機動武闘伝Gガンダムとは、1994年から1995年にかけて放映されたサンライズ制作のTVアニメである。
動画検索タグ → Gガンダム / 機動武闘伝Gガンダム OR Gガンダム
概要
監督 | 今川泰宏 |
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シリーズ構成 | 五武冬史 |
音楽 | 田中公平 |
制作 | サンライズ |
製作 | サンライズ テレビ朝日 |
話数 | 49話 |
従来のガンダムシリーズとは、一線を画したロボット格闘アニメ。タイトルは勘違いされやすいが「機動武道伝Gガンダム」ではなく「機動武闘伝Gガンダム」が正しい。
機動武闘伝という名の通り、ガンダムシリーズではあるが宇宙世紀シリーズから初めて独立した世界観を持った作品で、ガンダムシリーズ15周年記念作品でもあり、第1話の前に特別記念番組として第0話も放映された。
監督に今川泰宏、キャラクターのディテールの作成に、漫画家の島本和彦を使うなど熱血なストーリー展開が話題となった。出て来るモビルファイター(MF:Mobile Fighter)が全てガンダムの名である。
作品のコンセプトや製作経緯については下部の「製作背景」を参照。
2010年、リブート作品である漫画『超級!機動武闘伝Gガンダム』がガンダムエース誌上で連載していた(2016年10月号をもって完結)。本作キャラ原案である島本和彦が作画を担当しており、基本的には原作のストーリーや作風を押さえつつも、かなりアレンジが加えられている。
特に決勝大会用にドモン以外の後期シャッフル同盟機も設定されていたりする。開き2P丸々使った大ゴマが多用されるなど迫力満点な作画も含め、とにかく“圧巻”の一言に尽きる。
あらすじ
人類が宇宙に進出した未来世紀。地球では機動兵器モビルファイターによるスペースコロニー間の代理戦争「ガンダムファイト」が4年に一度行われていた。
このガンダムファイトに勝ち残った国は、次のガンダムファイトまでの4年間、コロニー国家の代表となるとともに、コロニー連合の主導権を手にすることが出来るのだった。
そして時は未来世紀60年。ガンダムファイト第13回大会において、ネオジャパン代表となったドモン・カッシュは愛機シャイニングガンダムを駆り大会に参加。同時に地球に降りているとされる兄キョウジ・カッシュを捕まえるために、パートナーであるレイン・ミカムラと共に、他国のガンダムと激しい戦いを繰り広げるのだった。
主な登場人物
- ドモン・カッシュ - 声:関智一
- 本作品の主人公。流派東方不敗の使い手でガンダムファイトのネオ・ジャパン代表。記事参照。
搭乗機:シャイニングガンダム、ゴッドガンダム。 - 東方不敗マスターアジア - 声:秋元羊介
- ドモンの師匠で前大会の優勝者。記事参照。
搭乗機:クーロンガンダム、シャッフル・ハート、マスターガンダム、ヤマトガンダム(7th) - レイン・ミカムラ - 声:天野由梨
- ヒロイン。ドモンの幼馴染で、シャイニングガンダムの開発者ミカムラ博士の娘。ガンダムファイトではメカニックとしてドモンをサポートする。
- キョウジ・カッシュ - 声:堀秀行
- ドモンの兄。アルティメットガンダム(デビルガンダム)を強奪し、一緒に地球に降下する。
- チボデー・クロケット - 声:大塚芳忠
- ネオアメリカ代表のガンダムファイター。
搭乗機:ガンダムマックスター、ガンダムマックスリボルバー(超級) - サイ・サイシー - 声:山口勝平
- ネオチャイナ代表のガンダムファイターの少年。
搭乗機:ドラゴンガンダム、ガンダムダブルドラゴン(超級) - ジョルジュ・ド・サンド - 声:山崎たくみ
- ネオフランス代表のガンダムファイター。
搭乗機:ガンダムローズ、ガンダムヴェルサイユ(超級) - アルゴ・ガルスキー - 声:宇垣秀成
- ネオロシア代表のガンダムファイターで元宇宙海賊の囚人。
搭乗機:ボルトガンダム、ガンダムボルトクラッシュ(超級) - アレンビー・ビアズリー - 声:日高奈留美
- ネオスウェーデン代表のガンダムファイター。
搭乗機:ノーベルガンダム ウォルターガンダム - シュバルツ・ブルーダー - 声:堀秀行
- ネオドイツ代表のガンダムファイターで覆面姿の忍者。
搭乗機:ガンダムシュピーゲル - ストーカー - 声:秋元羊介
- この物語の案内人。ストーリーの展開には関与せず、本編の冒頭や次回予告で解説やナレーションを行う。
主な楽曲
- FLYING IN THE SKY - 前期オープニング曲
- 歌・作詞・作曲:鵜島仁文 / 編曲:鵜島仁文、樫原伸彦
- Trust You Forever - 後期オープニング曲
- 歌・作詞・作曲:鵜島仁文 / 編曲:鵜島仁文、岸利至
- 海よりも深く - 前期エンディング曲
- 歌:彩恵津子 / 作詞:井上望 / 作曲:白川明 / 編曲:小西真理
- 君の中の永遠 - 後期エンディング曲
- 歌:井上武英 / 作詞:池永康記 / 作曲:樫原伸彦 / 編曲:斉藤誠
サウンドトラック
- 我が心 明鏡止水~されどこの掌は烈火の如く~
- 燃えあがれ闘志 忌まわしき宿命を越えて
製作背景
『Vガン』の製作の中盤にはいって、サンライズのトップから、
重役「来年もおなじ放送枠で、ガンダムをやることになったので、だれを総監督にしたらいい?」
富野「Vガンで、ガンダムは潰れたんだぜ?」
重役「やるしかないじゃないか…ほかにないんだから…」
そのトップのしかつめらしい返答に、ぼくは、今川泰弘くんの演出手法の元気さを買い、それで、ガンダムをレスキューしてもらおうと考えた。
富野「どうせやるなら完全なプロレス物にしなければならない。過去の経緯などは踏まえないものをつくらせろよ。Vガンでメチャメチャにしたんだから、それはできるはずだ」
このように、そもそもガンダムがなぜ格闘アニメになったかというと、次回作の制作要請を拒否したガンダムの原作者・富野由悠季が、本作の企画案と制作指揮に今川泰宏監督を指名したことに端を発する。1994年にバンダイ傘下となり経営陣が一新したサンライズ内において、児童層へのアピールを厳命された末の企画が本作であった。
また、富野は『Vガンダム』制作中にバンダイ役員から「戦隊もの的なものをやって欲しい(ガンダムを5体出す)」という要請を受けているが、これに対し前作ではガンダムタイプ(ヴィクトリーガンダム)が量産されているという設定だったものが、本作ではシャッフル同盟という形で、本格的に戦隊的なフォーマットで異なるガンダムが5体用意される事になっている(次回作以降もこの傾向は顕著である)。
しかし当時の視聴者にはそのような裏事情など知る由もなく、低年齢層に受けず従来のファンに受けた前作『Vガンダム』とは対照的に、余りにも世界観が異なる本作では従来のファンからの批判が多く、バンダイ役員の川口克己が「放映スタートから、三カ月間は商売になりませんでした」と語るほどの不振に陥り、監督の今川も「いつか背中から刺されないだろうか」と不安に思うほどであった。
しかしそのような反応はある程度は目論見通りであり、第0話という特番を放送したことをはじめ、数々のガンダムを登場させる作風はコミックボンボン等の児童誌でのタイアップを積極化させ、格闘・スポ根による分かりやすく取っつきやすいガンダムを目指した結果、SDガンダムと同程度の人気を得て、低年齢層へのアピールに成功した。
また従来のファンについても、第2クール以降の東方不敗マスターアジア登場等を境に、その展開の面白さによって「これもありだよね」というガンダムファンも出始め、アニメージュ等の高年齢向けアニメ誌でも次第に特集が組まれるなど、結果的にそれなりの人気を獲得している。しかし売り上げは前半の大不評が足を引っ張って前作とどっこいに終わっている。
結果的に本作のおかげでいわゆるG・W・Xと云ったアナザーガンダムと呼ばれる非宇宙世紀系ガンダムシリーズ作品の世界観が受け入れられる余地ができ、将来を担う大量の新規客層の取り込みにも成功し、今日に至るまでガンダムシリーズが継続出来るようになった。
本作がガンダムなのかという点について今川泰宏監督本人は「そう言われれば確かにガンダムじゃないね」とあっさり認め「これはGガンダムです」と答えている。しかし富野由悠季が後に『∀ガンダム』に登場する「黒歴史」では本作も同じ世界観を共有しているという事になっている他、本作の設定を意識した用語や設定も登場する。
大河原邦男も「GがなかったらW以降のガンダムは生まれてなかったね!」と豪語するほどガンダムシリーズでは今もなお、随一の"ガンダムらしさという固定観念の破壊"を成し遂げており、全シリーズの中でも最大のターニングポイントとしての位置付けは大きい。
またあらすじの項目にもあるように、一見ただのプロレスに見える戦いの理由がコロニー国家間の代理戦争であったり、全ての人間が宇宙に移民できた訳ではなかったり、ガンダムファイトのために地球環境を汚染し続けることを快く思わない人物がいるなど、テーマの根底ではちゃんと従来のガンダムを踏襲している部分もある。
そして「欧米でガンダムと言えばファーストよりもGとWが真っ先にあがる」と真偽のほどは定かとして・・・これには北米におけるガンダムシリーズの放送開始がGガンダム、欧州ではガンダムWからというのと初代から続く宇宙世紀を舞台にしたガンダムシリーズの放映が21世紀迄ずれ込んだのも大きい(ガンダムUCの全世界同時封切りが2010年)。それ故か2021年、古谷徹がTwitterで初代ガンダムがフランスで放映開始されたのを話題として呟いているほど。
そんな有名な話が生まれるくらい、欧米におけるガンダムシリーズの知名度を大幅に上げた。現在ではガンダムシリーズの偉大なる転換点にして21世紀以降の主要作品と言える位置づけとなっている。
また、主人公の乗るシャイニングガンダムの必殺技・シャイニングフィンガーに見た目そのまんまに類似した武装が、後続ガンダムシリーズ作品のモビルスーツ(MS:Mobile Suit)である、『∀ガンダム』のターンXや『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』のデスティニーガンダムに登場した。
最終回のドモンの告白は、監督である今川泰宏の当時の状況と合わせて鑑賞するとより深みが増す…かもしれない。
派生作品
外伝作品がW程ではないが結構多く、本編中に起きたファイトの他、本編の後日談(14回大会)やサイ・サイシーをメインにしたもの等がある。
過去の第7回大会をコミックボンボンで漫画化した『ガンダムファイト7th』は、東方不敗や先代シャッフル同盟の若い頃を描いた作品としてそれなりに有名。主役機ヤマトガンダムはガンダムEXAにてシャイニングと戦ったりしている。いずれもときた洸一が作画担当している。
余談・トリビア
- トリビアの詳細は「「機動武闘伝Gガンダム」今川泰宏総監督、Gガンダムを語る!
」を参照ください。
- それまでの大半のガンダムと異なり、環境破壊による荒廃した地球と繁栄を謳歌するコロニーというそれ迄の力関係が逆転している。同作以降の各種メディアのガンダム作品を見るとある意味宇宙世紀が辿る果てにある世界とも云えなくないかもしれない。
- ネタMADアニメの創世記、特に本作はネタとして取り上げられた作品の一つである。従来のガンダムファンはともかく、アニメファンからはどれだけ好意的に受け入れられていたかがわかるエピソードである。
- 今川監督が本作において、お気に入りの香港映画の「スウォーズマンシリーズ」から名称を(仮のつもりで)取って使いまくっていたら、『連城訣』の文庫に後書きを依頼されてしまった。
- ネオホンコンは実を言うとコロニーを持っておらず、地球に居を構える国である。地球で暮らすことを誇りとしているから国民が明るく生活出来ているのだとされている(Gガンは国によって生活観や格差が激しい)。
- マタドールガンダムの必殺技「レッド・フラッグ・カモン」は今川監督すらどんな技か憶測のうえでしか語れない。漫画「超級!機動武闘伝Gガンダム」では「レッドフラッグで相手を引き寄せて攻撃(恐らく剣で串刺し)する」という技となっていた。
- ちなみに第14回大会は ボンボン掲載のスピンオフストーリーとして漫画化された。
関連動画
関連チャンネル
関連リンク
- 機動武闘伝Gガンダム Original Soundtrack - GUNDAM FIGHT ROUND 1 & 2(Youtube)
- 機動武闘伝Gガンダム Original Soundtrack - GUNDAM FIGHT ROUND 3 新香港的武闘戯(Youtube)
- 機動武闘伝Gガンダム Original Soundtrack - GUNDAM FIGHT ROUND 4(Youtube)
関連項目
- ガンダムファイト
- 明鏡止水
- 超級覇王電影弾
- 石破天驚拳 / 石破ラブラブ天驚拳
- シャイニングフィンガー
- 世界三大恥ずかしい告白シーン
- ガンダムシリーズ
- ガンダムシリーズの関連項目一覧
- ガンダムシリーズのMS・MAの一覧
- アニメ作品一覧
- スーパーロボット大戦シリーズ登場作品の一覧
ガンダムシリーズ(映像作品) |
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