ミュータントタートルズとは、突然変異で擬人化した4人組の亀の戦隊ヒーローである。
原作はケヴィン・イーストマンとピーター・レアードによるアメコミ。
正式名称は『ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ』(Teenage Mutant Ninja Turtles, TMNT)で、海外ではニンジャ・タートルズ(Ninja Turtles)の略称の方が一般的。
概要
合言葉は「カワバンガ!」
(あるいは「タートル・パワー!」「ブヤカシャー」など)
薬品による突然変異でヒューマノイドになってしまった4人の亀人間が、暗躍する謎の悪の組織と戦う物語。
元々は1984年に他のアメコミやカートゥーンのパロディ的な作品として自費出版されたもの。ティーンエイジ(10代)という海外のヒーロー物には珍しい設定やヒーローらしからぬコミカルな造形やらニンジャ要素やらで人気を博し、さまざまな出版社から出版され、アクションフィギュア、ゲーム、TVアニメ、実写映画などがヒットした。
原作
フット団(Foot Clan)に所属していた忍者「ハマト・ヨシ」と「オロク・ナギ」は、タン・シェン(唐慎)という一人の女性を巡って対立していた!しかし、シェンは既にヨシを愛していた!
ある日、愛に狂ったナギはシェンに自分を愛するよう詰め寄った。しかし、シェンは決して応じない。怒りに燃えたナギはシェンを殺そうとするが、そこに現れたヨシは勢い余ってナギを殺害してしまう。後悔の念を抱きながらも、ヨシはシェンと飼っていたネズミを連れてニューヨークへと逃避した。
ナギには、オロク・サキという幼い弟がいた。サキは兄を殺したヨシに対して憎悪を燃やし、それを果たそうとするために修行に励んだ。
成長し、やがて組織の中でも屈指の暗殺者となった彼は、フット団ニューヨーク支部の長に任命された。これを好機を見たサキは、わずか1年で支部を掌握。フット団ニューヨーク支部は、やがて闇社会に足をを踏み入れるようになった。
闇社会で大成功を収め、シュレッダーと呼ばれるようになったサキは、燃やし続けてきた復讐をついに遂げることを決意した。シュレッダーは、まずナギを愛に狂わせたシェンを殺し、そして何も知らず戻ってきた本当の仇であるヨシも続けて殺害した。こうしてシュレッダーの復讐は達成されたのである。
この騒動の中、ヨシが飼っていたネズミ・スプリンターの檻は破壊されていた。自由となったスプリンターは、飼い主を失った悲しみに打ちひしがれていた。スプリンターはヨシとともに暮らしていた時、その技を見て真似ているうちに忍術を身につけていた。つまりヨシはスプリンターにとって、師でもあったのだ。
そんな中、スプリンターは偶然トラックから落下し、排水溝に落ちてきた4匹の幼い亀と遭遇する。彼等の近くには一本のコーヒー缶が落ちていた。ネズミはその缶の中に4匹の子亀を入れて連れ帰った。
翌朝、スプリンターは驚愕した。あの子亀達はコーヒー缶は破るほど、驚くべき成長を遂げていたのだ。そして時を同じくして、スプリンターの身体にも変化が訪れていた。
子亀達は1年の間にみるみるうちに成長した。人間大となった彼等は、今度は知性を身につけて人語を喋るようになり、さらには二本足で立つまでになった。スプリンターだけはそこまで早く成長することは出来なかったが、彼もまた人間のような知性を得て、人間のような体つきに変貌していった。
すっかり人間みたいになった亀達は、スプリンターの動きを真似るようになったので、どんどん成長する彼等を見たスプリンターは、4匹にヨシから受け継いだ技を伝え、世界の知識を教えるなどして鍛え込んだ。
こうして4匹の亀達は立派な忍者へと成長した。しかし、スプリンターの身体は既に老いさらばえ、緩やかに死を待つだけとなっていた。ある時、4人の息子にスプリンターは自分の過去を伝えた。そして、自分がやり遺したことを4人に託すことにした。
と、このように復讐が復讐を呼ぶものすごいハードな物語になっている。カワバンガーなんて言ってる場合じゃない。
余談だが、コミックにおけるタートルズの鉢巻の色は全員赤であり、外見上で区別出来るかはかなり微妙だったりする。
こまけぇこたぁいいんだよ!カワバンガー!
と、そんなハードな原作はともかく、やはり日本のおいて有名なのはファミリー向けのアニメ版である。日本におけるアニメ視聴者に馴染みあるものと言えば、主にテレビ東京版(93年~96年)の旧亀と2003年の新亀だろう。最近だと2012年のニック亀も。
かわいい感じでピザをもちゃもちゃ食べてるのが旧亀。ガチムチな方が新亀。3DCGで表情豊かなのがニック亀。
ちなみに原産国であるアメリカでは旧亀と新亀が共演した胸熱な特別編が放送された。
(ちなみにこれには先に記した原作版も出演している)。
しかし、現在日本では旧、新、ニックとアニメシリーズがDVD化などされておらず、(旧のみVHSが存在。また劇場版1作目もVHSのみ)タートルズファンは今日もミュータジェンで枕を濡らすのであった。
そんな中の2023年、コミックス『ミュータントタートルズ:TVアドベンチャー』が日本リリース。こちらは何とテレ東準拠の台詞回しに翻訳されたファン待望の一冊。「サワキちゃんが帰ってきた!」という反応が往来のタートルズファンを沸かせたのであった。
1987年版(旧亀・クラシック版)
米国において1987年からシーズン10(全194話)まで作られた長寿TVアニメシリーズ。設定は原作より相当マイルドにアレンジされた。ファンからは「旧亀」「クラシック版」とも呼ばれる。
日本語版では、BS2版、テレビ東京版、東和ビデオ版などが存在し、それぞれキャストが異なる。実は日本では全エピソードが放送されたことがなく、後述するもっとも人気を得たテレビ東京版がようやく大体半分のエピソードを放映完了したに過ぎない。
実際それは正解だったと言える。タートルズはシーズンの区切りごとに毎度毎度作風が代わり、シリアスになったりコメディ過多になったりあっちこっちと迷走する。シーズン後半からは今までの展開はなんだったのかと言うくらいコメディ要素を削られたアクション重視のシリアス路線となる。
特にシーズン8からのレッドスカイシーズンと呼ばれ、もはやコメディ要素は欠片もなくなってしまう。
マイルドだったタートルズ達のデザインが当時の実写映画に近いものに変更されたことに始まり、タートルズがチャンネル6から悪者扱いされ世間から嫌われる(ちなみにチャンネル6は後に壊れる)、タートルズ達が人間達に誹謗中傷を受けながら心身ともに傷つきながら戦う、あげくにタートルズがパワーアップ要素として化け物に変身するなど、日本ではまずウケない内容となっている。また、シーズン9の最後でクランゲ一味はとうとうお役御免となる。
ニコニコ的に例えるなら、レッドスカイシーズンはビーストウォーズリターンズといったところか。
この路線は結局大衆にはウケなかったが、原作のようなハードさが加わったことで旧来のファンからは歓迎され、原作派と旧亀派のファンとの間で賛否両論分かれているようだ。
しかし大衆には勝てず、後のタートルズフォーエバーで採用されたのは中期のコメディ路線のタートルズ達であった。
テレビ東京版(93年~96年)
93年10月6日~96年放送。旧版では唯一、地上波で放送されたタートルズである。岩浪美和が脚色を担当したシリーズ。新旧問わず、ある意味もっとも成功した吹き替え版である。
当初はこのタートルズの日本輸入はタカラトミーすらまったく成功の期待されておらず、EDに至ってはOPのインストゥルメンタル版が淡々と流れるだけだった。
しかし声優陣の自由気ままなアドリブや、日本人向けの親しみあるキャラクター付けによって、このシリーズは予想外の大反響を呼ぶようになった。
成功した、という証拠として途中からタイアップとして日本独自のEDテーマが付くようになり、CMでは日本の住宅街の中をミケランジェロがご近所の皆さんに拡声器でキャンペーンを訴えかけるものが製作されている。
投げやりなスタートだった番組の待遇が大きく向上したというだけでも、本作が異例の成功を収めたことがわかる。しかし本作は東和ビデオ版やBS版と違って地上波であり、放送上においてはとても恵まれた環境であったことも考慮しなくてはならない。
アドリブに関しては賛否両論いろいろあるが、少なくとも当時の子供達の多くには、強い支持を受けていたことは間違いない。
シュレッダーを見て「サワキちゃん」と呼ぶ人は間違いなくこれを見ていた世代である。
2003年版(新亀)
米国フォックス放送内の4KIDSTV(旧:Fox Box)にて放送され、シーズン7からCWテレビジョンネットワークで放送。1987年版とは作風やキャラクターデザインが大幅に異なり、比較的原作に忠実。キャラクターの等身が上がり、タートルズは鉢巻きをしている間瞳から黒目がなくなった。スプリンターは老齢。シュレッダーも冷徹な悪役となっている。
日本では2007年4月2日から2008年3月31日まで、テレビ東京系にて毎週月曜夕方6:00(アニメ530枠後半)から放送していたが、全話放送には至らずシーズン2までの全52話で終了となった。日本語版では旧シリーズと同じテレビ局のためか、脚色による独自のギャグやアドリブが多く旧亀同様かなり遊んでいる。ただし岩浪美和はノータッチ。
日本未放送分のシーズン3以降では、ドナテロがパラレル鬱未来に飛ばされ、おっさんとなったガイズ達と一緒に戦ったり(season3-73話『Same As It Never Was』)、ドラゴンに変身したり(season5)、99年後の未来へタイムスリップしてエイプリルとケイシーの曾孫と一緒に戦ったり(season6=FAST FOWARD(通称:FF)=2006年版)したりする。追記求む。
TMNT(映画)
2003年版のキャラクターとストーリーを基に構成され、新亀の世界から2年後のシュレッダーが倒された後の話となっている。全編フルCG。吹き替えは2007年に日本放送された新亀と同じ声優陣が担当している。
2012年版(ニック亀・ニッ亀・肉亀)
4KIDSTV(旧:Fox Box)とMirage Studiosから権利を取得し、現在ニコロデオンで放送中の新シリーズ。日本ではテレビ東京系列においてはだいぶ離れた2014年4月4日から9月26日までseason1を毎週金曜日朝に放送していた。
今までのアニメシリーズとは異なり、フルCGアニメーションとなっている。その為デザインが今までと大きく異なっている。ガイズの足の指が2本から3本に増えたり。ちなみにファンに指摘されるまで気づかなかったらしい。
設定・ストーリーともにオリジナルであり、エイプリルが今までのお姉さんタイプから普通の子供になっていたり、ミケランジェロとドナテロの武器が若干変わっている。
また、カワバンガ!の決め台詞はブヤカシャー!に変わっている。
マイケル・ベイ版(新実写亀)
これまでの映画との関連はない独立した作品として製作。 制作はマイケル・ベイ率いるプラチナム・デューンズが行い、北米での配給はパラマウント映画が担当した。
2014年8月8日に北米での劇場公開が行われた。日本では当初2014年12月19日を予定していたが、2015年2月7日に延期となった。
好評を受け、パラマウントは続篇の制作を決定し、2016年6月3日に公開することを明らかにした。
キャラクター紹介
ここでは主に日本の地上波で放映されたものを中心に紹介する。大体のシリーズでの亀の名前は、スプリンターが排水溝に捨てられていたルネッサンスの芸術本を読んだことがキッカケで、その内容にちなんで付けられた。
本来のタートルズ達の目の瞳は鉢巻ごしにしか見えず、常に白目で少々怖い感じもするが、作品によってはシリアスなシーン以外では普通に目に瞳が写っていることが多く、コミカルな姿を見ることが出来る。2014年放送のタートルズのCMで見受けられるフィギュア版では原作に忠実で白目となっている。
好物は4人ともピザで、寿司が嫌い。作品によっては普通に寿司を食べていたことも。
- レオナルド (Leonardo)
タートルズのリーダー。ハチマキのカラーは青。二刀流の使い手。
(旧テレ東版)声優は中村大樹。比較的常識人なためか、ちょっと影が薄い。が、アドリブ率は多い。テクノドロームに帰還するフット団を指して「実家に帰る」という。愛称はレオちゃん(Leo)。
(新亀)声優は柿原徹也。人一倍真面目て努力家。責任感が強く、生真面目。愛称はレオ。
(ニック亀) 声優は関智一。劇中アニメ「スペースヒーローズ」の大ファン。敵のカライが気になるお年頃。 - ラファエロ (Raphael)
ハチマキのカラーは赤。武器はサイ(釵・日本の十手のような形)。アメリカで赤いキャラと言えばド短気なキャラが多いが、ラファエロも例外ではない。ただしクラシック版だけはシニカルなお調子者という設定である。
(旧テレ東版)声優は柴本浩行。アドリブで自分の息子の名前を呼んだことも。タートルズの中ではアドリブ率高め。愛称はラファちゃん(Raph)。
(新亀)声優は宮下栄治。タートルズの斬り込み隊長。自他共に認める短気で喧嘩っ早い。戦うことが大好きで戦闘の際見せる笑顔はかなり凶悪だったりする。人一倍家族思いで涙もろい面もあるツンデレ。タートルバイクを乗り回す亀界のAKIRA。愛称はラフ。
(ニック亀)声優は伊藤健太郎。腹甲が大きく欠けているのが特徴。ペットにスパイクという亀を飼っている。 - ミケランジェロ (Michelangelo)
ハチマキのカラーは橙。武器はヌンチャク。大食いで一番ピザを食べている男。タートルズの代名詞「カワバンガ!」(Cowabunga! 「びっくりしたぁ!」とか「こりゃあすごいっ!」とかいう意味合いの間投詞)が口癖のメンバーの「ムードメーカー」的な存在。愛称はミケちゃん(Mike, Mikey)。
(旧テレ東版)声優は桜井敏治。愛嬌のある声が特徴で、日本独自のCMでもご近所の皆さんにキャンペーンの呼びかけをしていた。
(新亀)声優は勝杏里。スポーツ万能のお調子者でチームのムードメーカー。ゲーム・マンガ・スケボー・食べることが大好き。末っ子気質。愛称はミケ・ミケちゃん・マイキー。
(ニック亀)声優は山口勝平。ブヤカシャー!(Booyakasha!)の考案者。その言葉の詳細は外部リンクにて。 - ドナテロ (Donatello)
ハチマキのカラーは紫。武器は棒。すきっ歯な頭脳派で力押しのメンバー中心のタートルズを勝利に導く存在。
(旧テレ東版)声優は宇垣秀成。レオナルドよりも常識人のためツッコミ役が多く、はっちゃけっぷりは他のメンバーほどは見られない。勿論当社比ではあるが・・・。後の新シュレッダーである。愛称はドナちゃん(Don, Donnie)。
(新亀)声優はうえだゆうじ。タートルズの発明家。タートルズが使う武器や乗り物は大体彼が発明・修理している。メンバーの中では一番大人しい性格かと思ったらサドニーだったりする。個人エピソードでは暗くて重い話が重なる。あとちょうちょ。愛称はドニー。
(ニック亀)声優は土田大。前歯が一本抜けた「ひょろひょろじゃない!僕は細マッチョだ!」エイプリルにべた惚れ。 - スプリンター (Splinter)
タートルズの師匠。胴着を着たネズミ。周囲からは先生(Master)と呼ばれる。
(旧テレ東版)声優は梅津秀行。真面目な役なためはっちゃけは少ないが時折羽目を外す。ハマト・ヨシ本人。
(新亀)声優は樫井笙人。語尾にでちゅとかつけちゃうお茶目な先生。ハマト・ヨシのペット。
(ニック亀)声優は菅生隆之。シリーズの中で一番高身長。操られてガイズに牙をむいたことも。ハマト・ヨシ本人。
原作→旧→新→ニック→新劇場とペットと本人が交互に来ているため次のシリーズは本人の可能性。 - エイプリル・オニール (April O'Neil)
タートルズを支えるヒロイン。登場する作品によってデザインや設定がころころ変わる印象の定まらない人。
旧亀では黄色いツナギ姿のグラマーな女性で、TV局の突撃リポーター(レッドスカイシーズンではジャーナリスト)。新亀では原作と同じくラフな格好の科学者である。ニック亀ではタートルズと知り合った普通の高校生に。
(旧テレ東版)声優は篠原恵美。アドリブは少なめであるが、篠原恵美女史の色っぽい演技が冴えまくっている。というか作品全体に女っ気が薄いせいもあり一々エロい。 - サワキちゃんシュレッダー (Shredder)
タートルズを代表するヴィラン。フット団アメリカ支部のリーダー。タートルズ打倒に燃える。
(旧テレ東版)声優は梁田清之。通称サワキちゃん(原作のサキに相当)。アドリブ率が多く、苦労人気質でより憎めないキャラに。新亀とのギャップがすごい。 - タコクランゲ皇帝 (Krang)
ディメンションXの帝王。ここから下の三名は1987年のみの登場。シュレッダーとは同盟関係にあるが基本的には上司である。脳みそだけの化物で、普段は有人操作式の人間ボディにいる。
(旧テレ東版)声優は梅津秀行。スプリンターと同じ人とは思えないほどやかましい甲高い声。おネェ言葉。 - バカサイロックステディ (Rocksteady)
サイのミュータント、シュレッダーの間抜けな子分。足が臭い。
(旧テレ東版)声優は中村秀利。行動的だがマヌケなバカ。美味しい立ち位置であるためか中の人のアドリブも多い。 - イボブタビーバップ (Bebop)
イボイノシシのミュータント。シュレッダーの間抜けな子分。行動力がなくのんびり屋。
(旧テレ東版)声優は三木眞一郎。頭の回転が悪い呑気なバカ。イケメンキャラを演じるミキシンしか知らないファン諸君が聞いたら卒倒するようなピザ声で、「ブヒヒ」が口癖。豚の鳴き声を真似することも。
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