ヘヴィメタル(英:Heavy Metal)とは音楽形態のひとつ。ロックのミュージックのジャンルを表わす呼称である。
日本での俗称はメタル、ヘビメタなど。ただし「ヘビメタ」という略称はジャンルの愛好者の多勢にとっては、過分に侮蔑として受け止められるものであり、肯定的な意味では使われることは無いので注意が必要である。
ニコニコでは関連動画に「メタル」タグを付けるの一般的。その愛好者を「メタラー」と称する。
その音楽性はハードロックの延長線上にあり、類似からHR/HMとまとめて表記される事も多い。
英語の「Heavy Metal」という単語の本来の意味は、金属物質の「重金属」を意味するものであるが、この意味以外の表現に用いた最初の例は実はミュージシャンでも音楽評論家でもなく、ビート・ジェネレーションの作家として、ロックを含めたカウンターカルチャーの多くのアーティストに影響を与えてきた、ウィリアム・S・バロウズの1961年発表のSF小説『柔らかいマシン(ソフト・マシーン)』や1964年の『ノヴァ・エクスプレス』の中で使用されたのが原点だと言われている。その中に下記のような一節がある。
「重力の市民たちよ、我々は皆ヘヴィメタルに改造されるのだ!…我々のメタルから副産物が派生し、この惑星を金属の屑で覆われた塊に変えるなどという誹謗を信じてはならない…ヘヴィメタルは我々のプログラムされた未来であり、それに没入するのは時間の問題なのだ」
これら小説の登場人物の若い殺し屋がヘヴィメタル・キッズと呼ばれており、そこから音楽評論家のレスター・バングスが1966年に英国のブルース・ロックバンドのヤードバーズを「ヘヴィメタル・キッズ」と描写したのが最初の例だったようだ。後にこの言葉はレッド・ツェッペリンやブラック・サバスの音楽性を言い表す表現としても盛んに用いられた。
その他にも米国のクラシック・メタルバンドであるブルー・オイスター・カルトのプロデューサーであったサンディ・パールマンは彼らの音楽性を形容するためにこの言葉を転用したのが最初という主張もあり諸説ある。
HR/HMへの嚆矢としては1964年に発表されたキンクスの「ユー・リアリー・ガット・ミー」がある。この曲はヘヴィメタルを発明した曲ともいわれ、パワーコードで成立した新しいロックンロールであった。
なんにせよ、こうしてエレキギターを用いた大音量でディストーションサウンドを活かした暴力的ロックミュージックにヘヴィメタルの名が冠されて70年代にロックのジャンルを表わす言葉として一般化していく。
時系列を知らない者にはハードロックはヘヴィメタルの母体であるかのように認識されているが、ジャンルを表わす表現としてはヘヴィメタルという言葉は、ハードロックという言葉よりも古くからある。60年代から70年代初期、現在ではハードロックと類せられるアーティストに、アシッド・ロック、ニュー・ロックなどの呼称が用いられていた。
またパイオニアである古典的なハードロックのアーティストたちは、自分たちはあくまでもロックを演っているという認識であったから、メディアからハードロック、ヘヴィメタルであると形容されることを一種の侮蔑表現と受け取り、そう呼ばれるのを嫌う傾向にあったが、70年代後半から80年代初頭に起こった新しいHR/HMの一大ムーブメントを経験したアーティストたちは、むしろ自分たちを積極的にヘヴィメタルだと認識するように変わっていく。
本記事で取りあげるヘヴィメタルが、よりヘヴィメタルらしくなり、自分たちをメタルだと明確に意識するようになったのは、70年代末期から80年代初期に起こった『New Wave of British Heavy Metal/ニュー・ウェーブ・オブ・ブリテッシュ・メタル (NWOBHM)』ムーブメントと呼ばれた動きが1つの切っ掛けとなっている。
この頃、70年代にメジャーシーンで隆盛を誇っていた旧態然とした形態を保っていたハードロックを、その核としていたスタジアム・ロックは、それに反発する形でアンダーグラウンドシーンで勃興したパンクロックや、その流れを汲みながらも、大衆の支持を得て新たにスタジアム・ロックとなっていったニューウェイブ・ロックたちに圧迫されはじめていた。
しかし同時にこのニューウェーブを抑えるかのような動きも英国では起こり、彼ら以前の古典的なHR/HMよりも攻撃的で先鋭化された、よりヘヴィメタルと形容し易い轟音ロックであり、新しい気風を持ったHR/HMバンドが次々と誕生していった。
これらアイアン・メイデン、デフ・レパード、サクソンなどの英国発の新興のバンドを、メディアは新しいキャッチフレーズで迎えるため、音楽ライターのジェフ・バートンは、Sounds紙上でNWOBHMと紹介したのがこの名の始まりといわれる。
またその頃、米国でもヴァン・ヘイレンが登場し、その綺羅びやかなギターサウンドは注目されHR/HMのサウンドに新たな発展をもたらす。この頃他にも華麗な速弾きを売りにしたスーパーギタリストたちが多数登場し、古典的なハードロックの大御所たちも、この新しい気風を受け入れるようになり、彼らの派手なパフォーマンスや鮮やかな衣装はMTVでもスタジアムでも映え、大衆の人気を獲得していった。80年代半ばついにヘヴィメタルの黄金期が訪れたのである。
こうして大衆はこれら古典的ブルース的要素が少なく、綺羅びやかで硬質な音を奏でる特徴的な一群のロックバンドをヘヴィメタルと一般認識化するに至った。
サブジャンルが多く一概にすることは難しいが、総じて言えるのはディストーションの効いたギターと叫ぶように歌うボーカル(デスメタルでは、声を押しつぶすようにして歌うだみ声=デスボイス)であり、ほとんどの楽曲で速弾きを特徴としたギターソロが挿入される。他にも、90年代からの流行としてギターのチューニングを下げてヘヴィな低音を出すこともしばしば行われる。またドラムでは、バスドラムを2つ用いたツーバス、ツインペダルを用いたドラムセットで高速でキックを繰り出し、目まぐるしいテンポで叩くドラマーも多い。しかしディープ・パープルのイアン・ペイスやアイアン・メイデンのニコ・マクブレイン、ラウドネスの故・樋口宗孝らなどは、画一的な平凡な音となりがちなツーバスを嫌って、あえて古典的なワンバス、ワンペダルにこだわるHR/HM系のドラマーも少なくはない。
ヘヴィメタルバンド(あるいはそのファン)のステレオタイプな特徴として、レザーファッションに長髪と言うのがある。レザーファッションに関してはJUDAS PRIESTが1979年にレザーに鋲を付けたものを着るようになってから「レザー&スタッド」と呼ばれるファッションがみられるようになり、また上述のNWOBHMの隆盛により「デニム&レザー」と呼ばれるファッションが定着する。
1980年代中期になると、アメリカンへヴイメタルバンドの台頭(LAメタルムーブメント)とともに、商業的な成功のための要素の一つとして、ビジュアル面にも気を遣うバンドが多くなり、レザーよりも派手なメイクにスパッツ(もしくは特注のタイツ)を着用することが流行した(RattやMotley Clueなどに典型をみることができる)。1990年代以降はカジュアルな服装も目立ち、グランジ・オルタナ系の影響もあってか、一部のメタルミュージシャンのファッションにまで影響を与えている。また、黒Tシャツにレザーパンツと言ったシンプルな服装も多い。
髪型に関しても、70年代こそ伸びっぱなしの長髪が多かったが、80年代に入る頃にはパーマを当てたり、髪の毛を逆立てたりと様々な髪型が誕生した。1990年代以降はバンドのコンセプトによって様々である。
一見、全てのメタルミュージシャンが長髪であるかのように思われそうだが、ロブ・ハルフォード、ウド・ダークシュナイダー、グラハム・ボネットのような短髪のミュージシャンも1980年代には少なからず存在していたが1990年代に入る頃には坊主やスキンヘッドにするメタルミュージシャンも急増している(例:ケリー・キング、ロブ・ハルフォード、ジョーダン・ルーデス、フィリップ・アンセルモ、高崎晃など)。
その他、年齢と共に禿げてきたせいで長髪のカツラを着用するミュージシャンも存在する(例:リッチー・ブラックモア、ジョー・リン・ターナー、マーク・リアリ、マーク・ボールズなど)。
psycho氏に代表される「Metal Of~」シリーズなどのアレンジ系、涼宮ハルヒの○○シリーズ、演奏してみた・歌ってみた、MAD、ひいては釣り動画までと、比較的に活発にアップロードされやすい傾向がある。
また、いわゆる入門編などの一見さん歓迎動画が他の音楽ジャンルより多いことも特色。
これは、90年代以降に力をつけてきたメロディック・スピード・メタルが近年のアニメソングと類似している事が考えられる。
当然ながら、他に音楽ジャンル同様Vocaloidに歌わせるケースもあるが、ミクがメタルを苦手としている事もあってかあまり多くはない。が、メタルの演奏重視を逆手に取り、ソロのフレーズを丸ごと歌わせたりするなど新境地も誕生している。(口ギター) そして、VSQ研究によりメタルシャウトやエフェクターを使用することで擬似シャウト歌唱を行うことが出来る技術が発見されると、徐々にメタル系楽曲が増えるようになった。
アングラなデス系等の音楽も比較的充実しており、ライブ映像などがよくアップされている。
なお、「ツーバス」を踏み続ける事が多いので「ドコドコ」、もしくは「dkdk」などと弾幕を張られる事が多く、また空耳歌詞も多く張られるため、コメントが阿鼻叫喚の状態になることも時々ある。
ニコニコ生放送の動画紹介カテゴリにてメタル専門のリクエスト放送を行っているニコニコミュニティも数多く存在する。放送内容はコミュニティによって大きく異なり、デスメタル中心の放送やジャパメタ専門の放送など様々である。メタルに関して非常に幅広い知識を持つ放送者・視聴者も多く、バンドの新譜の内容や知る人ぞ知るマイナーバンドについての情報交換の場としても楽しめる。
公式生放送に関しては、2009年2月辺りにデーモン閣下が登場したのが初となるが、その後2010年8月にマーティ・フリードマンのバンドメンバー募集企画(マーティP参照)、2011年6月のLOUDNESSのアメリカ公演、2011年7月にDIR EN GREY、9月にDREAM THEATER、ニコファーレでのマーティのライブ、11月にWHITESNAKEを始めとするワーナーミュージック・ジャパン所属のハードロックバンドの特集など、2011年辺りから月に1~2度程度ではあるが少しずつ特番が放送されている。
メタルは時代は経るごとに、他の音楽との融合や洗練を繰り返し続けているため、非常に細分化されており多数のサブジャンルを抱える。
それゆえに、同じメタルと言うカテゴリにおいても全く違う音楽性を示す物も多く、例えリスナーであっても完全な把握は難しい。
また、ジャンルによって全くリスナーが異なるので、当然のように動画の空気も変わってくるので注意されたし。
最近ではほとんど死語になってきているが、「ヘビメタ」という呼称はファンにとっては気分の良いものではなく一種の蔑称、または差別用語的に受け止められ、メタラーの多くはヘヴィメタルに疎い者の心無いその呼び方を非常に嫌うので注意が必要である。
詳しく書くとやたらと長くなるので端的に述べると、日本のメジャーな音楽シーンではヘヴィメタルの音楽性はほとんど無視され、Xや聖飢魔IIのような分かりやすいパフォーマンスを前面に出すバンドのみが評価されてきたという経緯がある。
それ自体の是非はともかく、結果としてメタル=「なんかトゲトゲのついた服を着て変なメイクしてギターかき鳴らしてシャウトする」というような類型的イメージばかりが先走る結果となってしまった。
これが「ヘビメタ」であり、大意としては「メタルとは似て非なる、格好ばかりで音楽としてはクズみたいなバンド」 というあたりだろうか。(ただし、Xや聖飢魔IIがそうだというわけではない。もっとも、生粋のメタラーはパフォーマンスを含めたメジャー志向のあるバンドを異常なほど嫌う傾向がある)
もっとも、前述のように現在では死語同然の言葉であり、某「ヘビメタさん」のように回顧と自虐をこめて肯定的に使われる向きもないではない。
とは言え、この掲示板での議論にもあるがヘヴィメタルブームが起こった頃が青春時代であったり、バンドマンだったリアルタイム世代では、ヘビメタという言葉は極一般的に使っており、それは当時のTV番組の動画でも観られるだろう。なのでオジサン、オバサンたちが悪気なく使うのに目くじらを立てると、なんだ若いニワカの変な劣等感かよと、逆に白い目で見られるという別の心配にも留意した方が良いだろう。
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最終更新:2024/05/05(日) 14:00
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