時効警察とは、テレビ朝日系列『金曜ナイトドラマ』枠で放送された、連続ドラマシリーズである。
概要
既に時効を迎えた事件を、主人公・霧山修一朗が趣味で捜査し、その真相を暴きだすミステリー。
しかし、主軸はミステリードラマであるものの、公式サイトでも『脱力系コメディ』と紹介されているように、その実は気の抜けるギャグと独特のノリで構成された、いわばミステリーコメディとも言うべき奇怪な作品である。
この要素は、同じ金曜ナイトドラマ枠で放映されていた『TRICK』に通じるものでもあり、デタラメなほどにちりばめられたギャグの中にも重要な伏線が仕込まれていたりと、コメディ要素を利用した構築がなされている。
また、主な舞台は警察署であり、主人公やその他のレギュラーも殆ど警察官であるものの、刑事ドラマとしての様相は殆ど呈しておらず、むしろ刑事ドラマを茶化すようなキャラが1人いる。
タイトルも、『時空警察』のパロディ。
1話完結型で、シリーズ全体を貫く伏線や物語は存在しない。
ミステリーとしては倒叙に近く、次回予告や物語序盤で既に容疑者が判明するため、『誰がやったか=フーダニット』ではなく、『どうやって遂行したか=ハウダニット』を解き明かす物語となっている。
スタッフ・キャスト
主人公を演じるのは、オダギリジョー。また、ヒロインの三日月しずか役には、数多くの映画で活躍する麻生久美子が起用され、連続ドラマ初出演となった。
また、主人公が所属する時効管理課の面々には、岩松了やふせえり、江口のりこなどの個性的な俳優陣が名を連ねるほか、豊原功補なども出演している。
『TRICK』や『古畑任三郎』と同様、1話ごとの犯人役には毎回豪華なゲスト女優・俳優(第2シリーズ最終話を除き、犯人は全て女性である)が招かれていた。
演出・脚本は一定していないが、『愛のむきだし』などで映画界で非常に高い評価を得ている園子温、同じく『亀は意外と早く泳ぐ』などで熱狂的な人気を得ており、放送作家としても第一線で活躍する三木聡、『グミ・チョコレート・パイン』などで評価の高いケラリーノ・サンドロヴィッチなど、豪華な顔ぶれが並んでいる。
また、出演しているオダギリジョーや岩松了も、それぞれ1話ずつ脚本・演出を担当している。
シリーズ一覧
現時点で2作ともDVD-BOXが発売中であるほか、それぞれのノベライズも発売されている。
時効警察
全話を通して視聴率が10%を超えており、高い人気を得た。
中でも最終回は、瞬間最高視聴率12.1%を記録した。これは、金曜ナイトドラマ史上歴代10位の記録である。
主題歌はCEYRENの「雨」。原曲は放送から約15年前の1990年にリリースされた森高千里の楽曲(かつて殺人が15年で時効であったことに因む)。
帰ってきた時効警察
前作からちょうど1年後の物語を描くが、最終回翌日と言われても気づかないほど、雰囲気に変化がない。
本作から、時効管理課に真加出という女性警官が新たに赴任してきた。
正確な平均視聴率は11.99%。
これは、金曜ナイトドラマ史上歴代3位であり、特命係長・只野仁シリーズを除いた作品の中では最高である。
時効警察はじめました
2019年10月~12月放映。12年ぶりの新作となる。同年9月には別枠で復活2時間SPが放映された。
前作から12年後の物語を描く。殺人は2010年の法改正をもって時効が廃止されたため、時効管理課で10年ほどホコリを被っていた事件を主に扱う。
主題歌は椎名林檎書き下ろしの新曲「公然の秘密」。平均視聴率は6.0%。
登場人物
総武警察署
架空の自治体・総武市を管轄する警察署。
総武市の安全と治安のために日夜奮闘する警察署だが、余り忙しくない。
5階建ての警察署だが、時効管理課を中心に1階の仕事場しか画面には映らない。
同市では、かつては霧山が興味を示すような犯罪事件が数多く起こっていたようだが、現在のところはかなり平和であり、全裸で逃げる女空き巣に捜査一課が躍起になる程度。
時効管理課
公訴時効を迎えた事件の資料の処分や整理、遺留品の返却などを担当する部署。実在しない。
全4名(第2シリーズでは5名)の小さな部署であり、やることも殆どないため非常に平和。
課長の熊本曰く、「怒られない程度に仕事やって、あとは趣味っていうのもいい警察人生」だそうである。
全員が独特のノリを持っており、遊びに来る三日月をよく困惑させる。
- 霧山修一朗 - オダギリジョー
本作の主人公。階級は巡査部長で、30歳の独身男。
穏やかで毒気のない男だが、かなり冴えない感じの雰囲気と、非常に独特なノリと価値観を持っている。
趣味がないことを指摘されて趣味を探し出し、『時効の切れた事件を独自に究明する』という趣味を持つことに決め、興味のわいた捜査資料を見つけては三日月を引き連れて捜査に乗り出す。
あくまで趣味であるため、真相究明へのこだわりは薄く、わからなかったらわからないでいいという姿勢。
特に推理能力が高いわけではないが、相手の一挙一投足に至るまでを鋭く観察し記憶する、非常に優れた洞察力と記憶力を持つ。表情や汗の微妙な変化から、相手が嘘をついているかどうかを一瞬で見抜いてしまう。
また、テレビの業界用語をすぐにマスターするなど順応性も非常に高いが、無趣味であることが祟ったか、流行や文化には疎い。
一応大学にはストレートで入学したという。お化けの類は「夜トイレにいけなくなる」から信じていない。
第1シリーズで趣味を見つけるが、捜査資金は全て自腹であったため、定期預金をも解約しなくてはならない事態に陥り、やむなく9回で断念。
その後1年間、再び無趣味な期間を過ごすが、第2シリーズ1話において競馬で奇跡的な大当たりを当て、再び趣味にのめりこむ。 - 熊本 - 岩松了
姓のみの登場で、名前は不明。
時効管理課課長の警部。49歳で、第2シリーズでは50歳。
物腰の柔らかい、人のいい性格であり、時効管理課が適度に脱力しているのは主に彼のせい。
年齢に似合わず子供っぽいところがあり、はしゃぎやすい一面も持つ。
行動にはすこし軽率なところがあるが、普段は時効管理課を、はりきりすぎずダラけすぎずで引っ張っている。
山積みの資料を運ぶ霧山を見て「わんこそばの大会ってこういうものじゃないの?」というなど、やはり価値観は霧山同様ずれており、奇妙な発言が多い。
大学生と高校生の息子がいる。 - 又来 - ふせえり
こちらも姓のみの登場。「またらい」と読む。
時効管理課の警部補。38歳の独身。離婚経験ありで、子供がいる。
気性が荒くはきはきとした物言いをする女性で、ツッコミとボケを目まぐるしく担当する。
言動はいちいち大きく、たまに「~だオイィ!」と語尾を荒げる。
霧山が趣味を見つけるきっかけを作った人間。仕事が無くて手持ち無沙汰なときは、霧山の仕事を邪魔する。
捜査一課の十文字によくどつかれる。彼を「気の毒がコート着て歩いてるよ」と言って嫌っており、時効管理課の黒板には彼女がどつかれた回数を記録した「正」の字が書かれている。 - サネイエ - 江口のりこ
姓のみの登場である上、漢字体も不明。
時効管理課の巡査。24歳と若い。
非常に表情の変化が少なく、冷静な性格。騒ぐ他の面々に冷ややかなツッコミを入れるのが主な役割。
だが、本人も差し入れのコロッケを多めにせしめたり、いきなり声を高くして素っ頓狂な発言をするなど、濃い部分が多数ある。本人は、自分のキャラを破りたがっているようだ。
時効管理課内の空気を変えるときに第一声を挙げるのは、大体彼女の役目。
母と妹2人がいる。また、ガムを口の中で正月飾りのように結ぶという、とてつもなく器用な真似が出来る。
鑑識課の諸沢といい仲に発展しているたようだが、第3シリーズでは別の相手と結婚し妊娠している。旧姓のサネイエからサネヨシになったらしい。 - 真加出 - 小出早織
第2シリーズ1話で赴任してきた、時効管理課の新メンバー。新卒警察官。「まかで」と読む。
真面目で初々しい、いかにも新人らしい雰囲気を持っているが、変人ぞろいの時効管理課に1日で順応するなど順応性は高く、裏を返せば同様の変人気質であるとも言える。
霧山に似て、よくわからない価値観を持っており、「すぐに捨てられる紙袋の方がバッグより便利」と言ってどこから入手できるのか不明な紙袋を持ち歩いているほか、「女の1人暮らしはすることが無くて困る」ということで、素人業とは思えないほどの紙切りを披露するなど、やはり変人気質は強い。
いきなり思い出し笑いをしたり、オチのない話をするなどしては、又来や霧山をもやもやさせている。
交通課
一般に存在する交通課と同じ業務の課。時効管理課と違って多少忙しい。
- 三日月しずか - 麻生久美子
本作のヒロイン的ポジションにいると言っても過言ではないのだという感じの人。
交通課に所属する巡査部長。28歳。
霧山に片想いをしており、よく時効管理課に遊びに来ている。本人は隠そうとしているが、霧山以外の時効管理課の面々にはバレバレである。霧山本人は気づいておらず、彼女の好意を相手にしない。
時効管理課の面々と違って常識人であり、彼らのアクの強いノリについていけずによく困惑する。が、第2シリーズあたりからは毒されてしまったのか、彼女自身もキャラ崩壊が進んでいる。
霧山に頼まれて毎回『趣味』に付き合っているが、霧山がそれ以上の感情を全く抱いていないのに対して、彼女はデートのつもりでいる。当初はついていけない様子であったが、回を重ねるごとに慣れたのか、第2シリーズからはかなりチームワークがよくなっていた。
妄想癖が非常に強く、霧山とのファンシーな夢を良く見る。また、真加出に対しては一方的なライバル心を抱いており、真加出と霧山が話しているのを見ると嫉妬心をむき出しにしてむくれる。
第2シリーズで、催眠にかけられ、醒めるまで歌手として活動したことがある。「しゃくなげの花」「月見そばのうた」などの曲を発表しており、夢の中ではアルバムも出していた。しかし、霧山に言わせれば音痴らしい。 - 吉祥寺 - 大友みなみ
- 下北沢 - 星野奈津子
- 神泉 - 永田良輔
共に交通課の警察官。吉祥寺・下北沢は女性で、神泉は男性。
3人とも、時効管理課の面々や三日月と比べてかなり若いらしく、後輩のような扱いを受けている。神泉は、サネイエに妙にきつい口調で話しかけられることがある。
3人そろって「交通課3バカトリオ」と呼ばれている。また、名前はそれぞれ京王井の頭線の駅名。
捜査一課
刑事事件の捜査を担当する課。一応、総武警察署の中では一番忙しいらしい。
平和な総武市では、特に重大な事件は起こっていない為、捜査一課の捜査能力や人材の質は高が知れている。
- 十文字疾風 - 豊原功補
捜査一課に所属する刑事で、同課の『エース』。33歳。
トレンチコートを着込んだ、いかにも刑事ドラマ然とした男。霧山と同期だが、彼が3歳年上なのは3浪しているから。
重度のナルシストで、刑事ドラマの真似をしては霧山を小馬鹿にする(しかも本人には自覚がない)。
着メロが西部警察だったり、踊る大捜査線の台詞を真似したりと、影響されやすいが、これまた本人に影響を受けている自覚は一切ない。
格好つけている一方かなり間抜けであり、オレオレ詐欺にもたやすく引っかかる上、警察手帳を紛失したりしてしまう。事件解決にも、霧山の指摘がヒントになっているのだが、本人は解決した頃にはそのことをサッパリ忘れており、自分ひとりで解決した気になっている。
捜査能力も低く、「犯人の気持ちになってみる」と言ってビニールコートを着こんで屋上で日光浴をしたりするなど、その行動は珍妙で的外れ。彼が『エース』であるのは、捜査一課にまともな刑事がいないからである。
「悪気がないのが唯一の長所」であり、時効管理課をはじめとする周囲には生暖かい目で見守られている。同機の霧山は、彼に度々小馬鹿にされながらも「悪い奴じゃないんですよ」と言っている。しかし又来だけは、彼のことを露骨に嫌っており、「気の毒がコート着て歩いてる」と揶揄している。
名前の由来は仮面ライダー2号=一文字隼人。 - 蜂須賀 - 緋田康人
捜査一課に所属する刑事で、十文字の上司であり先輩。38歳。
過去には大きな事件を解決したというのでそれなりに腕は立っていたらしいが、本人は一生分の仕事をそこで終えたと考えているようで、現在はのんびりと仕事をしている。
特に用も無いのに管理課に顔を出し、たびたび妙な話題を持ち込む。
十文字と比べれば常識人とは言えるものの、『エース』としての彼に本気で期待をかけ、いつも一緒に行動しては世話を焼いているところを見ると、十文字と大差のない人材であることがうかがい知れる。 - 彩雲真空 - 吉岡里帆
第3シリーズで登場した新人刑事で、口癖は「頑張ります!」。霧山に憧れを抱いており、何かに付けて趣味の捜査に首を突っ込む。「誰にも言いませんよカード」を渡す瞬間に立ち会おうとするが、毎回十文字の捜査に連れ去られる。
十文字には「話がつまらない」と言われ、フランスの小話やMr.ビーンを履修するよう勧められている。
鑑識課
- 諸沢 - 光石研
いつも鑑識課にいる鑑識官。41歳。『勘違いから結婚しちゃった』奥さんがいる。
霧山が事件を追う過程で、指紋鑑定・DNA鑑定などのもろもろの科学捜査を行ってくれるが、非常にシビアな値段での有料捜査である(指紋鑑定1回1000円、材質鑑定1回3000円など)。奥さんが小遣いをくれないかららしい。
鑑識課は時効管理課の隣にあるが、何故か彼は霧山の声にのみ地獄耳であり、管理課が騒いでいるとすぐに霧山の声を聞きつけて注意しに来る。
妻のいる身分ではあるが、どうやらサネイエといい感じに発展している様子。 - 又来康知 - 磯村勇斗
第3シリーズで登場した諸沢の助手。鑑識課の若きエースである。時効管理課の又来の息子で、署の女性陣からはミステリアスでかっこいいと評判のようだ。
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