ククルス・ドアンとは、TVアニメ「機動戦士ガンダム」の登場するキャラクターである。
この記事では彼の登場話である「ククルス・ドアンの島」や彼の搭乗するザク、MSD「ククルス・ドアンの島」についても解説する。
劇場版に関しては「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」の項目を参照。
ククルス・ドアンの概要
TVアニメ第15話「ククルス・ドアンの島」に登場。体格の良い元ジオンの脱走兵。(ガンダムではなくコア・ファイターだが)アムロを撃墜した数少ないキャラクターでもある。
TV版を再構成した劇場版三部作や漫画「THE ORIGIN」ではエピソードがカットされたため登場しない。
THE ORIGIN劇場アニメ化に伴い後述の外伝漫画がスタート。2022年6月3日からは劇場版が公開されている。
声:徳丸完(TV版・ゲーム作品) / 乃村健次(徳丸氏死後のゲーム作品での代役) / 武内駿輔(劇場版ククルス・ドアンの島)
ククルス・ドアンのあらすじ
救難信号を受信したWB隊は、アムロをコア・ファイターで偵察に向かわせる。
救難信号の示す島でアムロが見たものは、武装のみを破壊され不時着した戦闘機と、シートごと縛り付けられた二人の連邦兵であった。
救助を試みるアムロだったが、何者かに石や火の棒を投げつけられるなどの妨害に会い、連邦兵は絶命してしまう。
何者かを追いかけたアムロが目にしたのは、「兵隊は出ていけ!!」と泣き叫ぶ三人の子供たち。どうにか誤解を解こうとするもそこに妙にスマートなザクがあらわれ、コア・ファイターで応戦するも撃墜されてしまう。
小屋で目を覚ましたアムロは、ロランという少女から小屋の主でザクを駆っていた男、ククルス・ドアンについて語られる。ドアンはジオンの脱走兵であり、戦災孤児である子供たちとひっそりと暮らしていた。自分たちの存在がジオンや連邦に知られるのを恐れ、ザクを用いて撃墜していたのである。
アムロが帰投して連邦に報告することを危惧したドアンはコア・ファイターを滝つぼに隠すも、ジオンのザクが現れ状況が一変。アムロの説得によりコア・ファイターを返し、ガンダムにドッキングして帰ってきたアムロと共にザクで戦いを挑む。戦いの最中、実は孤児たちの母親を流れ弾で殺害してしまったという事実を吐露。生き残った孤児たちすら殺せと命令した非道なジオン上層部に嫌気がさし、孤児たちを連れて脱走。今は孤児たちを守るためだけに戦っているのだと語り、アムロと和解した。ガンダムの加勢に関わらず、武装のないザクで「モビルスーツの格闘術を見せてやる」とザクマシンガン装備のザクに挑み、タックルや飛び蹴りなど多彩な技を駆使し最後に正拳突きで勝利を治めた。
戦いの後、アムロは「子供たちを守るためのザクこそが狙われる原因になっている」と指摘。それを受けたドアンはザクを海に廃棄するのだった。
脱走兵というと戦いから逃げ出した情けない兵士のように思われがちだが、ドアンは自らの倫理に従い軍を抜け、なおかつ自身の"戦争行為に対する責任"として孤児たちのために戦い続けている立派な漢だといえるだろう。
この1話限りの登場であるものの、この回は「普段銃を向け合っている敵も見方を変えれば一人の人間」、「強い力は守る力であると同時に戦いを呼ぶ原因になりうる」ことを表したガンダムらしい内容であり。中々知名度の高いキャラクターである。
ククルス・ドアンの外伝
近年、「THE ORIGIN」映像化をはじめとした一年戦争作品が増える中、エースパイロットネタが切れたガンダムエースにおいてククルス・ドアンの過去を描くMSD作品「ククルス・ドアンの島」が連載開始した。作画は以前「ミッシングリンク」を担当したおおの じゅんじで、安彦良和テイストの画風が特徴である。
実はジオン所属時の彼は隊長であり、彼の部隊は主にMSや関連武装の性能テストを任されていたことが判明する。彼が優れた操縦技術を有しているのも、MS黎明期から携わっていたからかもしれない。そのうち本当にククルス・ドアン専用ザクが設定されるかもしれない。と思っていたら劇場版でホントに設定されました。
物語はドアン脱走後、散り散りになった部下たちが任務の最中ドアンについて回想し、任務や回想でMSDに触れながら一年戦争を戦っていくという展開である。部下たちの活躍やMSDの活躍に重きが置かれており、原作の「ククルス・ドアンの島」とは異なる趣の作品となっている。回想の中のドアンは軍人らしく実直な言動をとっていた。
ククルス・ドアンの劇場版
2021年9月15日、「劇場版 機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」が2022年公開予定であることが発表された。監督は安彦良和が務め、「ククルス・ドアンの島」を新たな切り口で描くと謳っている。
TV版15話のリメイクなのか、THE ORIGIN版として再構成するのか、上述のMSD漫画の映像化なのか、はたまた全く新しい作品なのか、詳細はこの時点では不明であった。
2021年12月21日、特報映像が解禁された。THE ORIGIN版としての再構成作品であることが明らかになった。2022年6月3日公開。
THE ORIGIN版の設定を下地にしているためか時系列はジャブロー後らしく、TV版では絡まないスレッガーやゴップが登場する。また、ドアンがサザンクロス隊の隊長だったことや「エースといえばシャアかドアンか」と言われる腕だったことなどの設定の追加、孤児たちの人数が増えるなどかなりの変更点がある模様。
メカニック設定も無駄に凝っており、ドアンザク、ザクがぶら下がれるサイズのルッグン、ゴップ専用艦など新解釈・新設定が公開された。
THE ORIGIN基準といっても上記MSDコミック「ククルス・ドアンの島」とつながりがあるわけではない。しかしながら、「おおのじゅんじさんのククルス・ドアンの島がきっかけでクルス・ドアンのエピソードを思い出した」と安彦監督は語っているため、企画が動く重要なファクターではある。
詳細は「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」の記事を参照してほしい。
ククルス・ドアンのザク
他の多くのジオン兵がそうであるように、搭乗機は普通のザクⅡである。...のだが。
機動戦士ガンダムは作成された時代ゆえ作画崩壊・作画ミスが多いことで有名であるが、この回は特に顕著な回のひとつであり(海外に外注したためと言われている。EDクレジットに表記されているアニメフレンドは海外への仲介を行っている企業である)、それがこのザクに現れている。
まず妙にスマートである。特に脹脛が顕著で、ジオンのMSは脹脛から末広がりになるためマッシブな印象なことが多いが、このザクは人体のように脹脛のラインがそのまま足首に収束する。見方によってはガンダムよりもスタイリッシュに見えるほどである。この回の頃になるとそろそろザクを見飽きた視聴者も目を疑っただろう。
また、敵ザクに挑もうとするガンダムに右腕を伸ばして制止するシーンがあるのだが、ドアンザクより右手前にいるガンダムの前に右腕がアームパンチみたいにニュッと伸びてくる。このときガンダム(に乗ったアムロ)は「なぜ止めるのか?」という意味合いで少しのけぞるのだが、これが腕が伸びたことにギョッとしているようにみえて余計に笑いを誘う。
このように独特な体型でありまたザク自体も人気MSでもあることから、ガンプラ作例ではわざわざ普通のザクをプラ材やパテで加工し、ドアンのザクのプロポーションを再現するというものがあったりする。
長らく隠居していたためか武装は持っておらず、徒手空拳の格闘術で戦うガンダムファイター。しかしながらその操縦技術は本物で、コア・ファイターのマシンガンをダッシュでよけたり、発射されたミサイルを見切って転がっていた岩を投げて撃墜、爆破の衝撃でアムロも不時着させた。マシンガンを持ったザク相手にも殴り掛かり、動力パイプやシールドに被弾しつつもジャンプで間合いを取りつつキックやタックルでザクを翻弄した。回想ではザクマシンガンを使用しているため、ドアンの射撃が下手というわけではない。続く16話はアムロがガンキャノンで無双することで有名だが、これはドアンの戦い方が影響しているのかもしれない。
前述の独特のフォルムやドアンの操縦による高い性能から「ククルス・ドアン専用ザク」あるいは「ドアンザク」と呼ばれることもある。
ドアン専用ザク
劇場版製作に伴い、上記のザクを再設定した機体。ベースはTHE ORIGIN版ザクだが各部の装甲ははがれていたり補修跡が目立つ。そういった現地改修の結果、上記ドアンのザク特有のフォルムになったという解釈がされている。特徴的な馬面も、頭部装甲が歪み「鼻」の部分がずり落ちたという形で再現されている。現地改修っぽくアレンジすることで、TV版ドアンザクの体型を再現するとともに歴戦の戦士であることも強調する良いアレンジではないだろうか。
そんなボロボロの見た目だが、PVではガンダムと互角の戦いを繰り広げている。
そしてついにガンプラ化。プレミアムバンダイ限定でHGドアン専用ザクとして受注を開始した。やはりTHE ORIGIN版ザクのキットをベースにしながらも装甲の大部分は新規設計であったり、紹介画像に使われているドアン専用ザクのポーズがファンには見覚えのあるものばかりだったりと、力の入れようが感じられる。
なお、ドアンのザクの独特な風貌について安彦監督は「ただの作画崩壊にすぎない」と考えていたが、カトキハジメらスタッフが「ドアンのザクはあの見た目じゃなきゃダメ」と押し切ったという。
ククルス・ドアンの客演
その印象的な活躍から、ドアンおよびドアンザクがゲーム作品に採用されることも多い。
GBAソフト「SDガンダム GGENERATION ADVANCE」では条件を満たすと特殊シナリオで自軍に参戦。この作品では「機動戦士ガンダム外伝 THE BLUE DESTINY」のニムバス・シュターゼンの元部下の設定。専用ザクと参戦する。原作では非武装であったが今作ではザクマシンガンとヒートホークを装備しており専用のグラフィック。・・・なのだがこれだけでは終わらない。ニムバスとの最終決戦の際にドアンと専用ザクとドモン・カッシュを出撃させイベントを発生させるとなんとドアンザクがスーパーモードと化しGガンダムよろしく金色になる。(ドアンがパワーアップしこれ以降ハイパー化のアビリティを獲得、IDコマンドで発動できる。)戦闘面では武装が岩投げ、格闘になり大幅パワーアップ、50%の確率で回避する分身も追加されもはやザクの形をしたモビルファイターと化す。ちなみに自軍参戦シナリオで1度スーパーモードとなっていたりオープニングデモでニムバスと対決しているなど伏線は貼られている。また宇宙、地上どちらにも適性を持っている為、ザクⅡにしては珍しい動きやすい機体でもある。(本作品のザクⅡはF型とJ型で区別されており、別々で用意しなければ宇宙か地上、どちらかにしか出撃できない。)
PS3ソフト「機動戦士ガンダム EXVS FULL BOOST」においてまさかのDLCプレイアブル機として参戦。さすがにスーパーモードや独特の体形は再現されていないものの、ディティールは手抜きアニメを意識した簡略なものであり、技も原作を意識したモーションであるなど愛に溢れている。覚醒技はもちろん正拳突きで、当てたあと吹っ飛ばし爆散という二段構えの構成になっている。MB、ON、バーサス、EXVS2、XBにも続投している。
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