セガ・マスターシステムは、セガが1987年10月に発売した8ビットゲーム機。
概要
元々はセガ・マークIIIの海外仕様本体としてカセットのスロット及び筐体の形状を変更して発売されたもの。
1987年にマークIIIにFM音源ユニットが発売されたのを契機にマイナーチェンジ版として、マークIIIにFM音源ユニットと連射機能、3Dグラス端子を搭載し、筐体の形状を海外仕様にしたものが日本国内版のマスターシステムである(上位互換機ではなく、あくまでマークIIIのモデルチェンジ版)。
家庭用ゲームハード初のFM音源内蔵ハード。マスターシステムに搭載されたFM音源は2オペレータで、アーケードと比べたら性能の落ちるものだった。このFM音源を十分に生かし切ることが出来ずにBGMの音質がPSGとたいして変わらなかったり、PSGよりも出来が悪いものも少なからずもあった。だが、今までのPSG音源に比べて非常に音質が良いサウンドは、セガユーザーに大きな衝撃を与えることとなった。特にマスターシステムの警告画面で聴けるスペースハリアーのテーマは、FM音源に加えて通常同時に使用されないPSG音源の合奏で豪華なアレンジになっていたために、この警告画面を延々と見続けた人も多いだろう。ただし、FM音源を内蔵しているために、FM音源対応ゲームの場合はマスターシステムではPSG音源版を聴くことが出来なかった*1。マスターシステムで使われたFM音源は後にMSXやパチスロでも使われることになる。
コントローラーの質は劣悪で、横を入力しても斜めに認識されるような有様であり、コマンド入力でさえもまともにできなかった。
また、方向ボタン中央にミニスティックを取り付けることも出来るが、安っぽいプラスチック製のスティックは、操作性を更に悪化させるだけだったようだ。
唯一の救いとして、メガドライブのコントローラーを使うことが出来る。
ちなみに、メガドライブのコントローラーを使用する場合は、メガドライブのBボタンがマスターシステムの1ボタンに、Cボタンが2ボタンに対応する。メガドライブのSTARTボタンはポーズボタンにはもちろん対応しないので注意が必要*2。
このマスターシステムでもセガ・マークIIIと同じく前世代ハードのSG-1000と互換性があり、パレットの関係上色がSG-1000で稼働させた時と比べて薄暗い色にはなるがプレイすることが出来る*3。マークIII以前は基本入手困難であるので、SG-1000のソフトをプレイしたくなったら、このマスターシステムを購入するのが一番手っ取り早いのかもしれない。
日本国内では翌年にメガドライブの登場もあって早々とソフト供給を停止してしまったが、海外ではメガドライブ発売後も1997年頃までソフト供給を続けており、特にヨーロッパとブラジルではファミコン並の人気を得たといわれている。そのため、海外ではMASTER SYSTEM IIと呼ばれる小型化された廉価版の機種が登場している*4,5。
一部のコレクション系ソフト & レトロゲーム配信サービス(SEGA AGES 2500など)では、国内版のソフトをマークIII用ソフト、海外版のソフトをマスターシステム用ソフトとして表記することがある。ちなみに、国内版と海外版のマスターシステムには端子の互換性がなく、海外のソフトで遊ぶ場合は、非正規のアダプターが必要になる。
マークIII及びマスターシステムのソフトの一部はWiiのバーチャルコンソールにて配信されている。価格は500〜600Wiiポイント。
*1 但し、アレスタなどの一部のゲームではソフト側でPSG音源仕様の曲を選ぶことができる裏技が搭載されている。
*2 マスターシステム以前のセガハードのポーズボタンは、本体に付いている。
*3 参考資料「SG-1000ソフトの発色の違い」を参照
*4 ファミコンでいうニューファミコンのようなもの。ちなみにMS2は、ニューファミとは逆にRF出力にしか対応していない。
*5 日本の裏側のブラジルでは、未だにマスターシステムがソフト一体型ではあるが「Master System Evolution」として発売されていたりする。
仕様(国内版)
CPU | Z80A(4Mhz・公称) | |
メモリ | ROM | 8KB |
RAM | 8KB/VIDEO RAM 16KB | |
サウンド | FM音源部(YM2413) | 9和音またはメロディ6音+リズム5音 |
PSG部 | 3和音 1ノイズ | |
表示能力 | VDP | セガ カスタムIC(315-5124) |
解像度 | 256×192ドット | |
カラー | 64色中32色同時発色可能 | |
BG | 8×8ドット最大448種類 1ドットにつき16色設定可能 | |
スプライト | 8×8ドット最大256種類 1ドットにつき16色設定可能 8×8ドット or 8×16ドット 最大64個まで同時表示可能 |
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映像出力 | ビデオ出力&RF出力&RGB出力 | |
コントロール端子 | 2ヶ所(メガドライブのコントローラーも使用可) | |
ポーズ機能 | 本体のポーズボタンにてゲームの一時停止、再開が可能 | |
連射機能 | 本体のラピットボタンにてON、OFF可能 | |
3ーD機能 | 3ーDグラス直接取り付け可 | |
スロット | カートリッジ、カード、拡張、各1ヶ所 | |
電源 | DC9V | |
外形寸法 | 365(W)×170(D)×70(H)/mm |
参考資料
ソフトの特徴
セガ・マスターシステム及び、マークIIIで発売されたソフト(国内)は全83本。スペースハリアーやファンタジーゾーンからの印象でどちらかというとアーケードからの移植作品の方が大半を占めていると思われるが、実際はアーケード移植よりもオリジナル作品の方が多い。発売されたソフトの半分以上がオリジナル作品である。
いわゆる体感ゲームからの移植は、ハングオンとスペースハリアーは比較的良移植だったのに対し、アウトランは肝心のVGMの出来が、アフターバーナーとサンダーブレードはゲーム性の出来があまり良くないためにいわゆる無茶移植の代名詞として語られることが多い。そして、自社ゲームのゲームに関しても微妙な出来の移植が多かった。ただ、セガゲー以外の移植となるとそのほとんどが良移植で評判が良い。例を挙げると「覇邪の封印」や「R-TYPE」などがある。(これはSG-1000の時代からも当てはまる)*1
ジャンルとしてはアクション&シューティングが圧倒的多数を占め、当時人気を得ていたRPGは、「覇邪の封印」と「ファンタシースター」、「ロードオブソード」と「イース」、そして「魔王ゴルベリアス」と5作品しか発売されていない。(SG-1000のザ・ブラックオニキスを含めても6作)セガハードにはアクションゲームが多いという印象はここで生まれたのかもしれない。
国内では前述の通り次世代機のメガドライブが発売されたために89年初頭で供給がストップした。だが日本国外ではメガドライブ発売後もマスターシステムソフトの販売が続けられた。その理由の一つには、ハードを簡単に買い替えられない貧困層が多いからだと言われている。なので、メガドライブソフトの廉価版としてマスターシステム版が出されたという事情がある。日本国外のマスターシステムのソフトラインナップはメガドライブからの移植版、ゲームギア発売後はゲームギアからのコンバート物が多く占めていた。それに加えて、国内ではサリオ(テクモ)だけとたった1社しか付かなかったサードパーティーが、海外では複数付いたこともあって、一応ソフト面では海外マスターシステムは比較的充実している。もちろん、日本ではメガドライブとゲームギアでしか発売されなかったソニック・ザ・ヘッジホッグもマスターシステム用としても発売されている*2。
*1 マスターシステムにはサードパーティーがサリオ(テクモ)1社しか参入しなかったが、セガが発売担当としてセガ以外のゲームが移植・発売されたことはわりかしある。但し、SG-1000時代の方が本数としては多い。
*2 マスターシステム版を移植したのがゲームギア版
移植元別 ラインナップ
■ サード(サリオ)発売 ■ ACへの逆移植が存在 ■ テレビなどのタイアップ物
* 赤い光弾ジリオンはImpossible Missionのキャラ替え移植という話もあるが、このラインナップ表ではセガオリジナル作品として扱う
* め組レスキューは移植元のAC版が発売中止となっているが、このラインナップ表では他社アーケード移植作品として扱う
* ボンバーレイドはソニックブームが元になっているという話もあるが、このラインナップ表ではセガオリジナル作品として扱う
* エンデューロレーサーやあうあーあーあーは果たしてアーケードからの移植なのかどうかは(ry
参考資料 [セガハード大百科] セガマーク3/マスターシステム対応ソフトウェア
代表ソフト
- ファンタジーゾーン 後発のファミコン版には移植度では劣るが、ゲーム性はしっかりファンタジーゾーン。
- 北斗の拳
- スペースハリアー 枠付きではあったが、ゲーム性が見事に再現された作品
- アレックスキッドのミラクルワールド マリオの対抗馬を狙って作られた良作
- アフターバーナー(通称あうあーあーあー) 4メガの凄さをある意味見せつけた作品
- ファンタシースター
海外
小ネタ
- ソフトを差さずに起動すると、スペースハリアーをイメージした警告画面と共にスペースハリアーのテーマが流れる
- マスターシステムでは、マークIII以前に取り付けられていたキーボード接続のための拡張端子が取り除かれているために、SGシリーズの全てのソフトを遊ぶことが出来ない。
- 海外のみで発売されたソフトでも、国内版につなげばFM音源版を聴くことが出来る作品もある。
- 欧米各国で発売されたマスターシステムは日本で発売されたマスターシステムというよりもマークIIIに近いが、韓国で発売されたマスターシステムは、日本版からFM音源だけを取り除いたものでカセット端子も日本版と同一だったりする。
- 日本版の外箱はカセット容量がでかでかと表示され、金色が目立つ小さな紙箱であったが、海外版の外箱はマスターシステムの本体外箱のデザインを引き継いだメガドラのケースと同じ大きさのプラスチックケースになっている。
参考資料
SG-1000ソフトの発色の違い
SG-1000 | マスターシステム |
今遊ぶためには
マークIIIやマスターシステムのゲームソフトを今プレイする方法で最も簡単に出来る方法は、WiiのバーチャルコンソールとPS2で販売されていたSEGA AGES 2500で移植されたマスターシステムソフトを購入することである。実機と比べて入手がしやすく、動作環境も揃えやすい。
もちろん、マスターシステムの全てのゲームがバーチャルコンソール及びSEGA AGES 2500には収録されている訳ではないので、もし実機で動かせる環境を手に入れたいなら、「メガアダプタ」またはマスターシステム本体の購入をお勧めしたい。
メガアダプタの場合、FM音源は鳴らないが比較的お安く手に入れられるので、メガドライブを持っているならば一考の余地がある。但し、SG-1000のソフトがVDPの関係上で画面が表示されない(音だけは鳴る)のに加え、正常動作しないソフトもあるので注意が必要。
マスターシステムは値段はやや高価ではあるものの、FM音源サウンドを体験できるのに加えて、意外と市場に出回っているので比較的購入しやすいかもしれない。マークIIIに関しては、メガドライブのコントローラーを(無改造では)流用出来ないのと、FM音源ユニットが入手困難なことからあまりお勧めできない。
関連動画
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関連商品
関連項目
外部リンク
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