本記事『ポケモン世界に登場する現実世界の固有名詞一覧』では、『ポケットモンスター』に登場する、現実世界の固有名詞について解説する。
なお、『インドぞう』も固有名詞として扱う。
ポニータが飛び越えるもの
まずはポニータである。ひのうまポケモン・ポニータは赤・緑・ファイアレッドの図鑑説明文では以下のように解説されている。
からだが かるく あしの ちからが ものすごい。1かいの ジャンプで とうきょうタワーも とびこえる。
『ポケットモンスター 赤・緑』より
初代の頃のポケモンでは怪獣図鑑のオマージュ故か、あるいは現実世界のどこかにポケモンのいる世界がいるというフレーバーゆえか、ジャンプの高さを示すために東京タワーが登場する。しかし、まず「東京」ってどこだよとなってしまうことは否めない。東京タワーは333mの高さであるため、なるほどそれを飛び越えるというならばさすがはポケモンといったところか。
ここで気にならなかっただろうか。「海外版では何を飛び越えているんだ?」と。海外版『Red / Blue』は日本語版の『青』の図鑑説明文をベースにしているため、ポニータは何も飛び越えていないのだが、『Firered』や『Pokémon Stadium (日本でいうところの『ポケモンスタジアム2』[1])』では日本語版の『赤・緑』のように飛び越えている。
ということで、まずは英語版をそれぞれ見てみよう。
Capable of jumping over the Eiffel Tower in a single giant leap. Its hooves are ten times harder than diamonds.
Its body is light, and its legs are incredibly powerful. It can clear Ayers Rock in one leap.
そう、エッフェル塔とウルル (エアーズロック) なのである。ということで、各言語版の飛び越えるものを確認できる限り並べてみた。
言語 | Pokémon Stadium ポケモンスタジアム2 |
Firered ファイアレッド |
---|---|---|
日 | 東京タワー | 東京タワー |
英 | エッフェル塔 | ウルル (エアーズロック) |
仏 | エッフェル塔 | 山[2] |
西 | ヒラルダの塔 | -[3] |
独 | エッフェル塔 | ウルル (エアーズロック) |
伊 | (調査中) | ウルル (エアーズロック) |
ということで、確認できる限り「ウルル」と「エッフェル塔」、そしてスペイン語だけ「ヒラルダの塔」を飛び越えている。
もの | 高さ [m] | 幅 [m] |
---|---|---|
東京タワー | 333 | 80 |
エッフェル塔 | 324 | 124.9 |
ヒラルダの塔 | 98 | 10 |
ウルル (エアーズロック) |
335 | 9400 |
ヒラルダの塔は若干低いが、エッフェル塔とウルルは東京タワーと同じである。高さだけならばの話だが。しかし地球のへそなどとも呼ばれる一枚岩ウルルは9.4kmの幅を持つ。たかだか80mの幅しかない東京タワーを飛び越えるのとは段違いに距離がでかい。そして思うわけである。「ポケモン世界にウルルあんのかよ」と。
インドぞう
続いてはインドぞうである。ポケモン世界ではどういうわけか強さの基準にインドぞうが使われており、
でんげきは 10まんボルトに たっすることもあり ヘタにさわると インドぞうでも きぜつする。
『ポケットモンスター 赤・緑』より
うすい ガスじょうの せいめいたい。ガスに つつまれると インドぞうも 2びょうで たおれる。
『ポケットモンスター 赤・緑』より
と、ライチュウとゴースの説明文に唐突にインドぞうが登場する。ポケモン世界には現時点で象のポケモンと言えばゴマゾウ・ドンファン、ゾウドウ・ダイオウドウ、イダイナキバ、テツノワダチが存在するが、どう見てもライチュウやゴースごときが御することができようにもない。よってきっとポケモン世界には、じめんでもはがねでもない「インドぞう」がきっといることであろう。
しかしインドぞうは、東京タワーとことなり海外版でもそのまま登場している。ライチュウ・ゴースの図鑑説明文について、英語版では「an Indian Elephant」、独語版では「einen indischen Elefanten」、伊語版では「un elefante indiano」とはっきりインドぞうであることを明記しているし、仏語版では「un éléphant」と種こそ規定していないが象であることを示している。
一方、これまた西語版では「mayor de los Pokémon」、つまり「最大のポケモン」という表現になっている。ポケモン世界で最大のポケモンというと高さならホエルオー、重さならコスモウムやテッカグヤ、ゲンシグラードンなんかが挙げられる。だがコスモウムなんて異世界のポケモンで見たことのある人もいなかろうし、サイズは逆にめちゃくちゃ小さい。そしてゴースでテッカグヤやゲンシグラードンに勝てる見込みはない。ライチュウならテッカグヤやホエルオーはいけそうだが。
ちゅうごく
ウインディといえば、伝説のポケモンではないのにでんせつポケモンという分類で有名であるが、ポケモン図鑑の説明文ではこう書かれている。
ちゅうごくの いいつたえにある でんせつの ポケモン。ものすごい スピードで はしるという。
『ポケットモンスター 赤・緑』より
ちゅうごくで でんせつの ポケモン。かろやかに はしる そのすがたに とりこに される ものも おおい。
『ポケットモンスター ピカチュウ』より
りっぱな たてがみに みとれる ひとがいるほど どうどうとしている ちゅうごくの でんせつポケモン。
『ポケットモンスター 金』より
ちゅうごくでは その うつくしさが でんせつと なっている ポケモン。 とぶように かろやかに はしるという。
『ポケモンスタジアム2』より
ポケモン世界には「中国」も存在するようだ。この中国だが、ちゃんと海外版でもそのままであり、英語版では「China」、仏語版では「Chine」、独語版では「chinesischen」、伊語版では「Cina」「cinesi」「cinese」、西語版では「China」。更に金・ハートゴールドでも「ちゅうごく」であり、第2世代と第4世代以降は韓国でも販売されているため[4]、韓国語版でも「중국」と明記されている。
なお肝心の中国語版は第7世代以降に発売開始されたこともあり、図鑑説明文に「中国」の文字が出てくることはない。残念である。
ポナヤツングスカ
第1世代 (赤・緑・青ピカチュウ)・第3世代 (FRLG) ・第7世代 (LPLE) で登場する地名。
「しゃちょうめー! おれさまを ポナヤツングスカ してん なんかに とばし やがるから ロケットだんに ねらわれるのだ!」
「ポナヤツングスカ してん? ああ…… ロシアの おくの ほうだよ」
『ポケットモンスター 赤・緑』より
実際にロシアにはポナヤツングスカなる地名は存在せず、似たような地名 (ポドカメンナヤツングースカ) があることは当大百科でも記しているとおりである。英語版は「Tiksi」とロシアに実在する地名になっている。
ちなみにこちらは独語版・西語版では同じ「Tiksi」だが、英語版と異なり「ロシア」には言及されていない (人里離れた田舎であると言及するのみ)。仏語版では「Trifouilli (仏語で「架空の田舎の地名っぽい名前」を示す「Trifouilly-les-Oies」より)」となっている。伊語版では海外支店に言及するのみであるようだ。
アメリカ
中国・ロシアとくればアメリカである。そう、マチスの異名は「イナズマ アメリカン」である。この「イナズマ アメリカン」だが、英語版でも「The Lightning American」であった。
言語 | 第6世代以前 | 第7世代以降 |
---|---|---|
日 | イナズマ アメリカン | ライトニング タフガイ |
英 | The Lightning American! | The Lightning Lieutenant! |
仏 | Le Ricain survolté. (第1世代) L'américain survolté ! (第3世代) |
Le militaire survolté ! |
西 | ¡El rayo americano! | (調査中) |
独 | Der blitzschnelle Arenaleiter! (第1世代) Der blitzschnelle Amerikaner! (第2世代) Der blitzende Amerikaner! (第3世代) |
Ein Blitz am Himmel des Militärs! (注:第4世代より) |
伊 | Il luogotenente fulminante! | |
韓 | 번개 아메리칸! | 라이트닝 터프가이! |
中 | - (未発売) |
闪电般的硬汉子 閃電般的硬漢子 |
このように、英語版のみならず、仏語版・西語版・独語版・韓国語版でも同様にアメリカ人であることが言及されているのである。しかし第5世代でマチスが登場した際、イッシュ出身であることが匂わされ、第7世代で再登場した際にはそれぞれ「ライトニング タフガイ」に合わせて海外でも変更されている (独語版はかなり早い段階で変更に着手している……というかそこまで毎世代コロコロ変わっている) 。
ポケモン世界のアメリカはイッシュ地方 (とアローラ地方) に置き換わったのだろう。
主人公の部屋にあるゲーム機
主人公の部屋に、それぞれのバージョンが発売された当時最新の任天堂据え置きゲーム機が置かれている。
ちなみにマサラタウンの主人公の家には「ファミコン」が置かれていたが、金・銀・クリスタルにおける"レッドの家"では「ロクヨン」にグレードアップしていたりする。
ゲームフリーク
タマムシシティのタマムシマンション内に「開発室」、ヒウンシティのヒウンストリートに「オフィス」が登場し、NPC社員たちとも会話できる。それ以外のバージョンでも社員旅行中の団体客としてホテルに滞在していたり、1人だけふらりと現れたりする。また、ほぼ全てのバージョンで、ポケモン図鑑をコンプリートした状態で社員に話しかけることで表彰イベントが発生する。
バージョンによっては「ゲームフリークの○○」名義のトレーナーとバトルできる。
その他
- ミュウは南アフリカはギアナで発見されたことが第1世代 (赤・緑・青ピカチュウ)・第3世代 (FRLG) で言及されている (英語版・伊語版・西語版も同様) 。仏語版・独語版ではどこの国のジャングルかは言及されていない。第7世代 (LPLE) 以降ではこの言及は削除されている。
- ニョロボンは「オリンピック」「たいへいよう (太平洋) 」と2つも現実世界の固有名詞に言及するポケモンである。
- ネイティオは日本語版・英語版・独語版・西語版・伊語版・韓国語版の『銀』『ファイアレッド (未発売の韓国を除く) 』『ソウルシルバー』では「右目は過去を、左目は未来を見ている」と「南アメリカでは」伝えられていると言及されている。仏語版では「南アメリカ」という記述は削除されている。
- デリバードは第3世代 (RSE) では「デリバードに餌を分けてもらったおかげでエベレストを登りきれた冒険家がいた」ことが言及されている。日本語版では第6世代 (ORAS) でもエベレストの名前は言及される。英語版・仏語版・伊語版・西語版は第3世代ではエベレストについて言及しているものの、第6世代では「世界最高峰」という言及に変更されている。独語版では第3世代の時点で「世界最高峰」になっており、第3世代が販売されていなかった韓国語版でも「世界最高峰」となっているため、エベレストが第6世代でも言及されているのは日本語版のみとなる。
関連項目
脚注
- *海外では『ポケモンスタジアム』は発売されておらず、『ポケモンスタジアム2』が『Pokémon Stadium』、『ポケモンスタジアム金銀』が『Pokémon Stadium 2』として発売されている。
- *具体的な山の名前はなし。
- *なぜかスペイン語版の『Rojo Fuego』ではポニータは何も飛び越えない。『Tiene un cuerpo ligero, pero unas patas tremendamente fuertes. Es capaz de destrozar un peñón de una patada.』と、なぜか蹄で何でも壊せることをアピールしてくる。
- *韓国では第2世代は販売されたが、第3世代は日本文化流入規制もあり販売されなかった。第4世代以降は再び販売されるようになった。
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