『山賊の娘ローニャ Ronja Rövardotter』とはスウェーデンの作家アストリッド・リンドグレーンの児童文学を原作とするアニメーション作品である。
概要
中世前期のスカンディナヴィアの森林地帯を舞台に、山賊一家の頭領の一人娘ローニャが両親や一家の山賊たち、古城で出会った友達たちと友好を育んでいく、ちょっぴり幻想的で心温まる日常の物語。
2014年秋から2クール(全26話)にわたって宮崎吾朗の監督によりアニメ化され、NHK BSやニコニコ動画等で放映された。美しく描かれた壮大な大自然を背景に、最新の3Dトゥーンレンダリングで造形された人物たちの生活が温もりのある滑らかな動きで表現されているのが特徴。
原作
原作は『長くつ下のピッピ』『やかまし村の子どもたち』『やねの上のカールソン』『名探偵カッレくん』『ちいさいロッタちゃん』など数々の児童文学シリーズで著名な、スウェーデンの国民的女流作家アストリッド・リンドグレーン(Astrid Lindgren)によって書かれ1981年に出版された人気作『Ronja Rövardotter』(ロンニャ・ロェーヴァドッテル)[1]。1984年には実写映画化され(リンドグレーンもカメオ出演している)、当年のスウェーデン映画興行収入の首位を獲得する大ヒットとなった他、後年にはドイツとスウェーデンで何度か舞台化・ミュージカル化されている。
この作品がどれ程の人気であったかは、遠い日本にいる我々にはピンと来ないかもしれない。が、以前はスラヴ系やユダヤ系などマイノリティの幾つかの男女名の愛称形に過ぎなかったローニャ(ロンニャ)という名が、この作品をきっかけとして現在では北欧の女児の命名ランキングの上位に定着している事実から、幾らかは窺い知ることができるだろう。ちなみにリンドグレーンは、スウェーデン北部のラップランド地方にあるユーロンニャウレ湖(Juronjaure, サーミ語で「丘に面した湖」)からこの作品のヒロインの名前を発案したという(また、山賊たちの大多数もラップランドの湖や山などの名から採られている)。
世界中で翻訳されており、日本ではリンドグレーン作品の殆どの邦訳を手掛けるヴェテラン大塚勇三により、原題の直訳である『山賊のむすめローニャ』の邦題で岩波書店より出版されている。アニメ版もこれを底本としており、物語の展開やセリフ回し等はほぼ忠実に再現されている。
登場人物
マッティス山賊(Mattisröverne)
- ローニャ(Ronja)- CV:白石晴香
- 本作の主人公。かみなりの夜に生まれた山賊マッティスの一人娘。素直で愛情深い性格だが、父親に似て無鉄砲なせいで危険な目に遭うこともしばしば。 宿敵であるボルカ山賊の息子・ビルクと出会い、最初は敵対心を抱くが(ちなみに題名にある「山賊(の)むすめ」は当初ビルクから贈られた仇名)、触れ合っていく中で次第に変化していく。
- マッティス(Mattis) - CV:関貴昭(少年時代:金沢凜)
- ローニャの父親で12人の山賊を束ねる山賊頭。先祖代々から続く山賊業に誇りを持っている。短気かつ直情径行な性格で、特にボルカ山賊のこととなると誰も手が付けられなくなるほど。根は気のいい男で仲間思い。親バカでローニャを溺愛している。
- ロヴィス(Lovis) - CV:野沢由香里
- マッティスの妻でローニャの母親。マッティス山賊の中でローニャを除いて唯一の女手であり、山賊暮らしを支えている。大らかな性格だが肝が据わっていて、時には山賊たちを厳しく叱咤している。激怒したマッティスの扱い方も心得ている。
- スカッレ・ペール(Skalle-Per) - CV:佐々木梅治
- マッティス山賊の最長老。マッティスの親代わりで彼が生まれた時から見守ってきた。口が悪くおどけた態度をとることが多いが、いざというときには頼りになる存在。ちなみに呼び名は「ハゲ面ペール」(ペールは英語のピーターに相当)といった意味。
- フョーソク(Fjosok) - CV:赤星昇一郎
- ペールの次に年長でマッティスの片腕的存在。いつも冷静で影で山賊たちを支えるベテラン。
- チェッゲ(Tjegge) - CV:西凜太朗
- いつもクールな二枚目キャラ。フョーソクに次ぐ中堅的存在。眉がなく、常に上半身裸。
- チョルム(Tjorm) - CV:小川剛生
- おしゃべりでウンチク語りが好き。プライドが高いがツッコミに弱い。
- ストゥルカス(Sturkas) - CV:杉村憲司
- せっかちで俊足なためマッティス山賊の特攻隊長的な役割を担う。そのため怪我も多い。
- クノータス(Knotas) - CV:島田岳洋
- 態度も性格も大きい怪力系の山賊。しかし気は小さい。雪メガネは常に外さない。
- ペリェ(Pelje) - CV:手塚祐介
- 植物を愛する一番若手の山賊。空気を読まないマイペースな性格だが、みんなのいじられ役。
- リル・クリッペン(Lill-Klippen) - CV:姫野惠二
- 口がうまい若手の仕切り屋で呼び名通りの「お調子者」。一番小柄ながら戦いの最中でも物怖じしない弓の名手。
- ユティス(Jutis)
- 目が見えなくなるほど兜を常に深く被っている無口で人見知りの山賊。やり手の剣士。
- ヨエン(Joen)
- 無口な太鼓の奏者。ベテランな方だが謎も多い。酒を飲む時はずっと同じペースで飲む。
- ラッバス(Labbas)
- 剣士で無口のギタリスト。運動神経が良く見かけによらず手先が器用。雪メガネは絶対に外さず、彼の目を見た者は誰もいない。
- トゥッレ(Turre)
- 無口だがお調子者な笛奏者。酒好きで気が弱い。
ボルカ山賊(Borkasröverne)
- ビルク(Birk) - CV:宇山玲加
- ローニャと同じ日に生まれた、山賊ボルカの一人息子(名乗りで度々聞かれるボルカソン(Borkason)は「ボルカの息子」を意味する父称であって姓ではない)。ローニャとは反対の性格で神経質で思慮深い。年の割に大人びていてローニャに対しても基本的に余裕を持った態度で接する。
- ボルカ(Borka) - CV:谷昌樹(少年時代:塚田匠)
- ビルクの父親で山賊の頭。マッティスとは幼馴染でありお互いライバル視している。マッティスと似たり寄ったりな性格だが、マッティスよりもやや理性的。
- ウンディス(Undis) - CV:土井美加
- ビルクの母親でボルカ山賊の妻。気性が激しくロヴィスとは対照的。ビルクのことを溺愛している。
森のいきもの
- アバレンボ (Rackarn)、ムコウミズ (Vildtoringen)
- ローニャとビルクが捕まえて手懐けようとする牡の野生馬。
- リア (Lia)
- 熊に仔馬を殺され、ローニャたちに介抱された牝の野生馬。
暗がりの者たち (Valerser)
- 鳥女(Vildvittror) - CV:加藤沙織
- 女の顔を持ち、人の言葉を話す。森の動物は襲わないが人間に対しては見かけると襲おうとする。知性はあまりない。
- 灰色小人(Grådvärgar)
- 森の岩や苔の間に群れを成して棲む小人。臆病そうに見えるが時には人を襲うこともある。
- ずんぐり小人 (Rumpsnissar)
- 親父 - CV:加藤満 おじさん - CV:田中英樹 母ちゃん - CV:磯辺万沙子
姉ちゃん - CV:栗田エリナ ちびちゃん - CV:佐藤美由希 - 地面の下に穴を掘り家族で住んでいる小人。親切で大人しく、人の対して危害を加えることはほとんどない。
- 暗がりトロル (Skumtroll)
- 月の輝く夜にだけ群れで集まって踊る森のいきもの。
TVアニメ
スタッフ
主題歌
各話リスト
話数 | サブタイトル | 絵コンテ | 演出 |
---|---|---|---|
第1話 第2話 |
かみなりの夜の子 はじめての森へ |
宮崎吾朗 | 清水和真 |
第3話 | 森と星と小人と | 宮崎吾朗、清水和真 | |
第4話 | 聞こえる口笛 | 宮崎吾朗、郡司絵美 | 鹿住朗生 |
第5話 | 城にはいった敵 | 宮崎吾朗、亀井隆 | 清水和真 |
第6話 | にらみあう山賊たち | 宮崎吾朗、宮下新平 | 鹿住朗生 |
第7話 | 霧の中の歌声 | 宮崎吾朗、横山広行 | 清水和真 |
第8話 | 深まる森の秋 | 宮崎吾朗 | 鹿住朗生 |
第9話 | ぬけられない雪の穴 | 清水和真 | |
第10話 | きょうだいの誓い | 宮崎吾朗、宮下新平 | 鹿住朗生 |
第11話 | こっそりとやること | 宮崎吾朗、高尾圭 | 高尾圭 |
第12話 | 地下室の口笛 | 宮崎吾朗、横山広行 | 清水和真 |
第13話 | あわれな山賊たち | 宮崎吾朗、亀井隆 | 鹿住朗生 |
第14話 | すばらしい春に | 宮崎吾朗、高尾圭 | 高尾圭 |
第15話 | はてしない争い(前編) | 宮崎吾朗、横山広行 | 清水和真 |
第16話 | はてしない争い(後編) | 宮崎吾朗、宮下新平 | |
第17話 | ふたりの引っこし | 宮崎吾朗、高尾圭 | 鹿住朗生 |
第18話 | 洞窟にひそむもの | 高尾圭 | |
第19話 | なくなったナイフ | 宮崎吾朗、宮下新平 | 高尾圭、鹿住朗生 |
第20話 | 野馬たちと | 宮崎吾朗、横山広行 | 鹿住朗生 |
第21話 | とどろく滝と鳥女 | 宮崎吾朗、高尾圭 | 高尾圭 |
第22話 | これかぎりの夏 | 宮崎吾朗、青空晴夫 | 清水和真 |
第23話 | 命はむだにできない | 宮崎吾朗、宮下新平 | 鹿住朗生 |
第24話 | 決闘の朝 | 宮崎吾朗、横山広行 | 高尾圭 |
第25話 | ひとつの強い山賊団 | 宮崎吾朗、高尾圭 | 鹿住朗生 |
第26話 | 春の叫び | 宮崎吾朗、郡司絵美 | 清水和真 |
関連動画
関連チャンネル
[2014年10月12日から2017年3月31日まで配信、現在は配信終了]
関連項目
外部リンク
脚注
- *発音の参考(forvo.com
)。 Ronja の音節の区切りは Ro-njaではなく Ron-ja であり、間に渡り音の n が僅かに挟まる。また rd は同化しており、舌を大きく上に反らした状態で d を発音する
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