『SIREN』とは、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCEI)が開発及び発売したホラーゲームである。
ハードはPS2(『SIREN2』も同様。『SIREN:New Translation』はPS3)
概要
2003年11月6日に発売。売り上げは特に上々であったわけではないが、近年珍しい和風ホラーであり、独特のストーリー構成やゲームシステム、個性あふれる複数の主人公達の魅力等で熱狂的な人気を集めた作品。
その後2006年2月9日に『SIREN2』、2008年7月24日に『SIREN:New Translation』が発売されている。(各々の作品概要については各々の大百科を参照)
このゲームでは複数の主人公を操作し、それぞれの主人公のシナリオを進めて行く。
シナリオによって主人公が違っており(一応、メイン主人公は1が須田恭也、2が一樹守、NTがハワード・ライト)、1と2は時間軸にそって進んでいくが、NTはエピソード順に進んでいくシステムとなっている。
また、全ての主人公はこのゲームの代名詞的システムである「視界ジャック」が使える。(後述詳細)
従来のホラーゲームには、次のようなオーソドックスな特徴がよく見受けられる。
本作『SIREN』には、これらの特徴のほとんどがない。対照的に、主人公達は戦闘に慣れていない普通の人間であり、体力値も低い。銃弾を1〜2発食らっただけで死亡してしまったり(2及びNTではやや緩和されている)、中には最初から最後まで攻撃すら出来ず、1度敵に追いつかれただけでゲームオーバーとなる主人公も存在する。
武器も同様に、大体がその場で発見したもの(鍬や鋤などの農具用品から、火搔き棒やハンマー、傘等の日用品まで様々)を使用し敵を倒す。ほかのゲームでメイン武器となる銃火器の類はほとんど存在せず、あっても警官の拳銃や猟銃などの日本で手に入りそうな武器に限られている。
また、先にも書いたように独特なストーリー構成は容易に理解出来るものではなく、全てのアイテム(アーカイブ)を集めても判明しない謎、公式ファンブックを見る事でようやく判明する謎があり(中には、発売から数年経った現在でも判明していないものもある)、様々な意外性が含まれた作品である。
作品別のキャッチコピー
■SIREN
「どうあがいても、絶望。」
■SIREN2
「逃げ場なんて、ないよ。」「暗いところにかくれていれば、助かるとでも思ってたのかい?」
「絶望のサイレンが、再び鳴り響く」
■SIREN:New Translation
「息することさえ、恐怖。」
視界ジャック
本作を進める上で欠かせない視界ジャック。これは名前の通り、他人(操作中の主人公以外のキャラクター、及び敵)の視界を覗き見ることが出来る能力である。実際には視覚だけでなく聴覚も盗用出来る。
主人公達は視界ジャックを駆使して敵との戦闘を回避したり攻略のヒントを得たりすることで危機を潜り抜けて行く。
New Translationにおいては視界ジャックの際、画面にはキャラクターの視界と、盗用した相手の視界が分かれて映し出される。
視界ジャックは、まず視覚と聴覚を盗む対象をサーチする。サーチしている間は、画面上にノイズ(スノーノイズ)が映し出されるが、ジャック対象を確保すればその視界が映し出され、スピーカーからはその対象が聞いている音声が流れてくる。ジャックした敵の視界は操作中のキャラクターよりも遠くまで見渡せ、またその鮮明度はそれぞれの主人公のジャック能力の高さによって異なる。
また距離関係でも鮮明度に差があり、敵との距離が近いほど鮮明に、遠いほどノイズは強くなる。気絶している敵は復活するまで視界が黒で染まっている。同行するキャラクターがいる場合そのキャラクターにも視界ジャックは行え、登場人物の一人が犬の視界をジャックして活動している場面なども見られる。ちなみにジャック中は、操作しているキャラクターは目を閉じて対象をサーチしている状態なので、その場からの移動が出来ない。(2からはジャック中でも移動できるように変更された)
ジャック中は、画面上に(つまりは、ジャック対象の視界に)キャラクター自身の位置が十字マーク(自身は青、同伴の仲間がいる場合は緑)で表示される。視界ジャックを終えた後でも、最後にジャックした敵の位置は、赤い十字マークで(キャラクター側の視界に)一定時間表示される。これらのマークは壁などに隔たれていても見える。
視界ジャックが攻略上欠かせないのは、本作はマップ上にキャラクターおよび敵の位置が表示されず(2からは表示されている)、またキャラクターの視界が暗闇や霧によって数歩程度の周囲距離しか見えず、状況を把握しづらいからである。そのため、視界ジャックによる状況察知が大きく重要であり、それ以外に、攻略上必要なアイテムを隠す敵の視覚や、攻略のヒントを呟く敵の聴覚を盗む必要もある。本作の敵は、キャラクターを発見したとたんに襲い掛かってくるため、視界ジャックをおこなわない場合このようなアイテムやヒントを収集できない。
SIRENあらすじ
内陸に位置し、三方を山々に囲まれた羽生蛇村。
8月3日午前零時、赤い海からサイレンが響き悪夢のような3日間が始まる。
登場人物
- 須田恭也(すだ・きょうや)
- 年齢:16歳 性別:男 職業:高校生
中野坂上高等学校の学生 。オカルトサイトのスレッドに書き込まれた都市伝説に惹かれ、自前のマウンテンバイクで羽生蛇村を訪れた。しかし山中でマウンテンバイクがパンクしてしまい、民家を求めて彷徨っていたところで偶然謎の儀式を目撃。異変に巻き込まれる。ハンドルネームは「SDK」。
- 竹内多聞(たけうち・たもん)
- 年齢:34歳 性別:男 職業:民俗学者
城聖大学の民俗学講師。元々は羽生蛇村の出身。羽生蛇村で行われている秘祭を調べるために村を訪れる。安野は教え子ではあるが、無理矢理くっついて来られたようなもので最初はそっけない態度をとってばかりでいた。
異変に巻き込まれてからは原因を突き止めるため積極的に行動し、真相に迫る。
- 安野依子(あんの・よりこ)
- 年齢:22歳 性別:女 職業:大学生
城聖大学の学生。竹内を慕い、調査旅行に無理やり同行する。東京都品川区在住のお嬢様である。
プレイヤーからは「ウザ子」とも呼ばれる程にホラーにあるまじきコミカルな言動をするが、後半には頼もしい存在になっていったりも。
- 牧野慶(まきの・けい)
- 年齢:27歳 性別:男 職業:求導師
羽生蛇村で信仰されている眞魚教の祭司で、不入谷教会の主。儀式中、突如起きた異変に巻き込まれる。
宮田とは双子の兄弟なのだが、赤ん坊の頃に別の家に引き取られているため苗字が違う。そこいらの詳細は外伝「羽生蛇村異聞」にて詳しく描かれている。
- 宮田司郎(みやた・しろう)
- 年齢:27歳 性別:男 職業:医師
羽生蛇村の宮田医院の院長。看護士の恩田美奈と交際している。森で作業中に異変に巻き込まれた。
どうあがいても絶望な状況の中、全編を通して唯一武器を持って敵を虐殺していく頼もしいナイスガイであるため、ストーリーも合わせてプレイヤー人気が高い。
牧野とは双子の兄弟。実は今回の異変以前に屍人と遭遇しているが、詳しくは外伝「羽生蛇村異聞」で。
- 恩田理沙(おんだ・りさ)
- 年齢:21歳 性別:女 職業:家事手伝い
羽生蛇村出身の女性。集団就職で上京していたが帰郷、異変に巻き込まれる。
双子の姉の美奈を探していたところ、同じく美奈を探していた宮田と合流し行動を共にする。
名前の元ネタはサイレントヒルのリサ・ガーランド。
- 四方田春海(よもだ・はるみ)
- 年齢:10歳 性別:女 職業:小学生
両親を失い叔母の家で暮らしている少女。生まれつき視界ジャックの能力を持っていたため、疎外感を感じている。小学校で行われる「星を見る会」に参加していたところ異変に巻き込まれた。
小学生であるため全編を通して武器を持つことがなく、罠を張り巡らせ屍人を回避ないし撃退し一度の攻撃も受けることなくストーリーが終了(攻撃を受けるどころか敵に近づかれるとゲームオーバー)することからプレイヤーには「しほうでんしゅんかい」「しゅんかい殿」と呼ばれたりする。
- 高遠玲子(たかとお・れいこ)
- 年齢:29歳 性別:女 職業:小学校教員
羽生蛇村小学校折部分校で4年生クラスを担当する体育教師。海難事故に遭った際一人娘を助けられず死なせてしまった過去があり、春海に娘を重ねて気にかけていた。「星を見る会」も、孤立気味な春海のために高遠が主催したもの。
春海と共に異変に巻き込まれ以降、春海を守るために行動していく。
- 志村晃(しむら・あきら)
- 年齢:70歳 性別:男 職業:猟師
27年前の土砂災害で家族を亡くし天涯孤独となった老人。厭世的になり村から距離を置いていた。
生まれつき視界ジャックの才能を持つ。また、初期装備から猟銃を所持している。外伝「羽生蛇村異聞」に彼の息子の晃一や従兄弟の貴文が登場。
- 前田知子(まえだ・ともこ)
- 年齢:14歳 性別:女 職業:中学生
羽生蛇村立中学校2年1組在籍。両親に日記を見られたことから怒りにかられて家出。異変に巻き込まれる。彼女の出るCMには色々な意味で有名。
- 美浜奈保子(みはま・なおこ)
- 年齢:28歳 性別:女 職業:TVレポーター
元グラビアアイドル。若いころは人気であったのだが、年齢を重ねるとともに人気が低迷していき、最終的には低予算で組まれたオカルト番組のレポーターに選ばれ羽生蛇村を訪れる。
クルーと車中泊していたが、眠れずに1人で外に出たところ異変に巻き込まれた。
- 神代美耶子(かじろ・みやこ)
- 年齢:14歳 性別:女 職業:――
須田が異変に巻き込まれてから出会う美しい少女。盲目だが、生来の視界ジャックの才能と盲導犬ケルブの助けで盲目とは思えない動きを見せていた。しかし異変によってケルブが死亡してしまい、以降は須田と行動を共にしていく。
天武の時代から続く名家「神代家」の娘であり、村の儀式において重要な役割を持っている。
- 神代亜矢子(かじろ・あやこ)
- 年齢:16歳 性別:女 職業:高校生
神代家長女。許婚の淳までもが妹である美耶子に執着しているため、美耶子に対し嫉妬している。
神代家の歴史や儀式の意味など、裏の事情は殆ど知らないようだ。
関連動画
【SIREN】
【SIREN2】
サイレンシリーズ10周年
「サイレン」シリーズの生誕10周年を記念して当時の開発者にインタビューする企画や、プレイステーションプラスで初代「サイレン」の無料配信などが行われた。また、10周年を迎える11月6日には社内で当時の開発者はもちろん、篠田光亮さんや「えどさん゛&ふみいち」のえどさん゛と言った出演者も参加したイベントも(社内向けに)行われ、その様子をプレコミュで確認できる。「サイレン」製作チームは現在2つのチームに分かれ、「パペッティア」と「グラビティデイズ」を開発しているが、そのうち「パペッティア」開発チームがこの日の為に「パペッティア サイレンver」を制作した。これは2013年11月8日に放送予定の「NGC『SIREN』10周年記念特別生放送」にて放送予定。いくつか「サイレン」ファンがニヤリとできる要素が盛り込まれている。すでに一部はプレコミュで確認できる。これはDLCになるかは未定という。しかしファンからは配信を望む声も大きい。
ちなみに、外山圭一郎ディレクターは1日に公開されたプレコミュのインタビューで「こんなにずっと、支持して頂けたことに対して、恩返しがしたいなという思いを新たにしました。」とコメントしている。
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