デスピサロとは、ドラゴンクエストシリーズに登場する架空のキャラクター(モンスター)。『DQ4』のラスボスを務める。この項では魔族の青年としてのピサロについても述べる。
デスピサロ魔族の王であり、人類の根絶やしと魔族による世界征服を目論んでいる。人間界にデスパレス、魔界にデスキャッスルという二つの居城を持つ。優れた統率力と戦闘能力を備えた魔族の若きカリスマで、部下たちからは絶大な支持を得ている。
「人類の根絶やし」を掲げている通り、人間に強い敵愾心を持っている。その反面、異種族に対しては友好的で、故郷のロザリーヒルの住人たちからは一様に慕われており、特にエルフの少女ロザリーにはひと際強い愛情を注いで人間の手から守っている。
元々はロザリーヒルに住むピサロという名の魔族の青年だった。この頃に、ルビーの涙を流すという理由から人間に追われていたロザリーを保護する。その後、二人は相思相愛の関係となり、ロザリーヒルで平穏な時を過ごす。だがある日、ピサロは人間を根絶やしにする野心を抱き、デスピサロと名を変え出奔した。
魔族の王となってからもロザリーを想い続け、人が立ち入れぬ塔に住まわせて、信頼できる部下ピサロナイトに護衛させていた。ロザリーに対して人間を根絶やしにすること、間もなく世界は裁きの炎に焼かれることを告げるが、ロザリーは涙ながらにそれを止めようとした。
地中に封印されている地獄の帝王エスタークの復活を待ち望み、復活の暁には居城に招き入れようと考えていた。そして、エスタークを倒す事ができる者(天空人の血をひく勇者)の存在が予言されていたため、居場所を探すべく各地を探索する。
まずイムルに目をつけ、ピサロのてさきに子供をさらわせて勇者であるか否かを白状させるが、ライアンの介入により失敗に終わる。次にエンドールの武術大会に自ら出場して探りを入れるが、勇者本人が参加していない事が判明して(さらに言えば、おそらくはサントハイム城市民失踪に関与するために)対アリーナ戦を無断で放棄する。
しかし、最終的に勇者を育てる山奥の村を発見することに成功する。さっそく大軍を送り込み村民を皆殺しにするが、「モシャスで勇者に変身してその身代わりとなる」という勇者の幼馴染の少女シンシアの自己犠牲的な策略によってあえなく勇者を取り逃がしてしまう。
その後、アッテムトで人間の手によりエスタークの神殿が掘り起こされた報を聞きつけ、現地に赴く。しかし、時すでに遅く、エスタークは勇者たちによって倒されていた。この時になってようやく勇者が生きていた事に気付くが、ロザリーが人間たちにより危機に晒されている報を受けて、その場を後にする。
ロザリーは人間たちになぶり殺され、ついに命を落としてしまう。ロザリーの最期を看取ったデスピサロは怒りに震え、己の身を引き換えにしてでも人間を根絶やしにする決意をする(実はこの事件は腹心の部下エビルプリーストの仕組んだものだったが、デスピサロはその事実を知らなかった)。
そして、かねてより研究を重ねていた「進化の秘法」を自らに施し、デスキャッスルのさらに奥、山の頂上にて勇者を待ち受ける。そこには記憶を失い、人間を滅ぼす衝動にとり憑かれ、化け物となり果てたデスピサロの姿があった。
このように、歴代魔王の中では異例のドラマ性を持ち、他の魔王とは一線を画している。
進化の秘法の力で、一定ダメージを与えると戦闘中に形態変化を繰り返す。戦闘中に形態が変わるボスは、DQではデスピサロが初めてである。また、最多の変身回数を誇る。
これはFC版のプログラムの都合上HPを1024以上に設定できず、それでもタフさを演出するための苦肉の策だが、
各形態が別のモンスターとして扱われるため学習型AIで戦わせるFC版ではこの意味でも苦戦させられる。
クリフト=ザラキ魔人のイメージを定着させた功労者の一人であることは間違いないだろう。
それまでの魔王は、世界を脅かす悪の象徴であり、その役割を逸脱することはなかった。
前作のラスボスであるゾーマは完全なる悪として描かれ、人類が打倒すべき最悪の敵として位置づけられている。それに比べて、デスピサロは善と悪の両面をもった異色の魔王である。
また、ドラクエ4は勇者を支える脇役たちに緻密なキャラクター性と独自のエピソードが付加されているが、これはデスピサロも同じで、丁寧な描かれ方をしている。
この事から、デスピサロはそれまでの悪の典型像を脱却した、珍しい魔王であるといえる。
デスピサロ最大の特徴として完全悪でないことが挙げられる。
確かに彼は、勇者の故郷を滅ぼし、勇者にとってかけがえのない人々を殺している。「人類の根絶やし」を掲げていることも、彼が人類とは相いれない存在であることを端的に示している。
その一方で、デスピサロは魔物のみならず異種族からも慕われており、特にエルフの少女ロザリーについては人間に狙われていた所を助けたばかりか衣食住をも与え、最終的に愛し合うようになっている。この事実は、彼が単なる悪役ではなく、人間以外に対しては善良な一面を兼ねた存在である事を表している。
勇者とデスピサロは共に人間と魔族を代表する若き英雄であり「無残に殺されたかけがえの無い存在の仇を討つという私的な目標が、敵対種族と戦い続けるための強い動機となっている」という点で一致している。このため、勇者とデスピサロはコインの裏表のような関係であると考えられることもある。
愛するロザリーを欲深な人間たちに殺され、その怒りから「進化の秘法」を用いて化け物に成り果て、最期は導かれし者たちに倒されるというデスピサロの末路は「同情できる」として話題に挙がる事が多い。
しかし勇者にとってデスピサロは(ロザリーの悲劇に先立って)自分を始末せんとその故郷を滅ぼして家族や幼馴染を惨殺した仇であるし、それ以外にもこれまでに無数の人間を虫けらのように容赦なく殺傷してきている。よって同情を与えるとしてもこれらの点は大前提として考慮しなくてはならない。
また、ロザリーの弔いの為に人間を皆殺しにしようとしたと考えるプレイヤーも時折見られるが、彼はロザリーの死の以前から人間を根絶やしにする事を決意しているため、これは明確な誤解である。
さらに、この事件を手引きしていたのは腹心の部下エビルプリーストであった。つまり、真の首謀者は同じ魔族だったことになる。このため、彼が人間を恨むのは筋違いとの見方もできる(実行犯は人間で、本人は真相を知らなかったが)。
また、部下がこのような行動に走った理由についても「真の魔族の王として目覚めさせようとした」というもので、ロザリーへの惚気ぶりが原因であったことを匂わせている(原作版)。
血の気の多い腹心に強い不信感を与えて暴走を招いた挙句に大切な存在を死なせてしまったとも取れるため、支配者としての資質の有無を含めて自業自得であるとの見方もある。
多くの魔王は「人間の恐怖支配」と「人間界の征服」を目的としており、人間に対する考え方も「支配されるべき家畜のような存在」という例が殆どである。
それに対して、デスピサロは「人間を根絶やしにする事」を目的としており、支配する事を考えていない。また、人間を「裁かれるべき存在」「愚かな存在」と強く見ており、その根底には人間的な悪感情が見え隠れしている。つまり彼にとって人間は憎たらしくも積極的に滅ぼすべき害虫に等しい存在なのである。
デスピサロは人間を根絶やしにしたいほど憎んでいるが、その理由ははっきりしていない。
リメイク版ではロザリーを救うために人間を殺しており、その際に「欲深い人間のエルフ狩りが目に余ったのでな」と語っている。
ロザリーヒルでロザリーと同居生活を送り、その後、 魔族の王に収まったという経緯がある。そのためか、彼は魔族の王であるにも関わらず、ロザリーを中心に物事を考え、行動している節がある。
「ロザリーを塔に匿い臣下に守らせている」ことや、「エスターク神殿で導かれし者たちと対面し、始末する機会を得たにも関わらず、ロザリー危機の報を受けてその場を後にしている」ことからも明白である。
また、二人の関係は部下たちの間ではよく知られていた。
このロザリー第一の姿勢は、部下たちからはある程度許容されていたものの、エビルプリーストのように快く思わない者もいた。結果として、エビルプリーストによるロザリー暗殺事件を招く事となった(原作版)。
なお、デスピサロはロザリーを助けた事について「エルフだからロザリーを助けたわけではない。」と語っている(リメイク版)。
歴代魔王と比べるとアグレッシブで行動的。
自ら陣頭に立って指揮する事が多いほか、道に迷った旅の詩人に扮して山奥の村に潜入したこともある。
(原作版では仄めかされる程度、リメイク版では明確に描写された)
だがそのために本拠地を留守にしている事が多く、それがエビルプリーストをのさばらせる原因となったのではないか、と推測されることもある。
完全悪ではなく、かつ似たような経緯を持つラスボスとしてドラクエ9のエルギオスがいる。
後に発売されたリメイク版では、シナリオに一部変更が加えられている。ネタバレ部分は反転。
これらの追加要素に関しては、「ピサロが救われてうれしい」という肯定意見と、「何故シンシアでなくロザリーを生き返らせるのか」「自らの行為の謝罪も見せぬままのピサロを許し仲間にするのはおかしい」といった否定意見とがあり、賛否両論となっている。
小説版では、その設定に大幅な加筆・アレンジが加えられている。久美沙織節全開。
ピサロは、偉大な魔界の帝王ナルゴスの孫として生を享けた魔族の皇孫である。美しいが凡庸な父皇子ニュイイを支える形で、伯父皇子ヘイゲンとその子の従兄弟皇孫ミアソフとの確執を深めていく。
エルフの王国をナルゴスが滅ぼした際、生き残った王女ロザリーを見出し、周囲から隠す形で手元で育てながら、やがて恋人として愛するようになる。しかしそれがミアソフの姦計によりナルゴスに知れた為、記憶と力を奪われ、一人の青年として地上に追放されてしまう。
地上ではロザリーやホビット達と穏やかな暮らしを送る傍ら、ロザリーの献身的な愛により、少しずつ力を取り戻してゆく。一方魔界では臨終を迎えたナルゴスが、ピサロを追放した黒幕の存在に気づき、息を引き取る直前にピサロの記憶を復活させた。
帝王亡き後、ヘイゲン・ニュイイ兄弟による内戦に介入。黒幕の謀略でヘイゲン・ミアソフ父子が自滅し、ニュイイが新たな帝王となったが、魔物達が真に王として崇めるのは他ならぬピサロだった。
地上に満ちる人間の絶滅を目標とし、地獄の帝王エスタークを復活させ、その障害となる勇者を始末せんと立ち回った。しかし黒幕の陰謀によってエスタークの破壊を許したばかりか、人間に攫われたロザリーを失った慟哭が父ニュイイに伝わって死に結びつき、崩落するアッテムトで配下の大半を失うという、絶望的な境遇に立たされる。
何もかもを失った身を「進化の秘法」によって怪物化させ、魔界の最奥で勇者達を迎え撃つが、偶然が積み重なって進化の秘法は失敗。真の敵=黒幕たるエビルプリーストを討ち果たした勇者一行によりとどめを刺されるが、滅びる間際に愛したロザリーの霊と再会。子供のように泣きじゃくりながら、光の中へ消えていった。
CDシアター版のピサロの声優は池田秀一氏、ロザリーの声優は潘恵子氏である。これなんてシャアとララァ?
『ドラゴンクエスト9』では、他の魔王と共に宝の地図のゲストボスとして登場している。形態変化はせず、最初から最終形態。輝く息に加え、マヒャデドスや甘い息、ザキ・ザラキなどを使用と、様々な形態の戦術を折衷している。氷技を多用するのに何故か氷が弱点なので反射してしまおう。
『ドラゴンクエストモンスターズ』シリーズでは配合で生み出すことが出来る。上位種にサイコピサロがおり、エスタークとデスピサロを合わせたような異様なデザインである。また、「すべてを思い出したピサロの真の姿」という、後のリメイク版Ⅳと矛盾するような設定も相まって、ファンからは黒歴史扱いを受ける事に。その後、しばらく登場の機会はなかったが、DQM2のリメイク版でまさかの再登場。デザインはやや新しくなり、四枠の巨大モンスター+狭間の闇の王の使者として、主人公たちと戦うなど、ストーリー上でも強い存在感を放っている。なお、リメイク版では「記憶を取り戻した」という設定はなくなり、正当進化系として設定が改められている。
Vジャンプの漫画ではピサロの女性バージョンである魔界の女剣士「クイーンピサロ」が存在する。元々ピサロのデザインは容姿端麗なものだった為、違和感のないものに仕上がっている。ちなみに巨乳。
『ドラゴンクエストヒーローズ 闇竜と世界樹の城』では、プレイヤーキャラクターとして登場。無料配信のDLCコンテンツ『魔剣士バトル』をクリアする事で仲間になる。CVは小野大輔。リメイク版での銀髪の青年の姿で登場し、両手剣を扱う。さらにデスピサロに変身してビームをはなつ必殺技も使用可能。
原作であるFC版では、魔物化(デスピサロ)状態の姿は公開されていたが、青年・ピサロの時の外見やイメージなどは公開されていなかった。この影響を一番受けたのが、当時人気漫画シリーズだった『ドラゴンクエスト 4コママンガ劇場』である。
『4コママンガ劇場』は、1990年4月に出版が始まったエニックス公式の漫画アンソロジー本[1]で、好評を博してシリーズされた。有名無名問わず多種多様な執筆陣が参加しており、代表的な作家としては新人時代の柴田亜美や衛藤ヒロユキが名を連ねていた。
『ドラゴンクエスト4』発売直後に始まった漫画シリーズ。そんな中、各執筆陣が最初に直面した壁。それが「ピサロの外見が分からない!」という事であった。それでも当然ながらピサロを登場させたい。その結果どうなったかというと、各作家それぞれが思い描くオリジナルデザインのピサロが登場することとなった。当時の作中において、ピサロの外見が統一されていないのはこういう経緯からであった。
それから時は流れて、2001年にプレイステーションでリメイクが決定。その際にようやく、ピサロの公式イラストが発表された。「銀色の長髪の青年で、黒と赤を基調とした服」となり、以降作品でのピサロのイメージとして統一されていった。
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最終更新:2024/12/28(土) 00:00
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