全能神教会(ぜんのうしんきょうかい)とは、キリスト教系新興宗教団体である。
中華人民共和国を中心に活動し、中国語圏の地域・国々を超えて世界各地に支部を置く。
東方閃電(とうほうせんでん)、東方稲妻、実際神(じっさいしん)とも。
概要
1989年黒竜江省阿城市出身の張維山が前身である「永源教会」を設立。この団体が当局による取締りを受けたことから、彼は河南省に逃亡。1993年に河南省で現名称で再度設立した。
彼自身は大司教を名乗り、大学受験に失敗した女性・楊向彬を「女キリスト」や「全能の神」として神(教祖)に祭り上げ、その下に神の化身とする7人の幹部、そして信者を抱える。なお張・楊の両氏は2000年に一旦日本へ逃避し、その後2001年にアメリカへ政治亡命を果たした。信者数は100万人〜300万人。
「全能神教会」が正式名で、「全能神」が略称。「東方閃電」は中華人民共和国内で広く通用される名称である。唯一神思想・終末思想・悪魔と異教徒などのキリスト教系思想に深く影響を受けている。
「悪魔である中国共産党を打倒し、全能神が統治する新国家の建設」つまり「中国共産党との決戦」を目標に掲げる。そのため全能神は、中国共産党を「大紅竜=大きな赤い竜」と独自の蔑称で呼ぶ[1]。清朝時代の「太平天国の乱」に近いクーデターを目指している可能性がある。
2012年12月22日・マヤ暦世界滅亡説を契機に、一気に信者数・勢力を拡大させた。中国当局は1300人以上の信者を逮捕している。うち青島で約400人、浙江省では58人である。上は85歳、最年少は18歳であった。
邪教とみなされる要素
中国共産党のみならず、中国では違法な[2]キリスト教会の信徒からもカルト宗教団体と目されている。
信者である低所得者や貧困地方の人間への援助という善行的勧誘も行うが、
一方で恐喝、暴行、不法な監禁、薬漬け、ハニートラップなどで強制的にも信者を獲得しているとされる。
1983年、法輪功や統一教会(同一教)、ファミリー・インターナショナル(天父的儿女)など共に、中国政府より「邪教(=カルト)」に指定された。反人類、反社会、反動的要素を有し、反共産的要素に関しては法輪功より程度が大きいと断じている。後にロシアでもカルト認定を受ける。以降中国当局は、信者を逮捕・迫害している。名義は「東方閃電」で指定されている。
2014年5月28日午後9時頃、山東省招遠市のマクドナルド店内で殺人事件が発生する。当団体の勧誘中の男女6人の信者が入信を断った女性を集団私刑の上殺害した、とされる。全能神側は「全能神を貶めたい中国共産党による陰謀」と主張している。
この事件で実行犯6人中5人が逮捕された(一人は刑事責任を問えない年齢であった)。1審に於いて2名に死刑判決、1名に無期懲役、そして残り2名に7〜10年の懲役刑の判決が下された。その後全員が2014年11月に2審へ控訴したが、棄却され有罪が確定した。量刑の変化はない。
2015年2月2日、山東省烟台市で2名の死刑が執行されている。
等事件以外にも、入信拒否や脱退をした者に対して耳をそぎ落とすなどの残虐な行為をしている、とされる。脱退者を阻止する専門の実働部隊「護法隊」があるという。
世界各地との関係
中華人民共和国以外にも世界各地に支部を置き、日本でも活動している。
中国語簡体字以外に英語・中国語繁体字・韓国語・日本語版ホームページを有する。日本語版以外は、本腰を入れた凝ったデザイン仕様である。
また、日本を含む世界20ヵ国・地域[3]に直通電話を設置している。
日本との関係
2015年3月現在、表立った活動はしていないようだが、在日中国人への勧誘活動を中心に活動している。
日本人への勧誘は消極的である。[4]
日本テレビ系番組・ミヤネ屋が報道した勧誘活動範囲(計16箇所)は以下のとおりである。
関連動画・宣伝動画の特徴
2014年10月頃より、このニコニコ動画にも当団体の宣伝動画がアップロードされている。全てYouTubeと同じ内容の動画であり、日本語版である。
これらの日本語版は、ほぼ完璧な日本語の状態で仕上げられている。日本語吹替版や字幕版の担当者は、在日華人(中国系日本人)、在日華僑、もしくは非常に卓越した中国人の日本語話者と推測される。[5]
内容が既出であっても、同一動画が複数投稿されている。内容は当団体が作成したと推測される映画、合唱団の歌唱の2種類に分類できる。合唱団は中華圏のみならず韓国にも存在する。宗教勧誘と宣伝は勿論だが、目の敵とする中国共産党を批判する内容が多い。邪教として非難・迫害される様子を描いている場面も多い。
なお中国公安による宗教迫害の演出に、拷問・暴行・流血・腫脹等の表現を多数用いている。
視聴には注意を要する。
中国公安・警察の制服、車両、留置場、労働改造所(通称:労改)などが細部まで事細かに再現されている。ロケ地は不明であるが、まさに中国大陸内で撮影されたと錯覚させられる。稀に道路標識などが簡体字ではなく、繁体字である場面が映るため[6]、中国大陸で撮影は行われていないものと推測する。台湾もしくは特別行政区の可能性あり。
各種言語表記
関連商品
関連リンク
- 全能神教会 - 日本語公式サイト
- 全能神教会-公式日本語ブログ
- 全能神教会日本語チャンネル - Youtubeチャンネル。非常に高度な日本語吹替、字幕が完備されている。
- 全能神教会の信徒@Japan - 全能神教会の教義などが配信されている日本語Twitter。
関連コミュニティ
関連項目
脚注
- *新約聖書の「ヨハネの黙示録」に登場する「赤い竜」を念頭においたものと思われる。なおヨハネの黙示録の「赤い竜」も当時の政治的風刺でありローマ帝国を指していたと推定されている。
- *中華人民共和国では「宗教の自由」が憲法に明記されているが、認可制(中国共産党の許可が必要)である。当然許可を受けていない宗教(地下宗教)は違法となる。普通カトリック教会の各国司教の任命権はバチカンにあるが、中国の場合は中国政府が任命している。これが原因でバチカン・中華人民共和国間の国交はない。
- *アメリカ・韓国・オランダ・ドイツ・ノルウェー・シンガポール・オーストラリア・台湾(中華民国)・香港特別行政区・マカオ特別行政区・アイルランド・カナダ・ニュージーランド・イタリア・スペイン・日本・ギリシャ・イギリス・フランス・スウェーデン
- *邪教全能神に警戒(kaiwind.com・2015年4月21日)
- *映画のエンドロールの「日本語吹替スタッフ」の姓名の大半が、3文字あるいは2文字であるため。
- *全能神教会福音映画『覚醒 予告編』(YouTube)の1:19頃、奥の標識が「防汛期間 注意安全」と表示されている。仮に中国大陸で撮影された場合、簡体字で「防汛期间 注意安全」となるはずである。
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