レンタカーとは、有償で貸し出された自動車、および自動車を有償で貸しその代価を受け取る事業である。
当項目では、近年増えつつある「カーシェアリング」や、有償で貸し出される各種モビリティ(レンタルバイク・レンタサイクル等)についても触れることとする。
概要
道路運送法第80条ではレンタカー事業は「自家用自動車有償貸渡業」と称され、国土交通省の運輸支局の許可を得なければレンタカーおよび125cc超のレンタルバイクの事業を行うことは出来ない。
ただし125cc未満のバイク、自転車の場合は許可申請は不要で事業を開始可能。
日本では、レンタカー登録車のナンバープレートのひらがな部分は必ず「わ」となる(普通自動車以上のクラスだと「れ」、レンタルバイクだと「ろ」も存在する)。
車両
下は軽自動車から上は大型トラック・マイクロバスまでとなっている。バス系は全長7m・30人以上を超える車両のレンタカー使用は禁止されているため、いわゆる9mの中型バスや12mの大型バスのレンタカーは存在しない。但し、運転免許試験場においてある大型二種免許の技能試験に使われる11m車両は「自動車を有償で貸し出して、公道で走らせる」部分がレンタカーの要件と合致しており、特殊自動車(8ナンバー)とすることで前記の規制を回避している
採用車両
メーカー系の場合、そのメーカーにラインナップされる車種が採用され、トヨタレンタカーなのに日産の車両を導入されるということは基本的にはない。但し、実際のところはラインナップにない車両に関しては系列や提携先の車両を導入することが多い。例えばトヨタレンタカーは地場のディーラーが親会社であるケースが多く、その親会社がトヨタ以外のディーラーを持っている場合、その繋がりでフォルクスワーゲンであったり、スズキの車を採用するなどのケースがみられる。
独立系はそうした縛りがないのであちこちのメーカーを採用する。
グレード・装備など
レンタカーとして採用される車両は総じて低グレードのものが多く、上級グレードの採用は多くない。但し、中古車両を購入してレンタカーとした場合はその限りではない。
排気量は当該車種のグレードに2種類以上のエンジンがある場合、低いほうが採用されることが多く、高い排気量の場合はクラス料金が上がることがある。ギアはスポーツカークラスやトラック以外はほぼ99%オートマであり、マニュアルは皆無に等しい。トラックにあっても2トン車程度であればオートマを採用するケースが増えている。
レンタカー専用のグレードはほぼ存在していないが、トヨタ・コースターにはレンタカーパッケージの名称のパッケージが存在し、海外ではフォード・マスタングがハーツレンタカー向けにシェルビーマスタングGT350Hを販売した。
カーナビ・ETCは乗用車系ではほぼ標準装備であるが、カーナビについてはトラックや格安レンタカーでは装備されていないケースがある。
塗装は事業者によってまちまちで一概には言えないが、ビジネス客が多かったり台数口の多いレンタカー会社では派手な色を避ける・管理の負担軽減などの為にシルバーや黒、白と言った色を好む傾向がある。トラック系では荷台やアルミ板の箱部分に会社名をカッティングテープで張るケースがある。また乗用車では非常に数は少ないのだが黄色のような目立つ色に社名を入れているケースもあり、この場合は値段もお安くなっている。
法令点検・車検
一般の自動車と異なり、乗用車や2トントラックなどの場合は初年度2年の後は1年車検となる。バスや大型トラック、中古で入れたレンタカーは初年度から1年車検である。軽自動車は乗用・商用に関係なく初年度・継続は2年である。
法令点検もその用途上、短い期間のものとなっている。乗用車や軽自動車は6カ月点検であるが、貨物車やバスは3カ月点検となっている。
走行距離・寿命
走行距離はエリアや車種で大きく異なるのだが、例えばヤリスやマーチと言った回転の速い車の場合、年間の走行距離が1万キロ以上はざらにあり、ハイブリッド車や冬季におけるスタッドレス車といった台数に限りのある車両や人気車種の場合は年間2~3万キロにまで行くケースが少なくない。この数字はメーカーにおけるシビアコンディションにあたる。逆に福祉車両など、用途が限られる車両は走行距離が伸びない傾向にある。
新車登録から廃車までの期間は車種や用途によって著しく差があるが、ヤリスやマーチなどは概ね3~4年で入れ替えられるケースが多い。最短の場合は初年度の車検を通して、次回の車検を待たずして廃車とする。逆にマイクロバスと言った導入費用が高額かつ稼働率の良くない車両は10年近く稼働することもある。なお廃車と言っても、あくまでレンタカーとしての用途廃止であり、廃車後は系列の中古車販売店に卸したり、オークションにかけるなどする。また、夏季や冬季と言った繁忙期にあたる時期に大量にレンタカーを導入して、2か月程度稼働したのちに閑散期に入ったところで廃車として系列の中古車販売店で販売するケースもある。なお、いずれのケースにあってもレンタカーで使用した事を明記することが義務付けられている。
日本の主な事業者・系列
☆があるものはカーシェアリングも兼業。◆はカーシェアリング"専業"。
リンクと書かれた部分を押すとその事業者の公式HPに飛びます。
自動車メーカー傘下
基本的にはその自動車メーカーの車種をメインに扱う。そのメーカーが手がけないカテゴリの車両に関してはライバルメーカーの車種をやむを得ず扱っている。
- ☆トヨタレンタリース(世界最大手の「ハーツレンタカー」と提携。) リンク
- ☆日産レンタカー リンク
- MMCダイヤモンドファイナンス(三菱自動車グループ) リンク
- ☆ホンダレンタリース(厳密にはホンダ直系販売店の更に子会社といった位置付け。基本的にホンダ直系のレンタカーはディーラーが各個担当することになっている模様。ちなみにホンダ直営は1964年~1969年しか展開していなかった。)
鉄道系
鉄道会社およびそのグループが事業展開。駅周辺に営業拠点を構えていることが多い。鉄道利用とのセットで割引を行うことがある。
独立系
上記2つに当てはまらないグループ。メーカー問わず扱っているので車両のバリエーションが豊富。
- ニッポンレンタカー(独立系最大手) リンク
- ☆タイムズカーレンタル(マツダ車率が異常に高い。その理由は後述。) リンク
- ☆オリックスレンタカー リンク
- ジャパンレンタカー(オリックスレンタカーに吸収された「ジャパレン」とは別企業。全店24時間営業かつカラオケボックスを設置。) リンク
- ニッケン(建機メイン) リンク
- アクティオ(建機メイン) リンク
- Jネットレンタカー リンク
- バジェットレンタカー リンク
- ダイレックス(高級車・ストレッチリムジン専門) リンク
- エグゼクティブレンタカー(高級外車専門) リンク
- レンタル819ネットワーク(バイク専門) リンク
- レンタルバイクジャパン(バイク専門) リンク
- ◆カレコ(三井物産グループ) リンク
- ◆アースカー リンク
- ◆エコロカ(日本駐車場開発グループ) リンク
- ◆Dシェア(大和ハウスグループ) リンク
- ◆ドコモ・バイクシェア(NTTドコモ傘下の電動アシスト自転車シェアリングサービス。) リンク
- ◆オープンストリート(ソフトバンクグループ傘下の原付・電動アシスト自転車シェアリングサービス。) リンク
- ◆LUUP(電動キックボード・電動アシスト自転車シェアリングサービス。) リンク
格安系
ここ最近増加している業態。他業種(殆どがガソリンスタンド、中には広島県の「フタバ図書グループ」という本屋が参画していたりする)の副業フランチャイズで、車両をかなり過走行気味な中古車にし、整備をスタンド敷地内のピットで自前ですることによって安価に提供している。車種のバリエーションの少なさ、内装のボロさ、車体の傷等は気にしてはいけない。
かつて存在した企業・ブランド
- マツダレンタカー(2004年にタイムズレンタカーに買収された。)
- Xレンタカー(1999年にオリックスレンタカーに買収された。)
- ジャパレン(2003年にオリックスレンタカーに買収された。中京エリアを中心に展開する「ジャパンレンタカー」とは別物。)
レンタカーとカーシェアリングの違いとは?
レンタカー
- 一定時間(数時間)or日、週間、ヶ月単位での貸出が基本。
- 営業拠点は主要国道沿いをはじめ、主要駅・空港にあるのが殆ど。団地内に出店している事業者もいる。
- 深夜早朝は店舗が閉まっている。一部事業者は24時間営業もあるが、深夜早朝の貸出・返却時には手数料が上乗せされることも。
- 支払いは現金払いもOKだが、乗り逃げ防止のためレンタル初回の人は大抵はクレジットカードが必要となる。
- 長時間・長距離での利用ならレンタカーのほうがお得。
- 返却時には燃料を満タンにしなければならない(し忘れると割高なレートで別途課金されるので要注意!電気自動車は充電が満タンでなくてもOK。)
- 会員登録は任意(入会すれば利用料が安くなるのであまり使う機会がなくても入会したほうがお得)。
- 車種のバリエーションが充実しており、コンパクトカーからミニバン、ワンボックスカー、ハイブリッドカー、電気自動車、高級車、キャンピングカー、トラック、マイクロバスまで多種多様。建機レンタル業者だとユニック(車載クレーン)付きのトラックやダンプカーを借りることも可能。
- 同じ事業者間であれば追加料金を支払って乗り捨て返却が可能な場合がある。
- カーナビ利用に別料金がかかることもある(格安系に多い)。
- ETCが付いていないことがある(乗用車はほぼ100%付いているが、トラック・マイクロバス等などは付いていない場合がある)。
- 軽トラックなどではマニュアル車だったりすることもあるので注意(乗用車は大抵オートマチック車)。
カーシェアリング
- 分単位(大抵は15分単位)での課金が基本。事業者によっては距離料金も加算され、タクシーみたいな感じになる。パック料金制も選択可能。
- 会員登録が必須。会員カードが届くのに時間がかかる(しばしばイベントで登録会があり、即入会・カード発行もある。ただし事業者によってはおサイフケータイを会員カードの代わりとして使える場合もあり、その場合は使用開始までの時間が短縮される)。
- 支払いはクレジットカードのみ。
- 利用するには予約が必要(ただし大抵の事業者では携帯電話でその場で予約が可能なので空きがあればすぐ使える)。
- 基本24時間営業(ショッピングセンター内などのステーションではSCの営業時間に準ずる)。
- マンションの駐車場や街中のコインパーキングに貸出ステーションが設置されていることも。
- 乗り捨ては基本的に不可能。借りた場所と同じ所に返さなければならない(海外では乗り捨て可能な所が殆ど)。
- 月額基本料金がかかる(事業者によっては月額基本料金0円プランもあるが、レートが割高になる)。
- 短時間・短距離での利用ならカーシェアリングがお得。
- 燃料代・保険料が全てコミコミ。燃料切れの際は備え付けのカードを提示すればOK。
- 配備されているクルマはオートマのみ。
- 配備されている車種はコンパクトカー(デミオ・マーチ・ヴィッツ・フィット・スイフト等)・ハイブリッドカー(プリウス・アクア等)が殆ど。ミニバン・ワンボックスカーは少なめで、あったとしてもせいぜいプレマシーやセレナぐらいしかない。ただし、まれにBMWミニやR35GT-R、911カレラを使っている事業者もあったりする…
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