月華の剣士とは、1997年にエス・エヌ・ケイ(旧SNK)から発売された格闘ゲームのこと。1作目の「幕末浪漫 月華の剣士」と、1998年に発売された2作目の「幕末浪漫第二幕 月華の剣士 〜月に咲く華、散りゆく花〜」をあわせた総称として呼ばれることが多い。通称「月華」。
概要
SNK格闘ゲームの黄金期にあった1997年の作品で、同社の同じく時代もの武器格闘ゲーム「サムライスピリッツ(サムスピ)」とは異なる毛色の格闘ゲームとして登場した。なお、当時はサムスピが従来の2Dシリーズからハイパーネオジオの3Dシリーズへと移行しようとしていた時期でもあった。
サムスピよりも連続技に重点が置かれたシステムが多く、大斬り一発の一撃必殺よりもワンチャンスから大ダメージを得る場面が多いなど、ゲームの性格に若干の違いがある。ちなみに、サムスピにも連続技でダメージを稼ぐキャラは当然いるし、月華でも大斬り一発で3割減るというのも無い話でないので、あんまり型にあてはめて考えない方がいいかもしれない。
また、サムスピの時代設定が江戸時代中頃であるのに対して、月華は江戸時代末期(幕末)が舞台となっている。そのためかプレイヤーキャラには新撰組が3人もいたり、「るろうに剣心」の緋村剣心がゲストで出るという噂があったりと夢が広がりんぐな世界観であった。
ハメが可能なキャラが数人いることを除外すれば、ゲームバランス・演出・音楽ともに評価が高かった。しかし2作目の「第二幕」でストーリー的に区切りがついたのか、以降は続編が出ていない。同ゲームから他作品への出演としては、「CAPCOM vs SNK2」に高嶺響が、「ネオジオバトルコロシアム」に楓、守矢、鷲塚、あかりが出ている他、ネオジオポケットの格ゲーにも出演している。
家庭用
家庭用ではネオジオ・ネオジオCD・ネオジオポケット・ドリームキャスト・プレイステーション・プレイステーション2に移植されている。一部の家庭用では花札が遊べる変なオマケつき。是非やれ。
2010年にはパチスロで「幕末浪漫 月華の剣士外伝 あかりと七つの妖珠」が出ている。
また、以下のプラットフォームでダウンロード配信が行われている。
- 第一幕
- 第二幕
システム
ネオジオでのボタン割り振りは、Aボタンで小斬り、Bボタンで大斬り、Cボタンで蹴り、Dボタンで「弾き」である。攻撃の威力は基本的に大斬り>小斬り>蹴りだが、大斬りよりも小斬りや蹴りのほうが重要というキャラも少なくない。
A・B・Cボタンともレバーを入れながら入力すると動作が変化する。全キャラ共通で←A・→B・→Cなどのレバー入れ特殊技があるほか、一部キャラには専用の特殊技がある。特に、←Aは牽制や後述の連殺斬の起点になるため、力・技のどちらを選んでも重要な技である。
通常投げは1作目では他の格闘ゲーム同様レバー入れBだったが、2作目ではCDボタン同時押しになった。投げを失敗するとスカリ動作ができてしまうようになったが、出が早い・コマンドが簡単・弾かれないなどの利点から非常に重宝する。
超奥義(超必殺技)は足もとの剣質ゲージが満タンの時か、体力が1/4以下の時に出せる。一発で3割以上を持っていく決定力があるが、安心してぶっぱなせるような性能の技は少ないので、連続技に組み込むのが基本。
剣質
月華ではキャラクター選択の画面で、選択したキャラの「剣質」を選ぶ必要がある。「極」は『第二幕』の隠し剣質。キャラによっては剣質で技性能が変化したり、剣質によって使える技が変わることもある。両者の特性を生かせるキャラ・生かせないキャラが顕著で、力と技では動きや強さが全然違うキャラもいる。
- 力
- 威力重視型。初心者から上級者まで扱いやすい。ほかの剣質に比べて攻撃力が高くなるほか、一部の必殺技から昇華(スーパーキャンセル)で超奥義に繋ぐことができる。また、体力1/4以下かつゲージが満タンのときには超奥義の上を行く「潜在奥義」が使える。
- 剣質技と比較して非常にゲージ効率が良いことも魅力。
- 力選択時にBCボタンを押すと、ガード不能攻撃を出す(足もとに黄色いオーラが出るのが特徴)。見てから避けられる・弾けるほど出は遅いが、鷲塚や天野のものは使いやすく実用性が高い。
- 技
- 手数重視型。ちょっと慣れた中級者以上向け。「連殺斬」というチェーンコンボが使えることが特徴で、小技から連続技を重ねてダメージを稼ぐのが基本となる。また、ゲージが満タンの時に「乱舞奥義」が繰り出せる(1作目ではオリコンのようなもの、2作目ではデッドリーレイブのような連続入力技)。
- 技選択時にBCボタンを押すと打ち上げ斬り(中段攻撃)を出す。出はやや遅いが連殺斬から繰り出せるほか、しゃがみガードの相手に当てると相手がよろける(レバガチャで復帰速度を速めることが可能)ので、そこからコンボや大技を狙うことが可能。立ち喰らいの場合はそのまま打ち上げられて、キャラにもよるが一部の必殺技で追い討ちが可能。
- 極
- 攻撃特化型。力の昇華・潜在奥義と、技の連殺斬・乱舞奥義の両方が使える剣質。これだけ聞くとインチキに聞こえるが、反面防御力がとんでもなく低くなり(常時カウンターヒットと同程度の補正)、気絶しやすい、またゲージの増加量も非常に少なくなる。
- ずっと攻めを継続できれば強いが、一旦弾かれたり硬直短縮からの反撃が刺さったら天国直行である。
- ゲージ効率が極端に悪いことによって上記の「昇華が使える」「潜在・乱舞奥義が両方使える」ことがまるで生かせないのもネタ剣質と言われたりする原因かもしれない。
- ヤドクガエルみたいだったり、全身紫だったり、死装束だったりと眼を引くカラーリングが特徴。上級者向け。
弾き
月華の基本システムのひとつで、いわゆる当て身技。動作中に敵の打撃攻撃を受けると弾き返して隙を生ませ、そこにいろんな技を叩き込める。Dボタンひとつとコマンドは簡単だが、『ストリートファイターIII』のブロッキング同様に慣れないと上手く使いこなせないのが難点。
基本は立ち弾きとしゃがみ弾き、2作目からは空中でも弾きができるようになった。SNKの格闘ゲームでは後半の敵が超反応の対空技を使ってくるが、それを逆に弾いてチャンスを作ることもできる。まぁ相手も超反応で連続で弾いて来たりするのだが。当然ながら、飛び道具と投げは弾けない。
ちなみに、弾きとは別に当て身技を持つキャラもいる。特に直衛示源は、一発で7割持っていく恐怖の当て身超奥義を持つ。
キャラクター
『一幕』から登場のキャラクター
楓(かえで)
主人公。地獄門を守る四神の一角、青龍。
覚醒すると髪が金髪に変化する。どこのサイヤ人だ。ロックって言うな。『一幕』では覚醒技で金髪状態になるが、『二幕』では覚醒技はなく「覚醒後(金髪)」「覚醒前(青髪)」が別キャラとなった。
主人公らしく、飛び道具や対空技などが一通り揃ったスタンダードタイプ。しかし『二幕』覚醒前楓は正直言って下位キャラである。覚醒後の方はそこそこ強い。
詳細は楓(月華の剣士)参照。
御名方守矢(みなかた もりや)
楓と雪の義理のお兄さん。飛び道具は無いけれど爆発的火力、移動技、対空技などが一通り揃っている。強い。使いこなすには練習が必要。
詳細は御名方守矢参照。
雪(ゆき)
月華の剣士のメインヒロインで、楓の義理のお姉さん。守矢に惹かれている。「封印の巫女」という重要な役割を持っている。でもそのせいで『二幕』で確実に死亡する。
『一幕』だと最強クラスなのに、『二幕』では全体的な下方修正を受け最弱キャラ。小技が重要な『二幕』において小技からのリターンが全く無いという不遇の性能。あまりの弱さにガチ勢からも「雪なんて居なかった」といわれる始末。不憫。
玄武の翁(げんぶのおきな)
四神の玄武を務める小さな老人。129歳。慨世亡き後、楓と雪を養い、楓に剣術を教えた。釣竿やペットの亀による攻撃で相手を翻弄して戦う。性能は防御力も低く技の発生も遅いため連続技に恵まれず、弱キャラに位置する。
一条あかり(いちじょう あかり)
関西弁を話す少女陰陽師(見習い)。英語が得意らしい。面食い。トリッキーなタイプだが無敵対空、空中投げもあり、体も小さい為に喰らい判定も小さい。そこそこに強い。
神崎十三(かんざき じゅうぞう)
あかりの家に居候している大男。頭が悪そうなキャラだが案外頭は切れる…らしい。パワーキャラ。攻撃力も大きいが、体もでかい為当たり判定も大きく攻撃の発生も遅い。上級者向け。
鷲塚慶一郎(わしづか けいいちろう)
新撰組。タメキャラ。飛び抜けた部分はないが必要なものが揃った、ハイスタンダードなキャラ。
詳細は鷲塚慶一郎参照。
紫鏡(しきょう)/骸(むくろ)
元新撰組所属の快楽殺人者。技の癖が強いトリッキーなキャラクター。技のリーチは短いが通常技の性能がいい、上位キャラ。『二幕』では名前が『骸』になり、永久コンボが可能になってしまった。紫鏡のときにも同じようなことが出来たのは内緒。
天野漂(あまの ひょう)
風流を愛する遊び人。女好きで交友が広く、響の父の旧友。大降り・高威力な技が多い。ランク上位。
李烈火(リー・レッカ)
斬鉄(ざんてつ)
如月流忍術の開祖。自分は本当に最強なのかという事を確かめる為に地獄門へ。
ぶっちぎりの最強キャラ。通常技の発生が早く、コマ投げや姿を消す技があり、機動力も高いとどこを切っても隙がない。
『二幕』ではジャンプAをA+C同時押しで何故か連続で切れるバグがあり、他にもいくつかのバグ(仕様?)が存在する。だが、それを抜きにしてもゲージ回収、火力、立ち回りの全てにおいて他キャラを圧倒している異次元の存在。
直衛示源(なおえ しげん)
四神の白虎。親友の嘉神に封印されていた。投げキャラで、上級者向け。
詳細は直衛示源参照。
暁武蔵(あかつき むさし)
『一幕』中ボス。『二幕』ではネオジオCD版、DC版のみ使用可能。嘉神の手によって蘇った、宮本武蔵の怨念。高い攻撃力と防御力を持つ。技のリーチが長く高性能な技が多い。
嘉神慎之介(かがみ しんのすけ)
『一幕』のラスボスで、四神の朱雀。しんちゃん、あるいはかがみん。高性能で、空中戦の火力に優れる。
真田小次郎(さなだ こじろう)
『一幕』のPS版隠しキャラ。新撰組。鷲塚のコンパチ。
『二幕』では設定と性能が違い、タメキャラではなく、先述の小次郎(紫鏡に殺害された)の妹さん。本名・真田香織。
詳細は真田小次郎参照。
一条あか狸(いちじょう あかり)
『一幕』のPS版隠しキャラ。あかりのコンパチで、タヌキのポン太がいたずらのために変身した姿である。
偽物ということで、尻尾やヒゲがあったり、関西弁ではなく高知弁でしゃべる。
対戦前に名前をコールされず、あかりの声で「Goodじゃき!」としゃべる。
技もあかりとはいくらか差別化されていて、茶釜を投げつける、タヌキの信楽焼を落とすなどタヌキっぽい。
『二幕』から登場のキャラクター
高嶺響(たかね ひびき)
父の死の切っ掛けとなった刹那を追う、居合い使いの女の子。超奥義の演出の格好よさに定評がある。
攻撃力、防御力とも低い。技の出は早くリーチも長いが、納刀モーションの隙が大きいのが辛いところ。上級者向け。主人公の楓を差し置いて「カプエス2」に出演している。
詳細は高嶺響参照。
刹那(せつな)
赤子の死体に怨念が取り付いて生まれた、世の全てを恨む危険人物。攻撃力とリーチがあるパワータイプのキャラ。連続技も簡単に作れる。が、技が大降りで隙が多いため小回りが効かず、懐に潜られると弱い。
ちなみに技名がすべて「無銘」(無銘(壱)、無銘(弐)、など)のため、技名だけだと何がなんだか分からない。
黄龍(こうりゅう)
『二幕』ラスボス。実は楓、雪、守矢のお師匠さん兼養父で先代の青龍の、慨世さん。CPU専用キャラ。ボスだけに全体的に高性能。あとしゃがめない。
はぐれ人形(はぐれひとかた)
一条あかりの人形(ひとかた)が一人歩きした状態。隠しコマンドで使用可能。対戦相手と同じ姿になる。
『二幕』のアーケード版で、ラスボスである黄龍を使用できる唯一の手段。
直衛虎徹(なおえ こてつ)
示源の養子。男の子に見えるし一人称も「オイラ」だけど、女の子。隠しコマンドによって戦闘前に登場するが、示源につまみ出され、結局戦うのは示源になる。
ガード硬直短縮バグ
現在主に対戦が行われている『二幕』において対戦に非常に大きな影響を及ぼしたバグ。
ガード硬直中に立ちガード→しゃがみガードもしくはしゃがみガード→立ちガードを切り返ることによってガード硬直時間が短縮される(消滅ではない)というバグ。
このバグによって強斬りどころかほぼ全ての打撃技が理論上反確になっている。
初心者と中級者の違いはこのバグを理解して戦っているかどうかと言われている。
対戦中に意識して使うことは難しく練習と場数が必要だが、初級者でも無意識に行っていることもある(相手の2Cをしゃがみガードして基本的に発生が早い4Aで反撃etc)。
ニコニコ動画における月華の剣士
ゲームエフェクト集や対戦動画、コンボムービーの他、実況プレイや手書きMAD・描いてみた等のニコニコらしい動画もアップロードされている。
2009年9月にはあの中野TRFでの初心者大会も始まり、今後一層月華の剣士の盛り上がりが期待される。
関連動画
OP・ED
ゲーム動画色々
BGM
対戦動画
MAD・描いてみたなど
パチスロ
関連コミュニティ
関連項目
月華の剣士・登場人物(個別ページがあるキャラは太字/一部リダイレクト) |
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関連リンク
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