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この記事は第196回のオススメ記事に選ばれました! よりニコニコできるような記事に編集していきましょう。 |
はじめに
皆さんのご近所にも神社が複数があったりするかもしれない。
「なんでこんなに近所にあるんだよ。かぶってるよ。まとめろよ。」
との疑問はもっともだが、それはローソンとセブンイレブン同士がごくごく近所にあるようなものである。
つまるところ祀っている神様が違う。よって決してかぶってはいないのだ。(いや、本当にかぶっている場合もあるが)
本記事では、その祀っている神様にはどういうものがあるのかを紹介する。
勧請あるいは分霊について
神社系列をよく理解するためには、勧請(かんじょう)というシステムについて知っておかなければならない。
勧請は分霊ともいい、ある神社の神様のパワーを他の神社に分けることである。
神道教義上、分られたパワーは元の神様のものと全く同じ働きをし、なおかつ元の神様のパワーは一切損なわれない。(※正確には「パワー」ではなく「神霊」である。)
上述のような素晴らしい性質を利用して、ある神社を勧請元にして新たな神社が作られたり、或いは既存神社に祭神が追加されたりする。こうして神社の系列が形成されるのであるが、まあフランチャイズのようなものである。
また、本家から勧請しようと、分家筋から勧請しようと神様の力は同じなのだが、せっかくだから有名なところから・・・と思うのは人の性である。というわけで、大抵の系列神社は総本社、宗社とよばれる大元の神社から直接勧請を受ける場合が多い。但し、勧請、分霊関係があるからといって組織的序列や指揮命令系統があるわけではない。
本朝に神社系列数多しといえども、その圧倒的系列神社数で業界に君臨する系列が2つ存在する。
それが稲荷と八幡である。
この稲荷と八幡の両系列は大手系列の中でも突出しており、一部ではスーパーメジャーと呼ばれ穀物業界で言う所のカーギルとADMもかくやという権勢を誇っている。
なお、記事の中に見られる神社本庁は三番目の神明神社の系列のことであり宗教法人である。
稲荷神社
「それは私のお稲荷さんだ!」という箴言でお馴染み、宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)を祭神とする神社。スーパーメジャー系列の1つ。
とにかく数が多い。多すぎるせいか資料によって1万社単位で数が違う。
パねぇっす。
ここではとりあえず20000社~40000社程度としておくが、個人宅の庭や事業所にあるような邸内社をカウントするならばこんなものでは済まない。日本の神社の3割は稲荷などという都市伝説もあるほどである。
実は神社本庁の調査によると稲荷神社は意外と少なく3000社程度となっているが、これは境内末社や相殿、小規模神社をカウントしなかったためかと思われる。
古代稲荷神は渡来人秦氏の氏神であった。やがて記紀神話の食物神宇迦之御魂神と習合、神仏習合においては荼枳尼天(だきにてん)と習合する。その後、明治期の神仏分離で荼吉尼天は習合から排除され、現在は概ね稲荷神=宇迦之御魂神という形で落ち着いてる。ちなみに宇迦之御魂神は記紀神話において特にエピソードもないモブキャラである。
仏教の荼枳尼天はヒンドゥー教のダーキニーに由来する。森を彷徨い、敵を殺してはその血肉を貪る鬼女である。神様というよりモンスターの類のような気がするが仏教に取り込まれた際には随分と更生したらしい。
荼枳尼天が稲荷と習合した経緯は省略するが、神仏分離政策により荼吉尼天が排除された際、あくまでも荼吉尼天にこだわる鬼女萌えのダキニスト達は神道と決別し、茶吉尼天を信仰する稲荷系寺院となったことは付け加えておかなければならない。豊川稲荷(曹洞宗妙厳寺)が有名である。
さて、稲荷という名が示す通り稲荷神はもともと農業関係の神様である。しかし、時代が下るにつれ商業や工業の属性が追加されて行き、今やオールマイティーな経済産業性能を誇る。江戸時代には通販まがいの勧請システムが確立し爆発的に普及したという。さらに、キツネというお馴染みのマスコットキャラクターもあり死角が見当たらない。
一応言っておくと、キツネは稲荷神そのものではなく、眷属といって稲荷神の使い、部下であるのでお間違えの無いように。
京都府伏見稲荷大社が稲荷信仰の総本社とされる。ほかに著名な稲荷神社としては高山稲荷神社(青森県)、竹駒神社(宮城県)、笠間稲荷神社(茨城県)、箭弓稲荷神社(埼玉県)、太皷谷稲成神社(山口県)、祐徳稲荷神社(佐賀県)、高橋稲荷神社(熊本県)など。
また、西大寺会陽で知られる岡山県の最上稲荷も、あれは神社ではなく寺院である。
八幡神社
通称「はちまん様」、八幡神を祀る神社。系列社は全国で約25000社を数えるスーパーメジャー系列の1つ。
八幡神は応神天皇と同一とされたため、たいていの場合八幡神社の主祭神は応神天皇(誉田別尊)となっており、両親である仲哀天皇、神功皇后とセットで祀られていることが多い。
平安時代までは朝廷、鎌倉以降は武家権力という時の権力層と密接に結びついており非常に政治的な神様でもある。スポンサーが権力層であるせいか個々の系列神社はそれなりの規模を持つ場合が多い。神社本庁の調査によると八幡系の神社数は第一位となっている。
イメージとしては庶民的なお稲荷さんとは対照的にフォーマルでお固い感じ。
軍神ということで御神徳は護国、戦争勝利などの軍事関係なのだが、一般人には関係が薄いため勝負事全般、無病息災、家内安全、セキュリティ関係となっている神社が多い。また、八幡神が鍛冶翁の姿で顕現したという伝説もあり冶金及び火の神、水の神としての属性も持つとされる。明治期、八幡市に日本初の官営製鉄所が作られたのも偶然とは思えない。
八幡神は元々、九州の豪族宇佐氏の氏神だったらしい。御神徳パネェということから朝廷公認となり、中央に進出、その後源氏の守護神として多くの武士にリスペクトされたため全国制覇を成し遂げる。また八幡神は神仏習合の先駆けとなった神様としても有名で、8世紀には東大寺大仏建立に協力した功績により「八幡大菩薩」という神号を受けている。
総本社は大分県宇佐神宮。石清水八幡宮は宇佐が遠いので平安時代に朝廷が、鶴岡八幡宮は宇佐と石清水が遠いので鎌倉時代に源家が勧請した神社である。
また、上述の大分県宇佐神宮、京都府石清水八幡宮、福岡県筥崎宮というが、この三大八幡宮が命名されたのは明治時代の文献であり、当時社格制度によって官幣大社となっていた天皇家にゆかりのある三社が選ばれた結果によるもの。
対して、鎌倉幕府、江戸幕府など武家から多大な尊崇を集めた一方、皇室からあまり尊崇を集めていなかった鶴岡八幡宮は社格制度によって国幣中社止まりとされてしまったため、意図的に外されてしまった。そんな理不尽な歴史があるため、今日では勝手に筥崎宮を外して、代わりに鶴岡八幡宮を勝手に三大八幡宮に入れたり、あるいは全部を総称して四大八幡宮としたりすることがある。
ほかに有名な八幡宮としては宮城県仙台市の藤崎八旛宮、深川祭でおなじみ東京都の深川八幡神社などがある。
神明神社
皇室の祖神である 天照大御神(あまてらすおおみかみ)を祀る神社。
系列社は神明社、皇大神社、天祖神社などの名前が付く場合が多い。通称「お伊勢さん」。
伊勢神宮を宗社とする伊勢信仰の神社は全国で10000~18000社程度が存在し、4大系列の1つとなっている。
国家神道時代においては神社ヒエラルキーの頂点に君臨する伊勢神宮を擁するという、5代目山口組でいえば山健組のような存在。また、現在の神社本庁においても伊勢神宮は神社のトップに位置づけられている。
皇室の祖神、記紀神話での大メジャー神である天照大御神、その本地仏は大日如来と、これでもかというくらい豪華な要素を持つ系列である。
天照大御神が太陽神ということで農業関係者の支持が厚く、江戸時代には新田開発の際に神明神社が建立されるといったことが多かったという。
天満宮
学問の神様として有名な菅原道真公を祀る神社。天神さまとも。4大系列の1つ。
不遇の死を遂げた菅原道真公の霊を「怒っちゃイヤよ?」と鎮めるために創建されたのが天満宮の起源であるが、公が大変に聡明な人物であったためいつのまにか学問の神様ということにされ、現在では学生、受験生に大人気の神社となる。何故だ。
西暦903年に没した人物を祀るため天満宮は西暦10世紀以後の創建となり、6世紀、7世紀、神話時代モノがゴロゴロしている神社業界ではやや新参の部類である。しかしながら、この天満宮系神社が日本全国に10000社前後展開していることを鑑みるに 菅公の御神徳おそるべしと言わざるをえない。
天満宮は日本全国に存在するが、道真公が太宰府で没したことから特に九州地方に多いとされる。
道真公の霊廟である福岡県太宰府天満宮、朝廷による鎮魂社を起源とする京都府北野天満宮が共に総本社とされ、全国の天満宮、天神社、菅原神社の勧請元となっている。また、全国で最も古い天満宮は山口県防府市にある防府天満宮であり、これらを三大天満宮と呼ぶ。ほかにも和歌山県の和歌浦天満宮や天神祭で名高い大阪市の天満宮などが著名。
宗像/厳島神社
宗像三女神(むなかたさんじょしん)である田心姫神(たごりひめ)、多岐津姫(たぎつひめ)、市杵嶋姫(いちきしまひめ)の三柱を祀る神社。
誰が長女、次女、三女かは文献によりまちまちなのではっきりとは分からないが、特に市杵嶋姫は人気があり、後世、仏教の弁財天との習合を経てアイドル的存在に成長したという。その人気ゆえに市杵嶋姫だけを祀る神社もある。
海の神様である宗像三女神は、古来より航海安全等の海事関係の神様として崇敬を集めてきた、そのため神社の立地は瀬戸内海沿いを中心に海辺に多い。
宗像三女神は元来、宗像大社の神々であることは確かだが、同じ神を祀る厳島神社が宗像大社からの勧請を契機に創建されたというわけでもない。ここでは宗像三女神系として一緒にしているが系列は異なる。
宗像神社の総本社は福岡県宗像大社。厳島神社の総本社は広島県厳島神社。
系列神社数は両系列合わせて7000社ほど。
諏訪神社
諏訪大明神たる建御名方神(たけみなかたのかみ)とその妻である八坂刀売神(やさかとめのかみ)を祀る神社。通称「諏訪さま」。
大国主(おおくにぬし)の子である建御名方は古事記における国譲りの神話にその名を見ることができる。
天照大御神が大国主に「AYB...オマエの国は頂いた。抵抗は無意味だ。」と恫喝した際に「かかってこいや!」と啖呵を切ったものの、天照軍団の切込隊長建御雷にボコボコにされ、「マジすんませんでしたっ!」と平謝りだったという残念エピソードである。
また、諏訪大社の社伝によると、もともと諏訪地方には土着神として洩矢神(もりやしん)という神様がいたが、外部から建御名方神が殴りこんできたため戦争になり、負けた洩矢神は国を明け渡したという。ニコニコ的にはこっちの話の方が有名であろう。
諏訪神社は新潟県、長野県に特に多く分布している。御神徳は狩猟と軍事関係ということで武士の崇敬を集めた。現代ではモンハンプレーヤーと守矢教徒の崇敬が厚い。
諏訪信仰の神社は全国に5000社ほどあり、総本社は長野県諏訪大社である。
八坂/津島神社
疫病、厄除けの神様として須佐之男命(すさのおのみこと)を祀る神社系列。通称は「祇園さん」、「天王さん」など。
現代では須佐之男命が祭神となっているが、明治期の神仏分離以前は須佐之男と同一視された牛頭天王(ごずてんのう)という神様を表看板にしており、神社の名前も祇園社、牛頭天王社などという名前だった。
この牛頭天王とは一体何かというとイマイチ来歴がはっきりしない神様で、もちろん記紀神話には出てこないし、さりとて仏教関係かというと必ずしもそうでもないらしい。一応、釈迦の生誕地である祇園精舎の守護神という設定がなされており、起源に関する説もいくつかあるのだが、定説は無いようだ。
現在、牛頭天王信仰の神社は八坂神社、津島神社、広峯神社、八雲神社、天王神社、素盞嗚神社、弥栄神社、祇園神社などといった神社名になっている。
京都府八坂神社を総本社とする八坂神社系列が2000社。愛知県津島神社を総本社とする津島神社系列が3000社。また埼玉県の氷川神社も同系列であり約200社ある。
浅間神社
木花咲耶姫(コノハナサクヤヒメ)を祭神とする富士山信仰の系列。信仰対象は富士山であって浅間山ではない。静岡県富士山本宮浅間大社を総本社とする。
系列社は富士山を望める東海、関東に多く存在し、東北や中国、四国などには少ない。
木花咲耶姫は大山積神の娘にして、ミスター天孫降臨瓊々杵尊(ににぎのみこと)の妻である。
このサクヤとニニギ夫婦の微笑ましい新婚エピソードが現代に伝わっている。
新婚ホヤホヤのある日、サクヤは長期出張から帰ってきた旦那のニニギに自分が妊娠したことを告げた。
この話にニニギは妻を疑った。何せ二人が夜を過ごしたのはたったの一晩だけなのである。
ニニギ「おまww、俺が出張中に浮気したろ!!」
サクヤ「・・・ッチ。お疑いなら仕方ありません。潔白を示すために部屋に火をつけて出産します。
この極限状態で無事に生まれてくれば、正真正銘あなたの子ですからね。文句ないわね!?」
サクヤは余人には理解しがたい超理論を捲し立てた後、妊婦特有の行動力を発揮。
本当に部屋に放火して出産を始めた。こうして無事生まれたのが、かの有名な海幸彦と山幸彦である。
イイハナシダナー。
春日神社
藤原氏の氏神として建御雷(たけみかづち)、経津主(ふつぬし)、天児屋(あめのこやね)、比売神(ヒメガミ)の四神を祀る神社系列。 この四神を総称して春日神(かすがのかみ)という。
一氏族のための神社という非常にプライベートな起源をもつものの、 藤原氏の荘園や国司任地、春日大社の社領などにポコポコ創建され全国に1000以上の系列社を持つに至る。
さすがは藤原氏である、そのへんの木っ端貴族とは格が違った。
総本社は奈良県春日大社。
建御雷,経津主ともに迦具土が殺されたときにその血から生まれた神で、それぞれ雷神、剣神とされる。
両神は偉大なる天照大御神総帥による地上侵攻計画において、高天原帝国の軍事力の要となった武闘派神で、葦原中国平定作戦では八面六臂の大活躍を見せた。帝国の地上支配が盤石なものになったのは彼らの功績大なりと言えよう。
ちなみに、記紀神話の記述自体が藤原氏の介入を受けている可能性があり、氏神である建御雷さま大活躍は相当なバイアスがかかっているのではないかと噂されている。汚いさすが不比等きたない。
なお、春日大社は茨城県の鹿島神宮、千葉県の香取神宮、そして大阪府の枚岡神社の勧請によって創建されたもの。
金比羅神社
香川県金刀比羅宮(ことひらぐう)から勧請された系列。
一般には「こんぴらさん」として知られ、系列社は金毘羅宮、金比羅神社、琴平神社などを名乗る。
主祭神は大物主(おおものぬし)、大物主は大国主(おおくにぬし)の幸魂(さきみたま)、奇魂(くしみたま)である、 まあ大国主の別名のようなものと理解されたい。また、そのスジ(怨霊業界)のビッグネーム崇徳天皇も祀られている場合がある。
この神社も神仏分離時に信仰対象が切り替わった典型である。
そもそも、総本社である金刀比羅宮は明治以前は仏教の天部である宮比羅(くびら)を金毘羅大権現(こんぴらだいごんげん)として祀る象頭山松尾寺という寺院であった。ちなみに、宮毘羅はもとはインド神話のクンビーラという鰐の神で水神である。
但し、金刀比羅宮によると創建時は大物主を祀る琴平神社であり、中世の宮毘羅との神仏習合を経るも現状は旧態に復しただけとされる。
古来より海事関係の神として船乗りなどの崇敬を集め、系列社は全国で600余りを数える。
江戸時代には全国の庶民にも信仰が広まり、伊勢参りに次ぐ金比羅参りという一大ムーブメントを巻き起した。
水天宮
天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)と12世紀の壇ノ浦の戦いで崩御した安徳天皇および平家一門を祀る系列。
祭神は天之御中主神、安徳天皇、建礼門院(安徳天皇の母)、平時子(平清盛の妻、建礼門院の母)など。平家滅亡後、建礼門院の部下が平家一門を偲んで水天を祀ったことが水天宮の起源である。
さて、この水天とは仏教の天部の1つである。元をたどれば古代インド・イラン圏の神ヴァルナであり、ゾロアスター教の主神アフラマズダと同一。よって水天宮は在日拝火教徒の崇敬も厚いとされる。
拝火教徒云々という冗談はともかく、記紀神話における始源神である天之御中主神がどこからきたかというと、明治期の神仏分離で仏教の水天を祀るとは言えなくなったため、
「じゃあ、記紀神話で言ったら天之御中主神じゃねえの?根源神だし。」
ということで天之御中主神が祭神に名を連ねているらしい。
安産祈願の神社としてで非常に有名。
安産の御利益も謳っている神社は多くあるが、ここは安産祈願のスペシャリストという感じで水天宮にこだわる人も少なくないとか。
総本社は福岡県水天宮。水天宮を名乗る神社はそんなに多くはないものの境内末社、摂社に勧請されている例は多い。
白山神社
北陸地方の霊峰「白山」、その雄大な姿は古代より人々の信仰を集めた。
この白山信仰を母体とする系列が白山神社である。
山といえば修験道。白山神社も中世より仏教天台宗と資本提携を行い事業を拡大、白山はやがて熊野と並ぶ修験道のメッカとなり多くの山伏で賑わったという。
このように白山神社も山岳信仰系の例に漏れず、過去には相当仏教色が強かったものの明治期の神仏分離以後は「なにそれ知らん」と黒歴史扱いである。
祭神は菊理媛神(くくりひめのかみ)。及びイザナギ、イザナミ。
ここで菊理媛のかっこいいエピソードの1つでも披露したいとこであるが、ほぼモブキャラなので省略。一応、イザナギがゾンビ化した嫁さんに追いかけられてるときにケンカを仲裁したとかなんとか、そういうしょっぱい話があるにはある。
系列社は全国に2000社程度存在するが、当然ながら白山のお膝元である石川、岐阜、新潟の各県に特に多く分布する。 総本社は石川県白山比咩神社(しらやまひめじんじゃ)である。
熊野神社
家都御子神(けつみこのかみ)、熊野速玉男神(くまのはやたまおのかみ)、熊野牟須美神(くまのむすみのかみ)を中心とした計12柱の神々である熊野権現を祀る神社。
系列神社は、熊野神社、熊野社、十二所神社などという名前になっている。
仏教との相性が良かったため、神仏習合がブームとなったときに爆発的な人気を集め、遠くは琉球王国にまで広まった。
山岳信仰、自然信仰を起源とする熊野三山(熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社)から勧請を受けた系列社は全国的な分布を示し、その数は3000社弱である。また、島根県には熊野大社という、一説によると熊野三山のルーツといわれる神社がある。
住吉神社
海神である底筒男命(そこつつおのみこと)、中筒男命(なかつつおのみこと)、表筒男命(うわつつのおのみこと)の住吉三神を祀る神社系列。通称は「すみよしさん」、よりフランクに言うと「すみよっさん」。
この三神はイザナギが黄泉の国から命からがら脱出したあとの禊において出現した神で、 後にかの有名な神功皇后の三韓征伐に力を貸したというエピソードを持つ。そのため神功皇后も祭神として祀られている場合が多い。
海の神様ということで古来より漁師や船乗りからの崇敬が厚かったようである。系列社は全国2000社あまりを数え、大阪府住吉大社が総本社とされる。
秋葉/愛宕神社
火の神である火之迦具土神(ひのかぐつちのかみ)、別名、火産霊(ほむすび)を祀る神社系列。
放火の神様ではなく防火の神様として信仰されている。
迦具土はイザナギとイザナミの子供として生まれるが、その火の属性ゆえ、出産時に母であるイザナミのアレが遺憾なことに・・・。その結果イザナミは死亡するのだが、これに怒った旦那のイザナギは「こんな子はいらん!」と迦具土を殺してしまう。哀れ迦具土の出番はこれだけであった。
秋葉、愛宕共に山岳信仰を端緒とし、修験道、仏教と深く結びついて発展した。
系列神社数は京都府愛宕神社を総本社とする愛宕系が800社、静岡県秋葉山本宮秋葉神社を総本社とする秋葉系が600社程度。
三島神社
大いなる山の神である大山積神(おおやまづみのかみ)を祀る系列。
系列社は日本全国に分布し三島神社、大山祇神社などを称する。
愛媛県大山祇神社、又は静岡県三嶋大社が総本社。両神社の関係は「三嶋大社は大山祇神社から勧請された説」が主流だが、逆の説や、両社に勧請関係は無い説などもある。なにぶん大昔のことではっきりしなのだ。
イザナギ、イザナミの子として生まれた大山積神はその名が示す通り山の神である。また、和多志大神という海神としての別名を持つ。
このように山も海も司る広大無辺な偉大なる神様であるのだが、記紀神話には大山積神が具体的に何をしたとかいう話は殆ど無く、その大物感とは対照的にキャラが薄いと言われる。
氷川神社
埼玉県氷川神社(さいたま市大宮区)より勧請を受けた神社系列。
祭神は須佐之男命。
八坂神社や津島神社も須佐之命男を主祭神とする神社系列であるが、氷川神社は自然神である氷川神とその習合神である須佐之男命を祀っているため、八坂、津島の牛頭天王信仰とは起源が異なる。
全国で250社程度存在するが、うち約230社は埼玉県(160)と東京都(70)に分布するというローカル系列。神社業界のベルクである。
東照宮
江戸時代に発生した系列であるため、系列神社の創建は17世紀以降と、神話レベルが珍しくない神社業界では非常に若い部類となる。
とはいえ江戸時代には幕府の威光により続々と創建され500社を超える隆盛を示す。しかしながら明治に入ると政府から仕分け対象にされ、数が激減、現代では130社程度となっている。
家康公の霊廟である栃木県東照宮(日光東照宮)を総本社とする。
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