『ザ☆ウルトラマン』とは、誰もが知ってるウルトラの戦士の活躍を描いたテレビアニメである。
概要
円谷プロのウルトラシリーズ第8作目に当たる作品。放映期間は1979年(昭和54年)4月4日から1980年(昭和55年)3月26日(全50話)。アニメーション制作は日本サンライズ(現:サンライズ)であるが、タツノコプロ出身のスタッフも多く参加していることで知られる。
また同時期にサンライズで並行して製作されていた『機動戦士ガンダム』が打ち切りになったために、終盤は『ガンダム』のスタッフが合流し、富野喜幸(現:富野由悠季)も変名で絵コンテに参加していたとされる。
ウルトラマンレオ以降途絶えていたウルトラシリーズを復活させる際に円谷プロが「新機軸のウルトラマン」を検討した末、予算不足や当時のアニメブームなどの背景により、ウルトラシリーズでは初めてアニメーション作品として制作されたのが本作である。
結果として、あまり知られていないものの本作は実は前作『ウルトラマンレオ』を上回る平均視聴率を記録した(関東地区11%、関西地区12%で、後述の『ウルトラマン80』よりも高い)。しかし「アニメではなく特撮で新しいウルトラマンが見たい」といったファンの声も少なからずあり、結果としてこうした本作品の成功や反響が少なからず『ウルトラマン80』の制作に繋がったと言える。とはいえ、円谷プロの監修ということもありウルトラマンの描写にはアニメ作品でありながらあえて旧作を踏襲した、実写作品然とした動きも取り入れられていたり、影絵を使ったOPなど、従来のファンも意識した作品となっている。
当時のウルトラシリーズとしては異端な外部委託型のアニメ作品ということもあり、非常に再評価に乏しい作品であった。平成元年から4年にかけて存在したNHKのウルトラシリーズの再放送枠からも除外されており、地方局では主に関西地区で何度か再放送が行われていたものの、関東地区では本放送と再放送が一度づつ行われたのみであり、衛星放送(ファミリー劇場)で2009年に再放送が行われるまでは、ウルトラシリーズでありながらテレビでは再視聴する機会にはほとんど恵まれていなかった。
再評価に乏しかったことなどからインターネット普及時には誤った噂や作品論も広まっていたが、近年では衛星放送枠による再放送の事例も増え、新作においても他のウルトラ兄弟と同列にレジェンド戦士として紹介されていたり、『ウルトラマンタイガ』に登場するウルトラマンタイタスが、本作の流れを組んだ戦士であるなどして注目を集めつつある(2019年は本作の放送40周年にあたるため、そのタイアップであるともされる)。
また映像媒体はLDBOXが1996年に発売され、DVDBOXは2008年に発売されている。
あらすじ
地球の平和を守るためにやって来たウルトラマンは、科学警備隊のヒカリ超一郎隊員と融合する。ヒカリは科学警備隊として、そしてウルトラマンとして戦うことを決意するのだった・・・
ウルトラマンジョーニアス
ウルトラの星・U40出身の戦士。星形のカラータイマーは時間の経過・エネルギーの消耗に伴い緑→黄→赤の順に色が変わる。
地球上では科学警備隊のヒカリ隊員と一体化しており、彼が変身アイテム・ビームフラッシャーを額に当てることにより変身する。
詳しくはこちらへ→『ウルトラマンジョーニアス』
科学警備隊
世界各地の怪奇現象に対処すべく結成された精鋭部隊。富士山麓の地球防衛軍極東ゾーン基地に本部を持つ。
ウルトラマンの「科学特捜隊」とウルトラセブンの「ウルトラ警備隊」を足して2で割ったような部隊名で、ライトブルーの隊員服はウルトラ警備隊を、流星を模したマークは科学特捜隊をそれぞれ彷彿とさせる。
隊員
- ヒカリ超一郎
- 20歳。宇宙ステーションEGG3から科学警備隊に転属となった。EGG3から地球へ向かう途中でウルトラマンと邂逅、一体化する。ウルトラマンとなってからは一日も欠かさずに鍛練を積んでいる。ウルトラマンに変身している間は必然的に姿を消すことになり、その事を他の隊員に問い詰められることも少なくない。
- アキヤマ徹男
- 41歳。科学警備隊結成時に隊長に指名された初代キャップ。隊員選抜の委任とスーパーマードックの配備を条件に隊長の座に就いた。26話で怪獣作戦参謀としてアメリカゾーンに転任した。
企画段階では10歳になる娘のマユミがセミレギュラーとして登場する予定だったが、本編では登場しなかった。 - ゴンドウ大助
- 28話から登場。アキヤマに替わり就任した二代目キャップで、アキヤマとは対照的な豪快な性格をしている。しかし冷静かつ的確な判断力を持っており、隊長としての能力はアキヤマに劣らない。当初は隊員達から反発されていたが、就任直後の事件で信頼を得た。
- トベ博明
- 24歳。新兵器開発室から選抜された。スーパーマードック号の設計者で、メイン操縦士を務める。基地では武器開発や分析、破損したメカの修理を行う。
声を演じるのは『ウルトラマン』でも科学者ポジションのイデ隊員を演じた二瓶正也。 - マルメ敬
- 25歳。元極東ゾーン作戦室付きの隊員。自ら科学警備隊への入隊を志願した。主に戦闘面で活躍し、戦闘機の操縦は勿論、重火器を用いた地上戦も行う。
- 星川ムツミ
- 18歳。科学警備隊の紅一点で、医療班からスカウトされた。隊員達の中で一番若いが、戦闘機の操縦や射撃などで男性隊員達に引けを取らない活躍を見せる。声優島本須美のデビュー役。
- ピグ
- 地球防衛軍に存在するロボットの第1号機で、正式名称「コンピュータロボット・78」。情報処理や怪獣の分析を担当しており、戦闘機の操縦も可能。動物の言葉が理解でき、怪獣と会話したこともあった。いつもペットである小猿のモンキを連れている。口癖は「~なんだな」、「~やっぱし」。
その名前と外見から分かるように、『ウルトラマン』に登場した友好珍獣ピグモンがモデルである。 - ウルック
- ウルトリアに配備されていたロボットの内の一体。非常に働き者だが、ピグからは嫉妬からかポンコツ呼ばわりされている。劇中で活動していたのは1号機で、他にも同型が多数存在したがそれらの描写はなかった。
地球防衛軍関係者
- 桜田長官
- 地球防衛軍極東ゾーンの長官。アキヤマ、ゴンドウ両キャップの直接の上司である。
- 宮井副官
- 極東ゾーンの参謀。桜田長官の腰巾着ではあるが、少々空回りぎみである。悪い人ではないがピグからは嫌われている。ちなみに一部の書籍では「警備隊の面々からはあまり好かれていない」と書かれている。
- ヘンリー・ニシキ
- アフリカゾーンの科学者で、ロンドン生まれの日系二世。常識外れな天才肌で、科学警備隊の面々を振り回す(例として隊員達を名前で呼ばず、「運転手君(トベ)」や「若いの(ヒカリ)」などと呼ぶ)。機械などの他に昆虫について調べていたこともあり、本人も自分が何の専門家かはあまり考えていない様子。
- 野島ユリコ
- 極東ゾーンの喫茶室で働く17歳の女性。南浮子島の出身。父親の反対を押し切り科学警備隊に入るため島を飛び出したが、結局願い叶わず喫茶室で働いている。しかしある事件までは、科学警備隊に入隊したとの手紙を父親に送っていた。怪獣について詳しく、自室にはバリケーンやキングストロンのポスターが貼ってある。
メカニック
- スーパーマードック
- 全長/30m、重量/20t、定員/6人、最高速度/マッハ5.5(空中)、マッハ9.5(宇宙空間)、マッハ2(水上)、マッハ1(水中)、マッハ3(地上)
空中・海中・宇宙で活動できる大型万能戦闘機。設計・開発はトベによるもの。ミサイルや特殊熱線砲、水中光子レーザーなど様々な武器を備えており、自爆装置も存在する。隊員達と数々の激戦を乗り越えたが、37話で大破してしまう。 - バーディ
- 全長/7m、定員/1名、最高速度/マッハ5
マードック号に搭載されている攻撃用小型戦闘機で、レーザー砲を装備している。終盤では宇宙仕様となったスペースバーディが登場した。 - ベータミー
- 全長/8m、定員/2名、最高速度/マッハ5
マードック号に搭載されているVTOL機。後部に二連式の機銃を装備しており、主に偵察に用いられる。バーディ同様、終盤には宇宙仕様のスペースベータミーが登場した。 - シューターASS
- 定員/2名、最高速度/時速850km
6輪の超高速特殊車両。主にパトロールに用いられる。 - パッセージャー号
- 定員/4名、最高速度/時速700km
水陸地底探査用のドリルタンク。サーチライトと光線砲を装備している。 - パッセージャー2号
- 33話で運用されたパッセージャー号の後継機。まだテスト段階であるが、サーチライトと小型ミサイルを装備している。
- ウルトリア
- ウルトラ人の祖先がU40の危機に備えて、地球の南極地底に隠していた超大型戦艦。発見時から100年は補給や点検の必要がない状態だった。スーパーマードック大破以降の科学警備隊の主力となる。
- 動力は地球上では未発見のウルトラ素粒子で、300メートルを超える艦体は下部のαと両翼部のβに分離する。光子レーザー砲や反陽子ビーム砲など計150門を装備している他、格納庫や艦載機の発進口なども有する。またワープ航法も可能であり、超長距離を短時間で移動することができる。
ヘラー軍団に対抗する手段としてU40からアミアが探しに来たが、最終的に科学警備隊に託される。その際ゴンドウは、共にヘラー軍団を倒す決意を語っている。
U40
ジョーニアスの故郷である、今作における「ウルトラの星」。地球からは200万光年離れている。世界観が一新されているので、M78星雲「光の国」や獅子座L77星とは関係がない。地上には自然が溢れており、一見して科学が発達しているようには見えない。しかし地下には9000ほどの都市が存在し、工場や建築物の殆どがここにある。有事の際には地上に自動防衛タワーや戦艦の発進口が出現する。
普段人々は地球人と変わらない姿(古代ギリシャ風の衣服を着ている)をしているが、精神を集中して体の分子構造を変えることで、誰もがウルトラマンへと変身できる。しかし巨大化して戦えるのは強い力を持ったウルトラ人のみであり、最高の戦士には勇者の証「スターシンボル」が与えられる。地球人と一体化するにはこのスターシンボルが必要となる。劇中で巨大化できる者はジョーニアスを含めわずか8人しかいない。7人の戦士のみ変身の際にビームフラッシャーを使う描写があり、その際「ウルトラチェンジ」と叫んでいる。
10億年前に全宇宙に子孫を増やすための大実験が行われ、方々の惑星にウルトラ人が移住した。地球もその惑星の一つで、ネアンデルタール人とウルトラ人が邂逅している。
ウルトラマインド
前述の実験の後、は虫類から進化したバデル族の侵略が始まり、宇宙に広まったウルトラ人は次々と滅ぼされていった。それを救ったのが、100万年前に作られた物質であり物質でない命の素「ウルトラマインド」である。これによりウルトラ人はウルトラヒューマノイドへと進化した。
U40の人々
- アミア
- 身長/ミクロ~60m、体重/0~33000t
金色の長髪が特徴的な美少女で、ジョーニアスの妹。戦闘の際には双胴機に乗り勇敢に戦場へ向かう。また、アミアッシャーという光線技を持っている。
蘇生手術のためにU40に連れてこられたヒカリに恋心を抱いており、その想いたるやスターシンボルを盗み地球へ向かうほどである。 - エレク
- 身長/70m(ミクロ~110m)、体重/0~48000t
U40の8人の戦士の一人で、ジョーニアスを除く7人のリーダー格。ジョーニアスやアミア、ロトとは友人である。必殺技はエレクリウムビーム。 - ロト
- 身長/70m(ミクロ~110m)、体重/0~48000t
ウルトラの戦士の一人。エレクと行動を共にすることが多く、何度か地球に来たこともある。必殺技はロトラリア光線。 - 大賢者
- U40の最高指導者。最高の科学者にして哲学者であり、地球で言えば王や大統領といった存在である。
- ウルトラ5大戦士
- ジョーニアス、エレク、ロトと並ぶU40の戦士達。巨大化能力を有する。5人中3人は名前が「メレグ」、「ノア」、「ミゲル」であると分かっている。
デザインに特徴がなく、5人とも同じ姿である。
ヘラー軍団
永遠の命を求めたU40の反逆者・ヘラー率いる悪の大軍団。暗黒星雲の彼方で巨大な帝国を築き、隙を突いてU40を占領、ウルトラマインドを奪った。U40の支配が目的であり、そのために邪魔なウルトラマンやウルトリアを狙い、さらには地球侵略も企ている。
- ヘラー
- 1万年前に永遠の命を求め、U40に反旗を翻したウルトラ人。3000人の同士を引き連れウルトラマインドを奪い、ウルトラマンへの変身能力と引き替えに永遠の命を手に入れた。ウルトラマインドを奪還された後に宇宙の果てに逃げ去り、その後長い間忘れ去られていた。 しかしその間に巨大な帝国を築き、U40へ舞い戻った。
- ロイガー
- ヘラーの右腕。土星の衛星タイターンに建設された基地で指揮を執っており、その任務はU40の支配に邪魔なジョーニアスを太陽系に釘付けにすることである。
キャスト
- ヒカリ超一郎:富山敬
- ウルトラマンジョーニアス:伊武雅之(現:伊武雅刀)
- アキヤマ徹男:森川公也
- ゴンドウ大助:柴田秀勝
- 星川ムツミ:島本須美
- トベ博明:二瓶正也
- マルメ敬:兼本新吾
- ピグ:滝口順平
- モンキ:千葉繁
- ウルック:野沢由香里
- 桜田長官:塩見竜介
- 宮井副官:上田敏也
- ヘンリー・ニシキ:熊倉一雄
- 野島ユリコ:岡本茉莉
- アミア:滝沢久美子
- エレク:池田勝
- ロト:宮村義人
- 大賢者:宮内幸平
- ヘラー:大木民夫
- ロイガー:大友龍三郎
- ナレーター:蟹江栄司
関連動画
関連リンク
関連項目
- 5
- 0pt