ウェスタールンド(Westerlund)とは、2012年生まれの日本の競走馬である。栗毛。せん馬。
栗東・佐々木晶三厩舎所属、安平町・ノーザンファーム生産馬、馬主は(有)サンデーレーシング。
名前は宇宙最大といわれる恒星「ウェスタールンド1-26」がある星団が由来。
主な勝ち鞍
2020年:アンタレスステークス(GIII)
父ネオユニヴァース、母ユーアンミー、母父Marquetryという血統。
父は現役時代皐月賞と日本ダービーを制し、ヴィクトワールピサなど産駒にダート戦線でも強さを見せる馬も多いネオユニヴァース。
母は現役時代アメリカの重賞戦線で活躍したユーアンミー、全姉に阪神JFで3着に食い込んだミクロコスモスがいる。
デビューは2014年8月24日の札幌5R 芝1800mの2歳新馬戦、鞍上は柴山雄一。
単勝4.2倍の2番人気に支持されるものの5着に終わる。ちなみにこのレースの勝ち馬は翌年の桜花賞馬レッツゴードンキであった。
以降のレースでも苦戦を強いられる。敗れた相手はアルバートドッグ(16’小倉大賞典)、サトノラーゼン(15’京都新聞杯)など重賞勝ち馬をはじめ、その他の馬も後にオープンクラスまで勝ち上がる実力馬であり、長らく勝ちに恵まれなかった。
迎えた8戦目の2015年3月29日の阪神5R 芝1800mの3歳未勝利戦、鞍上は川田将雅。
道中中団待機で進め最後の直線で一気に加速、同レース出走馬馬中2番目に早い上り35.8を記録し、ようやく初勝利。
ここまでの8戦全てで上がりタイムが出走馬中上位3位以内であり、その内5戦で1位であり最速で33.8秒を記録するなど抜群の末脚を見せつつも初勝利に8戦を要するなど苦戦が続いた。
次走は初の重賞レースとなる2015年5月2日のテレビ東京杯青葉賞(GII)。鞍上は三浦皇成。レース前の単勝オッズは68.8倍の14番人気。
スタートから道中後方で進め、直線勝負にかけたがいつもの良さは見せられず8着に終わる。奇しくも勝ち馬の鞍上は前走の鞍上であった川田将雅騎乗のレーヴミストラルであった。
以降、11戦目の京都12R 4歳500万下で2勝目(鞍上:浜中俊)、13戦目の小倉11R 太宰府特別(1000万下、鞍上:鮫島克駿)で3勝目を挙げ順調にステップアップするも、以降1年以上勝利から遠ざかってしまう。
2017年の6月24日京都9R 稲荷特別で6着に終わるとその後裂蹄が発覚、1年以上に渡る長期休養を強いられることになってしまった。
元々スピードこそ抜群であったものの佐々木氏が「手を焼く」と語るほど気性面に難があり、それが調教やレースで悪影響が出てしまうことが多かった。
ここで陣営は思い切った判断を選択した。休養中に精神面の成長に賭け去勢手術を行い気性難の改善を試みたのである。
故障が癒え、去勢手術の影響で落ち着きが出てきた段階で陣営は更にもう一つ大きな決断を行った。これまで芝の中距離路線を主戦場としていたウェスターをダート路線に転向させたのである。
復帰戦は2018年6月24日、函館12R ダート1700mの津軽海峡特別。鞍上は低迷時に2度騎乗した経験のある藤岡佑介。実に1年4ヶ月ぶりの実戦となった。
スタート~レース中盤まで後方で進めると、3コーナー入り口から一気に加速、大外から他馬を一気に抜き去りトップに立つとそのままゴールまで駆け抜け復帰戦を見事勝利で飾った。
クラスが一つ上がり、2018年7月28日小倉11R 薩摩S。鞍上は北村友一に変更。昇格直後ながらも前走の走りが評価され単勝オッズ2.0倍の1番人気に推された。
レースは前走とは異なり向こう正面から徐々に加速し2番手の位置まであげてレースを進めると、最後の直線で加速、粘るタガノディグオを振り切り快勝。これで2連勝となった。
復帰後2レースの勝ちっぷりの良さから、ダートの適正を確かなものとし、評価も徐々に上がっていった。
次走は9月29日のシリウスステークス(GIII)。鞍上は北村友一が継続。初のダート重賞挑戦となった。同レースにはオメガパフュームやサンライズノアが登録し人気を集めていた。
同日は雨が強く降りダートの一部に水たまりができるほどの重馬場であった。
レースはスタートから大きく後方に取り残される形でレースが進み、ポツン状態でレースが進む。3コーナー入り口でも後方ポツンで敗色濃厚、…かと思われた。
しかし最終コーナー出口付近でポッカリと空いた狭い内ラチ沿いを一気に加速。狭いスペースながら馬群をかき分けるように他馬をごぼう抜きし、1着のオメガパフュームには惜しくも届かなかったもののクビ差の2着に入線。
絶望的な展開からワープを見せ、競馬ファンに勝ち馬のオメガパフューム以上のインパクトを与えた。
次走の武蔵野ステークスではシリウスSの走りが評価されてか3番人気に推された。鞍上は短期免許で来日していたC.オドノヒューが跨った。
大方の予想とは異なり中団待機でレースを進め最後の直線にかけるものの、他馬に前方どころか左右までも塞がれる形となってしまい末脚を発揮できず7着に終わる。
迎えたダート界の頂点を極めるチャンピオンズカップ(GI)。鞍上は復帰戦で好騎乗した藤岡佑介に。王者ゴールドドリームこそ居ないもののダート界のオールスターが揃い、前走の不甲斐ない走りから人気を少し落とし最終オッズは単勝32.1倍の8番人気となった。
アンジュデジールとルヴァンスレーヴがレースを引っ張る展開の中、大きく置いていかれる形で殿を追走。そのままの展開で最終コーナーに入ると、シリウスS以上にポッカリと空いていた内側をぐんぐんと加速、3コーナー入り口付近ではほぼ殿にいたはずがコーナー出口で5,6番手まで上がるワープを見せ、そのまま脚色衰えず猛追、敗れたもののルヴァンスレーヴに2馬身半差まで迫る2着と大健闘。
上がりタイムは全頭中最速の34.4秒を記録。2位のルヴァンスレーヴが35.6秒であったことを考えると驚異的な鬼脚を発揮したことになる。
この年2度のワープを決め、ダート界に強烈なインパクトを残した。
2019年の始動戦はアンタレスステークス(GIII)。チャンピオンズCの好走から人気を集め単勝3.4倍の1番人気。鞍上は再び北村友一に。
スタートから最後方で進め3コーナーから加速するいつものパターン、…に見えたが直線で伸びを欠き4着に終わる。
復帰戦は同年秋のみやこS(GIII)。鞍上は世界的名手C.スミヨンに乗り替わり。
いつもより前目につけ仕掛けも早めに仕掛ける展開に。結果的に3着に終わるも1,2着馬とそれほど差の無い3着であり、新たなスタイルを掴んだように思われた。
同年最終戦は前年2着に喰い込んだチャンピオンズカップ(GI)。鞍上は引き続きスミヨンに。
前年同様の殿待機ではなく前走の中団待機の戦術で挑み、手応え良く上がっていくもコーナー出口あたりから失速し末脚発揮できず、結果9着に終わってしまう。
2020年は初の地方重賞参戦となったダイオライト記念(JpnII)から始動。鞍上は初勝利以来の騎乗となった川田将雅。
スタートから中団後方待機で進めると、最終コーナーを抜群の手応えで上がっていき最後の直線勝負へ、しかしこの日はアナザートゥルースの方が一枚上手、上がり最速の脚を見せるものの届かず、2馬身差の2着に敗れた。
次走は昨年骨折してしまったアンタレスステークス(GIII)。調教から調子がよく佐々木調教師はレース前のインタビューで「先週の併せ馬で気合が乗ってきて、今週もいい動き。広いコースで直線に坂があるのもいい」と語っていた。
鞍上はチャンピオンズカップ以来の騎乗となる藤岡佑介に。
レースはチャンピオンズCほどではないものの後方で脚を溜める展開で進めると、3コーナー途中からぐんぐんと加速、抜群の手応えで大外を駆け上がり、一気に抜け出すとそのまま脚色衰えず1着入線。
レース後、鞍上の藤岡騎手は「3角から持ったままでしたし、これだけの相手に能力は相当高いと思います。きょうの勝ち方をみれば年齢的なことは心配ないし、魅力のあるスタイルを持っている馬ですね」と語り、調教師の佐々木師は「向こう正面では5着もないと思ったけど、4角手前の脚にはびっくりしました。状態は良かったけど、なかなかできる芸当じゃない。8歳だけど去勢しているし、長持ちすると思います」とコメントを残した。
長期の放牧を挟み3戦目は夏競馬のエルムステークス(GIII)。初の札幌競馬場ダートへの挑戦であった
前走の快勝ぶりから人気を集め、同じくサンデーレーシングの馬であるタイムフライヤーに次ぐ2番人気に推される。鞍上は前走と同じく藤岡佑介。
レースは、逃げ・先行の馬が一段になってレースを引っ張る中、いつも通りのマイペースな走りで殿追走。3コーナー手前からぐんぐんと加速していき4コーナー出口付近では手応え抜群で抜け出す。
しかしこの日はC.ルメール騎乗のタイムフライヤーが一枚上手。直線で先に先頭に立ったタイムフライヤーが追いすがるウェスタールンドを振り切り1着に入線。ウェスタールンドは2馬身差の2着入選。
ちなみにサンデーレーシングの馬がダート重賞でワンツーを決めたのは初の出来事であった。
第4戦は浦和記念(JpnII)。ダノンファラオに次ぐ2番人気に推され、いつもどおりの後方待機で道中を進めるも、この日は先行馬有利の流れ。上がり最速の36.1で追い込むも1着とタイム差無しの3着に終わる。
2020年のラストランは東京大賞典(GI)。この日は圧倒的一番人気のオメガパフューム、ダノンファラオに次ぐ3番人気に推された。レースは最後方より少し前でレースを進め、向こう正面から徐々に進出する展開で進め、最後の直線で追い込むもオメガパフュームに届かず3着。
この年は大きな故障も無く、初の重賞獲得に加え5戦全てで3着以内と安定した走りを見せた。獲得賞金も2億円を突破した。
現役競走馬としてはかなり高齢の9歳となるが現役続行。
フェブラリーステークスを狙うかと思われた矢先の1月に両足に軽度の裂蹄を発症。
その後、調整に苦労し中京開催だった平安ステークスを目標としていたが回避。復帰は7月小倉開催のプロキオンステークス(GIII)までずれ込んだ。
初戦となったプロキオンS。有力馬とみられたソリストサンダーが出走登録を回避、ダート重賞勝利馬もワイドファラオとナムラカメタローくらいと言う比較手薄な面子となり2番人気に推される。
しかし、前走から馬体重+18と過去最重量となったこと、あるいはレース中雷鳴が轟く悪天候や重馬場だったことが響いたか、いつもどおり最後方からレースを進めるもなかなかスピードに乗らず、鞍上藤岡佑介と組んでから初の着外となる7着に沈んだ(上がりタイムそのものは1位のメイショウカズサに0.1秒差の全体2位のラップ)。
条件戦を3連勝し、クリストフ・ルメールを鞍上に据えたアメリカンシード、プロキオンSを回避したソリストサンダーに次ぐ3番人気。馬体重は-10の488まで馬体重を戻した。
やっぱり後方にポツンと一頭おいていかれる展開でレースを進める。ここ最近やや反応の鈍さ(ズブさ)を見せたからか、向こう正面から徐々に前に進出、4コーナー大きく外に膨らむもそこから一気の加速を発揮し順位を上げる。
しかし先行したスワーヴアラミスらに届かず4着。しかし、上がりタイム1位37.0[1]とキレのある末脚は復活した。
相手関係は実力拮抗との評価、ジャパンダートダービー2着のゴッドセレクション、ここ最近ダート重賞戦線で善戦が続くブルベアイリーデらが上位人気となり、前2走で評価を下げたかウェスタールンド自身は5番人気となった。
レースは逃げ・先行勢が飛ばす中マイペースで最後方待機。1コーナー時点では20馬身近く置かれた殿で進め、3コーナー入り口でもまだポツンと最後方とどこかで見た展開。
しかしコーナーに侵入してからは内ラチ沿いを強襲、4コーナー出口までに7番手まで一気に順位を上げるワープを見せ、垂れ馬を交わすのに若干手間取ったものの前が空いてから更に加速、最後は届かなかったものの先に抜け出したサンライズホープにアタマ差の2着と18年のチャンピオンズカップを彷彿とする内容で持ち味である末脚や追い込みは健在であることを示した。
また上がりタイムも全体2位のタイムの37.8(サクラアリュール)に1.4秒差をつける36.4を記録した。
4戦目は浦和記念に出走、白山大賞典を勝ったメイショウカズサを中心に対戦。比較的手薄なメンバーということもあり2番人気に推されたものの4着に終わる。
その後はチャンピオンズカップに出走予定だったものの、左前脚に不安が出たため出走を回避。次走は年末の大一番、東京大賞典に変更された。
東京大賞典4連覇がかかるオメガパフュームが人気を集め、他にはJBCクラシック覇者ミューチャリー、ダート転向後実績を積み重ね鞍上に好調の川田将雅を据えたクリンチャー、まだまだ元気な同期のノンコノユメなどが揃った。そんな中、前走手薄なメンバーで馬券圏外であったことや、脚部不安での出走回避明けということもあり人気を大きく落とした7番人気に。
レースはジャパンダートダービーを逃げ切り勝ちしたキャッスルトップがレースを引っ張り、先行・中団勢もそれに引っ張られる中、いつも通り最後方でレースを運び非常に縦長の展開となる。向こう正面から徐々に上げたが、4コーナー出口では後方3番手。しかしここからスパートを掛け大外から猛追、最後はオメガパフューム、クリンチャーに届かなかったものの、写真判定の末ミューチャリーにはハナ差で競り勝ち2年連続で3着。
上がりタイムは全頭中最速の36.7秒を記録、末脚は未だ健在であることを示した。
中団後方~殿で脚を溜め、3コーナー途中や最終コーナー出口前辺りから一気に加速して他馬をごぼう抜きを決める所謂追い込み馬。過去の馬に例えるとブロードアピールに近いスタイルであり、スピード感のある抜群の末脚を長く使えることを武器としている。
気性面に難があり赤いチークピーシーズがトレードマークとなっている。せん馬となってからは精神面に成長が見られるようである。
左前肢以外が白く、派手な栗毛、鼻先まで伸びる流星と走りだけでなく見た目も特徴的。
藤岡佑介騎手とのコンビは過去12度の騎乗機会で、1着2回・2着5回(うちGI1回)3着2回(東京大賞典、2年連続)・4着1回・5着2回(ダート転向前)・着外1回(7着)と高確率で掲示板内と好相性である。
ネオユニヴァース 2000 鹿毛 |
*サンデーサイレンス 1986 青鹿毛 |
Halo | Hail to Reason |
Cosmah | |||
Wishing Well | Understanding | ||
Mountain Flower | |||
*ポインテッドパス 1984 栗毛 |
Kris | Sharpen Up | |
Doubly Sure | |||
Silken Way | Shantung | ||
Boulevard | |||
*ユーアンミー 1995 栗毛 FNo.4-g |
Marquetry 1987 栗毛 |
Conquistador Cielo | Mr. Prospector |
K D Princess | |||
Regent's Walk | Vice Regent | ||
Lover's Walk | |||
Archimillionnaire 1981 鹿毛 |
Medaille d'Or | Secretariat | |
Fanfreluche | |||
Coqueluche | Victorian Era | ||
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競走馬の4代血統表 |
クロス:Northern Dancer 5×5(6.25%)
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最終更新:2024/12/27(金) 00:00
最終更新:2024/12/27(金) 00:00
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