レクサス (LEXUS) はトヨタ自動車の高級車ブランドである。北米、ヨーロッパ、アジア、中東、中南米、アフリカ、オセアニアの65ヶ国で展開されている。
概要
日本では初の日本のメーカーによる高級車ブランドである。トヨタの1ブランドであり、ディーラーは現存のトヨタ系列のディーラーが母体となっているものが大半である。値引きなしを原則とし、タクシー用途や暴力団関係者には販売しないとしている。
ディーラーの建物のデザインは統一されており判別がしやすい。また高級車ディーラーとしては珍しく日本のすべての都道府県にディーラーが存在する。また店舗においては"高級ブランドにふさわしい最高のおもてなし"を志向し、独自の接客マナーなどが設けられている。
ちなみに国内展開時に商標でトステム(現・LIXIL)と一騒動あり、自動車側はトヨタ、住宅側はトステムで決着となった。
レクサスができるまで
"優れた信頼性・良好な燃費・安価な値段設定"で北米での地位を確固とした日本車。トヨタはその一角にあった。需要拡大途中での1980年代後半のジャパンバッシングこそあれど、消費者の信頼は確固たるものがあったのだ。しかしその一方で、「壊れないが所詮安物の大衆車」というイメージがまとわりつく結果ともなり、高級車市場への参入は厳しいものとみられていました。今で言うならばヒュンダイが高級車を販売するようなもの。では何故レクサスブランドは成功したのか。それはレクサスが主戦場としているアメリカでの、レクサス設立当時の高級車ブランドの有様から説明しなければならない。
当時のアメリカ合衆国(以下U.S.)では高級車=アメリカンドリームを掴んだ「勝者のシンボル」であり、高級車自体もそれを誇示するかのように重厚かつ威厳のあるものだった。その手の高級車を作るのはごく一部の伝統あるメーカー(キャデラック、リンカーンなど)に限られ、故障が多くても伝統の名の下に許容される状況が知らぬうちにできあがっていた。ただ、オーナー側はというとそれに対して潜在的不満があったのも事実で、それ以外にも威圧的デザインを好まないオーナーも少なからずいた上に、若年層には名門ブランド=古臭いという図式が知らぬ間に出来上がっていた。[1]。
当時高級車市場への参入を考えていたトヨタはここに目を付け、「日本車の優れた経済性と故障のしにくさに旧西ドイツの高級車レベルの品質を足した」自動車を作り上げることに成功。それがLS、トヨタ名はセルシオ。これと平行してES[2]も作ってたものの、いざ初代ESを売ってみたらトヨタ・カムリのOEM車と間違われたりすることもあって、初代LS程には売れなかった。
初代ESを尻目に初代LSはマーケティングの優秀さが幸いしU.S.その他国々で大ヒット。一度ドイツブランドにダンピング[3]を疑われたが、見事払拭した。
ちなみに同時期に前述のホンダ系高級車ブランド「アキュラ」と、日産系高級車ブランド「インフィニティ」が立ち上げられ、どちらも高級車ブランドとして今もうまくやってる様子。もちろんレクサスも。その一方、レクサスに続いて日本進出を予定していましたがこの2ブランド、どちらも景気後退の影響で白紙撤回している。そちらで販売予定だった車種の一部は何故か普通にホンダや日産で売ってたりしている。[4]。
なお現在のレクサスはトヨタブランドとの切り離しを目的に、「レクサス・インターナショナル」なる社内カンパニーを組織。トヨタから独立した意志決定が迅速に為されるようになっている。またスピンドルグリルと呼ばれる特徴的なグリルをレクサスの顔とし、以前の地味なイメージとは打って変わって、より感情に訴えかける車作りをする方針に変化した。
レクサスの日本販売車種 (2019年3月現在)
セダン
- LS
レクサスのフラッグシップセダン。レクサス成功の立役者でもある。その立役者である初代は静粛性の高さによって欧州を代表するメーカーを震撼させ、それを機に高級車に静粛性能の概念が取り込まれたほどだとか。3代目まで(~2005年)はトヨタブランドでセルシオとして売られていた。5代目ではエンジンのダウンサイジングが図られ、3.5LのV6にツインターボかハイブリッドのいずれかを組み合わせたものとなる。 - GS
クラウンクラスのセダン。2代目までトヨタ・アリストとして売られていた。トヨタブランドにクラウンがある影響か、レクサスの中でも一番影の薄い車でもある。モデルは2LターボエンジンのGS300(旧:GS200t)、2.5Lエンジン+モーターのGS300h、3.5L V6エンジンのGS350、3.5L V6エンジン+モーターのGS450hの4種類となっている。 - ES
レクサスの最量販車種としてラインナップされるFFラージセダン。元々日本国内では「カムリプロミネント」→「ウィンダム」として、2001年までトヨタブランド扱いの車種であったが、17年のブランクを経てレクサスブランドでの再投入となった。日本仕様はベースが共通のカムリと同様、2.5Lハイブリッド仕様1本のみとなる。 - IS
インテリジェント・スポーツの名を与えられたDセグサルーン。過去にはハッチバックのスポーツクロスを、またトヨタブランドでアルテッツァ[5]の名で販売されていたものの、こちらは長持ちしなかった。IS Cなるコンバーチブルモデルもあったが、こちらは2014年に販売終了している。モデルは3.5L V6エンジンのIS350、2.5Lエンジン+モーターのIS300h、2.0L直噴ターボのIS300(旧:IS200t)の4種類。
クーペ
- RC
GSのプラットフォームをベースとして、2014年秋に新しく誕生した2ドアクーペ。インテリアは下位セグメントに属するISと共通のものが採用された。外観は大きさや大まかな形状は後述のRC Fにほぼ同じだが、グリルが大きく違うなど外観にも差別化がはかられている。モデルは3.5L V6エンジンのRC350と、2.5Lエンジン+モーターのRC300h、2.0L直噴ターボのRC300(旧:RC200t)の3種類となっている。 - LC
レクサスが満を辞して投入したフラッグシップクーペ。5.0リッターV8エンジンのみのLC500と、3.4リッターV6エンジン+ハイブリッドのLC500hが同価格で発売されている。レクサス初のTNGA採用車種としても知られ、「コンセプトカーのLF-LC(2012年のパリモーターショー出展車)を市販車で限りなく再現する」ことを目標に、かなりの低重心化が図られた。ラグジュアリークーペだがスポーティーさもウリにしており、500hはハイブリッドでありながらドリフトもできるような精巧な調整が施されている。涙目ライトが目を惹く優雅なエクステリアで、数多くのデザイン賞を受賞した。
SUV
- LX
レクサスのフラッグシップSUV。トヨタではランドクルーザー(200系)として販売している。モデルは5.7L V8エンジンのLX570のみ。 - RX
高級クロスオーバーSUVの先駆け。これがなかったら高級なクロスオーバーSUVはなかったかもしれない。2代目までトヨタブランドでハリアーとして売っていた[6]。四代目のモデルは2.0L直噴ターボのRX300(旧:RX200t)と3.5L V6エンジン+モーターのRX450hとなっている。これも前輪駆動かFFベースのAWDが設定されている。 - NX
上記のRXよりは小型のクラスのSUV。2014年秋にデビュー。モデルは2.0L直噴ターボのNX300(旧:NX200t)か、2.5Lエンジン+モーターのNX300hのいずれか。さらに細かく分けると前輪駆動かAWDモデルが存在する。レクサスでは初めて前述のターボエンジン「8AR-FTS」型を搭載した車種でもある。 - UX
レクサス最小クラスのSUVとして2018年秋に発売を開始。プリウスやC-HRなどと同じ「GA-Cプラットフォーム」、新開発の「ダイナミックフォースエンジン」などを搭載した、いわゆる”フルTNGA”車種である。同じクラスのCTと異なり、2.0Lガソリン/ハイブリッドの両方のモデルが販売される。
コンパクト
- CT
レクサス初のCセグメントモデル(ハッチバック)。入門モデルも兼ねる。HSと同じくハイブリッド専用モデル。。ついでにCVT採用車にもかかわらずパドルシフトも。モデルはプリウスと同じ動力の1.8Lエンジン+モーターのCT200hのみ。
Fモデル
- GS F
IS F以来となる4ドアスポーツサルーン。IS F/RC Fと同じく専用チューニングされた5.0L V8エンジンを搭載。 - RC F
IS Fの後継車種。実物は先行する形で2014年シーズンのSUPER GTにおけるレクサスのGT500クラス車両として登場。その後、市販バージョンは2014年の秋に登場した。ベースはもちろん上記のRCからだが、エンジンはIS Fと同じく専用チューニングされた5.0L V8エンジンと市販バージョンも本気が伺えるモデルである。またFIA GT3仕様も公式サイトやサーキットなどでお披露目されているので、2015年からはSUPER GT以外でも世界中のサーキット・競技でこれが走り回るのかもしれない。
販売終了車種
- SC
スポーツクーペの名を与えられたレクサス唯一だったクーペモデル。トヨタブランドではソアラの名で売られていたが、レクサス移行時にモデルチェンジをしていなかった唯一の車。レクサス史上初のモデル廃止車。ちなみにこのクラスはSCを除くと外国のメーカーのものしかない。 - LFA
限定500台生産の日本メーカーによるスーパーカー。トヨタ・2000GTの再来とも呼ばれた車で、お値段はなんと3750万円。価格もスーパーカーだが、これでも赤字だったという。専用のチューニング済み4.8L V10エンジンをフロントミッドシップで搭載し、FRとすることによって限界時の制御を向上させた。開発に通算で10年かかっている上にボディを当初アルミとしていたのをカーボンファイバーにしているなど、「堅実な車作りでコストや利益を重視」といったイメージの強いトヨタの本気を見せた車種と言える。このLFA開発で得たFR車の技術・ノウハウ・精神は、現在のレクサスの車作りに大いに役立てられている。そういう意味ではレクサスの真のフラッグシップと言える。このちなみに本社のショールームではオープンカー仕様のLFAが展示されている。トップ・ギアのジェレミー・クラークソンは、「今まで運転した車の中で最高だ」と大絶賛した。 - IS F
レクサスが気合入れて作った4ドアスポーツサルーン。車両の位置づけや価格的にBMW M3やC63 AMGあたりとよく比較される。エンジンはチューニング済みの5.0L V8エンジンを積む。2014年に販売終了しており、IS FのポジションはRC FとGS Fが受け継いだ。 - HS
トヨタではSAIの名で販売しているが、単にバッジを変えただけではなく、外観はもちろん内装もレクサス車として恥ずかしくないような内容に変更されていた。ハイブリッド専用モデルであり、トヨタにおいては唯一のハイブリッド専用ノッチバックセダン。モデルは2.4Lエンジン+モーターのHS250hのみだった。2017年に生産終了。兄弟車種のSAIも先行して生産を終えている。
モータースポーツ
日本ではトヨタブランドが強力に根付いていたため、レクサスの国内でのブランド力向上を図って2006年からスーパーGTのGT500クラスのトヨタはレクサスの名で活動することになった。2006年から2013年まではSC430が参戦し、2006、2008、2009、2013年にタイトルを獲得している(2008年はチームタイトルのみ)。2014年からはスピンドルグリルのRC-Fで参戦、高い戦闘力を発揮するもGT-Rに一歩及ばない展開が続いていたが、2016年最終戦で逆転タイトルを獲得した。2017年からはLC500が投入され、開幕戦でレクサスの全6チームがトップ6を占める歴史的勝利を収めた。
その他日本のレクサスとしては、章男社長率いるGAZOOレーシング活動の一環としてニュルブルクリンク24時間レースへのLFAやIS-F、RCなどでの参戦が行われている。
北米においては、レース参戦費より開発費重視だったことや、良い意味で地味なイメージを大切にしたこともあり、デイトナ24時間に市販エンジンをチューニングしたものを供給をするのみであった(それでも2006~2008年に3連覇を遂げている)。
しかし章男社長の、これからはレクサスも感情に訴えかけるブランド作りをするという方針から、RC-FのGT3車両が作成された。2014年から開発が続けられ、2017年に満を持してホモロゲ―ションを取得。スーパーGT、IMSA、VLNなどでセミワークス参戦がされることとなった。なおこれらのレース活動も全てレクサスGAZOOレーシングの名の下に行われている。
関連動画
関連商品
関連項目
関連リンク
脚注
- *ちなみにホンダの高級車ブランド「アキュラ」がレクサスの数年前にできている
- *トヨタでの名はウィンダム。日本ではレクサス行きにならずに販売終了。
- *商売敵を潰すために採算割れレベルのような安い価格を付けること。
- *アキュラ・TSX(→アキュラ・TLX)→ホンダ・アコード、インフィニティ・G(→インフィニティ・Q50)→日産・スカイライン
- *ハッチバックはアルテッツァジータ。
- *3代目からは日本専用車種に
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