スワーヴリチャード(Suave Richard)とは、2014年生まれの日本の競走馬である。栗毛の牡馬。
栗東・庄野靖志厩舎所属、安平町・ノーザンファーム生産、馬主はNICKS(スワーヴの冠名を使用)
主な勝ち鞍
2017年:アルゼンチン共和国杯(GII)、共同通信杯(GIII)
2018年:大阪杯(GI)、金鯱賞(GII)
2019年:ジャパンカップ(GI)
父ハーツクライ、母*ピラミマ、母父Unbridled's Songという血統。
父のハーツクライは有馬記念、ドバイシーマクラシックを勝ち、何と言っても国内で唯一ディープインパクトに土を付けた馬として名高い。同父の同期にはリスグラシューやヨシダがいる。
母の*ピラミマは現役時代未勝利。母父はBCジュヴェナイル優勝馬で、種牡馬としてはArrogateを代表に北米で活躍し日本では*ラヴェリータが有名。近年では母父としても活躍している。
半兄にきさらぎ賞2着のバンドワゴンがおり、祖母*キャリアコレクションは米重賞2勝馬であるが、4代母の半弟に英GⅠ馬Beldale Flutterが見当たる程度で、さほど活躍馬の多い牝系ではない。
2014年の当歳セレクトセールでは目玉の一つとして出品され、後の馬主となるNICKSへ血統アドバイザーを務める竹内啓安に1億5500万円で落札された。この価格は2014年の当歳セールに出たハーツクライ産駒の中でも最高額である。
2歳9月の阪神競馬場にて四位洋文(過去スワーヴの馬に乗っており2頭勝たせている)鞍上でデビュー。しかし後方から豪快に追い込むも僅かに届かず新馬勝ちはならず、翌月の未勝利戦で勝ち上がる。
その後東スポ杯2歳Sへと挑み、直線外から追い込むも更に外からブレスジャーニーに交わされて2着となった。2歳シーズンはここで切り上げ3戦1勝で終わる。
明けて3歳となり共同通信杯から始動。今までスタートが今ひとつだったがここでもやはり今ひとつ。しかし中団のインでじっと溜めていると、直線では楽な手応えで先頭へと躍り出て2馬身半差をつけて快勝。これで重賞初制覇となった。
続く皐月賞では単勝7.0倍の2番人気(尚1番人気はフラワーカップを圧勝してきたファンディーナ)に支持されたものの、道中でポジションが下がってしまい、直線外へ持ち出されるも前残り傾向+消耗戦ペースもあって前に届かず6着となる。
そして日本ダービーへと挑戦。東京で重賞勝ち+府中のハーツクライ、といった要素から3番人気に支持される。こちらは皐月賞とは反対に道中緩々のスローペースとなる。内枠発走から中団前目に位置取り、直線で外に持ち出して追い込むものの、向こう正面で一気に先団に立ったレイデオロの脚は止まらず2着となった。
秋初戦はアルゼンチン共和国杯を選択。これまで鞍上を務めた四位洋文は降板となり、新たにミルコ・デムーロが新たなパートナーとなった。ここでは単勝2.0倍の1番人気に推されると、レースでは中団の内目を追走すると、直線に入って鋭く抜け出し、古馬を相手に2馬身半差の快勝を収める。
続いて有馬記念へ出走。前走快勝が評価されたかキタサンブラックに次ぐ2番人気に支持され、若干出遅れて後方から追い込むものの、直線で内にもたれてしまい4着に敗れ、鞍上は騎乗停止、本馬は平地調教注意を受けた。
明けて4歳となり、金鯱賞から始動。ここでは単勝1.6倍の1番人気に支持され、サトノノブレスが緩やかに逃げるペースを2番手から追走し、直線で逃げ粘るサトノノブレスを半馬身交わして勝利。重賞3勝目を挙げた。この勝利に庄野師は「馬が良い意味でズルくなった」と評価した。
そして次走にGⅠ昇格2年目の大阪杯を選択。前走勝利したとはいえ皐月賞馬アルアインと僅差の1番人気(3.5倍)に。自身含めハーツクライ産駒が東京競馬場を得意としていた事や、有馬記念で内にもたれていたように、スワーヴリチャードには右回りが苦手のレッテルが貼られていた。
レースが始まると大方の予想通りヤマカツライデンが逃げを打ち、外枠発走のスワーヴリチャードは後方を追走する。しかし1000m通過が61秒1と非常に緩いペースとなり、そこでデムーロとスワーヴリチャードは向こう正面で一気にポジションを上げ、3コーナーで既に先頭に立った。そして直線に入っても脚色は衰えず、ペルシアンナイトの追撃を振り切ってゴール。GⅠ初制覇となった。庄野靖志厩舎もJRAのGⅠ初制覇(交流GⅠはJBCスプリントをサマーウインド、ニシケンモノノフで勝利している)である。
そして春3戦目には初マイルとなる安田記念を選択。初のマイルとなるこの挑戦はマイルGⅠ馬4頭を抑えて1番人気に支持され、レースでも最内枠から先団を見る位置で追走し、直線でもじわりじわりと脚を伸ばしたものの、逃げるアエロリットに届かず、更に内からモズアスコットに差され3着となった。
夏場を休養に充て、ぶっつけで天皇賞(秋)から始動。ここでも1番人気に推されたものの、スタートで一つ隣にいたマカヒキに寄られて最後方まで下がる不利を受ける。キセキの緩みない逃げペース+縦長の展開もあってポジションを上げられず、デムーロも直線半ばから追うのも止めて万事休す。10着に大敗した。
その後ジャパンカップに出走し、三冠牝馬アーモンドアイに次ぐも離された2番人気。ここでは中団前目につけるが、キセキが前半緩めのペースから一気にロングスパートを仕掛けたため後半一気に加速。スワーヴリチャードは前2頭の差を詰められ3着に敗れた。
5歳となったスワーヴリチャードの初戦は、ドバイ遠征を見据えて中山記念が選択された。ここを道中5, 6番手から直線を向いたが今ひとつ伸びに欠き4着。
そしてシュヴァルグラン、レイデオロと共にドバイシーマクラシックへ出走。デムーロが同日の大阪杯でペルシアンナイトに騎乗するため鞍上はジョアン・モレイラにスイッチ。レースではレイデオロが逃げる中スワーヴリチャードは後方を追走。直線では先に抜け出したOld Persianをシュヴァルグランと共に追いかけるものの、Old Persianに届かず、シュヴァルグランにも競り負けて3着。しかし4着を9馬身突き放し、初の、最後の海外遠征は中々の結果となった。
そして帰国後に宝塚記念へ出走。ここでは同期のクラシックホース3頭とリスグラシューなどが集まり同期が半数以上の7頭出走という同窓会の様相。単勝10倍を切る馬が6頭おり、スワーヴリチャードはその6番手とやや評価を落とす。レースでは中団から徐々にポジションを上げ、4コーナーを3番手で迎え直線でも脚を伸ばしたものの、リスグラシューとキセキに及ばずこちらも3着となった。
秋初戦に天皇賞(秋)へ出走。ここでは天皇賞史上最多となるGⅠ馬10頭が集結しその中で5番人気となる。横山典弘とコンビを形成するも、中団内目から直線に向くが伸びを欠いて7着に敗れる。
そしてジャパンカップへと向かうが、ここでウッドチップコース主体の調教から坂路中心の調教へと切り替え、新たに後方視界を遮って集中させる馬具のチークピーシーズを着用。レイデオロ、ワグネリアンと2頭のダービー馬に次ぐ3番人気に支持され、鞍上には英国からやって来たオイシン・マーフィーを迎えた。
重馬場の東京競馬場。史上初となる外国馬参戦なし、外国人騎手がマーフィー含め7人と色々注目を集めるレースとなった。レースが始まるとダイワキャグニーが逃げ、スワーヴリチャードは中団の前目、先団を見る位置を追走。先頭集団が非常に固まって進み、直線に入るが外にはカレンブーケドールが上手く塞いでおり持ち出せない。ならば最内だ! と言わんばかりにインで逃げ粘るダイワキャグニーの更に内、基本的に1頭分空けている最内へと潜り込み抜け出しを図り、追いすがるカレンブーケドールを3/4馬身抑えてゴール。GⅠ2勝目となり、鞍上のマーフィーはJRAのGⅠ初制覇となった。
このジャパンカップは副題にディープインパクトメモリアルと銘打たれており、2-4着がディープインパクト産駒であったが、優勝したのはそのディープインパクトを国内で唯一破ったハーツクライの産駒であった事は、血が紡ぐ競馬の面白さの一つであろう。
その後有馬記念に参戦したものの見せ場なく12着に敗北。マーフィー曰く、残り800mから歩様がおかしくなり無理をさせなかった為との事。
レース後は異常は見られず、ドバイ遠征を見据えていたものの、2週間後右飛節に腫れと痛みが生じ、協議の結果現役続行を断念。2020年1月29日付で競走馬登録を抹消した。
競走馬引退後は社台スタリオンステーションで種牡馬となり、初年度種付け料200万円で供用開始された。2023年に初年度産駒がデビューすると6月24日、東京5Rで5番人気ヴェロキラプトルが初勝利したのを皮切りに産駒が驚異の勢いで勝ち上がり、11月には京王杯2歳ステークスでコラソンビートが産駒重賞初制覇。これが評価されたのか、初年度から据え置かれていた種付け料が2024年度には一気に7.5倍となる1500万円まで引き上げられ、社台SSではキタサンブラックに次いでエピファネイア、コントレイルに並ぶ金額となった。さらに年末にはレガレイラがホープフルステークスを勝って産駒デビュー1年目にしていきなりGⅠ馬を出しただけでなく、翌秋には菊花賞をアーバンシックが勝利してクラシックホースも初年度産駒から送り出したことになった。
父ハーツクライの後継筆頭として高い期待が寄せられていることは間違いないだろう。今後の産駒の活躍に注目したい。
*ハーツクライ 2001 鹿毛 |
*サンデーサイレンス 1986 青鹿毛 |
Halo | Hail to Reason |
Cosmah | |||
Wishing Well | Understanding | ||
Mountain Flower | |||
アイリッシュダンス 1990 鹿毛 |
*トニービン | *カンパラ | |
Severn Bridge | |||
*ビューパーダンス | Lyphard | ||
My Bupers | |||
*ピラミマ 2005 黒鹿毛 FNo.1-a |
Unbridled's Song 1993 芦毛 |
Unbridled | Fappiano |
Gana Facil | |||
Trolley Song | Caro | ||
Lucky Spell | |||
*キャリアコレクション 1995 鹿毛 |
General Meeting | Seattle Slew | |
Alydar's Promise | |||
River of Stars | Riverman | ||
Star Fortune | |||
競走馬の4代血統表 |
掲示板
104 ななしのよっしん
2024/10/21(月) 15:18:34 ID: g/o8Qt2Rs0
初年度でクラシック勝てる牡馬出せるなら本物だなぁ
牝馬も強いしすごいね
105 ななしのよっしん
2024/10/22(火) 10:49:46 ID: ZpBzgqi6Oi
牡馬クラシックはキズナエピファネイアスワーヴリチャードと奇しくもこの世代の2歳リーディングのワンツースリーで決着
106 ななしのよっしん
2024/10/22(火) 11:05:05 ID: Ne2MTjr13q
キズナ、エピファは誰でも乗れるけどスワーヴは乗り難しいと思われる。
まぁ、スウィープフィートが秋華賞でどうなってたかは気になるんだけどさ。
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最終更新:2024/11/08(金) 02:00
最終更新:2024/11/08(金) 02:00
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