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この記事はとある魔術の禁書目録の重大なネタバレが含まれています。 |
コロンゾンとは、『とある魔術の禁書目録』に登場する天使・悪魔。
元ネタは魔術師アレイスター・クロウリーとヴィクター・ニューバーグの召喚作業において、セフィロトのダアトと同じ第10のエノク的アエティールであるZAXにわだかまる深淵に潜み、横断作業を妨げた同名の天使あるいは悪魔「コロンゾン」。数価は333、分散と拡散を司る。
概要
史実通り1909年にアレイスター=クロウリーが召喚した天使・悪魔。
悪の諸力溢れる〈クリフォト〉ではなく、神秘なる〈セフィロト〉に隠された〈ダアト〉と同じ〈深淵〉に潜み、人の魂の上昇を途中で妨げる高次元存在とされている。
数価は〈333〉、拡散を本質として「人と人の不和」を煽り、世界の理の結合を妨げようとする。
禁書でもアフリカ旅行に赴いたクロウリーによって現世に呼び出された。この時にクロウリーが取った方法は、倫理的な問題で推奨されない生物を材料とした召喚方法だった。
当時、クロウリーは30もの〈アエティール〉と接触する事で「セフィラとセフィラの間」を越えようとした。そこで10番目のアエティール〈ザクス〉にわだかまる〈深淵〉をまたぐために〈深淵〉と同化することで、霊的なダメージを負うことなく目的を達成しようとした。その30のアエティールの内、10番目にわだかまる〈深淵〉にいた存在がコロンゾンである。
魔法陣形成には三羽の鳩の血が使われ、クロウリー自身を霊媒に召喚された。しかしコロンゾンはクロウリーの制御すら振り切った。だがこれはクロウリー達の予想の範疇だったようで、あらかじめ付き従わせていたアレイスターの弟子であるヴィクター=ニューバーグが適切に役目を果たし、クロウリーの体から追い出されて事なきを得た。
成否はどうであれ、この召喚実験で「獣の魔法名を持つ男」の制御を振り切った悪魔の名が魔術史に刻まれることとなった。
『ローラ』への憑依
禁書におけるコロンゾン暴走は、〈黄金夜明〉創始者のサミュエル=リデル=マグレガー=メイザース
が仕組んだ計画だったとされている。
明確な時期は不明ながら、クロウリーよりも前にメイザースがコロンゾン召喚に成功し、
「初めて召喚されたふりをしてクロウリーを破滅に導け」
と契約を交わしていたが、その契約は失敗に終わり、メイザースとの契約も切れなかった。
その後、クロウリーの2人目の娘「ローラ」(史実で言うローラ・ザザ・クロウリー)に憑依し、
「ローラ=スチュアート」
と名乗ってクロウリーを始末する為に策を巡らせていた(と語られたが事実はさらに異なった)。
スチュアート姓は、自称ハイランダーのメイザースが「スチュアート王朝」の復活を願っていた事に由来する偽名。このファミリーネームを名乗るのは一種のサービス精神らしい。
普段はローラの長髪の奥に隠れている。古い民間伝承では「女の髪には魔が宿る」と云うが、純金の髪留めを外すと伝承通り膨大な髪に「悪魔」の顔が浮かび上がり、髪自体が意思を持った生物のように蠢く。
なお、本性を曝け出した後も土御門元春から教わった妙な日本語は変わらなかった…。
コロンゾンの性質
コロンゾンは「世界の自然分解」を標榜している。本来の耐用年数を越えても朽ちない人や器物や文明、そのような中途半端な神秘を創ってしまった魔術が血栓のように蔓延しており、自然な滅亡の流れに身を任せず、不自然に生き残らせている。
世界の理の「外」にいるコロンゾンの目的は、自然にある者を自然に帰し、次の誕生へ繋げるサイクルを作り出すこと、ただそれだけである。
しかし、コロンゾンはクロウリーのように魔術の源である位相の下地となった「科学の世界」を考慮せず、下地の科学の層はおろか、自らも含めた全てを一旦無に帰す事を主張している。
【新約とある】コロンゾンの使用魔術・力量
コロンゾンは〈セフィロト〉を自由自在に上昇・下降する事が出来る。
セフィロトの下層次元に溺れて上昇するしか脳がない下等な人間と異なり、下層に降りる事も厭わない。そのため、下層で活動する為の「肉の器」を自ら進んで獲得した。さらに人間が蓄えた科学の叡智にも興味を示し、体系化された魔術も扱っている。
しかし、その特異性のために対応する象徴が存在しない。聖守護天使も大天使も神も魔神さえも、力の強弱は別にしても性質上は今のコロンゾンを消滅させるには至らない。さらに言えば幻想殺しも肉の器には対応しないので、弱点らしい弱点がない。
あらゆるアイオーンの先にいる、既存の生命体や神格とも全く軸が異なる存在である。
Magick:FLAMING_SWORD(燃える剣/フレイミングソード)
あらゆる数は等価。
我が右の手に蘇生のヌイト、
有限の域を越えて広がる数価(かのうせい)を見よ。
我が左の手に復讐のハディト、
極小点はあらゆる力を収斂・収束して一つの意味を作り出す。
すなわちここに
ラー=ホール=クイトの円にて無限の加速から解放されし一撃を現世の表層に顕さん。
1904年に到来する次なる〈ホルスの時代〉を支配するという魔術体系。その中の一つで、レイピアを構えるような仕草から繰り出される極限の一撃。
クロウリーの記す所によると、 剣は空気の短剣ではなく炎剣・電光であり、ケテルより放たれるジグザグの閃光。セフィロトの上昇/下降の原理を用い、一気に下に貫き通すことで得る力。クロウリーは「その本質は標的を確実に断ち切るエネルギーの塊。記号としては何度も左右に折り返しながら標的へ突き進む雷が近い」と記していた。
ミナ=メイザース曰く、上位3セフィラを守るために〈聖四文字〉とともに配置され、分断して繋がりを断つ剣。あらゆる理の結合をバラバラにする悪魔にとって、使い勝手のよい魔術である。
某ウニヘッドのハディト説と某ビリビリのヌイト説はどうなるのか……。
アエティール・アバター
ジョン・ディーのエノク体系で30に区切った神秘領域(アエティール)をもとにした力。
エノクの文字配列でエレメントの純粋属性にも手を伸ばしていたコロンゾンだが、長い時間をかけて膨大な長髪に力を蓄えており、髪に「天使」と呼ばれる化身を投影するに至っている。新約22巻では地脈・龍脈に蓄えられた力を溶かして、広範囲に渡って同時多発攻撃を仕掛けた。
以下、〈The vision and the voice〉(霊視と幻聴)の邦訳書より日本語表記を引用。
純粋属性
エノクの属性魔術。18と秘されし1の召喚文と表現される。
ディーが提唱し〈黄金夜明〉によって洗練されたエノクの魔術体系だが、物質世界ではなく人間には決して到達不可能な領域である創造世界の法則であり、メイザースですら実存世界では扱えなかった。
また、上記属性ではないTablet_of_Union_a_Wholeと称される「色と名前なき元素」と、発音不可能な秘匿された召喚文を扱っている。
【新約とある】活躍
初登場…というより正体バレは新約18巻。
しかし、2006年に発売された「電撃BUNKOYOMI」収録の番外編SS『とある三月の二〇一巻』では「サハラの一点で蠢くアレ」として存在が示唆されていた(他にも今後の伏線が散りばめられていたりする)。
また、新約14巻のネフテュス視点で語られた、かつてイシス・オシリス・ホルスと時代を区切った男が召喚した「誰も聞いた事のない大悪魔」もコロンゾンのことである。
クロウリーの「プラン」を妨害する為に直属の魔術師「烏丸府蘭」をスパイとして上里勢力に送り込み、クロウリーにとってのイレギュラーである上里翔流を学園都市に誘導するなど裏で暗躍していた。結果的に言えば、府蘭はコロンゾンの予想以上に機能し、学園都市のインフラを壊滅状態に追い込んでいる。
エレメントの一件が収束した頃、イギリス清教の回収部隊を都市部周辺に送った。
実はその時に「積み荷」に紛れて秘密裏に都市内に侵入しており、「窓のないビル」にて上条との対決に敗れたクロウリーを「ダモクレスの剣」を突き刺して殺害した。
メイザースとの縁が切れることに歓喜の声をあげたのも束の間。直後にクロウリーは10億人以上に分化してしまう。コロンゾンは全てのクロウリーを殺さなくてはならなくなった。
新約19巻の開幕数ページでクロウリーによって『窓のないビル』と共に宇宙に打ち上げられた。
宇宙でエイワスと交戦しつつ、学園都市を完全に制御する為に烏丸府蘭を霊媒にして操り、学園都市の統合データベースである今代の書庫(バンク)「プロセッサスーツ」を奪取。
囮として浜面仕上に予備のプロセッサスーツを着せたが、そのせいでプロセッサスーツ間の競合が発生して書庫にアクセス不可能となってしまい、仕方なく浜面を狙うことになる。
クロウリー達が府蘭を解放した頃、コロンゾンはエイワスを倒した。そして外宇宙から地球圏に高速で帰還して『窓のないビル』を学園都市に落とし、遂に学園都市を消滅させた。
……かと思われたが、『窓のないビル』は超高速で太陽圏外から地球に戻った為、ウラシマ効果が生じて本来の時系列からズレた「新天地」へと墜落していた。奇跡的な確率でしか起こり得ない現象だが、クロウリーは計算ずくでコロンゾンを宇宙に放り出したらしい。
エイワス「ならばついでにもう一つ。……浦島太郎の孤独でも味わうが良い、デブリ野郎」
そこにいたのは、暇を持て余していた魔神達だった。
コロンゾンは新天地に迷い込んだ挙句、魔神のオモチャ退屈凌ぎとして戦闘に付き合うことに…。
新約20巻-新約21巻
魔神達との戦闘で疲弊しつつも新天地から力技で脱出(ちなみに娘々とネフテュスもうっかり付いてきた)
しかしコロンゾンの帰還直後、クロウリーによって学園都市の機能が凍結され、もはや学園都市を乗っ取ろうが次世代兵器も次世代技術も全て利用できなくなった。
憔悴したコロンゾンは生まれたての子鹿のように地面にへたり込んでしまう。
そして、クロウリーに「宣戦布告」の言葉を叩きつけられた。
「必ず娘(ローラ)は返してもらう。だから孤独の城で首を洗って待っていろ、ゴミ虫」……と。
最後にはクロウリーに頭を思いきり踏みつけられ(※封印の魔術的記号)、学園都市に封じられる。
新約20巻では、予め配備していたクリファパズル545
や神威混淆(ディバインミクスチャ)
が活躍。後者は実際にクロウリーを負かしたほど効果的な霊装だった。
しかし新約21巻の〈黄金夜明〉の騒乱で、クロウリーは仕方なく学園都市の機能を一時復活させざるを得ず、コロンゾンもこの好機に乗じて再び解放されてしまった。
インデックス
「でも、根拠になっているのは大悪魔コロンゾン自身の言葉しかない。世界の結合を妨げるあの悪魔が、聞かれもしない真実をそのまま話すだって?ありえないんだよ」
「ローラ=スチュアートがイギリス清教最大主教として初めて資料の中に出てくるのは1909年。その後はずっと年齢不詳、変わらぬ美貌の持ち主として歴史の転換点で顔を出している感じだけど…」烏丸府蘭
「何か不審な点でも?アレイスターが大悪魔コロンゾンを呼び出したとされる年と変わらないはずですが」インデックス
「その時、二人目の娘ローラがこんな大きな姿に成長してると思う?最初にリリスが生まれたのだって1904年だったのに」「なら、これは誰?」
抱きしめた娘であるはずの存在に刺されるクロウリー、そして彼の血にまみれるコロンゾン。
悪魔とは「囁く者」であり、誘惑し、持ち上げて一挙に絶望の淵に叩き落とす者。言葉の裏には真意が隠されている。クロウリー達は悪魔の典型的な性質にすっかり騙されていた。
新約22巻
悪魔は上条に正体を指摘されると、致命傷を負ったクロウリーを踏みつけ、狂喜する。その光景を見て、怒りに任せて挑んだ上条をクロウリー本式魔術Magickで肉塊に変えた。
そして世界(万象)の自然分解の儀『モ・アサイアの儀』の為に、まずオナーズオブスコットランドを使った人類の狂騒を目処にして動き始めた。
その最中に浜面仕上と出会い「ダイアン=フォーチュン
の復活」「浜面自身を捨て駒として扱う」ことと「儀式に必要な国家の剣」等を交換条件に浜面を従え、行動を共にすることになる
その後、各方面に干渉しつつモ・アサイアの儀を進行させていた。浜面はフォーチュンを見事復活させたが、コロンゾン側の状況は一向に好転せず、徐々に劣勢に陥り始める。
クイーンブリタニア号におけるアレイスター=クロウリー達との決戦では、クロウリーを相手にあと一歩というところまで追い詰めたが、アクセラレータとクリファパズル545
が世界に第三の樹である〈人造の樹(クロノオト)
〉の法則を埋め込んだ時の衝撃で、肉の器と本体が強制的に乖離し、幻想殺しで打ち消せる状態になってしまう。コロンゾンにとってもこれは完全に予想外の出来事だった。
それでもまだコロンゾンは諦めなかった。浜面は今ならまだ殺されずに済む、まだ収められる、と叫ぶがその声はコロンゾンに届かず、コロンゾンはオナーズオブスコットランドを使用してイギリスを完全支配しそれをトリガーに全世界の狂騒状態を呼び覚まそうとした。
『頼む。大悪魔コロンゾンの生まれたこの世界を、壊さないでやってくれ!!』
彼は、最後にコロンゾンを救おうとした。
『……は』
『私の作ったモノが最後の最後に牙を剥くか』
結局それはフォーチュンの術式「the Hermetic Order of the Golden Dawn」で阻止された。
上条はコロンゾンに、最大限に優しい三つの要求を呑んで貰う、と降伏を勧めた。もっとも、コロンゾンは上条の勧告を一蹴し、自身の名と数価を名乗り、〈燃える剣〉を繰り出した。
A.A.A.に干渉して上条の右手を切り落としたところで再び「赤黒い三角形の連結体」が噴き出し、制御すら出来ず全てを破壊してしまった。
新約22巻 518ページ以降
何とか生き残ったコロンゾンは肉の器を取り戻し、再起を図ろうとした。
しかし、
肉の器の中に「異物」が入り込んでいた。
アクセラレータに看取られて死亡した後、イギリスに『帰還』して盛大に国葬され、くたばるべき時にくたばったと思ったのに、今更のこのこと出戻りなど出来ないとぼやく彼または彼女が
そう、20世紀最大の変態魔術師アレイスター=クロウリーである……。
コロンゾンは思わず絶叫。力の象徴である長い長い髪の毛をショートヘアーにさせられてしまう。もはやコロンゾンに主導権はなかった。
関連動画
関連項目
- 新約とある魔術の禁書目録
- コロンゾン
- ローラ=スチュアート
- アレイスター=クロウリー(とある魔術の禁書目録)
- エイワス(とある魔術の禁書目録)
- ミナ=メイザース
- インデックス
- 魔神(とある魔術の禁書目録)
外部記事リンク
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