外側へねじることで間合いを伸ばし(肩甲骨がずれることで腕が伸びる)、同時に下からの斬撃を加える高速の二段斬り。
準備運動・柔軟をしっかりしていないと、確実に肩や背中、首の筋を痛めるので注意。
- 月隠しの構え(つきがくしのかまえ)
突き出した手の平を対峙する相手に重ねるように構えることで、目だけでは分からない相手のほんのわずかな動き(体重移動)をいち早く察知する技。一見簡単に思えるが、技の理論上、術者には手のひらと視点を微動だにさせない高い身体操作能力が要求されると思われる。
- 虚蹴跳(こしゅうちょう)
初期からの読者が今なお愛する作品ファン伝説の技。詳しくは項目へ。
- 双炎車輪
両刃状である双炎丸の特性を活かした技。全身を連動させて太刀筋を波打たせることにより、渾身の一太刀に別角度からの二つの斬撃を生み出させる。しかも二撃目で狙う部位や角度は術者が自在に変えられるため、間合いの中でこの技を防ぐことは至難。
ちなみに記事筆者は、この技を竹刀で練習していて右肩を亜脱臼した。
武器
作中に登場する極々一部を紹介。
- 我間の刀
よくヒビが入ったり折れたり砕けたりと、基本使い捨て。脇差は投擲武器として使うこともある。
- 久夛良木定長(くたらぎさだなが)
一ノ瀬家に伝わる身の丈ほどもある野太刀。長大重厚な上に鍔もないため、防御にはまるで向かない。だがこれこそが、強力無比・圧倒的な攻めのみで相手の全てを凌駕するという、『一ノ瀬の剣』の戦闘理念と信念の具現にして象徴。
- 黎月(れいげつ)
十人張りの強弓。これを引き絞り構える様は、その場に居る敵味方全員が魅入ってしまうほどの威容を誇る。放たれる矢『破王(はおう)』は、城門すらも爆風を上げてブチ抜く。
- 矮針(わいしん)
針状の手裏剣。刺さっても痛みを感じないほどに細いが、その分見えづらくかわしにくい。また、深く刺さると簡単には抜くことができない形状になっている。
- 双首蛇鐘(ふたくびじゃじょう)ハァハァハァハァ
鎖分銅が二つ付いた鎖鎌。両手で鎖分銅を操るため、鎌は股間前にぶら下がることになる。
- 髪帷子(かみかたびら)
アルミニウムに匹敵する強度があると言われている(世界中でも日本人の髪の強度は高いらしい)人間の頭髪で編み込んだ帷子…。それも、着用者がかつて愛した武芸者達を強く美しいうちに殺し、その亡骸を隅々まで愛で、咥え、しゃぶり尽くして奪った髪のみで作られている…。
- 鬼断(おにだち)
明神流・四神槍が代々受け継ぐ4本の槍の一つ。重量六貫(約22kg)・全長十尺(約3m)・穂先三尺三寸(約1m)という規格外の化物槍。鬼の命を断つために生まれたかのようだと語られるが、鬼なのはこの槍を手足のごとく自在に操る使い手だと思う。
- 紅抜(べにぬき)
明神流・四神槍が代々受け継ぐ4本の槍の一つ。穂先の片側に、上向きの大きな鎌と下向きの小さな鎌が一対付いているため、攻撃範囲が広く多彩な攻撃が可能。
用語
- 身体操作
- 人体に二百以上ある骨と六百以上ある筋肉を、意識しつつ動かし制御する術のこと。個人によって骨格や基礎筋力に違いがあるため得手不得手はあるが、同じ動きや技でも身体操作が上手ければ上手いほど質(精度・疾さ・威力など)が高くなり、また発する気配を少なく出来る傾向にある。
- 気配
動作の前に現れる体軸の歪み、歪みによって現れる重心の移動、視線や発せられる音などのこと。早い話が予備動作。達人ほど気配を抑えるのが上手く、相手の気配を読む力に長ける。
- 戦型
関連動画
関連リンク
関連項目