上賀茂神社は通称で、正式には「賀茂別雷神社」。
略称として神社的には「上社」、近隣の一部の学生は「賀茂神」、地元民は単に「神社」を用いる。
概要
本殿の北北西にある神山に祭神の賀茂別雷命が降臨されたことが始まり。
賀茂別雷命は、玉依日売命が賀茂川から流れてきた丹塗矢を不思議に思い、枕元において就寝したところ、不思議なことが起こった!でお生まれになったとか。
この話は能の演目「賀茂」で演じられているのだが、何かしら解釈違いがあるそうで、上賀茂神社内で演じると「雷に打たれて落命する」と言われており禁じ手となっているそうだ。
ともあれ御名前に「雷」が含まれているだけあって、御神徳として雷除け、転じて電気産業守護までこなされる。
玉依日売命と玉依日売の父の賀茂建角身命は上賀茂から3.6kmほど南にある下鴨神社(賀茂御祖神社)に祀られている。
下鴨神社と共に山城国一之宮、京都市内の他の社寺と共に世界遺産となっている。
京都の最古の神社の一つと言われるほどに歴史は古く、天武天皇の時代の西暦677年に社殿が造営されたとされる。
「賀茂」と「鴨」を間違うと田舎者として遇されるのだが、江戸時代にどっちが正しいの!?と幕府の方から申し入れがあり、それなら「上賀茂」「下鴨」にしようとなったとかなんとか。
境内
境内は桜や紅葉があちこちにあり、季節毎に美しい景色が見られる。
- 本殿・権殿
- 現在のは1893年(文久3年)に再建されたもの。国宝指定。
三間社流造式で東側が本殿、西側が権殿。式年遷宮の際に権殿が仮の本殿となる。 - 正月や特別参拝の時のみ拝観できる。
- 楼門
- 本殿の前にあり、朱が目を引く。重要文化財。
- 片山御子神社
- 楼門の横にある玉依日売命が祀られている摂社。通称の「片岡社」で知られる。重要文化財。
- 平安時代には既に縁結びの霊験があると知られていて、紫式部が「紫式部集」に記している。
- ほととぎす 声待つほどは 片岡の
もりのしつくに 立ちやぬれまし - 立砂
- 二の鳥居正面、細殿の前に円錐状に盛られている二つの盛り砂。神山に因んだ神籬(神が降りる依り代)だそうで、盛り塩の起源とも言われる。
- 神馬舎
- 一の鳥居から参道を進み二の鳥居の手前に馬小屋がある。土日や催事がある際には神馬「神山号」が出社する。
- 現在の「神山号」は元競走馬のマンインザムーン。
- 渉渓園
- 境内北東部、摂社の賀茂山口神社周辺に作られた曲水庭園。4月に曲水宴が催される。
- ならの小川
- 境内を流れる小さな川。百人一首でも歌われている。
- 風そよぐ ならの小川の 夕暮れは
みそぎぞ夏の しるしなりける - 時代劇の水辺のシーンの撮影もされていた。
主な祭礼・行事
日付 | 祭礼 | 詳細 |
---|---|---|
1月1日 | 歳旦祭 | 年頭にあたり一年の安泰を祈願する。 |
1月7日 | 白馬奏覧神事 | 年の始めに白馬を見ると邪気が払われるという故事に則った儀式。 |
1月16日 | 武射神事 | 年中の除災の神事。小笠原流による奉納が見学できる。 |
2月節分 | 節分祭 | 厄除け及び招福祈願。 |
3月3日 | 桃花神事 | 国家安寧や家庭の疫病や災いを祓い除く祈念を行う祭典。 |
4月第2日曜 | 賀茂曲水宴 | 渉渓園で葵祭の斎王代が歌題を披露し、歌人が即興で和歌を詠み短冊にしたためる行事。 |
5月5日 | 賀茂競馬 | 天下泰平と五穀豊穣を祈って行われる競馬会。 |
5月15日 | 賀茂祭 | いわゆる葵祭。 |
6月30日 | 夏越大祓式 | 半年間の穢れを祓い清め、次の半年の無病息災を祈念する神事。 |
9月9日 | 烏相撲 | 陰陽思想から9月9日より重陽の節句に当たり、細殿前に土俵が設けられ子供相撲が奉納される。 |
9月仲秋 | 賀茂観月祭 | 十五夜に仲秋の名月を愛でる祭典。 |
10月第3日曜 | 笠懸神事 | 走る馬上から的を射る儀式。水平の高さにある的を射る大笠懸と地面にある的を射る小笠懸が行われ、流鏑馬より実戦的だとか。 |
11月23日 | 新嘗祭 | 秋の収穫を感謝し祝う祭事。 |
12月31日 | 大祓式 | 一年下半期の穢れを人型に託しならの小川に流すことで祓い清める儀式。 |
神社周辺のスポット
- 大田神社
- 上賀茂神社から東へ800mほどにある摂社。
天岩戸の話で知られる天鈿女命が祀られている。当然ながら御神徳は芸能上達など。 - カキツバタの群生地があり、5月上旬頃が見ごろ。
- 二葉姫稲荷神社
- 渉渓園から奥(北東)へ進むと片岡山(神宮寺山とも)に沿って石段と鳥居群が有り、登るといくつかの小さな神社がある。南側は開けており、京都タワーなど市街が展望できる。
- 神仏習合で、かつては山の麓に片山御子神社の神宮寺があり、その神宮寺の鎮守社として置かれたもの。上賀茂神社から見ると下請けの下請けの下請けのような関係(ああ、ややこしい)だが、神様的には関係がない単なるお隣さん。
- と言っても土地的には(おそらく)上賀茂神社の敷地内で、管理は上賀茂神社に委託されているとか。(神宮寺の方は明治の神仏分離で廃寺になった。)
- 渉渓園周辺はちょっとした森になっていて、人気がなく閑散としていることからホラースポットなどと言われることもあるが、んなこたぁない。
グルメ
- 焼き餅
- 嫉妬する意味の慣用句「焼き餅を焼く」の語源とも言われる(諸説あり)。
- 神社の西側に「神馬堂」、南側に「葵家」がある。神馬堂のは作り切りで売り切れるとその日の営業終了となるのでややレアだとか。
- 神社内社務所横には休憩所・神山湧水珈琲「煎」が設けられていて、コーヒーメーカーAGFが神山の湧き水に合わせた特別ブレンドのコーヒーを味わえる。焼き餅(おそらく葵家製)とのセットも有り。
- 鯖の味噌煮
- 神社前のロータリーからしばらく北に進んだところにある定食屋「今井食堂」は、鯖の味噌煮定食で有名。
- 冷麺
- 神社から西へ御薗橋を渡り、御薗橋801商店街を突き進むとある「みその橋サカイ」は冷麺が有名。
夏頃になると「冷やし中華はじめました」なんて張り紙がされる店も多いが、こちらは通年で冷麺を食せます。
アクセス
京都市街の観光地では最北(※)と言える位置にあり、大きな行事が無ければ比較的空いている。
他の観光地を回るなら、まず始めに攻めるべきスポットとなる。
(※厳密には大原や鞍馬のが北になるが、旅慣れていないなら大原や鞍馬を目指すのは一日がかりとみた方が良い)
上賀茂神社からは今宮神社・大徳寺・建勲神社、金閣寺・平野神社・北野天満宮、下鴨神社・京都御所が攻めやすい。
神社には有料駐車場有。収容台数は170台ほどで普段は日中は30分毎に+¥100。大きな行事の時は臨時料金となり一日で¥500とか¥1000とかになる。
バイク・自転車は有料駐車場横に多少の駐輪スペースがあり、現状では無料。
京都駅から
- 市バス9号系統
- 堀川通が渋滞することや、二条城までが混雑しやすいものの、駅始発で1時間辺りの本数も多いので一番手軽な選択肢と言える。
- バス停「上賀茂御薗橋」で下車。東へ進み御薗橋を渡って数分。
- 市バス4号系統
- 河原町通の渋滞をモロに受けるルートを進み、1時間4本程度とやや使いにくい選択肢。
- バス停「上賀茂神社前」は神社内のバス操車場にあるので迷わずにすむのは利点。
- 地下鉄烏丸線で北大路駅→市バス北3号系統or37号系統
- 最速になる選択肢。地下鉄・バス共通一日乗車券を利用するなら。
- 北3は京都産業大学の授業や行事次第で激混みになることも。バス停「御薗口町」下車、南に数分で御園橋へ、橋から東へという経路になる。
- 37は河原町方面から市内北部へのメイン路線となるので混みやすいのが難点。
バス停「上賀茂御薗橋」で下車。東へ進み御薗橋をry - 地下鉄烏丸線で北山駅→市バス4号系統
- 渋滞の影響でダイヤが当てにならないのは難点だが、北山駅からはマイナーな停留所が多いため移動時間は比較的短くて済む。
四条河原町周辺から
河原町エリアは観光シーズンは全く進まないレベルで渋滞することもしばしばなので、出来れば地下鉄を利用したい。
- 市バス37号系統
- 四条河原町周辺では「三条京阪」行きになっているので混乱するが、そのまま入れ替え無しで回っていくのでバス停「四条河原町」から乗車すればよい。
- 運が悪くなければ座れるハズ。
- 市バス46号系統
- 四条通の渋滞をモロに受けるのは難点だが、二条駅周辺を越えると観光シーズンや通勤時間帯でなければそれなりにスムーズに進む。
- バス停「上賀茂神社前」は神社内ry。
- 市バス4号系統
- 河原町通の渋滞をモロにry。京都駅からの乗客も多いためあまりオススメではない。
- 徒歩で地下鉄烏丸線・四条駅に移動→北大路駅→市バス北3号系統or37号系統
- バスの具合は上述。
- 徒歩で京阪電鉄・祇園四条駅に移動→出町柳駅→市バス37号系統or1号系統or4号系統
- 37・4は結局河原町エリアから来るのでメリットはあまりないが、混雑している車内時間は多少減らせる。
- 1は出町柳駅からと河原町エリアとは絡まないので比較的空いているが、最寄りのバス停「大宮総門口町」から東に10分ほど離れているのは難点。
関連動画
関連項目
外部リンク
親記事
子記事
- なし
兄弟記事
- 0
- 0pt