未体験世界、始まる。
スーパーロボット大戦MXとは、2004年5月27日にPS2、2005年12月29日にPSPで発売された、『スーパーロボット大戦』シリーズの作品である。『スパロボ』の他作品とは関連のない単独作品の一つ。
概要
システム面はスーパーロボット大戦IMPACTと同じ系列のシステムで構成されているが、ストーリーは他スパロボ作品との関連性は無く、単独の話となっている。
IMPACTの反省からか本作の難易度は極めて低く、今作は味方側に「強いユニット」と「超強いユニット」が多い。また熟練度もないので気楽に進めることができる。
IMPACTの101話という長丁場を反省し、MXは55話編成と多くのスパロボファンがちょうどいいと思われるボリュームにまとめた。
なので他作品ではステータス面の都合でなかなか育てられなかった、思い入れのあるキャラやユニットを育てても特に問題無くゲームを進める事が出来る。
今回の主人公システムは、精神コマンド変更システムはなくなったものの、スーパー系、リアル系から機体を選べる。また、主人公とパートナーの女性の名前も変更することができ、機体名も変えられる。主人公はヒューゴ・メディオ。パートナーはアクア・ケントルム。主人公メインで使うならスーパー系のガルムレイド、アクアをメインで使うならサーベラスを使用するとよい(アクアの場合、サーベラス・イグナイトでかなり覚醒する。。
初登場作品は『ラーゼフォン』と『冥王計画ゼオライマー』。ゼオライマーが登場したことにより、メイオウ攻撃で『ゲームバランス崩壊』というものが生み出された。しかし後にゼオライマーは人気となり、後続の『スパロボ』シリーズではオリジナルで『グレートゼオライマー』が出るなど、様々な変革を起こす。『ラーゼフォン』は基本的に『ムー』繋がりで、『勇者ライディーン』と、また、『調律』と『補完』で『新世紀エヴァンゲリオン』とも繋がっている。その他『劇場版機動戦艦ナデシコ』、『GEAR戦士電童』、『機甲戦記ドラグナー』が据え置き機初登場となった。
今回のシステムの特徴としては、『お気に入り作品』を選べること。『お気に入り』として選ばれたアニメ作品orバンプレストオリジナルは、味方キャラの成長の伸び、獲得資金の増加、改造段階の優遇と、様々な面でプラス効果がある。ただ、『ガンダム』系作品の方がキャラクター、ユニット共に多いため、もし他の作品を上げたい場合はこれに注意すること。
今回は『第2次α』のように小隊制はなく、代わりに隣接ユニットの『支援攻撃』が追加された。最大4機まで支援攻撃をすることができ、HP7000くらいの敵を容易に倒せる。また、『ダブルアタック』が採用されており、特定の射撃武器でユニット2機がまとめて攻撃する事もできる。
また『IMPACT』同様、戦艦援護や同時援護攻撃が採用されている。シナリオも同様、フリーオーダー制。本作ではフリーオーダーの隠し要素は無いので好きな順番でプレイできる。
今回は精神コマンドの『偵察』以外に、特定のユニットに『偵察』という単独のコマンドが付いた。
こちらに限り、1ターンの間対象の命中率を10%下げ、対象に対するクリティカル率を20%上げることができる。
ただし精神コマンドとは違い、その機体は1ターンロスになるため、注意が必要。
ドラグナー3号機、GEAR戦士電童(レオサークル装備)、ナデシコB(ナデシコCに後継)らがデフォルトで使えるほか、
強化パーツEWAC(弱)を装備したユニットも使用可能。
他、特筆すべき点としては『(一部覗いて)演出がしつこすぎず、スマートでカッコいい戦闘アニメ』や、『全体的に質の高いBGM』などがあげられている。BGMは出来がよく、一聴の価値あり。
機体やパイロットカットインも豊富。戦闘アニメでは「接近しつつ牽制のバルカン→ビーム・サーベル」「ロケットパンチ→続け様にアイアンカッター」などコンビネーションを意識したアニメが多い。
格闘武器のアニメは必見。
このように1つの武器に2つ以上の武器を連続攻撃で演出していくことにより、ユニットの中にはこれまでのシリーズにあった武器が削除されているものも多い。本作以降、この戦闘アニメパターンを踏襲し、一部の武器が削減されるようになった。(これはハード性能が向上していく中での開発期間の問題もある。)
また、本作ではシリーズの中でも隠し要素がかなり少なく4つだけ。隠しパイロットは存在せず、隠し機体と強化パーツのみとなっている。
少ないということは周回する楽しみが薄いということでもあり、スパロボファンの間でも当作の評価は「薄くてもサクサクやれる爽快感」か「やりこみ要素の少ないヌルゲー」と分かれている。
PSP版での変更点
BGMの自由選択と、お気に入り作品が3作品まで選べるという変更点があった。ただしユニットやキャラの数により補正がかかる。また、『GEAR戦士電童』のベガに仮面なしのグラフィックが追加された。
冒頭と中盤に追加シナリオがあり、一部シナリオの名称が変更されている。
反面追加要素が少ないという点は何らテコ入れがなされず、期待していたファンを裏切る形になった。
そしてPSP版が「劣化移植」と言われる最大の原因がロードの長さ。
発売時期がPSPが発売されてからまだそこまで経っていない頃というのもあり、PS2の演出面を極力そのままに移植された結果、ロード地獄を引き起こしてしまいPS2版にあったテンポの良さを潰してしまった。
難易度の低さを指摘されたのかPSP版は全敵ユニットのHPが一律1.5倍になっているが、逆に言えばそれだけであり(実際は運動性が命中計算に一部盛り込まれるようになり、敵への命中率が低下したという要素もある)、ただ敵を倒すのがめんどくさくなっただけという雑調整とも言われた。
あと地味に敵撃破の獲得資金がPS2の8割になっている。
参戦作品
赤文字=スパロボ初参戦 ●=機体のみ参戦 ●=据置機向けスパロボ初参戦 ●=PSP版における携帯機向けスパロボ初参戦 カッコ付き=参戦リストにはクレジットされていないが機体が参戦している作品
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※ゲーム内クレジットでは「劇場版マジンガーシリーズ」に統一表記
ゲームバランス
MXは他のシリーズに比べてマイルドな難易度に仕上がっており、良く言えば初心者にもとっつき易い、悪く言えば縛りプレイしないとぬるいバランスとなっている。
これはゲーム全体の難易度調整もさることながら、強力なバランスブレイカーユニットに頼ってクリアすると言う事が容易であるという点もある。
- ゼオライマー
一般的にMXにおけるバランスブレイカーで真っ先に名前が挙がるユニット。
MXが初登場であるが、原作におけるチート級の設定をそのまま再現したためか、「HP回復(小)」「EN回復(大)」「バリア」「分身」「超攻撃力(単体攻撃・MAP兵器ともに存在)」と言う、思いつく限りを詰め込んだかのようなとんでもないユニットに仕上がっている。
強いて言えば気力が溜まるまではHP回復があるだけの平凡なLサイズユニットに過ぎないと言う弱点はあるが(ただし、メインパイロットであるマサトは精神コマンド「気合」を覚える)それでも他のスーパーロボット系と比類する性能であり、ひとたび気力が溜まればメイオウ攻撃でボスごと敵の軍勢を消し飛ばしてしまう。
また、メインパイロットであるマサトは精神コマンド「覚醒」を覚えるので、メイオウ攻撃を連射するという荒業も可能である。
ただし、都合よく分身が発動するまでリセット&ロードを繰り返す根気のある人で無い場合、基本的に敵の攻撃は結構な頻度で受けるので、終盤ではHP回復能力だけでは追いつかなくなり、単騎突撃&殲滅とは行かない場合が多くなる。そのため、終盤に限れば下記のドラグナー1の方を推す人がいる。 - ドラグナー1カスタム
ゼオライマーほど派手では無いが、一部ではゼオライマーをも超えるバランスブレイカーの超ユニットと言われる機体。
ユニット自体はよくあるリアル系主人公機のような性能で、序~中盤(特に、カスタムになる前)はごく平凡な性能だったのだが、終盤になり十分に改造が進んでくる頃にパイロットが「見切り」と言う特殊技能をイベントで修得する。こうなるとアムロすらも横に並べないほどの回避能力を誇るようになる。1周目の時点で、運動性を限界まで改造していなくてもラスボス最終形態の攻撃の命中率が20%を切ってしまうと言えばどれほどずば抜けた回避能力か分かるだろうか。
加えて基本武器のレーザーソードの射程が何故か2あるため各種強化により射程を4くらいまで延ばす事が出来てしまい、その結果、中ボスクラスの敵の攻撃すら命中率0%に抑えてしまうユニットが単騎で突撃し、3000以上の攻撃力を持つ射程4の武器で延々と反撃し続けて敵を全滅させてしまうと言った事が可能になる。
こんなユニットが、最終盤で攻撃力9999にもなる合体攻撃を手に入れるというのだからたまったものではない(後述)。 - ファルゲン・マッフ
上記のドラグナー1のライバル的存在の敵キャラが終盤で仲間になった姿。
強かった敵キャラが仲間になるとやたら弱くなるというのがよくあるパターンなのだが、ファルゲン・マッフはHPこそ敵で出てきた時のような1万超えはしていないものの、上記のドラグナー1とほぼ同等の回避性能を持つチート性能で仲間に加わる。パイロットが特殊技能「見切り」を覚えないため実質的な回避率ではドラグナー1カスタムに僅かに劣るが、代わりと言うかのようにパイロットが消費10の精神コマンド「気迫」というとんでもないものを覚える(気迫=気力を10上げる「気合」の上位版。30上げるが他のキャラは45~80も消費するためたまにしか使えない)。その他も集中・直撃・加速・魂と必要な物が全て揃った無欠のキャラとなっている。
極めつけはドラグナー1カスタムとの合体攻撃「ツインレーザーソード」。元の攻撃力が6375もあり、最大改造+パイロットの各種技能によっては9999到達さえ可能な攻撃力であるにも関わらず、コストがたったの気力110+EN10のみ。ドラグナー1は敵陣に突っ込んで雑魚掃除すればすぐ気力は上がるし、ファルゲン・マッフはそもそも消費10の気迫を1回使えば済んでしまう。単体攻撃力に限ってはゼオライマーすら弱く見えるほどの性能である。
その他
- 常連となるマジンガーシリーズやゲッターロボは本作では楽曲に各作品のエンディングテーマを採用。
また、これまでのシリーズ以上の劇場版や桜田漫画版の要素も含まれており「敵に奪われるグレートマジンガー」「量産型グレートのみならずブラック・グレートの登場」「いざゆけ!ロボット軍団の楽曲採用」などの展開がされている。また寺田Pの意向によりグレンダイザーがメインとなっており、原作1話から再現されている。グレンダイザー版のパイロットスーツを着た兜甲児は本作で初登場。 - ロム兄さんの口上がインパクトよりパワーアップ。本作では口上の流れは敵味方共にDVEに。なんと量産型エヴァも驚いて動きを止める。お約束すげぇ。
- ロム兄さん関連のDVEだけでなく、ラーゼフォンのDVEも気合いが入っている。中にはライディーンとのクロスオーバーDVEも。またラーゼフォンはシナリオ上、重要な立ち位置となっている。みんな大好きブルーフレンドもあるよ
- シナリオ上、イベントで倒されるボスが多い。ちなみにその際の経験値や資金や強化パーツはもらえるので御安心を。幸運や努力の効果も反映されるのでわかっていればお得。
- 本作の宇宙世紀ガンダムシリーズは逆シャア以外は原作終了後設定であり、本編ではティターンズやハマーンのネオ・ジオンも壊滅済みでZZ終了直後からのスタートとなる。そしてシャアが逆襲することなくクワトロで自軍に参戦するため新生ネオ・ジオンも無し。
- 葛城ミサトはアムロ以外にも同じ声の電童のベガ、ラーゼフォンの遙(CV:久川綾)と仲が良い。シナリオの中にはベガが不在のミサトの代わりに「EVA初号機、発進!」と喋る。しかもDVEで。
挙げ句の果てには3者ともノーベルガンダムに興味津々で「ティアラとか投げたりする?」「月に代わって何々とか・・・」と言う。どう考えても美少女戦士・・・ちなみにミサトはF完結編でもノーベルガンダムに興味津々だった。言うまでもなく声優ネタである。 - 本作のPV第2弾は各機体の必殺武器のアニメが流れている。最終盤の戦闘アニメも含まれているのでスパロボ史上最もネタバレしすぎなPVとか呼ばれる。これは発売寸前で2か月延期の為、やむなく公開されたとのこと。なお、かなりの数のグラフィックが製品版と異なっている。(ドラグナーやゼオライマー、電童のキャラの顔グラ、宇宙世紀ガンダムシリーズのノーマルスーツ姿など)
- この作品から17年後の「スーパーロボット大戦30」のインタビューで、寺田Pから「元々はIMPACTの次回作として企画していたが、諸事情により単発作品になった」との発言があった。
- 本作のOPテーマである「VICTORY」は2011年AFCアジアカップでの日韓戦及び日本対オーストラリア戦後に流れたことで有名。だがEXILEが歌った2010サッカー日本代表公式ソングも「VICTORY」だったため間違えたのではないかという説が。詳細は単独記事のほうで。
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