1999年クラシック世代とは、競馬において1996年に生まれ1999年にクラシック競走を走った(旧4歳、現3歳を迎えた)競走馬の世代である。
概要
初の古馬王道GI全勝、主要四競馬場GI制覇、天皇賞三連覇、GI7勝、獲得賞金額世界一位となった「世紀末覇王」ことテイエムオペラオーを代表とする世代。そして、その世紀末覇王に挑み続け対戦6度目となる宝塚記念で覇王を破ったメイショウドトウ、前述2頭の引退後も現役を続行して下の世代の壁となったクラシック三強の一角ナリタトップロードの三頭が稼ぎ頭。この3頭だけで約37億円を稼いでいる。
クラシックでは、牡馬は前述のテイエムオペラオーとナリタトップロードに加え、タイレコードでダービーを制したベガ産駒アドマイヤベガ、サイレンススズカの半弟で長距離を得意としたラスカルスズカらが三強や四強と呼ばれて鎬を削った。牝馬では、デビューから28日という史上最短記録でGI優勝を果たしたスティンガー、ドバイワールドカップで牝馬の世界最高着順となる2着[1]に入ったトゥザヴィクトリー、花の12期生に最初のGI勝利をプレゼントしたプリモディーネ、人馬ともにサウスポーと呼ばれたウメノファイバー、桜花賞2着にエリザベス女王杯2年連続2着と惜しくもGIタイトルに手が届かなかったフサイチエアデールらが激戦を繰り広げた。人気薄で秋華賞1着・3着に付けたブゼンキャンドル、クロックワークも忘れてはならない。クロックワークやんけ!!!!!!
短距離には、サクラバクシンオーのレコードを更新して史上2頭目となる春秋スプリントGI制覇を果たしたトロットスター、安田記念で最長GI勝利間隔となる1267日ぶり2つ目のGI勝利を挙げたアドマイヤコジーン、新馬戦から4連勝でNHKマイルカップを制覇したシンボリインディ、マイルチャンピオンシップを勝ちトウカイテイオー産駒初のGI馬となったトウカイポイントらがいる。
その他の芝の活躍馬としては、薔薇一族の重賞5勝馬ロサード、レガシーワールドの記録を抜いてJRAの騸馬賞金王となったマグナーテン、同じく騸馬にしてJRAの抽籤馬賞金王ホットシークレット、鋭い末脚で陣営の期待が非常に高かった外国産馬マチカネキンノホシ、目黒記念連覇など長距離の実力馬だったトシザブイ、ロジータ初の重賞産駒イブキガバメント、といった面々が長く中距離~長距離の重賞で常連を務めた。短距離では、日本競馬史上初めて1000m53秒台を記録した「メジロ史上最速」の快足娘メジロダーリング、驚異の鬼脚で二つのレコードを記録するなど存在感を示した初代「前が壁」ビハンインドザマスクら牝馬の活躍も見られた。他、高速ステイヤー三羽烏の一頭サンエムエックスや、ステイヤーズSで後の世紀末覇王テイエムオペラーを破ったペインテドブラック、JRA所属馬のままフランスでデビューし英オークス4着後に日本に帰国したサンデーサイレンス産駒初の海外重賞馬「帰国子女」サンデーピクニックなどがいる。
ダートでは、フェブラリーS優勝馬ノボトゥルーを筆頭に、スプリントで圧倒的な強さを誇った後の大種牡馬サウスヴィグラス、牝馬ながら南部杯を圧勝するなど短距離中心に活躍した二代目「砂の女王」ゴールドティアラ、中距離GIで1着1回・2着4回・3着3回の「いぶし銀」川崎記念優勝馬リージェントブラフ、JRAレコードで東海Sを連覇したハギノハイグレイドらがGI戦線で活躍した。また重賞未勝利馬には、3.1秒差圧勝の未勝利戦で話題となり、プロキオンSでゴールドティアラの、根岸Sと栗東Sでブロードアピールの、それぞれ伝説的末脚に屈する2着馬の役割を演じたエイシンサンルイスがいた。
地方では、ベラミロードが宇都宮競馬を、トーホウエンペラーが岩手競馬を賑わした。その他にも、南関東レコードとなるデビューから無敗の17連勝を記録したベルモントアクター、無敗で関東オークスを制したヤマノリアル、18年ぶり2頭目のホッカイドウ三冠馬モミジイレブン、金沢移籍後に15戦13勝の成績で金沢代表馬に2度選ばれた「金沢の星」ホシオー、新潟競馬史上唯一のNARグランプリ受賞馬ハイテンションパルなど地域ごとに注目馬がいた。他、JRAからの移籍組だが、東京盃でサウスヴィグラスの連勝を止めたハタノアドニスがNARグランプリ最優秀短距離馬に表彰されている。
この世代はJRAの重賞勝利数記録、GI連対数記録、GI複勝圏数記録、GI入着数記録、獲得賞金記録といったそれまでの世代記録を軒並み更新した世代である。世界レコード1回、日本レコード6回を含む数多のレコードタイムを記録し、2021年終了時点でも20世紀のクラシック世代では最多となる3つの日本レコードと3つのJRAコースレコードを保持している。他に、当時開催されていた中央平地の芝G1完全制覇、芝GI勝利数最多タイ、GIでの1・2着独占8回[2]、GIでの1~3着独占3回[3]といった戦績をあげた。
この世代の特徴の一つは、その層の厚さにある。なにしろ稼ぎ頭である世代代表馬テイエムオペラオーがいなかったと仮定してみても、2着以下まで同世代の馬で独占[4]してしまっているため、残りの馬だけでも重賞勝利数最多記録や芝GI勝利数最多タイ記録、芝G1完全制覇が達成できてしまうほどだったのである。
また、この世代はサラ系以外も当たり年で、アングロアラブにはマリンレオやワシュウジョージやホマレスターライツやイーシーキングが、ばんえい競馬には史上最強馬の名をほしいままにしたスーパーペガサス[5]がいた。NARグランプリの年度代表馬は2000年から2002年まで3年、アングロアラブ部門の最優秀古馬は2000年から2003年まで4年、ばんえい部門の最優秀馬は2002年から2005年まで4年、この世代が続けて受賞している。
上述以外で特筆性のある馬としては、負け続けることで話題となった高知競馬のハルウララ、JRA所属馬のサラブレッド最多出走記録となる127戦を走ったハートランドヒリュ、Youはニート!ユウワニート産駒の働き者でNARサラブレッド最多出走記録となる300戦を走って13勝を挙げた「アイアンホース」ダイナブロス、初勝利が重賞制覇という奇妙な戦歴を持ち日本調教馬として初めてオーストラリアのGI競走に出走したキングオブサンデー、6連勝なのにオープン未勝利馬ロードモンタナ、旧4歳にして歴戦の古馬を打ち負かし嵐山ステークス最後の優勝馬となった初代サクセスエナジー、ワシュウジョージにも先着したことがあるアングロアラブの重賞馬なのだが某名馬と名前が紛らわしいマノノトップガン、ユキチャンやソダシなどW14白毛遺伝子の始祖となったシラユキヒメなどがいる。
勝利馬
中央平地GI級
中央平地22勝。
世代別GI
競走名 | 1998年(現2歳/旧3歳) | 1999年(現3歳/旧4歳) |
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朝日杯3歳ステークス | アドマイヤコジーン | |
阪神3歳牝馬ステークス | スティンガー | |
皐月賞 | テイエムオペラオー | |
東京優駿 (日本ダービー) |
アドマイヤベガ | |
菊花賞 | ナリタトップロード | |
桜花賞 | プリモディーネ | |
優駿牝馬(オークス) | ウメノファイバー | |
秋華賞 | ブゼンキャンドル | |
NHKマイルカップ | シンボリインディ |
古馬GI
競走名 | 1999年(現3歳/旧4歳) | 2000年(現4歳/旧5歳) | 2001年(5歳) | 2002年(6歳) |
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フェブラリーステークス | ノボトゥルー | |||
天皇賞(春) | テイエムオペラオー | テイエムオペラオー | ||
安田記念 | アドマイヤコジーン | |||
宝塚記念 | テイエムオペラオー | メイショウドトウ | ||
高松宮記念 | トロットスター | |||
天皇賞(秋) | テイエムオペラオー | |||
エリザベス女王杯 | トゥザヴィクトリー | |||
マイルチャンピオンシップ | トウカイポイント | |||
ジャパンカップダート | 2000年新設 | |||
ジャパンカップ | テイエムオペラオー | |||
スプリンターズステークス | トロットスター | |||
有馬記念 | テイエムオペラオー |
中央障害重賞
競走名 | 1999年 (現3歳/旧4歳) |
2000年 (現4歳/旧5歳) |
2001年 (5歳) |
2002年 (6歳) |
2003年 (7歳) |
2004年 (8歳) |
---|---|---|---|---|---|---|
阪神スプリングジャンプ | ||||||
中山グランドジャンプ | ||||||
京都ジャンプステークス | ユーセイシュタイン | |||||
東京ハイジャンプ | ダイワデュール | メジロロンザン | ||||
新潟ジャンプステークス | ヒカルボシ | マルゴウィッシュ | ||||
小倉サマージャンプ | ギフテッドクラウン | |||||
阪神ジャンプステークス | テイエムダイオー | |||||
東京オータムジャンプ | ギフテッドクラウン | ヒゼンホクショー | メジロロンザン | |||
京都ハイジャンプ | テイエムダイオー | メジロライデン | ||||
中山大障害 |
地方ダートグレード競走GI級
世代戦
競走名 | 1999年(現3歳/旧4歳) |
---|---|
ジャパンダートダービー | オリオンザサンクス |
ダービーグランプリ | タイキヘラクレス |
古馬GI
競走名 | 1999年 (現3歳/旧4歳) |
2000年 (現4歳/旧5歳) |
2001年 (5歳) |
2002年 (6歳) |
2003年 (7歳) |
---|---|---|---|---|---|
川崎記念 | リージェントブラフ | ||||
帝王賞 | |||||
マイルチャンピオンシップ南部杯 | ゴールドティアラ | トーホウエンペラー | |||
JBCスプリント | 2001年新設 | サウスヴィグラス | |||
JBCクラシック | 2001年新設 | ||||
東京大賞典 | トーホウエンペラー |
英クラシック
競走名 | 1999年(旧4歳) |
---|---|
1000ギニーステークス | Wince |
2000ギニーステークス | Island Sands |
オークスステークス | Ramruma |
ダービーステークス | *Oath |
セントレジャーステークス | *Mutafaweq |
米三冠
競走名 | 1999年(旧4歳) |
---|---|
ケンタッキーダービー | *Charismatic |
プリークネスステークス | *Charismatic |
ベルモントステークス | Lemon Drop Kid |
ニコニコ大百科に記事のある競走馬
国内
- アドマイヤコジーン
- アドマイヤベガ
- ゴールドティアラ
- サウスヴィグラス
- サクセスエナジーI
- シラユキヒメ
- シンボリインディ
- テイエムオペラオー
- トゥザヴィクトリー
- トーホウエンペラー
- ナリタトップロード
- ノボトゥルー
- ハートランドヒリュ
- ハルウララ
- フェリアード
- プリモディーネ
- ベラミロード
- メイショウドトウ
- メジロダーリング
- ラスカルスズカ
海外
関連リンク
関連項目
前世代 | 当記事 | 後世代 |
---|---|---|
1998年クラシック世代 | 1999年クラシック世代 | 2000年クラシック世代 |
競走馬の世代一覧
脚注
- *現在も最高記録。次点は2018年に5着に入ったアメリカのフォーエバーアンブライドルド。
- *最多記録。1988年クラシック世代の7回を更新。
- *3回以上達成は独占4回を記録した1988年クラシック世代以来11世代ぶり。JC3着のファンタスティックライトを含める場合は4回となり、1976年クラシック世代と1988年クラシック世代に続く3例目。
- *テイエムオペラオーが勝った古馬重賞10勝のうち9回が同世代決着。ちなみに1~3着まで独占は4回、掲示板独占は1回。
- *主な記録は、ばんえい記念4連覇(史上初)、全競馬場の記念競走完全制覇(史上2頭目)、獲得賞金1億円超え(史上7頭目)、ばんえいグランプリ2連覇、など。
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