シラユキヒメとは、1996年生まれの元競走馬・元繁殖牝馬である。
概要
日本最大の競走馬生産牧場ノーザンファームに白毛馬として生まれる。
白毛馬はこれまでも1989年のハクタイユーなどごく稀に突然変異で生まれるケースがあったが、このシラユキヒメはなんと父親がアメリカ二冠馬にして日本に輸入され日本競馬史上最強の大種牡馬となったサンデーサイレンスであった。
そのためデビュー前から大変注目されたが、競走馬としては9戦して3着が最高であった。なお馬主は当時売り出し中の金子真人氏であった。
シラユキヒメは引退して繁殖入りしたが、ここから先が凄かった。
まず12頭の子を産んだが、そのうちの10頭が白毛であった。確率的には白毛遺伝子を引き継ぐのは1/2といわれているにもかかわらずである。この確率の条件下で12頭の子のうち10頭が白毛となる確率は、12C10 / 212=66/4096≒1.6%、である。さらにこのうち6頭が繁殖として血を残す機会の多い牝馬であった(ダイワスカーレットの逆パターンで10頭全部牡だったりしたら白毛の遺伝子は絶えていたかもしれない)。白毛の血を広げよという天命なのかもしれない。
そのうちの1頭、ホワイトベッセル(牡:父クロフネ)が2007年4月1日にJRA初白毛馬勝利となった。
さらに産駒の1頭ユキチャン(牝:父クロフネ)が2008年6月18日の関東オークス(JpnII)で白毛馬初の交流グレード重賞を勝利。
さらに産駒の1頭マシュマロ(牝:父クロフネ)は2011年11月13日にJRA初の白毛馬新馬戦勝利となった。
そのマシュマロの子、ハヤヤッコ(牡:父キングカメハメハ)は2019年8月14日のレパードステークス(GIII)にて、JRA初の白毛馬の重賞勝利=世界初の白毛馬国際重賞勝利となった。
2012年産のブチコ(牝:父キングカメハメハ)は激しい気性のため重賞を勝つことはできなかったが、その初仔のソダシ(牝:父クロフネ)は2020年9月5日の札幌2歳ステークス(GIII)でJRA初の白毛馬の芝重賞勝利=世界初の白毛馬国際芝重賞勝利、続いて10月31日のアルテミスステークス(GIII)を勝利、12月13日の阪神ジュベナイルフィリーズ(GI)では世界初の白毛馬G1勝利となった。翌年の2021年4月11日には桜花賞(GI)も制し、世界初の白毛のクラシックホースとなっている。
また、白毛ではないものの、ユキチャンの孫であるメイケイエール(牝:父ミッキーアイル・鹿毛)も2021年3月6日のチューリップ賞(GII)をはじめ重賞を5勝するなど、孫・ひ孫世代からも続々と活躍馬が出始めている。
この一族から白毛馬としての記録を次々と打ち立てる中、次はどのような夢を見させてくれるだろうか。
そのシラユキヒメは2019年5月5日に死亡していたことを、孫のソダシが桜花賞を勝利した時に報じられてている。
白毛とは
生まれたときから真っ白の毛色の馬のこと。目に色素があり、体毛の一部にも有色の斑点があるので、「アルビノ」ではないとされる。オグリキャップやゴールドシップなどに代表される「芦毛(あしげ)」との違いは、芦毛は栗毛・青毛・鹿毛などに白い毛が混ざっていて、年を取るにつれて白くなる馬のこと。また世界には2019年セントレジャー優勝馬のロジシャンなどの「粕毛(かすげ)」が存在するが、こちらは他の毛の色に白毛が混じっているが加齢に関係なく色合いが殆ど変わらないとされる。。
日本では1979年ハクタイユーが誕生した時に日本初の「白毛」として登録された。1994年にはハクタイユーの子の(サラ系)ハクホウクンが大井競馬場で日本初の白毛馬勝利を挙げている。
血統表
*サンデーサイレンス 1986 青鹿毛 |
Halo 1969 黒鹿毛 |
Hail to Reason | Turn-to |
Nothirdchance | |||
Cosmah | Cosmic Bomb | ||
Almahmoud | |||
Wishing Well 1975 鹿毛 |
Understanding | Promised Land | |
Pretty ways | |||
Mountain Flower | Montparnasse | ||
Edelweiss | |||
*ウェイブウインド 1991 鹿毛 FNo.2-w |
Topsider 1980 鹿毛 |
Northern Dancer | Nearctic |
Natalma | |||
Drumtop | Round Table | ||
Zonah | |||
Storm and Sunshine 1977 黒鹿毛 |
Star de Naskra | Naskra | |
Candle Star | |||
Sea Drone | Drone | ||
Malaga |
父サンデーサイレンスの毛色は青鹿毛(黒色に近い鹿毛。何故黒色なのに「青」なのかは諸説ある)である。シラユキヒメ以外の産駒には白毛馬はいない。
母ウェイブウインドは米国産の輸入馬で不出走。鹿毛。もちろん近親からはシラユキヒメ以外に白毛馬は出ていない。
母父トップサイダーは重賞実績はないが18戦8勝の成績を挙げた馬。鹿毛。もちろん近親からは(略)。
白毛の子孫(かなり増えたので一部のみ)
シラユキヒメ 1996 牝 (W14)
│ホワイトベッセル 2004 牡 JRA初の白毛馬勝利
│ユキチャン 2005 牝 白毛馬初の交流グレード競走勝利
||シロインジャー 2013 牝 白毛 父ハービンジャー
|||メイケイエール 2018 牝 鹿毛 重賞5勝
│マシュマロ 2009 牝 白毛馬初の新馬戦勝利
││ハヤヤッコ 2016 牡 白毛馬初の国際グレード競走勝利
│ブチコ 2012 牝 白毛(鹿ブチ)
││ソダシ 2018 牝 白毛馬初の国際G1勝利
シラユキヒメを祖とする白毛遺伝子はW14と名付けられ(つまり白毛はシラユキヒメの前にサラブレッド以外の品種も含めて13以上の例が確認されている)、その血は現在進行形で拡大している。
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関連項目
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