ファウストラーゼン(Faust Rasen)とは、2022年生まれの日本の競走馬。鹿毛の牡馬。
主な勝ち鞍
2025年:弥生賞ディープインパクト記念(GⅡ)
概要
父*モズアスコット、母ペイシャフェリス、母父スペシャルウィークという血統。
父は2018年安田記念と2020年フェブラリーSを制した、芝ダート二刀流のFrankel産駒。種牡馬としても人気を集めており、ファウストラーゼンら2022年産が初年度産駒である。
母は2014年の牝馬三冠にも参戦し、39戦を走ってオープン2勝を挙げた逃げ馬。ファウストラーゼンは第4仔。
母父は言わずと知れた1998年クラシック世代の「日本総大将」。母父としては代表産駒シーザリオが3頭のGⅠ馬を出したことが有名だが、それ以外にもクラリティスカイ、ディアドラ、ジュンライトボルト、タガノビューティーなどを輩出している。
2022年3月23日、新ひだか町の友田牧場で誕生。オーナーは2019年から馬主になった宮崎俊也(さいたま市の不動産会社社長)。1歳時に2023年北海道サマーセールにて2860万円(税込)で取引された。
芝の魔術師
2歳(2024年)
ファストフォースやタイセイビジョンを管理した栗東・西村真幸厩舎に入厩し、2024年9月21日、中京・芝1600mの新馬戦にてルーキーの吉村誠之助を鞍上にデビュー。単勝29.3倍の9番人気と特に注目はされておらず、レースも中団から伸びず、特に見せ場なく10着に終わる。
11月3日の京都の未勝利戦では鮫島克駿を迎え、芝2000mに距離延長。ここでも22.7倍の8頭立て6番人気という人気薄で、レースも出遅れてかなり前から離された後方2番手からのレースになったが、最内の経済コースを通って押し上げて行くと、直線で一度は前が壁になりながらも、素早く外に振って進路を確保し、そこから上がり最速で一気に突き抜けて快勝。初勝利を飾る。
この勝利で、陣営は果敢にホープフルステークス(GⅠ)へと挑戦。鞍上には新たに杉原誠人を迎えることになった。クロワデュノールが圧倒的人気を集める中、初ブリンカーを装着したファウストラーゼンの評価はというと……単勝303.3倍のブービー17番人気。父モズアスコットは2000mの実績ほぼゼロだし、前走で負かした相手が勝ち上がったわけでもなかったため、ほとんど単なる記念出走としか見られていなかった。しかしこのレースでファウストラーゼンは競馬ファンに強烈な印象を与えることになる。
スタート直後、序盤の位置取り争いで挟まれてしまい、最後方からになってしまったファウストラーゼン。しかしこの馬にはスタミナがあると見た杉原騎手は思い切った策に出た。向こう正面に入り、先頭が1000mを通過する頃、なんとそこから仕掛けたのである。最後方から大外を捲って一気に進出、逃げていたジュンアサヒソラから先頭を奪って直線へ。好位にいたクロワデュノールにはあっさりかわされ、ジョバンニにも残り50mあたりで捕まったものの、そのまましぶとく後続を振り切って3着に粘り込んだ。
クロワデュノールが来年のクラシック三冠の本命という評価を固めた一方で、単勝300倍超の大穴の奇策激走にはみんなびっくり。グレード制以降のGⅠで単勝300倍以上の馬が馬券に絡んだのは、1989年エリザベス女王杯1着のサンドピアリス、2019年高松宮記念3着のショウナンアンセムに次いで史上3頭目。断然人気が順当に勝ったにもかかわらず、三連複は14万500円、三連単は29万3380円。2着ジョバンニ(6番人気)とのワイドはGⅠ歴代7位の47860円もついた。
3歳(2025年)
明けて3歳はクラシックを目指し、引き続き杉原騎手と優先出走権を取りに弥生賞ディープインパクト記念(GⅡ)に参戦。重賞馬不在の顔ぶれとなり、朝日杯FS2着のミュージアムマイル、2戦2勝のヴィンセンシオ・ナグルファル、ホープフルS4着で若駒Sを勝ってきた3億円ホースのジュタなどが人気を集める中、ファウストラーゼンは前走はあくまでフロックと思われたか、16.9倍の7番人気に留まった。
前日の雪で稍重となったレース、今回もファウストラーゼンはスタートで少しよろけてしまい出負けして後方から。2番人気ヴィンセンシオが逃げる形になる中、杉原騎手は前走同様、向こう正面に入ったところで一気に仕掛けた。大外を一気に捲って先頭に立つと、内に切れ込んで経済コースを通りつつ、後ろを離して直線へ。後続が稍重の馬場に脚を取られて伸びあぐねる中、ヴィンセンシオに一度は並びかけられるが、そこからファウストラーゼンは内ラチ沿いで二枚腰を発揮。食い下がるヴィンセンシオをクビ差振り切ってゴール板へと駆け込んだ。
フジテレビ倉田大誠アナの「皐月に向けてファウストラーゼン!ホープフルステークスの強さはフロックでもなんでもない!」の実況通り、向こう正面大捲りで粘りきるタフさで重賞初制覇。モズアスコット産駒、宮崎オーナーは嬉しい重賞初勝利[1]。デビュー15年目の杉原誠人騎手は重賞5勝目、同年の小倉牝馬Sに続きキャリア初の年間重賞2勝目となった。
というわけでクラシック初騎乗の杉原騎手とともに迎えた皐月賞(GⅠ)。クロワデュノール1強ムードの中、8枠17番となったファウストラーゼンは39.8倍の8番人気。Cコース替わりで高速馬場となりペースが流れると予想される中、果たして捲ってくるのかどうかが展開予想のひとつのポイントとなった。
レースはやっぱり出負けしてスタートは最後方。ピコチャンブラックが逃げ、2ハロン目10秒2と流れる展開となる中、この日の中山は向こう正面で強い向かい風が吹いていたということもあってか、杉原誠人とファウストラーゼンは2コーナーから早くも進出開始。大外を一気に捲って先頭に取り付いていく。大歓声が上がる中、これに釣られてアロヒアリイやドラゴンブーストも上がって行き、好位につけていたクロワデュノールは内に押し込められ、前が固まったため外に出して早めに動いていく。
向かい風で本来は緩むはずの向こう正面がこの捲りで緩まず、後半5ハロンが全て11秒台、5F57秒7は86年以降の中山2000mで最速という先行馬には過酷な展開に。ファウストラーゼンは力尽きたピコチャンブラックをかわして先頭で直線を迎えたが、さすがに自身も残り200mで力尽き、あとは後続に呑まれて15着。勝ち筋に賭けて自分の競馬をやるだけはやったと見るか、いくらなんでも捲りが早すぎて勝ち筋も何もない無茶な騎乗と見るか、競馬ファンの間でも評価が分かれた。
続いて二冠目の日本ダービー(GⅠ)へ。鞍上はスワーヴリチャードの大阪杯など早仕掛けの捲りに定評のあるミルコ・デムーロに乗り替わり。陣営はブリンカーをチークピーシーズに変更して送り出した。85.2倍の13番人気と馬券人気はまあさておき、逃げ馬不在でペース予想が難しい中、彼の捲りが今回も展開の鍵を握る……と思われた。
ところがスタートからデムーロがぐいぐい促しても全くハミを取らず、ぽつんと離された最後方。デムーロは向こう正面で捲りを仕掛けようとしたそうだが、そこでも全く反応せず、もちろん直線でも反応がないまま、ただ一番後ろをぐるっと回ってきただけの最下位18着に撃沈。前2走の捲りの疲れなのか、チークピーシーズへの変更が完全な逆効果だったのか、あるいは杉原じゃないとわからないスイッチでもあるのか(平安Sのテリオスベル?)、いずれにしてもいささか不可解な内容での敗戦となってしまった。
血統表
*モズアスコット 2014 栗毛 |
Frankel 2008 鹿毛 |
Galileo | Sadler's Wells |
Urban Sea | |||
Kind | *デインヒル | ||
Rainbow Lake | |||
India 2003 栗毛 |
*ヘネシー | Storm Cat | |
Island Kitty | |||
Misty Hour | Miswaki | ||
Our Tina Marie | |||
ペイシャフェリス 2011 鹿毛 FNo.8-i |
スペシャルウィーク 1995 黒鹿毛 |
*サンデーサイレンス | Halo |
Wishing Well | |||
キャンペンガール | マルゼンスキー | ||
レディーシラオキ | |||
*プレザントケイプ 2006 鹿毛 |
Cape Cross | Green Desert | |
Park Appeal | |||
Felicity | Selkirk | ||
Las Flores |
クロス:Miswaki 5×4(9.38%)、Sadler's Wells 4×5(9.38%)、Nijinsky 5×5(6.25%)、Danzig 5×5(6.25%)
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脚注
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