「イースI・II」とは、日本ファルコム株式会社及びそのライセンス会社が発売したアクションRPGである。
「イース1」と「イース2」をセットにした場合の呼称。
- ハドソンが移植・販売したPCエンジン版「イースI・II」。
- 日本ファルコムが自らリメイクしたイースエターナルのIとIIをセットにした「イースI・II完全版」。
- デジキューブが移植・販売したPS2版「イースI・II エターナルストーリー」。
- 日本ファルコムが発売したPSP版及びWindows版「イースI&IIクロニクルズ」。
こちらは、I&IIと表記されている。
ここでは、主に1のPCエンジン版「イースI・II」と、3のPS2版「イースI・II エターナルストーリー」について記述する。
2と4については、「イース」と「イース2」の該当項目を参照。
PCエンジン版「イースI・II」概要
イースI・II | |
---|---|
ジャンル | アクションRPG |
開発元 | ハドソン |
販売元 | ハドソン |
機種 | PCエンジン CD-ROM2 |
発売日 | 1989年12月21日 |
価格 | 7,800円 |
メディア | CD-ROM |
ゲームソフトテンプレート |
「イースI・II」は、日本ファルコムがPCで発売した「イース」と「イースII」を元に、ハドソンがPCエンジンCD-ROM2用に移植した作品である。
PCエンジン版の発売日は、1989年12月21日。
海外版のタイトルは「Ys Book I&II」。
CD-ROMの大容量を活かして、これまではIとIIに別れて販売されていたイースが初めてひとつの作品としてまとめられた。
CD音源による音声演出、米光亮 氏によるアレンジされた楽曲、ビジュアルシーンの追加が大きな特徴で、PCエンジンの解像度と色数に合わせたグラフィックの描き直しや、IとIIでレベルが継続するバランス調整等も含めて、移植というよりはリメイクに近い内容になっている。
PCエンジンCD-ROM2の代表作としてハードの普及に大きく貢献した。
また、キャラクターのバストアップを表示して音声でしゃべらせる演出は、後のゲームに多大な影響を与えた。
オリジナル版で原案とグラフィックを担当した山根ともお 氏が、日本ファルコムを退職後にスタッフとして参加している。クレジットでは「天城秀行」名義。
また、開発の方針には、当時ハドソンのスタッフだった岩崎啓眞 氏の意向が強く反映されている。
2020年3月19日に発売された「PCエンジン mini」及び、その欧州版である「PC Engine CoreGrafx mini」、北米版「TurboGrafx-16 mini」には、国内版と海外版の両方のイースI・IIが収録されている。
ダウンロード版
2007年10月16日より、Wiiバーチャルコンソールで配信されていたが、2019年1月31日にWiiバーチャルコンソールのサービス終了とともに配信が終了している。(WiiUバーチャルコンソールでは未配信)
2010年11月17日より、PS3/PSP/PSVitaのゲームアーカイブスでも配信されている。
ゲームアーカイブスのPCエンジンのゲームは、セーブの仕組みがわかりづらいので注意されたい。 ゲーム起動時に必ずバックアップRAMデータの読み込みを行うかどうかを選択する仕様になっているため、不用意にバックアップデータのロードを行ってしまうと、前回終了時のセーブデータが消えてしまう恐れがある。 本来オートセーブがONになっている場合は、起動時に改めてデータを読み込む必要は無いのだが、お節介にも本体メッセージで毎回選択を迫られるので、うっかりボタン連打で読み飛ばしていると非常に危険である。 よくわからない場合は、ゲーム終了時にはLボタンを押して「セーブ(中断)」を行うことでリスクを回避できる。これなら毎回データをロードすれば問題なくプレイできる。 →PCエンジンアーカイブスも参照。 |
声の出演
- ダーム - 銀河万丈
- ダレス - 屋良有作
- ダルク・ファクト - 森功至
- マリア・メサ - 山本百合子
- タルフ・ハダル - 山田栄子
- ルタ・ジェンマ - 小林通孝
- ゴーバン・トバ - 郷里大輔
- キース・ファクト - 堀秀行
- ゴード・ダビー - 塩屋翼
- フィーナ - 渡辺菜生子
- レア - 荘真由美
- リリア - 鶴ひろみ
- ナレーション - 銀河万丈
- 声優協力 - 青二プロダクション
オリジナルからの主な変更点
IとIIで継続するストーリーとシステム
PCエンジン版では、Iをクリアすると、従来のIのエンディングをカットして、すぐにIIのオープニングが始まる。
そのため、ゲームスタート時にIIからスタートすることはできない。
また、IとIIでレベルが継続するため、それに合わせて全体的な経験値バランス、ボスの難易度等が調整されている。
オリジナル版のイースIではダームの塔前に最大レベルの10に到達していたが、それ以降も成長するため、ダームの塔の中でも経験値を稼ぎながら攻略していくこととなる。
オープニングとエンディングの追加
オープニングとエンディングには、PCエンジン版独自のビジュアルシーンが追加されている。
Iのオープニングでは、Theme of ADORUのアレンジ曲が使用されている。
オリジナル版のIのエンディングで流れたSEE YOU AGAINは、IIのエンディング後スタッフクレジットで流れるように変更された。
スタッフクレジットでは、曲に合わせてドット絵のキャラクターたちが踊る演出が加えられている。
削除された楽曲
- THE MORNING GROW
オリジナルのIのエピローグで流れる曲。Iのエンディングがカットされ、直接IIのOPへつながった。 - PROTECTERS
IIのボス戦はIのボス戦の曲と共通になっている。
ストーリー・イベントの一部変更
- 嵐の結界が存在せずに、アドルは定期船でエステリアに入国する。(但し、説明書ではオリジナル版同様に嵐の結界が存在する記載がある)
嵐の結界を設定したオリジナルスタッフの五十嵐哲也 氏によると、自由に行き来できるようにすると、エステリアの人々が(対岸の)プロマロックの町に避難してしまうと思ったからとのこと。
山根ともお 氏は雰囲気みたいなものだから必要ないと判断して削除している。
このことは当時のファルコムスタッフも了承済みとのこと。 - 金の台座の入手場所がわかりやすくなった。
- ボス部屋の扉と床に、イースの紋章を上下逆さまにした魔の紋章が大きく描かれるようになった。
紋章の玉の色でどの六神官に対応しているかがわかるようになっている。 - マスクオブアイズの使用場所でヒントメッセージが出るようになった。
- 行き詰まりやすい箇所は、全体的にヒントメッセージが多めに追加されている。
Iのダームの塔内でのNPCの台詞や、IIでの神官像が語る台詞等。 - オリジナル版のイースでは、進行上スルーできたイベントが強制イベントになった。
- フィーナ救出が必須になった。
そのため、宝箱のカギがフィーナが閉じ込められた牢の中で入手するように変更された。
ちなみにイースエターナルでは、マスクオブアイズが牢の中で入手するように変更されている。 - レアに銀のハーモニカを返すことが必須になった。
そのため、本来サラの代理人から受け取るイースの本は、レアから受け取るように変更された。
PCエンジン版ではサラが死亡しないように変更されたと誤解されることが多いが、I・IIではサラの生死は不明のままで、ミネアの町の住人のメッセージもサラが死亡したことになっている。
サラの生存は続編のIVで明かされることになる。
ちなみにイースエターナルでは、この問題を解決するためにレアがハーモニカを吹くことでロダの樹が目覚めるように変更されている。
- フィーナ救出が必須になった。
- IIのラストと統一するために、Iでレアが吹くハーモニカの曲がTemple del SolからFEENAに変更された。
これはPCエンジン版が初で、以降の他社作品にも受け継がれている。 - Iのラストでダルク・ファクトが自分の弱点について言及するというネタバレ的な台詞が追加されている。
これを追加した岩崎啓眞 氏によると「RPGの原理的な構造から考えれば、アドルが死んだ瞬間、そのイースの世界でのアドルの人生は終わっている。だからネタバレをしても構わない。それを聞いて『今度は銀の装備をつけよう』と思っているプレイヤーは神の立場に立っている、その世界の住人ではないモノというわけだ。」とのこと。(※ネタバレ部分については色を反転している)
PCエンジン版ではボス再戦時には直前の会話はカットされるため、同じ台詞が繰り返されることはない。 - IIのオープニングでダームの台詞「アドルとやらがどこまでやれるか見てみるとしようぞ」の前に、「おもしろい」が追加された。
これは、以降の他社作品でも受け継がれている。 - IIで魔法使いダレスによってアドルは魔物に変えられてしまう際に、オリジナルではルーの色違いだったが、ローパーのような触手の付いたオリジナルの魔物に変更された。
- IIのラストで、イース中枢からIでヴァジュリオンと戦った部屋へ行けるようになった。
これによりIIのイース中枢とIの廃坑がつながっていることが明確になった。
これは、以降の他社作品でも受け継がれている。 - IIのエンディングでアドルとリリアが向き合う一枚絵は、キスしているようにも見えるため物議を醸したが、描いたのはオリジナルのリリアを作った山根ともお 氏。
エンディングでは岩崎啓眞 氏の要望で、イースが地上に降下した後の俯瞰図が描かれている。
詳しい経緯を知りたい方は、関連リンクから岩崎啓眞 氏のブログを読むことをおすすめする。
裏技・バグ
PCエンジン版はバッテリーバックアップの他に、パスワードを入力してゲームを再開することもできる。
ゲーム開始時に特定のパスワードを入力することで、サウンドテスト等の特殊モードに移行できる。
特殊パスワード
- オプションモード&サウンドテスト(セーブ数を90個に増やすこともできる)
パスワード入力で「いわさきひろまさ」と入力する。
※海外版では「1WASAK1」。
入力に成功すると通常とは違う効果音が鳴る。
「パスワードが違います」と表示されたら「いいえ」を選ぶ。
ロード画面2ページ以降の下部に「オプション」の項目が追加されている。
- デバッグモード
パスワード入力で「ああるるふふああししすすててむむ」と入力する。
※海外版では「AAllffaaSSyySStteemm##」。
入力に成功すると通常とは違う効果音が鳴る。
「パスワードが違います」と表示されたら「いいえ」を選ぶ。
ゲーム中、IIボタン+セレクトボタンで「デバッグメニュー」が開く。 - 撮影モード
パスワード入力で「はせがわひろし」と入力する。
※海外版では「HASEGAWA」。
入力に成功すると通常とは違う効果音が鳴る。
「パスワードが違います」と表示されたら「いいえ」を選ぶ。
ゲーム中、RUNボタンを押している間ポーズがかかる。Iボタンを押すと1/60フレームずつ進む。 - 地名表示モード
STATUS画面を表示時に、セレクトボタンを押すと効果音が鳴る。
その後はマップ切り替え時に地名が表示される。ダームの塔では階数がわかるので便利。
バグ
- コンスクラードの無敵時間設定ミス
アドルが攻撃した後、敵に無敵時間がほとんどないため連続してダメージを与えられる。
※海外版では修正されている。 - リターンの魔法バグ
ノルティア氷壁の氷の床で滑っているときにリターンの魔法を使うと、クラッシュする可能性がある。
最悪ゲーム機が壊れる可能性があるため要注意!!
PS2版「イースI・IIエターナルストーリー」概要
イースI・IIエターナルストーリー | |
---|---|
ジャンル | アクションRPG |
開発元 | マイケルソフト |
販売元 | デジキューブ |
機種 | プレイステーション2 |
発売日 | 2003年8月7日 |
価格 | 通常版:6,800円 限定版:9,800円 |
メディア | DVD-ROM (1枚) |
ゲームソフトテンプレート |
2003年8月7日にデジキューブからプレイステーション2で発売された。
基本的には日本ファルコムがWindowsで発売した「イースI・II完全版」の移植だが、ボイス追加や一部システムをアレンジした「エターナルストーリーモード」等が追加されている。
その他、BGMの一部アレンジ、PS2の解像度に合わせたグラフィックの調整等がある。
また、マップ移動時など、DVD-ROMの読み込みのためにロード時間がやや長めとなっている。特にIIは顕著。
2つのモード
エターナルストーリーモード
イースIからプレイし、クリアすると続けてイースIIがプレイできる。
しかし、PCエンジン版のようにレベルやシステムがつながっているわけではなく、独立したイースIとIIを連続でプレイするというモード。
こちらでは、新バトルシステムの「オルタネーティング イクイップメント システム(Alternating Equipment System)が追加。詳しくは後述。
また、「夢見る宝石」という特殊アイテムを装備すると、新キャラクターのミシャとジャンヌが住む夢の世界に行くことができ、サウンドテストやイラストギャラリーを楽しめる。
エターナルモード
エターナルモードとなっているが、Windows版「イースI・II完全版」に準拠したシステムとゲームバランスで遊べるモードとして収録されている。
但し、忠実な移植ではなく、音楽やボイス等はエターナルストーリーモードと共通。
IとIIは別々のため、IIからスタートすることもできる。
オルタネーティング イクイップメント システム (AES)
本作の「エターナルストーリーモード」には、 新戦闘システム「AES(オルタネーティング イクイップメント システム(Alternating Equipment System)」が採用されており、各種武器やリングなどのアクセサリーには特殊効果が付加されている。
この特殊効果を活用することで、格段に戦闘が有利になる。
武器
- SHORT SWORD
時々、敵の動きを鈍くする事や気絶させる事ができる。気絶効果発動時は「STUN」が表示される。 - LONG SWORD
急所に当てる事ができれば大きなダメージが期待できる。効果発動時は「CRITICAL」が表示される。 - TALWARL / HYPER CUTTER
敵を一撃で葬る事がある。効果発動時は「KILLED」が表示される。 - FLAME SWORD / BATTLE SWORD
ダメージを受けた際にカウンター攻撃をする。 - SILVER SWORD
時々、受けたダメージを無効化する。但し、CLELIA SWORDでは効果がない。
アクセサリー
アクセサリーにはコンボ要素にかかわる特殊効果が付加されている。
武器のような効果が発動した際に画面に文字が出るわけではないものの、非常に有効な効果が多い。
ただし、一定の上限があるとともに、装備を変更した段階で、前の装備の効果はなくなる。
また、リング・アクセサリー非装備時は敵を倒したときに得られる経験値・お金が1コンボ毎に増加する。
- パワーリング / 鷹の彫像
1コンボ毎に攻撃力がアップする。 - リングメイル / 精霊の衣
1コンボ毎に防御力がアップする。 - タイマーリング / クレリアの指輪
1コンボ毎に回避率が増加する。 - ヒールリング / やすらぎの指輪
1コンボ毎にHPとMPが回復。 - イビルリング / 隼の彫像
1コンボ毎に攻撃力がアップする。
コンボシステム
AESとともに、本作の「エターナルストーリーモード」には、新システムの中には「コンボシステム」がある。
このコンボシステムは、敵に攻撃を加えるごとにコンボ数値が増加していき、その数値によりさまざまなボーナス効果を得ることができる。
ただし、敵の攻撃を受けると0に戻ってしまうので、敵の攻撃を受けないように注意が必要になる。
このコンボは、リングやアクセサリーの特殊効果に大きな影響を与える。
声の出演
シリーズ一覧
イース(Ys)シリーズ | |
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ナンバリング作品 | イース1 / イース2 (イースI・II) / イース3 (フェルガナの誓い) イース4 (イース セルセタの樹海) / イース5 / イース6 イース7 / イース8 / イース9 |
外伝作品 | イース・オリジン / イースvs.空の軌跡 オルタナティブ・サーガ イース・オンライン / イース・ストラテジー |
関連動画
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関連コミュニティ
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関連項目
外部リンク
- 2
- 0pt