概要
主演、脚本のシルヴェスター・スタローン、監督のジョン・G・アヴィルドセンを一気に世界的なスターダムにのし上げた映画史に残る傑作のひとつ。
もはやあらすじは有名すぎるぐらいに有名だが、一応未見の人のために書いておくと、フィラデルフィアの三流ボクサーのロッキー・バルボアが、ある日世界王者のアポロ・クリードに「無名選手に挑戦権を与える」という話題性重視の興業の相手に抜擢され、周囲の人々の協力を経て人生を賭けた試合に臨む、というもの。つか、気になったら観てみた方が早い。今だとDVDも安いし、動画サイトで配信されてるし、大体どこのレンタルビデオ屋にも置いてあるし、2時間ぐらいで割と面白いのでオススメである。
この映画が公開されるまで、スタローンはまさしく劇中のロッキーそのものの暮らしをしており、ある日モハメド・アリVSチャック・ウェプナーの試合を観て、「たとえ無敵のチャンピオンに挑んでその結果が得られなかったとしても、その王者を極限まで追い詰めた男であれば、リングの上で永遠に称えられる」という、その試合から得られたアイデアを基に脚本を執筆、いくつかのプロダクションに持ち込んで、自分が主演することと、低予算で撮る事を条件に撮影が開始された。
低予算ゆえに、映画撮影と思われていなかったことも多々あったらしく、ロードワークシーンではスタローンを本物のボクサーと勘違いしてリンゴを渡す店主などがそのまま映っている。また、エキストラはフライドチキンを配布するというチラシで募集したが、統制がなかなか取れず、チキンを食い終わって帰ろうとする人が多々現れたため、必死に引き止めたという(このため、予定していたラストのロッキーを称えて観客が担ぎ上げ胴上げするというシーンが撮れなかった。結果、印象的なラストにはなったわけだが・・・)
このほか、映画音楽も高い評価を得た。「ロッキーのテーマ」として知られる主題歌「Gonna Fly Now」は、スポーツ番組やバラエティでここぞと気合を入れる場面のBGM、あるいは高校野球などの観客席ブラスバンドのレパートリーとしておなじみとなった。当然、実際のボクシングにおいても入場曲に使う選手が後を絶たない。また、試合後の場面で流れる「The Final Bell」も、やはりテレビなどで感動のシーンを盛り上げるのによく使われる(定番すぎるせいで、「名場面でもなんでもないところで無駄に流す」というギャグに使われることもあるが)。
ロッキーシリーズのその後
本作の大ヒットで、それまで無名俳優だったスタローンはこの映画のロッキーと同じようにアクション俳優の草分けとして大ブレイクする。さらに82年には『ランボー』シリーズも大当たりし、21世紀になっても続編が作られている。この後に『ロッキー』シリーズの続編も5本作られたが、シリーズが進むにつれて、この作品の本来のテーマである「たとえ無名でも人々の記憶に残り続けるボクサー」という部分が希薄になっていったのは残念な次第である(このあたりは、戦争体験による兵士の被害というテーマが薄れていった『ランボー』シリーズにも共通しているのだが・・・ スタローン映画ならしょうがない)。
と言う評価がすっかり板につき、懐かしの老筋肉俳優として余生を過ごすのかと思われていたスタローンだったが…。 2000年代中期からの「ロッキー・ザ・ファイナル(RockyBalboa)」、「ランボー 最後の戦場(Rambo)」では、現実感に乏しいヒーロー路線は影を潜め、衰退し二極化するアメリカや、国際協調と平和主義が謳われる影で繰り返される過酷な虐殺の現実と国際社会の無力さに、誠実な映画人として深く真摯に向き合った作品内容となっている。その過酷な現実に、スタローン自身の衰えた心や肉体を重ねつつも、敢えて立ち向かう男の勇気とあり方を見事に描ききり、 シリーズの原点に立ち返るに留まらず、より強固なメッセージを加える事に成功した。
2022年8月19日にロッキー4を再構築した映画「ロッキーVSドラゴ」が上映された。
未公開映像42分を追加や演出の変更や無駄なシーンのカット(主に家政婦ロボットとか)を行い、アポロやドラゴのキャラを引き立たせた。メッセージ性を強めたこの映画は、公開前前夜祭では声役を演じた羽佐間道夫や松金よね子らも駆けつけて、当時の話やスタローンとの対談を断った話など数々の話を行った。
小規模上映ながらも興行収入は5000万に迫る程の人気で、動画などを含めたレビューでの感想は概ね高評価を得ている。ロッキー好きな関根勤や赤井英和らも称賛の声を上げ、感想を熱く語っていた。スタローン自身も編集にあたり当時の事を振り返り「今だったらアポロは死なせはしない」と語っている。
そして次世代へ
ザ・ファイナルから9年後、ボクシングから離れたロッキーの物語は続いていく。「ブラックパンサー」に先駆けること3年、この作品でスターダムにのし上がったマイケル・B・ジョーダンとダブル主演となった「クリード チャンプを継ぐ男」でロッキーはライバルであるアポロ・クリードの非嫡男子、アドニス・”ドニー”ジョンソンとの師弟関係が誕生。同作にてコーチとしてのキャリアが始まり、次回作の「クリード 炎の宿敵」では第4作目で死闘を繰り広げたイワン・ドラコの息子であるヴィクターとドニーという、”息子”同士の対決を見届けることになる。3作目の「クリード 過去の逆襲」ではロッキーは登場せず、演じるスタローンは製作担当に就任。アドニスを演じるジョーダンは自ら監督も担当し、彼へロッキーワールドを託す形となった。
2019年で73歳を迎えるスタローン。クリードで映し出されるロッキーの姿からは、今なおその輝きを衰える事無く放っている。
余談
2014年9月5日に行われたWBC世界フライ級タイトルマッチ八重樫東対ローマン・ゴンザレスの試合は、プロアマ通じて120連勝以上を誇る無敵の挑戦者ロマゴンからのオファーを敢えて受けた八重樫の、その拳闘ぶりがこの映画に通ずるものがあり、実際に試合後のロマゴンもなかなか倒れない王者八重樫を恐怖していたかのような表情を見せていたことから『リアルロッキー』などと評されていた(立場こそ王座の保有者が映画と逆だったものの、試合前から八重樫はすぐに倒されるという見方が大半だった)。
ベトナム反戦運動に起因して、アメリカ映画界では1960年代後半、「主人公が社会の理不尽の前に挫折する」といったような暗いトーンの作品が流行。これを「アメリカン・ニューシネマ」といい、73年に米軍がベトナムから撤退したことで退潮しつつあったものの、「ロッキー」(第1作)が制作された頃はまだ強い影響が残っていた。スタローンが最初に書いた脚本も、「観客がロッキーを応援し始めるにつれて、黒人チャンピオンのアポロに差別的なヤジが飛ぶようになり、ついにはロッキーのセコンドまでがそれに同調したことで、ロッキーは失望して棄権する」という、唐突なバッドエンドだったという。本作の制作過程は伝説が独り歩きしている面があるので、どこまで実際の作品と違うものだったかというのは正直なところよくわからない。ただ前述の通りアポロのモチーフはモハメド・アリで、アリがベトナムへの徴兵を拒絶して一時ベルトを剥奪されていたこと、また反人種差別運動でも著名であることをふまえると、反差別のメッセージを織り込んだニューシネマ的作品になっていてもおかしくないように思われる。
この初稿脚本は、スタローンが当時の妻に見せたところ「こんな話は嫌い」と一蹴されてしまい、彼女の意見を参考に明るく爽やかなエンディングが書かれたという。結果として本作は、「アメリカン・ニューシネマの潮流を終わらせた作品」に数えられることになった。
「ロッキー5」で、ロッキーの息子ロバート(ロッキージュニア)を演じているのは、スタローンの長男であるセイジ・スタローンである。「ザ・ファイナル」にもロバートが登場するが、セイジではなくマイロ・ヴィンティミリアが演じている。スケジュールの都合がつかなかったとされているが、「『ファイナル』では親子関係が悪くなっているシーンもあるので、実の親子でそれを演じるのをスタローンが避けた」「『5』はスタローン自身も認める失敗作なので、それとは連続していないことを強調するために配役を変えた」といった推測もあるようだ。セイジは2012年に心臓発作で急死し、「クリード」シリーズでの共演は叶わなかった。
作品一覧
関連動画
これは、人生「するか」「しないか」というその分かれ道で、「する」という方を選んだ、勇気ある人々の物語です。
関連項目
- 映画
- ワーナー・ブラザーズ
- ボクシング
- シルヴェスター・スタローン
- 八重樫東
- 赤井英和 - プロボクサー時代のニックネームは「浪速のロッキー」。
- 映画の一覧
- ゾロゾロゾロゾロついて来てっけどさぁこれロッキーの撮影じゃないのよぉ
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