『沙羅曼蛇2』とは、1997年1月に稼働したコナミ製アーケードシューティングゲームで、グラディウスシリーズの一つである。
概要
前作『沙羅曼蛇』は、もとは『グラディウス』の続編としての位置付けであった。しかし『グラディウスII -GOFERの野望-』のリリースにより、シリーズのメインストリームが替わり、巷では番外タイトルという認知がなされるようになっていた。
そんな中、10年ぶりに沙羅曼蛇の名を冠して現れたのが本作である。
続編らしく、『沙羅曼蛇』独自のシステムを継承され、さらに新システムを引っさげてきた。対戦格闘ゲームの人気が冷めやらぬ当時、協力プレイまで復活させた意欲作。
…と、多くのファンからの期待を受けていたのだが、実際に稼働されると状勢が変わった。
目玉である新システムは実用性の面から見ても微妙であったり、色使いのセンスが悪いと言われたりしたが、特に全体的なアイデアにファンのイメージする『沙羅曼蛇』との乖離―コレジャナイ感―が大きかったようだ。[1]
結局、偉大な先代を超えられず、当時下火にあったシューティングゲームの勢いを盛り返すことはできなかった。
エンゾニック前田による音楽は高い評価を受けている。
また本作は難易度もあまり高くなく、ゲームバランスは良く取られている。一つのシューティングゲームとして見るならばそんなに悪くないだろう。
システム
1Pがおなじみの英雄機“ビックバイパー”、2Pが本作オリジナルの“スーパーコブラ”を操作する。
『沙羅曼蛇』と同様、ユニットによるアイテムパワーアップと、およびミス時のその場復活方式が採用された。
ミスをした場合オプション以外は没収されるが、オプションは一定時間画面内をただよい、スクロールに流れないので立て直しもより簡単になった。
パワーユニット解説
オプションとフォースフィールド以外はアイテム名の頭文字が表記され、わかりやすくなった。
3種類あるレーザーは、取得済みの状態で同じアイテムを入手することで時限強化される。取得数が増えるほど強化時間も長くなるが、アイテムのランダム性もあってあまり長く使えるものではない。
- [S]スピードアップ
初速を0として5段階まで上がる。
前作はユニットが出てこない状況も想定して初速でもそれなりの速さだったが、今作はそれらしい鈍さなのでなるべく早く出てきて欲しい。 - [M]ミサイル=ツインミサイル
下方向のみに投下され対地性能を持つミサイルと、上下方向に投下されるツインミサイル。アイテムの取得によって切り替えを行う。
縦スクロール面ではともに左右両方向に発射するが、角度が異なっている。 - オプション
最大で4つ、2人プレイの場合は合わせて最大5つ。 - オプションシード
自機の周囲を回転してショットを連射する小さなオプション。2つ取得でオプションに変化する。
2人プレイ時に双方がオプションシードを装備していると一つのオプションとカウントされる。 - [L]レーザー>ハイパーレイ
レーザー光線。パワーアップすると弾速が早くなる。
今作はレーザー長が短く、パワーアップしてもそこは改善してくれない。他のレーザーが優秀なので、相対的にいらない子扱いされる。 - [R]リップルレーザー>バスターリップル
波状のレーザー。パワーアップすると土星と環のような外見になり、より幅広になる。
未強化の拡散力はショボいが、今作では地形や障害物に食われる心配があまりない。ボスにも大抵攻撃が届くので、扱いやすい。 - [T]ツインレーザー>スピアレーザー
並行する2本のレーザー。パワーアップすると弾速が早くなる。
名前通り刃のような外見で、判定は1発の弾なので正味ショットの強化版である。強化版が半端なく速く、接射すればボスもすぐに沈むほど強いため、通常はツインの使用が推奨される。 - フォースフィールド
自機全体を保護するバリアーで、歴代最硬の耐久度7を誇る。
手に入れば安心度はダンチだが、出現率が低い。
なお、装備済みの状態でアイテムを取得するとフル状態にしてくれる。
オプションシュート
本作独自のシステムで、装備しているオプションを攻撃に放出する技。
専用ボタンを操作することでオプションが1対のビームとなり、弧を描くように直近の敵機へ直進し、破壊する。一定時間この動作を繰り返した後、オプションシードに変化して画面内をただよう。
溜め撃ちで複数のオプションシュートを出せるが、連打の方が発動が早いため、メリットはない。
オプションシードのみを装備してる場合は、シードが自機周囲を高速で回転し、敵弾をかき消す簡易的なバリアーになる。
オプションシュートそのものは威力を含めて高性能なのだが、普段から攻撃の要であるオプションをわざわざ消費して発動する必要性があまり感じられないとされ、実用性に難がある。
もっともオプション自体わりと潤沢に入手でき補充に困らないことや、何より見かけが派手なので魅せプレイでは多用されるのだが。またシュート後のオプションシードはスコアにもなるので、稼ぎに使えないこともない。
ステージ
全6ステージ。先述したように縦スクロール面が出てくるが、2面と6面のみで変則的になった。
STAGE1 亜生命空間
空中戦パートがあり、巨大な蛇がうねる先で脳みそっぽさが激減した多量のゴーレムが立ちふさがる。大きな個体が自機を挑発しながら逃げていくが、ここで破壊してしまうことも可能。
その後絨毛のような地形からグラディウスの牙が出入りする場所を攻略する。
BOSS:バイター
ゴーレムが相手…と思ったところに突如出現し、美味しくいただいた後に交戦する。
多量の目を持つヘビで、巨大な頭部のみ画面に出している。[2]弱点はのどちんこ。まき散らす絨毛からはアイテムが取れる。
STAGE2 プロミネンス要塞
大小大量にある人工太陽の要塞を攻略する。
大きな太陽は画面に収まらないほどのプロミネンスを吹き上げる。動きが鈍くこちらの動きを阻害するが、ショットでかき消すことができる。
小さな太陽は破壊でき、アイテムを回収できる。
BOSS:ハイドラ
複数の首を持つ竜型のロボット。発想がニチブツと言われる
首を破壊するごとにアイテムが回収できる。
STAGE3 バイオハザード
ステージ1のような細胞面。具体的に何がバイオハザード(生物災害)なのかは不明だが、寄生生物に乗っ取られた星のなれの果てとかだろうか。
線虫が救う腸壁のような地形で、狭められたりしてかなり複雑。めまぐるしく変わる背景の色合いがプレイヤーの視覚を刺激して、急に難易度が上がるステージである。
BOSS:カラブ/アバドン
奥部の内臓部で、地形をふんだんに使った攻撃をするカラブと、撃破後に飛び出してくる目玉のような核生物アバドン。
グラフィックや展開が他社の『Xマルチプライ』によく似ている。
STAGE4 巨大戦艦
グラディウスシリーズでは珍しい、戦艦の周囲を攻略するステージである。[3]
大小様々な艦が航行する艦隊だが、最初に出てくる小型艦は完全に破壊できる。壊し方次第でボーナススコアが入るのでスコアラーは実践すべし。
BOSS:テニーロップ(テトラン2)
ご存じみんなのアイドルが進化した!攻撃はいつも通りだが、弱点の部分をカバーして守備力が高まった。
弾を吐いて逃げるザコが邪魔をするので、早期に倒してしまいたい。
STAGE5 アステロイド
要塞化した小惑星群。迷路のように入り組んだ地形に所狭しと砲台やハッチがひしめく空間に、外側は大豊作のじゃがいも畑。
とにかく窮屈なステージで、すべての方向からの攻撃を警戒しなくてはならない。
BOSS:プレートコア
5基のコアが安置された要塞。コアを守るべく複数の僚機が飛ぶ。
STAGE6 ドゥーム
敵の本丸を守る最終防衛地。これらはすべて背景で、地形が存在しない。
プレートを破壊するとアイテムが出るが、モアイがこんにちはしてくることもあるので慎重に。
ボス前には大量の結晶が落下してくる。特に復活時には脅威の物量なので撃ち負けないように。
BOSS:ケルベロス
3つのパーツに分かれた、後のビッグコアMk-IVに似たギミックが印象強い敵。長短のレーザーを使い分け、苛烈な攻撃で攻めてくる。
LAST BOSS
ケルベロス撃破後、そのまま敵の要塞へ潜入。前作の脱出よろしくシャッターでふさがれる高速迷路をかいくぐって、遂に敵の親玉と対峙する。
BOSS:ドゥーム
三つ首の巨大なモンスター。ヘクター87のボスキャラではない
グラディウスシリーズのボスにあるまじき苛烈な攻撃を仕掛けてくる。しかもザコのばらまきからホーミングレーザーまでかなり多彩。おまけに無駄に硬いので、本作最難のボスキャラで間違いない。
ちょっと余談
2P自機について
先述したとおり、本作で2Pが操るのは“スーパーコブラ”という戦闘機。シリーズでも本作のみに登場する本機だが、機体外観について設定の統一性が取れていないおかしな機体である。
- メインビジュアルイラストには赤いアクセントのビックバイパーと同型機が描かれている。
- ゲーム中のプレイヤー機体は両翼と尾翼に赤いアクセントがついており、キャノピーは機首にかなり近い場所にある。
- エンディングで敵要塞を脱出する時はデザインは上記に準じているが、機体部分が全体的に赤い。
後に『沙羅曼蛇 DELUXE PACK PLUS』に収録されたOPムービーではエンディングに登場した機体がデザインが使われているため、公式にはこれで決めたつもりなのだろう。
ちなみに、グラディウスの原型になった『スーパーコブラ』とは特に関係ないが、ネーミングに意識はしていると思われる。
さらに余談。
ビックバイパーの方はというとさすがにデザインは安定しているが、機体の青色アクセントが機体側部および尾翼前部の全体に及んでおり、シリーズ中でも特に青味を帯びている。
MSXとのリンク
MSX版の沙羅曼蛇は名称以外ほとんど別のゲームになっているのだが、本作はそのMSXを少なからず意識している節が見られる。 →沙羅曼蛇 (MSX版)
まずはボスキャラのデザイン。
ステージ5のプレートコアは、壁一杯に複数のコアがあり、惑星キルケのエニグマによく似たアイデアで作られている。
それとステージ6のケルベロスは、惑星オデュッセウスのメタルスレイブをそのまま小さくしたような外観であり、複数の凸部からレーザーを放つ攻撃方法も似通っている。
この2体に関して、同じ『沙羅曼蛇』の名を冠するゲーム同士で似たもの同士なのは決して無関係ではないだろう。ステージ3のアバドンとグラディウス2のアバドン艦が同名なのだけはたぶん偶然だ
次に音楽。
2周目のステージ曲には過去作品のアレンジ曲が取り入れられているのだが、ステージ1と5がご存じ前作のアレンジ[4]であるのに対し、ステージ4は『グラディウス2』の最終面の曲[5]である。
今でこそMSXの存在は広く知られるところであるが、稼働当時は今のようにネットが普及しておらず、またMSXというパソコン規格が終焉し、市場から姿を消していた頃。果たしてそうと気付いた人がどれだけいたのだろう。
おそらく、当時でも多くのプレイヤーはこの曲だけオリジナルだと思っていたのではなかろうか。
最後に、ステージ4の背景。
艦隊の中にコッソリ紛れ込んでいるのが『スペースマンボウ』のラスボス“SUN-FISH”である。
現在では遊戯王のカードにも採用され、キャラ自体はよく知られているが、当時で言えば完全なるMSXオリジナルキャラクターであった。
本作だけを見てもこれだけMSXライクな要素があるがさらにさらに、『沙羅曼蛇 DELUXE PACK PLUS』のタイトル曲「Operation SEEDLEEK」は、MSX版沙羅曼蛇のオープニング曲のアレンジである。
MSX以外の沙羅曼蛇とはあくまで無関係のこの曲が使われているのは、ファンにとっては喜ばしいものであろう。
とまあ、要するにMSXおじさんにとっては味なタイトルということである。
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関連項目
脚注
- *他のゲームタイトルを彷彿とさせるデザインのボスキャラが多かったり。
- *FC版沙羅曼蛇のイントルーダのような感じ。
- *『R-TYPE』のグリーンインフェルノや、『パロディウスだ!』のモアイ戦艦のような感じ。
- *ステージ1が「Power of Anger」、ステージ5が「Planet RATIS」。
- *「Last Exit」として収録。また、原曲の作曲者(古川もとあき)により「Moonspin」という名称が別につけられた。
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