西部警察とは、石原プロモーションが制作し、テレビ朝日系列で1979年~1984年に放送されていたテレビドラマシリーズである。1980年代を代表する刑事ドラマの1つである。
概要
警視庁西部警察署捜査課の大門部長刑事(渡哲也)と鳩村刑事(舘ひろし)をはじめとするその部下たち(大門軍団と呼ばれている)と上司の木暮課長(石原裕次郎)が凶悪犯と戦う姿を描く。
日本のテレビドラマの常識をはるかに超えたド派手な爆破シーンやカースタント、特殊マシン、男達の熱い人間ドラマが評判を呼び、シリーズ化された。
シリーズ後半の「Part2」以降になると地方ロケも敢行するようになり、札幌では豊平川河岸でカーチェイス、静岡では静岡駅前にヘリを着陸&浜名湖で船を爆破、名古屋では廃工場の巨大煙突を横倒し、広島では路面電車(広島電鉄で廃車予定の本物)を爆破させ、福島の山中に総工費3000万円を掛けて建設した要塞を一瞬で灰にするなど、そのド派手な演出はさらに過激になっていった。
この「西部警察」のルーツとなったのが、1970年代後半に日本テレビ系で放送されていた刑事ドラマ「大都会」シリーズ。すでにこの頃にド派手な演出や熱血刑事達の熱い人間ドラマという構造は出来上がっていた。
人気ドラマだったが、テレビ朝日が石原プロに破格の条件を提示したのが決め手となりに一度シリーズを終了。実質的にそのまま移籍させる形で、1979年にテレビ朝日で始めたのが「西部警察」である。
この際に提示された破格の条件というのは、広告代理店を介さずに直接放送枠を石原プロが買い付けて放送するという現在の日本の放送界では珍しい形式を容認するというもの。この番組の成功によってそれまで多額の借金を抱えていた石原プロは借金を完済した上に莫大な利益を獲得したという。
1984年に最終回3時間スペシャルで大門が殉職し幕を閉じた。
2004年に一話限りで復活、2時間スペシャルで放映された。その中では大門は生きていて捜査課長になっており、Part2以降とは別の時間軸上にある物語として設定された。
この作品の影響は海を越えてドイツにまで広がり、1996年からRTLテレビにて「アラーム・フォー・コブラ11」の名で放送を開始。特殊車両がない事以外は基本的に日本と同様の爆破・カースタントシーンが繰り広げられ、本家を超える長寿番組にまで成長している。
パートごとの西部警察の特色
西部警察は「西部警察」・「西部警察PART2」・「西部警察PART3」の3部構成となっている。いずれにも作風ごとの特性があるのだが、ここでは各々の説明をする。
西部警察
1979年10月14日から1982年4月18日まで放映されたもので、後続がPART2・3とあるので、サントラなどでは便宜上、西部警察PART1と言われることがあるが、ここでは特記以外は表記なしで統一をする。
大都会シリーズの直接的な後継として局を変更したうえでスケールアップしたのがこの西部警察である。とは言え、基本的な雰囲気は大都会PART3を踏襲しているが、ドラマ性の肉付けや妹設定の復活など大都会PART2のエッセンスを混ぜたものとなっている。
ただし、放送時間が早まったことや日曜日ということでファミリー層への対応として大都会PART3で見られるバイオレンスさは抑えられている。
1~30話
のっけから装甲車を使い、都内を走り回るなど、視聴者へのインパクトは十二分であった。また、舘ひろしの加入により、バイクアクションも恒常的に見られるなど、大都会時代と比べても差別化が図られている。OPでは出演者の名前のみである。また、第1~2話のみなぜか大門刑事はC230ローレルの覆面パトカーを使用している。
31話~44話
巽刑事が殉職により舘ひろしが一旦、降板し、新たに加納竜演ずる桐生一馬が加入。バイクアクションはお預けとなったが、桐生刑事がカーマニアという設定上、カーアクションに重点を置くようになった。OPが変更となり、役名と出演者の名前が併記されるようになった。冒頭のジャンプカーアクションは26話の「友情の捜査線」での1シーンをスローモーションで再生したもので、これは最終回まで流されることになった。また、一部SEの変更も行われている。
45話~54話
それまでの大都会シリーズの延長線上だった西部警察の方向性を変更し、決定づけたマシンXが加入する。これにより、その当時の科学技術では太刀打ち出来ないであろう事件の解決に、オーバーテクノロジーの塊という設定のマシンXが一役も二役も買う描写が多く存在する。
55話~74話
兼子刑事の殉職で五代高之が降板し、変わって北条卓刑事役で御木裕が加入。白バイ隊からの転入ということでバイクアクションが生きると思われたが、実際は着任時のエピソードのみであり、むしろ当人の格闘能力によるところの肉体アクションの描写のほうが多かった。
後の全国縦断ロケに通じる大規模な九州ロケをはさみ、どんどん上昇しつつあった高い人気を示すかのようにアクションも派手となっていった。
75話~88話
桐生刑事がICPOへの出向・加納竜が降板し、平尾一兵刑事役の峰竜太が加入。大都会で上条刑事をやってから約2年のブランクを挟んでの再デビューとなったが、肉体派だった上条刑事と真逆の軟派な刑事として、殺伐としがちな西部署捜査課の癒しとなっていった。
89話~108話
番組では明言されていなかったが、88話収録中に木暮課長を演ずる石原裕次郎が解離性大動脈瘤を患い、一時降板。世間一般として石原の病欠の理由は周知されていたが、番組内ではあえて匂わせないように制作をされていた。
とはいえ、非常に存在感の大きい石原がいない事を少しでも払拭するため、これまでは全く見られなかった二宮係長が本庁に対して一喝したりする描写といった具合にキャラ性を強くしたり、今なお伝説である運河の大ジャンプのようにアクションへのてこ入れも行われた。
109話~123話
舘ひろしが鳩村英次刑事として再加入、特別機動車両隊とともにバイクアクションを展開、同時に加入した特別機動車両・サファリと共に石原のいない状態を補うがごとくのド派手なアクションを展開した。
なお110話から数話の間は歌姫の薫ちゃんが降板(番組内ではアメリカに留学)した為、友人のマリ子が助手を務めることとなった。
石原のいない空白を補うがごとくだった番組内のテンションは松田刑事殉職話で最高潮を迎えていた。
124話~126話
123話で寺尾聰演ずる松田刑事が殉職により降板、124話でに木暮課長役の石原裕次郎が再登板。
とはいえ、この頃はおそらくは次回作であるPART2の構想も固まっており、言わば繋ぎみたいなものであり、いささかさみしいものであった。
最終回を以て、谷刑事演ずる藤岡重慶・源田刑事演ずる苅谷俊介・コーナーラウンジの朝比奈演ずる佐原健二は降板した。
西部警察PART2
西部警察126話終了から1カ月程度のブランクを挟んだ1982年5月30日から1983年3月20日の全40話、約10カ月放映されたシリーズである。西部警察の続編とは銘打っているものの、出演者の大幅な変更や「自分でまいた種は自分で刈り取る」という大門軍団の哲学の成り立ちなど、前作を踏襲しているとは言い難い個所も多く、前作とはパラレルワールドの関係であるという声もあるほどである(実際、2004年のリメイクにおいては大門が存命しており、「西部警察」シリーズそのものがパラレルワールドの集合体という解釈が成り立つ)
三浦友和演じる沖田刑事がクローズアップされることが多く、西部警察PART2自体が沖田刑事のためのシリーズともいわれる。またその当時勃興し始めたバディもののエッセンスを取り入れ、沖田刑事の相棒として、舘ひろし演ずる鳩村刑事がその後のあぶない刑事に通じるウィットとジョークを交えて時に2人で主役を張ったりした。
ドラマ性もあった前作から比べると、アクション面を前面に押し出しているため、ドラマ性は薄まっている傾向にある。
劇中曲の担当がハネケンこと羽田健太郎氏に変更となり、アクションドラマにふさわしいパワフルな楽曲は西部警察PART2の雰囲気に大きく寄与した。
アクション面も都内でカーアクションがやりづらいという状況から、この頃より爆破などの方向性に舵を取り始めた。壊される車も、それまではほぼもっぱら230~330セドリックだったものが、ケンメリスカイラインなどが目立ち始める。430セドリックも時々壊されるようになり、特にタクシー仕様から改造したと思われる丸目4灯ヘッドランプのものが多く見受けられた。
OPの冒頭は「西部警察」の九州ロケにおけるパトカー衝突を使ったものとなっている。
何より大きいのは全国縦断ロケであろう。それについては下記に詳しく解説する。
1話~14話
沖田刑事を交えて始まった西部警察PART2であるが、全国縦断ロケを組み込んだことでPART2の方向性が決定づけられた。OPは前作の九州ロケにおける1シーンをトップに置いた。
15話~35話
前作より登板していた庄司永健演ずる二宮係長が降板、新たな係長役には大都会PART3で加川捜査課長を演じた高城淳一が佐川捜査係長役として登板した。
またマシンXも退役となり、新たにスーパーZとマシンRSが加入した。
一方で23話で特別機動車両隊に解散勧告がなされ、事件自体は解決をみたものの、これ以降に特別機動車両隊が出てくる場面がなくなったため、バイクアクションは舘ひろし演じる鳩村刑事に一任されるようになった。また、この頃より沖田刑事と鳩村刑事がコンビを組んで捜査に当たる場面が多くなってきた。
36話~40話
井上昭文演ずる浜刑事が殉職により降板、これは体力上の理由によるものである。殉職は太陽にほえろ!以来のその当時における刑事ドラマのお約束とは言え、ベテラン刑事の殉職はほとんど例のないものであった。代わって加入したのが八丈島より赴任した小林昭二演ずる南刑事である。
多くのドラマで善悪合わせて多く出演してきた大ベテランだけに、割合に待遇は優遇されており要所要所で重要な役割を果たすことになる。
西部警察PART3
1983年4月3日から1984年10月22日まで放映された。全68話+最終話の69回放送。
三浦友和演ずる沖田刑事の人気により、当初よりも出演が長くなり、PART3序盤までは実質PART2の延長とも言えるような感じであった。
アクションシーンもカーアクションは地方ロケが多くなり、火薬量も多く派手に爆破するスタイルが多くなった一方、都内でのロケは関係個所の許認可が難しくなり、初期の西部警察からすると明らか見劣りするものが多くなってきた。そのため、シナリオもアクションの絡まないような、人情物などが見られるようになったものの、やはり番組の作風からすればあまり合ってないと言えるようなものであった。
引き続き、羽田健太郎氏が劇中曲を担当しているが、選曲担当の個性により、羽田氏が他の番組で使用している楽曲を流用している場面もある(博多ロケの船舶チェイスにおける通称「クリボー怒りのテーマ」など)
この他、回が進むとともに出演者に降板が発生してきた。
1話~6話
いよいよ沖田刑事の余命がわずかとなる中で大門の妹の明子との恋仲を絡めたストーリーが多くなっていく。なお、この間におけるOPはPART2のものを踏襲しており、PART3と銘打ってるものの、実質はPART2の延長ともいえるものであった。
7話~15話
三浦友和演ずる沖田刑事が退職・冬山へ消えたことをもって降板。代わって、7話より柴俊夫演ずる山県刑事が赴任、シティボーイでスマートな沖田刑事とは逆にどこか泥臭い雰囲気で差別化が図られている。
また平尾一兵刑事の服装がスーツからジャケット+蝶ネクタイに変更となっている
8話では石原良純演ずる五代刑事が赴任。それまでの一番若い北条刑事からさらに若い刑事として、初期の北条刑事も真っ青の暴走直向きさを見せつけてくれた。
また7話からOPが変更となり、北海道ロケにおける1シーンを置いた。また出演者が増えたことによる尺の都合からか、若干音楽が速くなっている。なお放送の順番が事情により入れ替わったことで11話「狙撃」のみ旧OPが使用されている。そしてこの回を持って捜査課の山野事務員が降板している。
16話~47話
マシン軍団にRS-1・2が加入し、従来のマシンRSはRS-3にグレードアップ、カーアクションも最高潮を迎えるが、これが大いに生きるのは主に地方ロケが多く、このころより都内におけるカーアクションの頻度が減り始め、アクションをするにしても公道上ではなく、私有地が見受けられる。22話を持ってセブンのママ役の吉行和子が降板、47話をもって歌姫の八木美代子が降板する具合にやや出演者のさみしさが目立つようになってきた。
48話~59話
マシン軍団の礎を築いたマシンXが破壊され、全国縦断ロケも滋賀・京都・大阪・兵庫の3部作をもって終了。前述したとおり、都内でのカーアクションを伴うロケが難しくなってきたので、全体的に作風が人情ものであったりと西部警察の作風とはやや合わない作品が見受けられた。
60話~最終回
鳩村刑事専用マシンとなるカタナRが加入したが、最終回まで9回までしか登場していない。そして68話になって、突然五代刑事と大門刑事の妹・明子の交際が描かれ、最終回へとつながっていく。最終回発情期とか言ってはいけない。
大門軍団
西部署捜査課の刑事の面々は「大門軍団」と言われており、犯罪者から恐れられている。その実績は検挙率が警視庁の警察署の中で1番である事に示されている。
通常、大門軍団と言う場合は課長や係長を含む事は無く、現場に出る面々を指す事が殆どである(詳細は「大門軍団」を参照)
「太陽にほえろ!」程で無いにしろ、殉職も発生したがリューのように栄転した者やオキの様に退職した者もいる。
日本全国縦断ロケ
西部警察の魅力の一つに挙げられるのがこの日本全国縦断ロケである。西部警察PART2とPART3で行われたこのロケはテレビ番組としては異例中の異例なほどの大規模な物で、映画のロケよりも規模が大きいと言われたほどであった。PART1の時代より地方ロケはあったものの、あくまで通常のテレビ番組の範疇であり、そこまで大規模な物ではなかった。
この未曾有な規模のロケを実行するに至った背景には石原裕次郎がその当時の生還率3%と言われた解離性大動脈瘤より復帰、その間に応援してくれたファンへのお礼と自分の元気な姿を多くの人に見てもらいたいという気持ちがあった。また西部警察のハードなアクションは都内でやりづらくなった為という現実的な事情もあった。
北は北海道から南は鹿児島までまさに縦横無尽に駆け巡った。1回のロケで2話分の収録がされたが、3話分収録された地域もあった。放送の頻度は概ね2カ月に1度で、1話完結もあれば2話連続と言うものがあった。
有名な石原プロの炊き出しはこの地方ロケから始まったとされ、そこでは石原裕次郎や渡哲也らはスターや社長と言った肩書関係なくスタッフらに混ざって、炊き出しに参加して親睦を深めていったとされる。
ロケ地域
西部警察の日本全国縦断ロケを実施した自治体は以下のとおりである。順番は放映順である事に注意。
特徴
映画以上とも言える撮影を実施となると、人員も資金も必然的に非常に大規模な物になる。こうした資金や機材の調達の為に通常放映の西部警察とは明らかに異なる描写等々が番組の中で見受けられる。
- スポンサーや協賛企業のPRを劇中に挟み込む
聞き込み先や登場人物の勤務先に協賛企業を挟み込んだり、登場人物が特定の商品をそれとなしにPRをする。例えば聞き込み先で従業員の差し入れで一兵が「カバヤのジューC!」と言ったり、犯人が逃走用に使ったトラックの特徴を「丸八真綿のトラック」と具体的に説明すると言うものである。これは専門用語として「プロダクトプレイスメント」と言うものである。時にはその会社の社長が台詞棒読みで登場する事も。 - 地場の日産販売店の登場
日産自動車が西部警察の車両スポンサーである事は言うまでもないが、地方ロケの場合は地域の日産販売店が登場、聞き込みや捜査協力に積極的に参加している事が殆どである。時として積載車を使った道路封鎖など、一自動車販売会社のやる事ではない規模の協力を行ったり、営業マンや所長らが台詞棒読みで登場する。山県刑事がロケ先のディーラーからR30スカイラインハッチバックを借りて捜査用に使ったこともあった。 - 破壊・爆破対象の規模が大きい
通常の西部警察であればせいぜいセドリック、たまにバス程度の爆破・破壊(それでも同時代の番組と比べれば、十分に派手である)であるが、地方ロケでは遊覧船から始まり、路面電車、廃屋、巨大煙突などとおおよそ日本のテレビ番組のみならず、映画でもやれないレベルの破壊をしていった。爆破も同じであり、まさにバンバン爆破していき、ついに爆破する物が無くなったのでロケの為に敵のアジトを製作したほどであった。 - 地元への配慮
これはあまり本編では出てこないが、その当時人気であった西部警察のロケともなれば、その期間中は大規模な交通整理や地元外からの観光客も来るため、どうしても色々と地元に不都合となることもあった。その為、地元でまずは挨拶イベントを行うなどの配慮を忘れなかった。そしてその時の映像を劇中に流用したケースもある。挨拶イベントでは10万人規模の物凄い数の人々が来たとされ、その当時の石原軍団・西部警察人気の高さを示すエピソードとなっている。
注目すべき爆破・破壊など
リステル浜名湖の遊覧船
記念すべき全国縦断ロケ一発目のラストを飾った爆破である。船の爆破は現在においては法規制の問題で不可能に近いといわれ、博多ロケと合わせて貴重なシーンと言われている。
広島電鉄750形766号
広島ロケで登場した電車であり、電車を使った爆破はおそらく日本のテレビや映画でもこれっきりと思われる。路面電車をジャックして市内を文字通り暴走した後に、大門の作戦で宮島口に誘導、犯人の持ってた時限爆弾(本当は無線爆弾)によって、爆破された。
当該の列車は元々は大阪市電1801形で、老朽化の為に同形式の車両は広電ではイベント改造車含めて2両が残るのみである。この他劇中では広電の持つ「動く電車の博物館」の愛称の如く、その当時活躍していた譲渡車両が多く登場している。
ステーキのあさくま藤が丘店
名古屋ロケで登場した店舗で、名古屋を基盤とするステーキ店チェーン・ステーキのあさくまの実在の店舗で爆破ロケを行った非常に異例のケース。
この店舗は現在も営業しており、火柱の上った店舗の外観も撮影後に修繕され、ほぼ当時のまま残されている。
後述のお化け煙突と同じ回で、最後のライブはあさくま主催のステージイベントという設定が作中でなされている。
お化け煙突
名古屋ロケで登場した建物であり、偽札工場として登場。煙突倒しは解体の方法として欧米では比較的見られる光景であるが、住宅が密集している日本ではあまり見られない方法である。綿密に計算する事で倒れる方向をコントロール出来るので一発勝負の撮影でも非常にきれいに倒れた。なお、煙突倒しに使われた建物は廃工場を流用したものである。
名古屋は鳩村役の舘ひろしの出身地であり、言わば凱旋とも言えるものであった。劇中でも鳩村の出身が名古屋である事を漂わせている。最後のライブ映像は地元へのあいさつの際に撮影した物を流用。
雪山のアジト
福島ロケにて登場した建物で、敵側のアジトとして登場。破壊の限りを尽くした結果、ついに自分たちで作り上げてしまった。総工費3000万円であり、激しい爆破と銃撃戦の末にラストに惜しげもなく破壊した。
この回の大門の使用した銃はどういうわけかいつものレミントンM31ではなく、スターム・ルガーミニ14をわざわざポンプアクションとしたものになっている。この後、数話程度しか使用されていない迷銃である。
博多どんたくでのロケ・漁船爆破
福岡ロケは2回に分けられているが、前半は撮影時期がゴールデンウィークかつ博多どんたく開催時期と重なっており、今であればこんな感じで撮影をあててこようものなら即座に拒否られること請け合いなのだが、無事に撮影がなされた。
後半は珍しく続き話となっており、ラストには漁船爆破で〆ている。漁協が一丸となって協力したため、犯人の船を取り囲む漁船は圧巻の一言である。なお、爆破される漁船をみると一瞬、人影が見えるがこれはスタッフである。
貨車など
山形ロケで使用された貨車で、鉄道を使ったロケパート2である。今回は国鉄の新潟鉄道管理局(現・JR貨物新潟支店)の協力の下、酒田駅や操車場を使った大規模なロケとなった。ミサイル輸送に貨車を使用したのだが、鳩村が仕掛けたプラスチック爆弾によって、ジャスト12時に吹っ飛ばしてやると息巻いたものの、逆に自分たちが吹っ飛ばされると言う激しい最期を見せつけてくれた。この爆破は操車場内で実際に行われたものでよくぞここまで出来たものと言えるべきものである。
実際に爆破されたのはトラ70000とワラ1とされ、この時代としては普遍的に見られる形式の貨車であった。
仙台ロケにおける330セドリック
仙台ロケにおいて市内を爆走した後、日産の営業所を縦横無尽に駆け巡った末に社屋の屋上から中古車の頭上に落ちた白いセドリックである。この時期の西部警察としては珍しく車をかっ飛ばしていたのもそうだが、ラストの社屋からの落下は2階からとはいえ、車が多く止まっている所に落ちるので、下手すれば屋根がつぶれて最悪スタントマンが死亡してしまいかねないのでロールバー設置など、かなり頑丈な改造がされている。このロケに登場したセドリックを模したミニカーが出ている辺り、結構インパクトのあったものと思われる。
下津井電鉄・瀬戸大橋
岡山・高松ロケのスポンサーとして登場し、鉄道・バスを含めて一丸となって登場した。2話のうち、前半はバスとタクシーが登場、後半は今は無き鉄道線が登場している。また、この当時は瀬戸大橋が建設中であり、橋脚の一部などが登場している。
鉄道線は劇中ではナローゲージの説明がなされており、今となっては貴重な下津井電鉄の電車の動いている姿を見る事が出来る。
劇中では下津井電鉄に再就職した山県の元上司以下、登場人物は口々に瀬戸大橋の開業を期待する台詞を発するが、その瀬戸大橋の開業により自社のバス路線に大ダメージが出たり、鉄道線の存続が出来なくなり廃止となった事は皮肉である。
神戸ロケにおけるカーチェイス
神戸ロケのラストで使われた場所は現在、グリーンスタジアム神戸がある場所で造成中の場所である。今でこそ大規模に開発されているが、この当時は山を切り崩した程度であり、大規模なカーアクチョンにはうってつけであった。
ラストを飾る大型の武装装甲車の爆走を止めるのが、これまた建設現場にある大型ダンプ。最後にはクローズな空間を最大限活用した大爆発。
西部警察を振り返る番組ではちょくちょく出てくるシーンが多く、また若き日のテレビ朝日の渡辺宣嗣アナウンサーが実際にスタント車に乗りこんでカーアクチョンに挑戦したことも語り草となっている。
縦断ロケ以外の地方ロケ
全国縦断ロケばかりが注目されるのだが、パート1の段階で山梨と福岡で地方ロケが行われていた。すでにこの段階で地場の日産販売店への協力などのテンプレートが完成されていた。
また全国縦断ロケとは別にパート3では正月特番のような格好で名古屋ロケが行われていた。そして最終回はこれまでの集大成のような格好で北海道・静岡・岡山・福岡でロケが行われた。また冒頭のワンシーンであるが最初で最後となるフランス・パリで海外ロケが行われた。
パート1における福岡ロケ
偽札作りをめぐるドラマとなっており、三井グリーンランド内での爆破やホバークラフトを使ったチェイスも注目されるが、その後パート2以降におけるOPに使われるカーアクションなどパート1放送時としては大規模なものとなっている。しかし、注目されるのはラストの手榴弾爆破の最中にこれ見よがしにたなびく「レパード」の幟であろう。
正月特番における名古屋ロケ
この放送ではカーアクションなどが見られない代わりに、出演者が非常に豪華である。ゲストは石原裕次郎の大親友である勝新太郎が出演、また丹波哲郎が出たりと正月にふさわしい出演者となっている。
ちなみにマクドナルドが協賛となっていたため、一兵が「マックボール」と発言してるがマックボールとはけん玉のことである。その当時としては珍しいプラ製であるが、けん玉協会公認の商品である。
登場する主な車両
日産自動車が協力・提供していたため、登場する車両はほとんど日産車であった。バイクはスズキがスポンサーとなった。
- ガゼールオープン (S110改・シルビアの兄弟車)
- マシンX(C210スカイライン後期型・通称「ジャパン」)
- スーパーZ (S130フェアレディZ)
- マシンRS軍団(1~3号)(DR30スカイライン前期型・通称「ニューマン・スカイライン」)
- 特殊機動サファリ
- C230ローレル(覆面パトカー、第1~2話でのみ大門が使用 PART1OPのパトカー軍団先頭車もこれ)
- セドリック(覆面パトカー、白黒パトカー・230からY30まで使用)
- S30フェアレディZ、R30スカイライン、910ブルーバードの白黒パトカー
- C110ケンメリスカイライン・C210スカイラインジャパン、C130ローレルの白黒パトカー、シビリアン(マイクロバス)の警官輸送車(230~330セドリックと共にカーアクションや爆破での破壊対象)
- C210スカイラインジャパン:シルバー前期型(犯人車、一般車として多数出演、PART3には白く塗られてマシンX用パーツを使って後期型ルックに改造されてまた出演という数奇な運命をたどった) など
- GS650G(初期の鳩村用のバイク、及び劇中に登場する白バイ)
- GSX1100Sカタナ(鳩村用のバイク)
尚、2004年放送の2時間スペシャルではイタリア・アルファロメオ(166と156)や英国TVRといった欧州車に混じって、トヨタMR-S(全日本GT選手権参戦マシンを再現したオートバックスのカスタムカー)が登場している。
西部警察の協力企業
西部警察の特徴の一つに豊富なスポンサーがある。有名どころでは日産自動車であるが、番組の人気と共にスポンサー企業が増えていき、さらに日本全国縦断ロケともなるとその地方の有力企業がスポンサーとなる事も多くなった。ここでは主だったスポンサーを紹介する。
- 日産自動車
車両提供。番組に登場する車はほぼ8割方日産車、もしくはグループの日産ディーゼルである。なお他のメーカーが出る場合、程度の大小はあれどほぼメーカー名や車名の部分はガムテープで貼られるなどして隠されている。 - エンケイ
ホイール提供。西部警察PART1の59話よりスポンサーに加わる。大型トラックを除くほぼすべての車両に装着。これにより、タイヤサイズのアップも行われたので激しいカーアクションでも操縦性を確保する事が出来た。 - 共豊コーポレーション
ホイール提供。エンケイの影に隠れているが、初期のスーパーZのホイールなどに採用。 - 宝酒造
酒提供。番組などで登場する酒は宝酒造の物が多い。宝酒造の社長と石原裕次郎が友人である事が縁となっており、自社が取り組んでいたカムバックサーモン運動を取り入れた話もある。 - スズキ自動車
バイク提供。特別機動車両隊や鳩村のバイク、犯人が使用するモトクロスバイクを提供。鳩村のカタナは当時、輸出用車であり、しかもまだ合法で無かったセパハンである。 - オートバックス
PART3以降に多く登場する事が多くなり、パート3のOPで鳩村のパートでデカデカとPRしている。 - 出光興産
劇中車や爆破に使うガソリンの提供。西部警察でもやや後半になっての登場である。 - 中田商店
軍服や革ジャンなどで有名なショップ。PART1の後半のみに登場。特別機動車両隊の黒バイ隊の衣装提供。 - 東急電鉄
日本全国縦断ロケで使用する飛行機(主に東亜国内航空)の手配や東急の施設を使用した撮影で登場。度々東急関連の施設が登場するが、当時の東急のトップである故・五島昇氏が石原裕次郎と友人であった縁で影に日向に撮影協力。西部警察の特色の一つに広告代理店を介さないというのがあるが、それでもまったく広告代理店を介さないと言うのは不可能に近いのでグループの東急エージェンシーに委託をしている。なお、劇中では当時の東急線の駅や車内での撮影がされているが、今日の東急線は駅を含めて混雑している時間帯が多い事などからドラマの撮影協力があまり多くないので鉄道ファンからすると貴重なシーンでもある。 - 東亜国内航空
PART2以降の地方ロケで使用する際の航空会社で上記の東急電鉄がらみのものと思われる(東亜国内航空と東急は当時は資本関係にあった)木暮課長が現地に赴いたるする際に映ることが多い。なお、東亜国内航空の就航していないロケ地での移動は全日空が映っていた。
再放送
本放送(1979年~1984年)の段階ですでに再放送が行われており、その後は1988年ごろまでは夕方前の再放送が繰り返し行われていた。放送時間帯が学校の終わった後であったため、割合に幅広い年代に存在は知られていた。
その後1990年代になると再放送がめっきりと少なくなり数年に1度、それも単発というのが多くなった。主に出演者の追悼放送という名目であった。
その後、1999年の石原裕次郎13回忌に際して西部警察の再放送が開始された。関東では午前10時半から1時間であり、パート1は88話「バスジャック」のあと、パート2へ飛んでパート3となった。これは89話以降は石原裕次郎が出演していない(本放送当時、解離性大動脈瘤の治療中)ためであったが、西部警察が人気となったため、パート3終了後はパート1の89話から放送開始となった。なお再放送に際しては、放送禁止用語やプライバシーにかかわる発言は無音になるなどの修正が加えられている。
21世紀もだいぶ進んだ現在ではファミリー劇場での再放送やDVDの発売が開始されており、地上波における再放送はイベント事のような場合以外では放映されていない。もはや、すぐにクレーム入れるなりで良くも悪くも過激な内容を許容しない世の中ではあるが。
小ネタ集
- ロケ地はおおむね大都会時代と変わらないが、カーアクションでは都内撮影がやや多い傾向があり、当時はまったく開発が進んでいなかった臨海部での撮影も多く存在した。また、港区芝浦付近の旧海岸通り付近もカーチェイスに使われていた。特にヤナセ本社付近にある橋は独特の起伏をしているため、大都会時代より頻繁に舞台になっていた。
- 捜査課周辺のセットは「捜査課」などの札を病院の号室番号とに替えて、病院のセットして使ったとされる。
- 西部警察に出てくる車両がたまにスタッフのミスで多摩ナンバーとして出てくるのだが、これは石原プロが調布市に本拠地を構えており、多摩の陸運局で登録された関係である。なおPART2以降の車両は車検や法令点検のシールがないことから、おそらくは登録をしないで都度仮ナンバーや道路封鎖で運用したと思われる。
- 西部警察の山梨ロケにおけるヒゲダンスや明子の去り際における「んちゃ!」の台詞等、その時代における流行の言葉やしぐさもちょくちょく見受けられた。また本放送当時、同じテレビ朝日系で西部警察放映と同時期に放映が開始されたドラえもんの主題歌やエンディングの歌を登場人物が歌う場面がちょくちょく見られた。
- 時たま破壊用などで出てくる白に青と赤の帯のトラックは石原プロ所有のトラックである。
- 悪役の車などで登場するアメ車は一説には石原裕次郎の私物とされている。石原は当時の芸能界でも無類のカーマニアとして知られており、記念すべき第一話に登場したロールスロイスもその一台とされる。
- 今でも少ない傾向にある東急線でのロケも西部警察では多いのだが、その中でも特に混雑している路線である田園都市線でのロケも敢行しているが、その際の行き先が「つきみ野」となっている。これは本放映当時においては中央林間駅はまだ未開業であるためである。
- 西部警察PART2の2話において、平尾刑事がヘリで逃げる犯人に撃たれた際に浜刑事より「下嶋さん!」と刑事と悟られないように偽名を使っているが、これは平尾刑事演ずる峰竜太の本名(下嶋清志)の名字から取ったものである。
- 西部警察1話をはじめとして、いくつかの緊迫した場面で流れる曲の一つにスペクトルマンの曲が流用されている。
- 選曲担当はこの時代のドラマではおなじみの鈴木清司であるが、やはり流用曲が多いのでサントラだけでは補完できない。PART2以降は劇中曲担当が羽田健太郎に代わり、羽田が担当したドラマやアニメの曲が流用される傾向があった。特にPART3以降はそれが顕著となり、スペースコブラやテクノボイジャーの曲が流用された。なお逆にテクノボイジャーでは西部警察の劇中曲が切り抜きであるが流用されていた。
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