当記事においては、株式会社SUBARUが製造・販売を行う自動車について記述する。
概要
自社で開発・製造する自動車は全て登録車である。かつては軽自動車も開発・製造していたが、経営資源集中の観点から自社開発を断念し、2009年以降順次ダイハツからのOEMに切り替えられた。
ポルシェと共に現在水平対向エンジン(ボクサーエンジン)搭載の量販車[1]を製造・販売しており、日本では唯一の存在。ポルシェ同様、大会社の様に色々なエンジンを揃えられない事情から、市販車エンジンはレースで培った技術を注ぎ込み、基本性能を向上させた、レースエンジンを一般向けにデチューンしたエンジンに近いものである。レシプロエンジンとしては、ボクサーエンジン(あと軽自動車規格直列四気筒エンジン)は少数派だが、王道の技術であり、気付いたら少数派に成っただけ…。「ちょっぴり贅沢な形式のエンジン」と自慢しよう。
現行のラインナップは、スバル360の系譜を引き継ぐ伝統の全車四輪独立懸架を備える。開発元としてのCVT[2]技術を持つ。良好なハンドリング(操舵性・操作性)を持ち、アイポイント(視点)が高目で、シートの設えがしっかりしている極めて欧州車風味の乗り味を持つ車作りをする。
エンジン縦置きFFで、4WD / AWDと言う普通車のラインナップから、ドイツVWグループの「アウディ(Audi)」と良く比較される。又、同じ元航空機メーカーからの発祥故か、「4輪なのに、なんかカワサキ(川崎重工業)臭い」と言われ、ディーラー以外の整備士が「うわぁ…」と言う顔をする所も共通する。
WRCでの好敵手、三菱・ランサーエボリューションと激しく競り合うスバル・インプレッサに代表される様に自動車競技へもワークスチームを参加させていた。F1にも参加した黒歴史前歴がある。
一時期経営難に陥り、日産自動車の資本参加・経営支援が行われた。その後盛り返しており[3]、日産の保有株式は「ゴーン改革」によって米ゼネラルモータース(GM)へ売却された。現在は米国経済の後退に伴いGM本体の業績が悪化、再度株式は放出され、その一部を購入したトヨタ自動車が筆頭株主である。ただし経営の自主権までは失っていない。それどころか、株取得当時の豊田章一郎名誉会長や渡辺社長から「トヨタにならないでください」と言われたり、「トヨタの得意ゾーンに入ったら叩き潰します」などと宣言されるほどで、SUBARUがトヨタと違う道を歩むことはあっても、その逆は無い。ちなみに実際に叩きのめされたという話も存在しない。
当ブランドのオーナーは、1975年に後閑暢夫東京農業大学名誉教授が命名した紳士の称号、「スバリスト」を持つ。SUBARU広報は現在、「スバリスト」と「カーガイ(Car Guy)」を広報誌等で使っている。
但し、その称号を嫌うオーナーもいる。
歴史
前身は戦前の軍用航空機メーカー「中島飛行機」(1917年創立)である。最盛期には三菱航空機を凌ぐ世界有数の航空機メーカーであった。大戦中は「隼」「疾風 (はやて)」「鍾馗 (しょうき)」等の戦闘機、重爆撃機「呑龍 (どんりゅう)」、また三菱設計の「零戦」の製造を請け負うこともあった。
敗戦後、GHQによる財閥解体の対象となり東京富士産業、宇都宮車両、富士工業などに分割された。分割された数社のうち、立川飛行機と結びついていた富士精密は後にプリンス自動車となり、更にその後業績不振と通産省の自動車業界再編計画により1966(昭和41)年、日産自動車に吸収された。
中島飛行機解散後はスクーター(ラビット)やバスの設計製造を行っていたが、戦後復興に伴い主力商品であるバスの需要が頭打ちになることが予想された。
国産四輪普通乗用車の製造が計画され、技術者の故・百瀬晋六(ももせ しんろく)を中心に1500cc・前置きエンジン・後輪駆動(FR)の乗用車が計画され、幾つかの増加試作型が製造された。この車は開発コード「P-1」と称され、その後「すばる1500」と名づけられた。
海外メーカーの技術の模倣はあったものの、当時の国産車としては高度な技術力で纏められており、試作車の払い下げを受けたタクシー会社での評判も運転手・乗客ともによかったという。ただチーフエンジニアの百瀬氏は、後輪駆動用のプロペラシャフトの振動や[4]操縦安定性が気に入らず、後年発売したスバル1000はFF車である。P-1以降、SUBARU製のFR車はトヨタ自動車と共同開発したスバル・BRZ(トヨタ・86)まで待つこととなる。
しかし当時の資本力では普通車生産のための増資が行えず、またメインバンクも首を縦に振らなかった[5]。日産やオオタ自動車当時存在した自動車メーカー、日野、いすゞでさえ海外メーカーとの提携によるノックダウン生産ぐらいしか出来ず、国会においても議員が「日本はトラック製造のみおこなえばよく、乗用車はアメリカから買えば良い」と発言する時代であった。
そこで通産省の「国民車計画」に則った「軽自動車」の開発に着手することとなる。(つづく)
SUBARU車の特徴
日本を代表する変態企業の一つであるだけに、SUBARU車も他には特徴を持っている。
水平対向エンジン (ボクサーエンジン)
ピストンが天頂方向ではなく、左右水平方向に動くもの。中島飛行機時代の経験から「水平に動くのが良いのだ」という信念に基づき開発され、以後は型式は新しくなれども、SUBARUはボクサーエンジンを作り続けている。水平対向エンジンを作っている会社は世界に何社かあるが、四輪乗用車用に作っているのは現在ではSUBARUとポルシェのみである。
ボクサーエンジンは、エンジン自体の重心が低い、回転バランスが優れているので低振動にしやすい、という利点がある。一方で、エンジンがトレッドに置かれることから前輪周りとの兼ね合いが難しい、エンジン本体の全容積が大きいので補機類の設置方法に工夫が必要といった欠点もあり、設計においてはネガを抑えて長所を活かすことが必要。
尚、かつてボクサーエンジンと言えば「ドロロロロロ」という独特の排気音が鳴り、これが「ボクサーサウンド」としてファンに好意的に受け止められていた。しかしその原因は、不等長エキゾーストマニフォールドによる排気干渉と、これに起因する振動である。エキマニの等長化が進められていったことで、このサウンドも姿を消して行った。
なお現在SUBARUがWRCに参戦していない(できない)のは、WRCでは水平対向エンジンが認可されていないことと、水平対向エンジンを積むのに不利なBセグメントハッチバックが主流なのが大きな理由である。
四輪駆動 (AWD)
優れたAWDシステムもまた、SUBARUの個性として知られている。国内外のファンは雪道に強いこの駆動システムに熱烈な愛を注ぎ、特に海外では積雪時期になると、スタックした他メーカー車を救助するファンが続出。ユーロトンネル内でエンコしたユーロスターを救助した、クラス395電車の気分を味わうという。雪道だけでなく不整路や低μ路にも強く、海外メディアが実施した不整急傾斜路テストでは、非常に優れた結果を残している。
AWD開発の切っ掛けは、宮城スバルが東北電力の依頼で「スバル1000 東北電力スペシャル」を製造したこと。1960年代、東北電力は雪深い山岳地での点検用に四輪駆動車を欲していたものの、当時は現在と違って乗用車ベースの四輪駆動車は無かった。そこでこの種の車の製造を宮城スバルに持ちかけた。東北電力の心意気に打たれた宮城スバルは、その辺にあった部品を用いて先述のスペシャルモデルを製造した。1970年代に入り、宮城スバルはメーカーに乗用四輪駆動車の開発を上申し、これがレオーネへと繋がった。以後のSUBARUは、AWDに高いノウハウを持つメーカーになる。
1979年、自動車評論家のポール・フレールは、正式発表前のアウディ・クワトロ(プロトタイプ)に試乗した。この出来事を回想したポール・フレールは著書において「当時は本格的な四輪駆動の乗用車といえばスバルしかなかった」と述べている。現代では世界的にも当たり前となった乗用AWDだが、1980年代まではいかに特殊な存在であったかの証左となる話であろう。
EyeSight
詳細はEyeSightの記事を参照。
SUBARUと日立製作所、日立オートモティブシステムズが技術提携により開発した運転支援システム。ルームミラー付近に設置されたステレオカメラで前方を監視することで、衝突被害軽減ブレーキや車線逸脱警告、アダプティブクルーズコントロールなどの機能を有するもの。1999年に登場したADAを前身とし、より高度な制御を低価格で提供するものとして2008年に登場。以後はSUBARUの個性として広く親しまれ、装着率も非常に高い。
2008年の時点では20万円程したが、2010年に登場したver.2では制御の高度化と共に価格が10万円まで下がり、さらに2014年のver.3ではカラーカメラの導入でさらに制御が高度化するなど、今でも改良が行われている。
2014年10月に行われたJNCAPの予防安全評価試験の「予防安全アセスメント」にて、EyeSight(ver.2およびver.3)を搭載した評価車種[6]が最高評価と共に先進安全車プラス(ASV+)を獲得している。
衝突安全性
エネルギーを巧みに吸収するボディや前面衝突時にはエンジンが下の方に潜り込む構造により、安全性の高さでも知られている。米国道路保険教会(IIHS)が実施するクラッシュテストでは、より安全性の高い車に贈られるTop Safety Picks及びTop Safety Picks+の常連となっており、新しいテストが導入されてもSUBARUは概ね良い成績を残すことが多い。SUBARUの主要マーケットである米国では、この安全性もまた高い市場評価を支える要因となっている。
アメリカではこんな話がある。
スバルってさ、消防士には評判の悪い車なんだよね。なんでかって?
Bピラーが頑丈で油圧カッターが負けるから、事故車をバラすのに手間が掛かるんだよ。
近年の業績
2011年までの世界販売台数は60万台規模だったが、2012年は72万4000台、2013年は82万5000台と、拡大傾向にある。主たる要因は北米市場での販売拡大で、2010年の同市場での販売台数は30万7000台だったのだが、2013年は47万8000台と、1.5倍以上も増えた。2009年比では2倍以上となる。
販売台数もさることながら、昨今注目を浴びているのは営業利益率(営業利益/売上x100)の高さ。2013年期は売上、営業利益、純利益いずれも過去最高になったのだが、この時の営業利益率は13.6%で業界トップである。平たく言うと効率良く儲けているということ。
SUBARUの利益率が高い理由は、社の内外から幾つか説明されている。
- 生産を登録車に絞ったことで、生産効率が高まった
- 商品をあまり増やさないので、ブランドイメージを高めやすい(そういう車だけ作る)
- 国内中心の発想からグローバルモデル中心にしたことで、海外での販売力を増強することが可能になった
- 商品の評価が高いので、販売インセンティブ(≒値引き)をあまり出さなくても売れる
- 評判が広まったので、広告費用をあまりかけなくても良い
- 急激な規模の拡大を行わないので、設備投資の効率が良い
- 現状の生産設備に対して注文が多いので、設備のフル稼働状態が続いている
こういったことがあるからか、かつての円高時代にも業績は堅調に推移しており、円高是正後はボーナスステージ状態になったとも言われている。
一方で懸念材料として、特に北米でのタマ数不足による機会損失が挙げられる。実際、北米の販売店からは「数が全然足りないから、さっさと商品を送れ」という催促もあるとのこと。人気はあり販売台数は増えているものの、新工場新設などの大規模設備投資が無いのが原因。最近一番新しく建てられた建物は、2014年に移転した恵比寿の新本社だし。
このような舵取りは上記の通り良い面はあるものの、今後も販売台数が増えて行くとすると生産力増強は回避できないかもしれない。現在のFHI経営陣には「生産能力を大幅に拡大したら、今の好循環が無くなるのではないか」「需要に対して供給がちょと足りないぐらいで丁度良い」という考えもあり、好調ゆえの難しい面もある。
ちなみにSUBARUとは逆になるとどうなるかを、某他社の事例を引用して説明すると。
あくまで一例ではあるが、こういうこともあるということで。
スバヲタという人々
スバリストの記事も参照
いずれも熱心なSUBARUファンを意味する言葉である。スバリストとSubieは好意的なもので、スバヲタは日本国内にあって、やや見下すような意味合いで使われる。この項目ではそれらを包括し、「愛すべき馬鹿」と言う意味でスバヲタと呼ぶ。SUZUKIにとっての「鈴菌」、カワサキにとっての「漢」のような存在と言えるだろう。
世界中どこでもスバヲタは同じ。SUBARUに対して良くも悪くも偏愛を抱いており、車と言えばSUBARU、次の車もSUBARU、という人たちである。
スバヲタにはリア充系とキモヲタ系の二つがいる。一見すると両者は相対する存在のように思えるが、SUBARU偏愛という点では共通している。
リア充系
昨今の日米で増えているのがリア充系。キャンプやスキーなどアウトドアを好む人や、高い安全性や個性を重視する人など。車は道具ではあるものの、単なる道具ではなく生活を充実させる手段としても考えており、そのあたりが近年のSUBARUとは相性が良い。
相性の良さは人によって変わり、アウトドアに熱心な人はやはりアウトバック、フォレスター、XVを少なからず選ぶ。アウトドアに熱心でない人だと、レガシィやインプレッサも含まれるだろう。
リア充系スバヲタの特徴をまとめると以下の様になる。
- 概ね高学歴で高収入
- 美男美女…というほどで無かったとしても、それなりに身なりや外見に気を使う
- 思想はどちらかと言うとリベラル寄り、環境保護にも関心がある
- 家族持ち、或いは恋人がいる独身
- 基本的に安全運転である
- 分かりやすく言うと、シンプソン家の隣の人
キモヲタ系
スバヲタと言われて真っ先に思い出される人達。悪く言われる事もあるけれど、SUBARUが今日までやってこれたのも、またAWDや高い走行性能に拘るメーカーとして発展して来たのも、この人たちが育てた面はあるだろう。だから大目に見てください。
キモヲタ系スバヲタをまとめると以下のようになる
- とりあえずターボ、まぁNAも悪く無いけれど
- とりあえずマニュアル、アンチCVT
- 思想はSUBARU
- ドロロロ音が好き。SUBARUが「あれは排気干渉のせいだ」と言っても聞かない
- 電子式サイドブレーキってなんだよ
- SUBARUが全体的にリア充臭い雰囲気になっていくのに抵抗感がある
- SUBARUが全体的にリア充臭くなったのはトヨタの陰謀
- 自動車関連の報道を見て「こんなの俺のSUBARUじゃない」と嘆くことが年に300回ぐらいある
- 俺の持っているGC系WRXが最高
- SUBARUは泥臭いのが格好良い。泥と言ってもキャンプじゃない、不整路を200km/hで駆け抜けてついた泥だ
- 家族は産みの親と兄弟。結婚?恋人?なにそれくえんの?
- 基本的にスピード違反
- 「4ドア5人乗りセダンだから」と伝え詳細は言わずWRX STIを購入する。そして訪れる離婚の危機。
開発または発売された車両
- P-1(すばる1500)
- スバル・360
- スバル初の量販車…どころか軽自動車初の量販車。てんとう虫。
- スバル・サンバー バン / トラック(360~660cc)
- 現存するSUBARU最古の商標。かつて「農家(農道)のポルシェ」の異名で呼ばれたRR軽商用車。赤帽御用達。現在はダイハツよりOEM供給を受けている。
- スバル・450
- 普通車。海外輸出モデルの国内市販版
- スバル・1000
- 排気量拡大後にff-1に改名
- スバル・R-2(360cc)
- 現行のR2とは異なる。
- スバル・レオーネ
- インプレッサ登場までレガシィと併売。インプレッサ登場後生産中止。その後もネームのみ日産ADバンのOEMモデルにつけられていた。
- スバル・レックス(360~660cc→1200㏄)
- 軽自動車規格が大きく変わる時に登場し、目まぐるしく仕様・構造が変更された軽自動車。
…2022年、ダイハツ・ロッキーのOEMモデルとして30年ぶりに復活。 - スバル・ドミンゴ(1000~1300cc)
- サンバーバンの車体にジャスティのエンジンを搭載。7人乗りの「ミニバン」。
- スバル・ジャスティ(1000~1300)
- リッターカーブームを受けて急きょ用意された「デカいレックス」。ECVTを初めて搭載した市販車。ECVTは伊フィアットグループにも供給され、初代パンダなどにも採用。しかしジャスティ自体は他社にあった「ターボモデル」がなく、販売では苦戦を強いられた。
…2016年、ダイハツ・トールのOEMモデルとして16年ぶりに復活。 - スバル・ビッグホーン
- いすゞ・ビッグホーンのOEM。変更点はバッジのみ。同時期にいすゞではレガシィセダン(BC型)が「アスカ」として販売された。
- スバル・アルシオーネ
- SUBARU初のレオーネクーペベースのスペシャリティーカー。車名は星座のすばる/プレデアス星団の最も明るい星「アルキオネ」の英語読みアルシオーネに由来する。
- スバル・アルシオーネSVX(3300cc)
- グラスコックピットのSUBARU二代目スペシャリティーカー。
- ジオット・キャスピタ(3500cc)
- バブル期に開発された、童夢デザインのボディを持つ、水平対向12気筒エンジン搭載ミッドシップスーパーカー。
- スバル・レガシィ (1800~3000cc)
- レオーネの上位モデルとして開発。のちにツーリングワゴンが加わり一大ブームとなる。セダンのターボモデル(RS)はFIA公認10万km世界速度記録を更新、WRC[7]参戦等、スバルブランドイメージ刷新の足掛かりとなるものの、セダンはツーリングワゴンの人気に押され、3代目のB4(BE5型)までは販売実績が芳しくなかった。2代目までは1.8L-SOHCエンジン、2.2L-DOHCエンジン搭載車もあったが、現在はセダンのB4、ツーリングワゴンは2.5Lエンジン搭載車のみである。
- スバル・レガシィアウトバック (2500~3600cc)
- SUW / Sports Utility Wagonを標榜する、レガシィの車台をベースに作られたSUV[8]の一種。エンジンはNA[9]4気筒2.5LとNA6気筒3.6Lの二種類。
- スバル・インプレッサ(1500~2000cc)
- レオーネの後継機種として開発。開発に当たってWRCでの活躍を念頭においている。インプレッサを操る故・コリン・マクレーと、三菱ランサーエボリューションを操るトンミ・マキネン(トミ・マキネン)の、ドライバーズタイトルを賭けた一騎撃ちは現在でも語り草となっている。SUBARUに日本車初の「WRC3連覇」をもたらした。4WDモデルやワゴンモデルも存在する。北米輸出モデルは2.5Lモデルも存在する。
- スバル・インプレッサWRX STI
- 初代(GC8型)インプレッサではver.VIまで開発・製造された。通称ver.1は完全に限定生産で、エンジン及びミッションのギア比が通常のターボモデルから見直されている。後にカタログモデルとなるが、ターボインタークーラー強制冷却用のウォータースプレーや、ドライバーズコントロールデフ[10]、エンジンの内部部品、とくにピストンにモリブデンコーティングをして摩擦ロスを低減したり、給排気バルブの中を中空構造とし、その空洞に金属ナトリウムを封入し冷却効果を高めるなど、おおよそメーカーの生産ラインで製造されたと思えない「チューンドマシン」となっている。ボディー補強は、ベースシャシーがこの大出力エンジンを搭載することを前提に設計されているため、必要ない。そのため生産ラインでの「スポット溶接増し」はされていない[11]。クーペモデルのSTI RAや、それを基に400台限定で製造された22B STi(車両価格500万円。諸経費を除く)が存在する。2代目インプレッサより、それまでの5速MTから6速MTに、ブレーキも伊ブレンボ社製ブレーキになっている。
- スバル・フォレスター(2000~2500)
- インプレッサのフロアをベースに開発された都市型SUV。「SUBARUのターボ車」の中でも一番安い車両価格であったのと、それまでにないコンセプトの車両であったため(他社の本格クロカンブームの時期ではあったが、そのような本格クロカンは街乗りには使いづらいという声もあった)、人気車種となる。現在販売のSTIモデルはエンジンまで手が加わっているが、初代(SF5型)は外観(前後エアロバンパー・サイドスポイラー)とローダウンサスの調整、シート地の変更のみである。
- スバル・ヴィヴィオ (660cc)
- レックスの後継として登場。貨物登録のバンモデルも存在した。そのほかにもバリエーションは多彩である。
3ドアと5ドア、FWD(前輪駆動)とAWD(4WD)が存在する。バン以外はすべて電子式の燃料噴射システムとなった(バンは旧レックス廉価モデルと同様キャブレター方式を採用)。 - スバル・ヴィヴィオ ビストロ
- 「サンバーバン クラシック」の人気を受け、販売中期に企画・製造された「クラッシック風モデル」。初代mini(英)を思わせるデザインに若い女性からの支持が集まり、人気車種となる。視界が広く、操作性や乗り心地も良かったことも支持の要因のひとつ。革張りシートの『ビストロ・クラブ』などの高級モデルも企画された。
このブームにホンダ以外の他社も追従し、スズキ・アルト、スズキ・セルボ、ダイハツ・ミラなどもクラシックモデルを投入した。 - スバル・ヴィヴィオ RX-R
- ヴィヴィオシリーズのホットモデル。「EN07型」660cc4気筒エンジンに、DOHC+インタークーラー付きスーパーチャージャーをプラスし64馬力を発生。ミッションもクロスミッションとなっている。FWD/AWDモデルがあった。
コリン・マクレーらをドライバーに迎え、軽自動車規格で初めて「サファリラリー」を走った記念すべき一台。 - スバル・ヴィヴィオ T-TOP
- 3000台のみ製造されたヴィヴィオのオープンモデル。時期的にビート(ホンダ)、カプチーノ(スズキ)、AZ-1(マツダオートザム)と競合しようとした、っぽい。
- スバル・エルテン
- ヴィヴィオをベースに制作されたショーモデル。外観は「スバル360」を模している。ハイブリッドシステム的な駆動方式搭載を考えられていたが、計画中止となった。「ガソリンエンジンでいいからさっさと出せ」は、この頃の自動車雑誌の読者投稿欄によく書かれた言葉。
- スバル・プレオ(660cc)
- 新世代軽規格車両第一弾。新型CVT「i-CVT」と「マイルドチャージ(低加給圧スーパーチャージャー)」初搭載。それまでのECVTと異なり、通常のATのような「クリープ現象」があり、また軽量化されつつも耐久性が増している。衝突安全性向上で重くなった車重をマイルドチャージでカバー(バンの全車種およびMTは非搭載)。リッターカー並の燃費と動力性能確保を図ったとしている。5ドアのみの発売で、クラシックモデルのネスタやバンモデルも存在する。
- スバル・トラヴィック(1800~2200cc)
- GM傘下時代に、同じグループの独オペル社から7人乗りミニバン「ザフィーラ」の供給を受けたもの。エンジンは同社製Z3型(後期発売の1.8Lモデル”A”を除く)に強化され、足回りもSUBARU技術陣による見直しがなされた。生産はタイ王国のオペル工場。ヤナセでザフィーラを購入した人が、幾人か全力で涙目に。実際トラヴィック発売から程なくして、ヤナセはザフィーラの輸入販売を止めている。ちなみにトラヴィックの電動格納ミラーはザフィーラに流用できない。
- スバル・サンバーディアスワゴン
- これまで乗用モデルのなかった、サンバー初の軽乗用モデル(5ナンバー)。SUBARUで軽自動車を買うならこれを買えば、大概の用は事足りる。他社の軽バン乗用改と異なり、足元が広く、長距離の運転でも疲れにくい。荷室が広く、大きな品物(ベニヤ板や畳など)も載る。
- スバル・R2(660cc)
- 意欲的で先鋭的なデザインの軽自動車。
- スバル・R1(660cc)
- 兄弟車スバルR2よりも小振りな高級志向2+2軽自動車。
- スバル・ステラ(660cc)
- R2、R1では、ダイハツ・ムーヴ、スズキ・ワゴンR等トールワゴン市場に食い込めないことを悟ったSUBARUの回答。走行中も静かである。販売側からせっつかれ、短期間の開発期間で高度に纏め上げた(計画自体はそれ以前からあった)。
その他の車種はこちら → SUBARUの車種一覧
関連動画
関連項目
- 自動車 / 軽自動車
- 自動車製造会社一覧
- SUBARUの車種一覧
- STI
- R&D SPORT (SUBARU・STIと結びつきSUPER GTにBRZで参戦)
- スバリスト / 紳士 / 変態 / 変態企業 / 面妖な、変態技術者どもめ
- 放課後のプレアデス
- スバル・ナカジマ
脚注
- *量販車向け水平対向四気筒エンジン製造メーカーは世界でSUBARU一社だけである。
- *Continuously Variable Transmission, 無段階変速機。
- *レガシィツーリングワゴンのヒットと、日産ディーゼル工業出身の川合勇氏の功績が大きい。
- *当時の工作精度では無理も無い。
- *その前に全国レベルの販売ルートを持っていなかった。
- *レヴォーグ、フォレスター(4代目)、XVハイブリッド。
- *世界ラリー選手権。
- *Sports Utility Vehicle。
- *Natural Aspiration、自然吸気。過給器を使わない。
- *メーカーオプションのため、取り付けの無い車両もある。
- *よく比較される三菱ランエボとの大きな相違点である。
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